救える者になるために(仮題)   作:オールライト

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さてさて、もうすぐバレンタインデーです。
学生時代は靴箱を開けるときにチョコが入っているかどうかドキドキしながら開けたものです。懐かしい。
特別編でバレンタインデーの話とか書いてもいいのかな?
でもそれをすると「本編も書いてねぇくせに調子乗るな」とか言われそうで怖いです…
というわけで、十九話です
どうぞ


第十九話 最近の主人公ってのは汚い野郎が多い気がする

衝也たちが物間たちに勝利したその光景を見た観客たちは知らず知らずのうちにつばを飲み込んだ。

今まで上位三名の三つ巴(・・・・・・・・)にばかり目を向けていた会場の観客全員が、である。

 

 

(なんだよ…ありゃあ)

 

その観客の一人であるプロヒーロー『デステゴロ』はモニター越しに見るその光景に絶句する。

 

(たった一撃!たった一撃で周囲が軽く吹っ飛ぶほどのパワー…いや、あの個性を放った野郎が後方に吹き飛んだ(・・・・・・・・)パワーを合わせたらそれ以上のエネルギーになる…!つまりもともとのパワー全部を放てたとしたら…!)

 

あの物間という少年が放ったあの衝撃、その威力のレベルの違いはプロヒーローの中でも比較的高いパワーを武器に戦っている彼だからこそ理解ができた。

 

次元が違う。

『パワー』のみに関して言えば、この個性のパワーはほかの個性とは違う次元の領域にいる。

自分はもちろん、隣で唖然としている、プロの中でもパワーに関しては群を抜いているであろうMt,レディでさえも、あの個性のパワーにはかなわない。

 

(…オールマイト以来だぜ、こんなことを感じたのは…)

 

まだ自分がアマチュアだったころ、自分の力は同業者の中でもトップレベルのものだと勘違いしていたころ。

その日戦っていた敵は自身と同じパワータイプの個性を持った敵だった。

個性が似ていれば当然戦闘スタイルも似かよる。

戦いはほとんど互角だった。

何回も交差する拳は自身の頬に、時には敵の鳩尾に突き刺さっていく。

一瞬の気のゆるみも許されぬ、まさしく『死闘』。

肉と肉を打ち続ける音が、周囲のやじ馬たちの声の中へと消えていった。

そんな一進一退の攻防が幾度となく続いていた最中、その戦いは突如として幕引きとなる。

そう、偶然通りがかったNo.1ヒーロー(オールマイト)の手によって。

 

たった一撃

 

自身と同等のパワーを持つ敵をたった一撃で叩きのめし、自分以上の歓声を周囲から浴びるそんな彼を見て、デステゴロは悟ったのだ。

 

自分とこの人とでは、次元が違うと

 

「末恐ろしいぜ…こんな個性を使いこなせるガキがいるってのかよここには…」

 

この実況者や解説の話を聞くに、この物間とかいう男は『個性を模倣する』個性の持ち主であるらしい。

ということは、こいつが放った個性の持ち主は本来この衝也とかいう子供の個性ということになる。

個性の持ち主である以上は、少なくともこの物間とかいうような個性に振り回されて自滅するというようなポカをするようなことはないだろう。

ということは、少なからず自身の個性を使いこなせているということになる。

 

あの段違いのパワーを秘めている個性を。

 

(…つっても、あんな個性、一体どういうふうに鍛錬すりゃ使いこなせるようになるっつうんだよ。)

 

そこまで考えて彼はもう一度モニターを見る。

するとそこにはもう件の少年の姿はなく、

 

もう一つの激戦(・・・・・・・)が画面に映し出されていた。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

(…よし、いける!このまま耐えきれば…!)

 

自身のチームの状態と、敵対するチーム達(・・・・・・・・)の状態を確認した障害物レース1位の少年、緑谷出久は頬に流れた汗をぬぐいながら今の状況を整理していた。

 

騎馬戦の開始から、チームにいる発目明という少女の作ったベイビー改めメカと先頭の騎馬を務める常闇踏影の個性、黒影(ダークシャドウ)や麗日お茶子の個性を駆使し、何とか一千万Pを死守し続けていた緑谷チーム。

だが、残り時間半分にして轟がついに動き出した。

体育祭直前、いきなり自身に宣戦布告をしてきた彼が何もしてこないとは思ってはいたが、いざ目の前にするとその威圧感はすさまじい。

もちろん、特筆すべきは威圧感だけではなく、その実力もである。

個性の熟練度、戦闘時の動き、知識、その能力のほとんどが自身の上を行くA組一の実力者の彼になぜ意識されているのかは知らないが、ここにいる生徒の中でも苦戦必須なのは予想ができた。

ましてや宣戦布告をしたというのなら、ほぼ間違いなく自分を狙って行動を起こす。

そう踏んでいた緑谷はこの短い時間の中で彼に対する対策を考えた。

もちろんそれはこの騎馬戦においても同様である。

 

