天災?いいえ、間に合ってます。   作:104度

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はい[R00M]です。
いや~まさかこんなに早く出せるとは思ってもみませんでした。


ただ、「…」と「!?」の使い過ぎ感が拭えない。


この世界とはおさらばだ

 

 僕の目の前で両手を腰に当てて怒っている彼女は篠ノ之 束。15歳の中学生らしい。僕と同い年だね。

 これで中学生……?いや、女子は男子よりも性徴が早いからそうなのか。そうに違いない。

 

 

 …………げふん。

 

 

 それで今、二回も彼女の身体を見てしまったから正座をさせられている。

 足はまだ痺れてないからいいんだけど………

 

 

「ねぇ!?ちゃんと聞いてるの!?」

 

 

 目を細めながらぐいっと顔を近付けてくる。

 

 

「聞いてます。」

「じゃあなんでこっちを見ないのさ!それで『聞いてます』なんて言ったって全っっ然説得力ないからね!」

「それでも聞いてはいます。」

「だったらこっちを見て会話しようよ!じゃないと私が一人で喚いてる変な人みたいになっちゃうじゃん!!」

「……………………。」

「そこは否定して欲しかったかなぁ!!!」

「……なら、ひとつ。いいですか?」

「なんだい!?君がこっちを見て話すようになるならなんだってしようじゃないか!だから教えて!早く!ハリー!」

「では…………………服、着ません?」

「はぁ!?服ぅ!?何を言って…る………」

「………………。」

「………………。」

 

 

 

「変態っ!!!」

「なんでぇ!!?」

 

 

 

 興奮して服着るのを忘れてたのはそっちなのに。なんという理不尽。

 ………頬が痛い…ヒリヒリする……。

 

 

 

 

 ***

 

 

 今日、私の入浴と着替えのときに家族しか開けないはずのドアから見知らぬ男が突然現れた。

 あまりにも唐突すぎて流石の私も思考が一瞬だけだが止まってしまった。

 そして、我に返って自分の裸体を男に見られたという羞恥心を感じるとともにふと思った。

 

 あれは一体、どういう原理なのだろうか?

 

 ここは篠ノ之家だ。私以外にはお父さんとお母さん、そして箒ちゃんしかいないはずだ。

 加えて、私の研究や発明を家族に見せないために部屋の扉を三重にロックを掛けていた。

 誰も私の部屋には入れないはず。

 ……なのに彼は……………いや、思い出すだけで恥ずかしい。

 

 

 ………………うん?『恥ずかしい』?

 他の有像無像に見られたとしたら………うん、『気分が悪い』『憎悪』しか浮かばない。

 あれ?………………………気のせい…かな……。

 

 

 彼がどうやって来たのか、それは着替えている今でもまだわからない。

 なにかの機械で意図的にやってきたのか、はたまた非科学的なオカルトでたまたま飛ばされてきたのか。

 今の私にはまだ理論が組み立てられないし予想もしづらい。

 もし前者だったら、彼は私以上の頭を持っていることになる。周り全員から異常と言われる私よりも。

 …どちらにせよ、生まれて初めて『未知』というものを知った。

 初めて、私の知識を超えるものに遭遇できた。

 そして、彼に興味が湧いた。

 だからか、自分の姿がどうなっているのかすら忘れて彼に詰めよっていた。

 

 

 

 ………とんだ失態だよ。ホントにもう…。

 

 

 

 さて、着替え終わったところだし彼に質問を投げ掛けてみようかな。

 

 

「それで、君は一体誰でどこからどうやってなんの為にここに来たんだい?」

「い、一度にたくさん質問しますね。」

「いいから答えて。」

「あ、はい。まず、僕は星野 空、15歳です。」

「ふんふん………あれ?同い年だったの?」

「そうですけど…どうかしました?」

「いや、敬語で話すからてっきり年下だと思ってて。じゃあ、今から敬語はなしってことで。呼び方も束でいいよ、私も空って呼ぶから。同い年に敬語を使われるとか………あまりいい思い出がないから。」

「あ………。そういうことなら自然体でいることにするよ。」

「待ってそんな優しい目で私を見ないで!!ちゃんと友達はいるから!!」

「あはは、別にそういうつもりじゃ………というか僕なんて、束が初めてまともに会話した人だからあまり他人のこと言えないんだよね。」

「……えぇ?うっそぉ…………こほん。」

「うん、その反応で合ってるよ。それで、僕がどこから来たか、だよね………待てよ?もしかしたら……」

「あれ?どうかした?」

「ちょっとパソコン貸してもらえる?」

「パソコン?別にいいけど。」

 

 

 彼は私からパソコンを受け取ると、彼の住んでいるであろう住所とその近隣の風景を調べ始めた。

 そして3分間じっくりとそれらを眺めたあと、不意にこちらを向いて言い放った。

 

 

「僕、こことは別の世界から来たみたい。」

「………………………へっ?」

「僕の住所の周辺一体の地形とか建物の並びとかが明らかに違うんだ。同じ日本のはずなのに。」

「へ、へぇー…」

「……信じてないでしょ。」

「うぇっ!?そ、そんなことないよ!」

「じゃあ僕の部屋にk」

「行く!!行きたい!!いや、行かせてください!!!」

 

 

 この私をも超える頭脳を持つ彼の部屋だ、気にならない訳がない。

 

 ……………ちょっとがめつすぎたかなぁ?