(様々な組が入り乱れて混戦必須になるこの騎馬戦で、他の組からの攻撃をかわしつつハチマキをとるのは難しいし、自分の攻撃の邪魔にもなる。…だとしたら、轟君はおそらく僕らと一対一で戦えるように仕向けてくるはず…)

 

そう考えた緑谷はあえてサシでの対決を避けずに、一対一で戦うことにした。

緑谷とほかのチームとで大きく違うこと、それは

 

『攻める』闘いより『守る』闘いを重視しなければならないことである。

 

一千万という1位確定のP数をいかにして守り切るか、それに焦点を当てなければならない。

攻めるのと守るのとでは難易度は少なからず差が出てくる。

精神面しかり、戦闘面然り、必ずとは言い切れないがそこには必ず差が生まれてくる。

今回の騎馬戦では、狙われる確率が上がるなどということを含めれば、攻めるよりも守るほうが難易度は上がってくる。

チームの得点の散らばりを把握できず、制限時間も15分と短いことを考えると、確実に1位になれる緑谷チームを狙ったほうが無駄は出ないことも多いからだ。

もちろん堅実にP数を稼ぐチームもあるだろうが、大多数のチームは自身を狙ってくるはず。

ならば、あえて一対一の勝負に乗ったほうが、ほかの選手の攻撃を心配せずともよくなる。

そのほうが、乱戦の中でハチマキを守るよりやりやすいと考えたのだ。

もちろん、轟がサシで戦わなければそれまでなのだが、わざわざ宣戦布告したのにも関わらずこそこそと相手の戦闘中に忍び寄りハチマキを奪い取る、なんていう姑息な手を使って勝とうとするような性格を轟はしていないだろう。

そんなことをするのは卑劣にしてドアホな五十嵐くらいだろう。

 

実際に緑谷の予想は当たり、轟は上鳴の放電と自身の凍結の個性で他のチームを行動不能にし、わざわざ子悪露で囲ってフィールドまで作ってサシでの戦闘を仕掛けてきた。

そして、緑谷の対策は功を制した

厄介な轟の個性を封じるための策として常に相手の左側という位置をキープするようにしたのだ。

それにより轟は凍結を発動しようにも騎馬の先頭である飯田が直線状に入ってしまうため凍らせることができず、攻めあぐねてしまう結果になったのだ。

さらに、上鳴の放電でバックパックは壊れたものの、瞬時に空中にジャンプできる発目の作ったブーツのような発明品や麗日、常闇の個性により、機動性と守りも抜群なチームとなっていたのだ。

 

(発目さんのバックパックは壊れちゃったけど、まだ常闇君の個性での牽制に発目さんの飛べるブーツみたいなのもある!このまま足を止めずに動き続ければ…!)

 

そう考えていた緑谷だが、ここで予想外の事態ができた。

それは

 

「おいコラ半分野郎!!てめぇ勝手にデクとサシでやってんじゃねぇよ!てめぇらぶっ潰すのはこの俺なんだよ!」

 

「なっ…!かっちゃん!!?」

 

突如彼の後ろから激怒した爆豪が飛び出してきたのだ。

どうやら背後の氷を爆発でぶち壊し、そこから爆豪が緑谷のハチマキめがけて飛んできたようだ。

 

「まずはてめぇだデク!死にさらせやぁぁ!!」

 

「と、常闇君!」

 

「心得た!」

 

緑谷の声を聴いた常闇が返事をしたすぐあと、こちらめがけて飛んでくる爆豪がデクに向けて振り上げた拳を思い切り振り下ろした瞬間、その目の前に壁のように黒い影が出て、爆豪の攻撃を遮った。

 

「くっ、なんという威力…!」

 

「んだよこれ…っんが!?」

 

予想外の壁の出現に一瞬動きを止めてしまった爆豪、それを見た緑谷は瞬時に彼の腕をひっつかみ

 

(かっちゃんの性格ならすぐに追撃を仕掛けるはず!そんなことをされたら轟君に注意を向けられない…だったら…)

 

「うらぁぁぁぁ!!」

 

「ぬあっ!?」

 

(かっちゃんと轟君をぶつけるしかない!)

 

この日までずっとUSJの時の成功した感覚を反芻させ、ある程度のコントロールを可能とした緑谷は、その個性を使って爆豪を轟の方へと向けて思いっきりぶん投げた。

 

(あの野郎…!俺が一瞬目を離したすきに…クソデクが調子に乗りやがってぇ!!)

 

「くっそが…調子にのってんじゃぁ…」

 

そこまで言って爆豪は左手の爆発で身体を回転させ、

 

「ねぇぞコラァァ!!!!!!」

 

そのままの勢いで右手を轟の方へとたたきつけた。

中々の爆音とともに煙が上がる、が

 

「甘いですわ、爆豪さん!」

 

八百万が作り出した装甲によりその爆撃は防がれてしまう。

その装甲に守られた轟は視線を爆轟へと向けながら口を開いた。

 

「…言う相手間違えてんじゃねぇのか?緑谷は向こうだぞ?」

 

「ハッ!てめぇも同じなんだよ半分白髪!俺は、デクもてめぇもぶっ潰して

 

 

『完膚なきまでの1位』をとるんだよ!てめぇにも、デクにも…衝也(あのクソバカ)にも!俺はぜってぇに負けねぇ!一人残らず完膚なきまでにねじ伏せて

 

 

 

 

俺がトップに立つんだよぉ!!」

 

「ッつ…!?」

 

そう叫んで爆豪はおまけとばかりにもう一度爆撃を放ち、大きく後方へと距離をとった。

その爆撃に装甲で防御していた轟チームも思わずふらついてしまう。

だが、それ以上に不利なのは攻撃をした爆豪自身である。

空中での攻撃で吹っ飛んだ上に態勢を崩してしまった爆豪。

いくら個性によってある程度空中でも自由が利くとは言っても、衝也のように自由自在に空中散歩ができるわけではない。

このままでは彼はなすすべなく地面に倒れ、失格となってしまう。

そう、彼一人ならば(・・・・・・)

 

「あーらよっっと!!」

 

どこからか間の抜けた掛け声が聞こえたその瞬間、空中で態勢を崩した彼の腰に白いテープが張り付いた。

そして、そのままきギュルルル!と音を立ててまかれていくテープと共に、彼の身体がぐんぐん引っ張られていく。

 

「てめぇ…爆豪!!一人で勝手すんじゃねぇよ!おま、あのまま行ってたら失格だぞ失格!自分で飛び出して失格とかやめてくれよ恥ずかしいから!」

 

「うるせぇんだよクソ髪!てめぇらがいちいちおせぇからわりぃんだろーが!」

 

「お前が勝手に出てくから行動が遅くなんだよ!せめて掛け声でもかけろ!あとクソ髪じゃなくて切島だってのいい加減覚えろこのやろう!」

 

これは個人戦ではなくチーム戦。

彼一人ならば負けていたかもしれないが、それをカバーする者がいれば話は別である。

爆豪がテープと一緒に巻き取られていった場所にいたのは切島、瀬呂、芦戸の三人。

そう、彼らは突如として騎馬を離れた爆豪を追ってここまで来たあと、今にも落ちそうになっている彼を見て慌てて瀬呂テープを使って救出したのである。

 

「ていうか爆豪行動早すぎだって!ちょっとぐらい打ち合わせなりなんなりしないとこっちも動けないって!」

 

「打ち合わせして動く時間なんざあるか!てめぇらが俺に合わせろ!」

 

「無茶言うな!お前の突拍子もねぇ動きについてなんか行けるか!さっきだってホントぎりぎりじゃねぇか、俺がテープ伸ばしてなかったら失格だぞ!?」

 

 

芦戸や瀬呂が口々に異論を唱えてくる。

しかし、

 

 

 

「ゴチャゴチャゴチャゴチャうるせぇんだよ!もう時間がねぇんだ!できようができなかろうがすぐにでも動かなきゃなんねぇんだよ!

雑魚にだってそれくらいはできんだろうが!いいから黙って俺に合わせろ!!

 

てめぇらだってテッペンとるために戦ってんだろうが!

 

黙って俺に力貸せや雑魚共!!!

この試合、何が何でも勝つんだよ!!」

 

『!!』

 

爆豪のその言葉に二人は思わず目を見開いた。

爆豪は素行や口は悪いがどこかの誰かと違ってアホというわけではない。

しっかりと自分なりに考えて行動を起こしている。

それはつまり、『彼らなら自分が飛び出してもカバーするだろう』という身勝手極まりない押し付けがましい理由で動いているということ。

だがしかし、言い換えれば、その三人のことを『それなりには』認めているということになる。

それに何より、切島も瀬呂も芦戸も、爆豪とチームを組んだ理由は一つ

 

1位をとるためである。

自身の夢のため、あるいは自身の力を高めるため、自身の欲のため、各々思いは違えど目的を同じくして徒党を組んだのだ。

少なくともそのために爆豪は行動しているのだ。

 

行動したものすべてが勝利するわけではない、それは爆豪も承知の上だ。

だが、それでも彼が行動するのは、

 

 

動かなければ勝てないからである。

手をこまねいているだけで勝てるほど、相手は弱くはないのだから。

 

「俺一人じゃハチマキは奪えねぇ!

行くぞ!