 

 

 

 

 ***

 

 

 そんなこんなで今は僕の部屋にいる。

 今まで作った道具たちは流石に邪魔になるから、あの小型化した量子化できる道具に全部詰め込んである。

 量子で保存するからかなり多くのものが入るし、取りだしもスムーズにできるから便利だ。

 

 それで、僕の部屋に来た彼女はというと………

 

 

「むぅ~……」

 

 

 なんか、こっち、睨んでる。

 しかも、かなりの、至近距離。

 下から、上目遣いで、見上げてる。

 

 …………かわいい。

 

 

「むぅぅぅ~~!」

「………………。」

「むむぅぅ~~!!」

「……どうかした?」

「なんでひとつも発明品とか置いてないの!?」

「邪魔だから全部仕舞ってるんだ。この道具にね。」

「じゃあ出して!」

「はいはい……」

 

 

 それから二時間、彼女はずっとドラえもんの秘密道具を弄っていた。彼女の世界にもドラえもんはいるらしい。さすがは未来の猫型(青狸)ロボット。

 ちなみに僕はニュースを見ている。最近は道具の発明ばっかりで全然見てなかったからね。

 

『■■大学のある研究チームが、宇宙服をベースにしたスーツで初めて、人間の身ひとつで空を飛ぶことに成功しました。この研究チームのチーフは———』

 

 …………。

 ………………………。

 ………………………………………。

 それは、父さんたちの研究だ。お前らのじゃない。その功績を、その笑顔を、返せ!!

 

 

「ねぇ!空!この設計図についてなんだけど……ってどうかしたの?凄く怖い顔してるけど。」

「いや、何でもないよ。それよりどうかした?」

「そう!この設計図だよ!!もしかしてこれって空が作ったの!?」

「どれどれ………いや、僕が手を加えたのは半分くらいかな。そもそもこれの発案者は僕の両親だから。」

「へぇ~!家族揃ってすごいんだねっ!!…あれ?そういえば、空の両親はどこにいるの?見たところこの部屋……というか家には誰もいないみたいだけど。」

「それは……」

 

 

 

『緊急のニュースです。』

 

 

 

「「うん?」」

 

 

 

『三年前、発明品の試作運転で亡くなられた星野夫妻の家から、息子と思われる子供が写っている写真が彼らの親族によって発見されました。彼らの同僚に話を伺ったところ、「確かに二人には息子がいた。けれども、二人のように国に使い潰されることを回避したかったため、また、親族の遺産相続の争いに彼を巻き込みたくなかったため、その存在を隠さなければならなかった。」という回答が得られました。』

『星野夫妻が亡くなられてから数日間に作られた新たな戸籍の中には、血縁者がおらずどこから来たのかもわからないものが一つ混ざっていました。この人物はよく金属類や電子工学で使われる工作道具などを注文していたらしく、星野夫妻と同じ、もしくはそれ以上の発明をしているのではないか。彼があの二人の息子ではないか。と実しやかに囁かれています。』

『もしこの話が本当ならば、日本の技術が数年、もしくは数十年分躍進することが予想されます。葛田首相は「彼に危害が及ばないよう、手厚く保護する。」という意向を示しており、今現在、首相自ら彼の家に向かっているようです。』

 

 

 

 

「くそっ、とんだ面倒ごとを増やしてくれたなあいつら!本当にふざけてやがる!!」

「え……そ、空?」

「束、早くあのドアから自分の世界に戻れ。俺は俺でやることがある。」

「待って!!何をするつもりなの!?」

「この家を爆破する。俺の技術が何に使われるのかわかったもんじゃないし、アイツらの手には渡したくない。それに、俺はアイツらに捕まれば残りの人生は馬車馬のように働かされて終わりだ。あの首相の裏を洗ってみたが黒だったんだ。逃げるしかない。」

「でもっ!私はまだ空と話がしたい!!まだこの設計図について詳しく教えてもらってない!!!まだ……まだ!!!!」

「俺と一緒だと危険だ。」

「なら私の世界に来てよ!!こっちなら追手はいないし、何より受け入れてくれる人がいる!!だから……」

「……その手があったか。」

「…ぇ、ちょ、ちょっと!?」

「大丈夫だよ。僕は君の世界に行くことにしたから。ただ、少し待ってて。」

 

 

 頭が冷えた。

 興奮したときのあの口調は父さんのものがうつったみたい。はは、変なところで似てるなぁ。

 

 さて、彼女が散らかした道具を全て片付けないと。それとお菓子たちの回収。

 あとは爆弾の設置。こういうこともあるだろうといつも用意していた。……まさか本当に使うとは思わなかったけどさ。

 寝室、キッチン、浴室、倉庫と化した部屋、発明用の機械が詰まった部屋、ついでにトイレ、そして、この「どこでもドアもどき」。

 このドアはこっちの世界に残るから徹底的に破壊しないと。

 あとは………ふむふむ、アイツがここに着くのは20分後か。監視カメラって便利。

 なら25分後に爆発するように設定して……よし、終わった。

 

 

「じゃあ、束、行こうか。」

「うん!!……あ、改めてだけど、私の部屋にようこそ!」

「……ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ——————————バタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ***

 

 

「ふむ、ここが彼の家か。」

 

 

 束と空が去った家に土足で踏み入る者がいた

 

 

「ふふふ……これで日本の技術力は大躍進、他の列強に強気で出られる。あわよくば戦争で植民地化………はっはっは!!」

 

 

 高笑いする彼とその側近たちは気付かない

 

 

「さぁ、探し出せ!!」

 

 

 彼らの命日が

 

 

「まだ見つからんのか!!」

 

 

 今日だということを

 

 

 





書いてて思った。

空くんマジむっつりスケベ。
というかキャラがブレる。

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