轟もデクもまとめてぶっ倒して

 

俺らが(・・・)勝つ!!」

 

 

 

 

 

「…それやれば勝てるんだよね?」

 

「勝てるんじゃねぇ!勝つ!!」

 

「ハッ、なんだよそれ、根拠ねぇな!…でもま、ここで何もしないで負けるよりかはまし、か」

 

芦戸の問に大声で答える爆豪。

その答えを聞いた瀬呂は呆れたようなふりをしながらも軽く首を回す。

そんな爆豪たちのやりとりを今まで聞いていた切島は、口元にうっすらと笑みを浮かべる。

 

「…よっしゃ、全員腹ぁ決まったな!ならここは行動あるのみ!死ぬ気でとり行くぞ!」

 

 

 

 

『完膚なきまでの1位を!!』

 

そして、爆轟チームはここにきて初めて、同じ視点に目を向け始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まずい状況になってきたな…)

 

視界の端に爆豪チームを入れながら、轟は表情を曇らせていた。

本来ならば誰にも戦いを邪魔されないようにわざわざ上鳴の放電と自身の個性で寄ってきた他の相手チームを行動不能にし、一対一での戦いを可能としたフィールドまで作った彼らだったが、寄りにもよって一番来てほしくないやつがここにきてしまった。

 

(いや、遅かれ早かれこいつが来るのはわかってた…それまでに決着をつけられなかった俺に責任があるか。)

 

爆豪は他人の目から見てもわかるほど緑谷を敵視している。

いや、正確に言えば緑谷だけではない。

なぜかはわからないが、自分や五十嵐にも尋常じゃない対抗意識を燃やしていた。

そんな奴が、この場に来ないなどと考えられるほど轟は甘くはなかった。

 

(芦戸の酸の個性がある限り俺の個性で凍結させたとしてもすぐに溶かされる。

となると、上鳴の放電を頼りに戦うしかないが、先頭にいる切島の硬化がどういう原理で硬化しているのかわからない以上、上鳴の放電が必ず通るという確証が得られない…。いや、それよりももっと警戒しなきゃならねぇのは、アイツ(爆豪)の並外れた執念だ。)

 

気に入らないやつがいたらそいつが誰であろうが徹底的に追い詰めて叩き潰す。

効率云々よりもまず自身の感情によって動くことが圧倒的に多い爆豪の性格からして逃げ切ることはおろか攻撃を振り払い続けるのも難しい。

そして、その粘着質ともいえる執念は時として戦況を大きく変えうるものとなる。

もちろん、裏目に出ることもある時はあるのだが。

 

(幸い残り時間は少ないんだ、爆豪達が何かする前に1千万Pを奪って守りに徹すれば勝機はある、はずだが…)

 

そこまで考えて轟は正面の緑谷を見る。

正直、彼がここまで粘るとは思いもしなかったのだ。

自身の個性やチーム配置の弱点を突いて守りに徹する緑谷、そのせいでかなりの時間を浪費することになってしまっていた。

 

(ちまちまと動き回りやがって、このままじゃ…)

 

「おい、どうすんだよ轟!爆豪達までここに来ちまったぞ!?こんなんでハチマキ奪えんのかよ!?」

 

「轟さん!このまま手をこまねいているようでは緑谷さんに逃げ切られてしまいます!いえ、もしかしたら爆豪さんたちがハチマキを奪ってしまうかもしれない…!轟さん、とにかく何かご指示を!今は行動を起こすしかありませんわ!」

 

このままではジリ貧は必須、それどころか爆豪チームも入り乱れての三つ巴になってしまってはこの少ない残り時間で緑谷チームに勝つ可能性は薄くなってしまう。

そんな不安に駆られたのか、上鳴や八百万が慌てたように轟に声をかけた。

そして、様々な作戦を頭に思い浮かべていた轟の頭に一瞬、ほんの一瞬だけ自分の右手がちらついた。

 

(…ッ!クソが…!何考えてやがる、そんなことをしたらアイツの思うつぼじゃねぇか!!)

 

忌々しそうに拳を握り、ほんの数秒だけ観客席にいる自身の父親に目を向けた。

自身の人生も、母の人生も狂わしたすべての元凶、No.2ヒーロー『エンデヴァー』。

自分の『復讐』すべき相手は、その観客席でもなかでも見つけるのが容易なほど髭や眉毛やらを炎で燃やしていた。

その表情は憎らしいほどにいつもと変わらない。

それがより一層、轟の憎悪を募らせた。

まるでテストベッドでも見ているかのようなその表情が、憎くて憎くてしょうがない。

 

(勝ってやる…!何が何でも…この体育祭で…あいつの個性を使わずにっ…!!)

 

大きく歯ぎしりを立てながら拳を握りしめ続ける轟。

そんな彼の心境を知ってか知らずか、今まで黙っていた騎馬の先頭である飯田が、ゆっくりと口を開いた。

 

「轟君」

 

「!飯田?」

 

「俺はこの試合、何が何でも勝つつもりだ。俺は、絶対に緑谷君に勝って見せる、そのために君とチームを組んだんだ。目的を同じとする君と。同じ者を見ているであろう君と!」

 

「!」

 

「勝つぞ、轟君!この一瞬にすべてをかける!ハチマキをとった後、君は勝つことだけを考えろ!」

 

「飯田?」

 

「行くぞみんな!これが最後の攻撃、いわば『奥の手』だ!」

 

その言葉と同時に飯田は体を少しだけ低くし、大きく息を吐き出した。

 

轟チーム、爆豪チーム、両者はほぼ同時に動き始めていた。

 

どちらもこれが最後の一手となる。

 

 

決着の時が、徐々に徐々に近づいている。

 

この一手で、騎馬戦の勝者が決まる!

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

迫る最終局面、緑谷チームは爆豪、轟両チームから距離をとりながら、相手の出方をうかがっていた。

 

(残り時間はあと少し!なんとしてでもこのPを死守する!そうしないと、そうしないと僕たちの負けだ!!)

 

「残りの時間まであとわずかなんとしてでも死守するぞ緑谷!」

 

「デク君!このままいけば私ら勝てるよ!頑張ってこう!」

 

「一位の人!勝つのもいいですけどできればもっと私のドッ可愛いベイビーたちを使ってくれると助かるのですが!?」

 

常闇や麗日、発目達の声援が聞こえてくる中、緑谷は大きく息を吸って心を落ち着かせる。

 

(僕は一人じゃない!みんなの思いも、自分の思いも、オールマイトの(あこがれた人の)期待も!みんなの思いを背負ってるんだ!射程距離や行動範囲はあらかたわかってきた!絶対に、絶対に…)

 

 

 

「みんな!絶対に勝つよ、もう少しだけ踏ん張って!!」

 

(絶対に勝つ!)

 

残り時間はわずか、緑谷は初めて誰かの思いを背負うこととなり、

初めてそれに全力で応えようとしていた。

そして、

 

 

 

ついに戦況が大きく動き始める。

 

「行くぞみんな!トルクオーバー!!」

 

最初に動いたのは、轟チームだった。

しかし、それに気づけた者は誰一人としていない。

正確に言えば、彼らが何をしたのかに気づけた者は。

 

 

『レシプロバースト!!』

 

 

「…は?」

 

一瞬、ほんの一瞬だけ、彼らの姿が消えたその瞬間。

緑谷の横を、轟が一気に駆け抜けた。

その左手にしっかりと1千万P(緑谷チームのハチマキ)を握りしめながら。

 

『お、おおおおおおおおお!なんとなんとなぁんと!!ここにきて攻めあぐねていた轟チームがまさかのハチマキ奪取ぅぅぅ!!飯田の目にもとまらぬ早業で轟チーム一気に一位に上り詰めたぁぁぁ!てか今轟チーム一瞬消えなかった!?』

 

『消えたんじゃねぇ、俺たちの動体視力では追いつけないほどの速さで動いたんだよ。にしても、騎馬作ってる状態であの速さとは、今までの飯田の走りとは馬力がまるで違うな。エンジンをかけ続けた今までの走りではなく、加速力を一気に爆発的に上げて一瞬の速さに重点を置いたような走りだ。』

 

『ナイス解説!』

 

プレゼント・マイクと相澤が話しているそのさなか、ハチマキを奪った轟チームは氷の壁に当たる寸前で向きを緑谷チームの居るほうへと向き直す。

そして、

 

「言っただろ、緑谷君…君に

 

 

『挑戦』すると!」

 

こちらを見据えた飯田が、笑顔で呟いた。

 

『うおぉぉ!轟チームの飯田天哉!気持ち悪いほどドヤ顔かましてやがる!なんかちょっとウゼェ!!こういうエリートっぽい奴のどや顔ってなんか腹立つよな!』

 

『…お前さ、前々から思ってたけど好きな奴と嫌いな奴とで対応変えるよな。』

 

実況が熱くしゃべっている最中、轟は驚いたように飯田の方へ視線を向けた。

 

「飯田、今のは?」

 

「トルクと回転数を無理やり上げて爆発力を生む、いわば裏技のようなものだ。それよりも早くハチマキをつけろ轟君!この技を使用した後、俺は反動でしばらくエンストして動けない!」

 

「!ばか、それを先に…」

 

そういいながらハチマキを首にかけようとした轟の手が、ふいに止まる。

いや、正確には止まらざるをえなかった。

ハチマキを首にかけるよりも優先しなければならないことができたからだ。

それは

 

「それを…

 

 

寄こしやがれ半分野郎ぉぉぉぉぉ!!」

 

ハチマキめがけて突っ込んでくる爆豪が目に入ったからである。

しかも、それは自身の背後から

 

「な、爆豪!?アイツどうやってここまで!?」

 

上鳴が思わずといった様子で叫ぶ、轟もまた心境は同じだった。

 

(こいつ、いつの間に!?)

 

視界に爆豪をとらえながらそう考える轟、そんな彼の目の端に移ったのは

 

爆豪の背後。

 

まるで誰かが滑ったかのような跡をして溶けている氷の壁と、

その壁のすぐ近くですっころんで倒れている切島、瀬呂、芦戸達であった。

 

『おおおおおお!!ここでさらにさらにぃぃ!爆豪の野郎が轟のハチマキめがけて単身特攻!!これはますます熱い展開になってきたぁぁ!!騎馬の三人は無様にずっこけてやがる!面白!!』

 

『なるほど、考えやがったな爆豪。』

 

プレゼントマイクが熱く実況している中、相澤は一人感嘆の言葉を漏らしていた。

 

(芦戸の個性と瀬呂のテープで加速、そのまま芦戸の個性で氷の壁を滑って轟の背後まで一瞬で移動、最後に爆豪の個性で轟めがけて特攻ってわけか。なんていう奇抜な奇襲だよおい。中々考え付くもんじゃねぇぞ?)

 

「いってぇ、あの野郎人の頭踏み台にしやがって。」

 

そういいながら頭をさすりつつ身体を起こす切島、どうやら飛ぶ際に足で頭を思いっきり踏まれたらしい。

そしてそれに続いて芦戸や瀬呂もゆっくりと身体を起こしていく。

 

「まぁ、でもこんな作戦思いつくなんてさすがだよねぇ…」

 

「ああ、あいつあんな顔で色々と考えてるんだな。」

 

「俺たちは、あとは賭けるだけだ…」

 

 

「「「いけぇぇぇぇ!爆豪ぉぉぉぉぉ!!」」」

 

大声で爆豪の背に声をぶつける三人、その声が聞こえているのかいないのか、爆豪は口の端を釣り上げていつもの獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

「死にさらせぇぇぇぇ!!!」

 

大声で物騒な暴言を吐きながら振りかぶっていた右手を思いっきり振りぬく。

もちろん、狙っているのは轟の左手にあるハチマキ一つ。

そして、爆豪の右手が、轟の手にあるハチマキに届きそうになったその瞬間、

 

 

突如、そのハチマキが消えてなくなった。

 

「…あぁ!?」

 

「なッ!?」

 

一瞬、何が起こったのか全く分からなくなり、動きを止めてしまう二人。

そのせいで爆豪は

 

「!?しまっ…いって!!」

 

なすすべなく重力に従って地面に落ちてしまう。

 

『おおっと!?ここで爆豪チームまさかの地面に不時着!ってそれよりハチマキ!突如としてハチマキが轟の手から離れてったぞ!?一体どこに…あ、見っけた!』

 

「!」

 

プレゼントマイクが実況したとほぼ同時、轟もまたハチマキがどこにあるのかを確認することができた。

彼が持っていたハチマキは、空中できれいなピンク色をしている長い舌に巻き取られていた。

その舌はゆっくりとハチマキと共に元の場所へと戻っていく。

 

そして、舌が元の場所へと戻るとほぼ同時に、そのハチマキはある男の手へと握られた。

 

「…戦いにおいて、一番理想的な勝ち方ってのを知ってるかい?それはな…」

 

空中を悠然とたたずむその男はハチマキをゆっくりと、見せつけるように首へとつけた後

悪役も真っ青の悪い顔をして言葉をつづけた。

 

「戦わずして勝つことなんだよ。」

 

『で、で、出たァァァァ!ここでついに動いたのはこの大会の序盤からいろいろな意味で注目されまくってるA組きっての三枚目!五十嵐衝也だぁぁぁぁ!轟と爆豪が槍やってる隙にまさかのおいしいとこどり!これを卑怯と呼ばずしてなんと呼ぶってなもんだぁぁ!』

 

「おいまて誰が三枚目だ!?」

 

『怒るとこそっち?』

 

『なるほどな、あいつら、フィールドの外からずっと耳郎の個性で戦況を窺ってたわけか。そして、時間ぎりぎりでハチマキを奪い取れる瞬間をひそかに狙っていた。しかも蛙吹の舌が届くであろう距離をきちんと計算して。まさしく漁夫の利を得たってわけだ。それとマイク、これは卑怯じゃねぇぞ、第三者の介入を許したあいつらの落ち度だ。二人の世界だけに入ってるからこういうことになる。』

 

『ちょっとまてイレイザー。その発言は誤解される。特に世の腐れ女どもに、』

 

プレゼント・マイクの言葉に憤慨している衝也だったが、すぐに顔を下に向けて、地上でハチマキをとってこちらにパスしてくれた者へと視線を向けた。

 

「ばっちりだぜ蛙吹!!タイミングも完璧!さっすがだぜ!」

 

「ケロ、お礼を言うなら耳郎ちゃんに言って。耳郎ちゃんの個性がなかったらうまくハチマキをとることはできなかったわ。」

 

「いやいや、ウチはなんもしてないって。実際ハチマキとったのは蛙吹だし。」

 

 

蛙吹の言葉に耳郎は苦笑しながら否定をする。

そう、彼らは物間と戦い終わった後、耳郎の個性を使ってずっと彼らの戦闘の様子を確認し続け、ハチマキを奪い取れる瞬間を探していたのだった。

 

 

『いいか、闘いなんてのはできるだけ楽に勝てたほうが良いに決まってるんだ。そこで、俺はこんな作戦を提案したい。俺は空中で待機しておくから、耳郎があの三チームの戦闘の様子を逐一様子見しておくんだ。本当なら俺が合図を出したいところだが、地上だと戦闘が見にくいし、かといって空中のサインは伝わるのに時間がかかる。この横取り…じゃないや。奇襲作戦は速さが命、一瞬でも遅れたら高確率で失敗する。だから、目視以外で地上から戦闘の様子を把握できる耳郎の個性を使って絶好の機会を見定めるんだ!そして、ハチマキを蛙吹の舌で奪った後はそのまま空中にいる俺にパスしてくれ。そうすればもう勝ちは確定よ!あいつらの中で空中にいる相手を攻撃できる奴なんていないからな!』

 

『汚い、さすが五十嵐、汚い。』

 

『お前に汚いとか言われたくねぇんだよ汚物ブドウ。』

 

『ちょ、ちょちょ、ちょっと待ってよ!』

 

『ん?どうした耳郎?』

 

『いや、絶好の機会を見極めるとか、そんなのウチにできるわけないじゃん!そりゃ音を聞けば多少の戦闘の様子くらいなら理解できるかもしんないけど、そんなのウチには荷が重すぎるって!失敗したらやばいじゃん!』

 

『大丈夫大丈夫、さ、それじゃさっさと轟たちを探しますか。』

 

『大丈夫じゃないって!アンタ何を根拠に大丈夫って言ってんの!!』

 

『根拠って…

 

俺は耳郎ならできると思ってるだけだけど?』

 

 

『ッ!』

 

『俺は、できないと思った奴に作戦を話したりはしないし、大役を任したりはしねぇよ。現に峰田には何も任してないだろ?』

 

『え、ちょっと待って、オイラが何もしなくていい理由ってそういうこと?』

 

『大丈夫、耳郎ならできるって!少なくとも俺はそう信じてるし。なーに、失敗したら俺の立てた作戦が悪かったとでも思っとけばいいんだって。

 

頼りにしてるぜ、耳郎。』

 

『おい五十嵐、オイラの声聞いてる。ねぇ、ねぇちょっと!?』

 

(…まったく、あんなあっさり大役決めるなんて、頭おかしいんじゃないのアイツ。)

 

つい数分前の作戦会議を思い出していた耳郎は苦笑した後、空中にいる衝也へと視線を向ける。

そんな彼女の視線に気づいたのか、衝也は彼女に向けて笑みを向けた。

 

「そんなことねぇって耳郎。お前のおかげで作戦大成功だ!おかげでこのままトップで騎馬戦通過!少なくとも俺の面子は守り通せた!サンキューな耳郎!」

 

「…ハイハイ、わかったからそんなにはしゃがないでよ。まだ試合は続いてるんだから。油断したらハチマキとられるよ。ていうか少しウザいし。」

 

「相変わらず冷たい!南極から流れ着いた流氷のごとく冷たい!耳郎、ウサギは寂しいと」

 

「だーかーらぁ!それがウザいって言ってんじゃんこのバカ!このウサギのやり取り何回目だよ!」

 

 

そういって呆れたようにため息を吐きつつも耳郎はほんの少しだけ笑みを浮かべる。

 

(でもま、あそこまで当たり前のように信じてもらえてるんだったら、それはそれでいいのかもね…。)

 

衝也が、自分ならできると何のためらいもなく言ってくれた

その事実が、彼女の心を大きく躍らせた。

それはひそかに目標としていた衝也に認められているような気がするからななのか、はたまた別の理由なのか。

それはまだ彼女にはわからない。

というか、彼女はまだ自分が心躍っていることに気づいていない。

自分が先ほどから終始ずっと口元に笑みを浮かべていることにも。

そして、ついに騎馬戦の終わりが近づき始める。

 

『おおっと、ここで残り20秒!空中にいるクレイジーボーイに轟も爆豪もなすすべはナッシング!このまま1000万Pは奴の物となるのかぁぁ!!?』

 

「いやー、しかし絶景だなぁ。相手が攻撃できない位置から敵を見下ろすというのは。愉快愉快。」

 

「あんのクソバカがぁぁぁ!!降りてこいやぶっ殺してやらぁぁぁ!」

 

(く、完璧に油断した。空中じゃ上鳴の放電も俺の凍結も届かねぇ!)

 

阿修羅の如き形相で衝也に怒号を浴びせる爆豪と黙って上空の衝也をにらみ続ける轟。

しかし、攻撃手段がないことにはハチマキを奪うことができないため、状況を覆すことはかなわない。

爆豪に至ってはすでに失格である。

それを衝也の背中で見ていた峰田は嬉々として彼に話しかけた。

 

「あと数秒で騎馬戦も終わるし、これでオイラ達の勝ちは確定だな五十嵐!」

 

「は?オイラ達じゃなくて俺達だから。なに勝手に仲間になろうとしてんの?」

 

「…お前さ、そんなにオイラのこと嫌いなのか?」

 

「ああ。それにな峰田」

 

「ええ!?サラッと即答してすぐに別の話に切り替えやがった!?そんなに、そんなにオイラのこと嫌いなの!?」

 

背中で涙ながらに問い詰めてくる峰田を無視して衝也は話を続けていく。

その顔は、真剣そのもので、先ほど耳郎に向けていたものとは真逆の物だった。

 

「こういう時に一番気をつけなきゃいけねぇのは

 

『窮鼠』だよ。」

 

「きゅ、窮鼠?」

 

「そう、追い詰められた奴ほど突拍子もないことしてくるもんだ…油断してると

 

 

 

首元かじられて死んじまうからな!」

 

そういって衝也は勢いよく身体を反転させる。

彼の目に映ったのは

 

『おおおおおおおおおおおお!!きたきたきたぁぁぁぁ!!残り14秒!ここにきてまさかの反撃!その反撃の一手を繰り出してきたのは…』

 

「当然、来るよな」

 

『元・騎馬戦トップ。予想外の粘り強さと根性を見せたあの男

 

 

 

緑谷出久だぁぁぁぁ!!』

 

「緑谷ぁ!!」

 

右手を振りかぶり、まっすぐこちらへと突っ込んでくる緑谷出久だった。

 

 

(取り戻す!何が何でも!!絶対に!)

 

 

わずか数十秒前

 

『麗日さん!僕に個性を使って!』

 

『へ!?』

 

『何をする気だ緑谷!?』

 

『五十嵐君は残り時間まで空中にいるはずだ、空中を攻撃する手段がないと思い込んでいるから!そう思い込んでいるのならまだ勝機はある!麗日さんの個性で僕を浮かせて、常闇君の個性で僕を五十嵐君のところまで投げてもらうんだ!そしたら発目さんのこのブーツで加速して一気に彼に近づいてハチマキを奪い取る!幸い僕らの位置は五十嵐君の背後!うまくいけば気づかれずにハチマキをとれる!

 

もう時間がないんだ、みんな、僕に賭けて!絶対に取り戻して見せる!』

 

強い気持ちと共に発せられた緑谷の言葉、その言葉に

 

『ッ!!わかった!行こうデク君!絶対ハチマキ取りもどそ!』

 

『残された猶予はあとわずかだ!急げ緑谷!」

 

『気を付けてくださいね、あの被検体一号さんもとい五十嵐さんは私のベイビーたちのことをよく知ってます。気づかれる可能性は大です!私のベイビーを少しでも有効活用してください!』

 

何の逡巡もなく賛同してくれた。

皆、自分のことを信じ、この残された時間と思いを自分に託してくれた。

その思いを

 

 

 

 

(無駄にするわけには…いかない!!)

 

 

 

 

『そろそろ時間だ!カウント行くぜエヴィバディセイヘイ!』

 

 

 

 

 

『10!9!8!』

 

 

緑谷と衝也の距離が、かなりのスピードでぐんぐんと狭まっていく。

 

 

 

 

 

 

『7!6!5!』

 

「ッ!!」

 

そして、五十嵐が迎え撃とうと左手を握りしめる。

 

 

 

 

 

 

『3!2!』

 

その刹那、

 

「ああああああああああああああ!!!!」

 

緑谷の咆哮とともに、彼の、いや、『四人』の思いを乗せた右手が勢いよく振りぬかれ、

 

『1!!』

 

両雄は 

 

 

交叉した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『TIME UP!!』

 

そしてついに

 

白熱した騎馬戦は幕を閉じた。

 

『さぁさぁさぁ!!白熱した一位争い!その争いを制したのは…!!』

 

一瞬、たった一瞬の攻防。

しかし、見るものによってはそれが数秒にあるいは数十秒に、あるいは数分に感じたであろうその勝負。

結果は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『チィィィィィィム!ショウヤ・イガラシィィィィ!!』

 

空中で下を見下ろす五十嵐の勝利だった。

 

対する緑谷は、意識はあるものの、放心したように力なく地面へと倒れ込んでいた。

 

「とりあえず、第一種目の借りは返したぜ緑谷。こう見えて、俺は結構根に持つタイプなんだぜ?」

 

そういってわずかに唇の端を釣り上げる衝也。

その左頬には、

 

指一本分ほどの擦り跡が残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

衝也チーム

 

騎馬戦一位通過。

 

 




はい、というわけで戦闘はほとんど原作と同じ感じになってしまいました。
つまらないと言われないか非常に不安ですが、私のつたない能力ではこれが限界でした。
すいません。

爆豪チームは四巻の『俺らのPも取り返して、1000万へ行く!』という言葉で初めて同じ視点に立つことができて、それがあのチームワーク(?)につながったんだと勝手に妄想しております。
個人的にこのシーンが騎馬戦の中で一番胸アツでした。

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