笑顔仮面のサディストがダンジョンに潜るのは間違ってるっすか?   作:ジェイソン@何某

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 明けましておめでとうございます。そしてご無沙汰しております。『13日の金曜日』のゲームが発売してややテンションの高いジェイソンです。

 エタるまいエタるまいと言いながらも更新が遅れてしまい申し訳ございませんでした。
 第2章のエピローグ的な話であってストーリー自体は進みませんが…楽しんでいただけたら幸いです。

 


第21話『新たなる仲間…?』

 

 ――― 一夜明け、【ヘスティア・ファミリア】本拠(ホーム)

 

「……それじゃあ、会議を始めようか」

 

 祭壇に腰を下ろし、重々しい咳を一つ零してからヘスティアは眼前の礼拝席に座る2人に目を向ける。

 

 今回の議題は言うまでもなく、昨日の流れのまま連れて帰ってきてしまった…

 

 

「……ムニャムニャ…もう食べられないでござるよ…」

 

 コイツだ。

 

 ルプスレギナに言われるまで、モンスターだと理解できなかった――というか、今でも正直疑ってるが――この存在の処遇について、如何するのか。選択肢によっては【ファミリア】の未来を大きく左右するであろう議題に、ヘスティアは今更ながら緊張感を高めていた。

 

 

「…少なくとも、大っぴらにモンスターだと吹聴しなければみんなは異常にデカいだけのただのハムスターだと思うだろうけど…」

 

 ヘスティアの言葉に、向かって右側の礼拝席に座っているメイド服の美女…ルプスレギナは甘いといわんばかりにかぶりを振った。

 

「それはちと楽観的過ぎるっすよ。仮にデカいだけのハムスターだと誇張しても、いつか絶対その嘘はバレるっす。そうなった時、モンスターだと知ってて隠してたということもバレたら…」

「…大変なことになるね…」

 

 まぁ、それに関してはヘスティアも分かっていたので残念がったりはせずに素直に同調する。

 

「…あ、あの~…」

 

 真剣なお面持ちで顔を突き合わせるヘスティアとルプスレギナに、残るもう1人の参加者――ベルがおずおずと手を挙げた。

 

「…純粋に、使役したモンスターとして置いておくことはできないんでしょうか…?」

 

「「……」」

 

 控えめに告げられた言葉に、2人は小さく溜息を零す。決してベルに呆れたとかではなくて、やはりそれしかないか…と思ったからである。

 因みに、もう自然に返すなどの選択肢はない。昨日それとなくそんな呟きを零したところ、ハムスケに「某を見捨てないでほしいでござる」と泣いて縋り付かれたからだ。

 

 ハムスケ自身に悪意はなかったとはいえ、メイド服に鼻水をつけられた時のルプスレギナの表情は…思い出しそうになった光景を、ヘスティアは慌ててかき消した。

 

「ま、まぁそうするのが一番だろうね。…だとすると、だ」

「行くべき場所は2つっすかね…」

 

 『ギルド』の本部と【ガネーシャ・ファミリア】――前者は言うまでもなく、使役したモンスターの登録や許可を得るために。そして後者は、恐らくハムスケがもともと【ガネーシャ・ファミリア】が捕まえたモンスターだろうからだ。

 逃がしたのは向こうの失態とはいえ、ハムスケなんて恐らくはこの世に2匹といない貴重な存在のはず。最悪の場合も十分に考えられるが…それでも、行くべきだろう。

 

 まぁ、順番としてはやはり【ガネーシャ・ファミリア】に行くのが先か。先に『ギルド』で登録を済ませてからというのも一つの手なんだろうが、そんな真似をすれば間違いなく両ファミリアの間に溝が生まれてしまうだろうし。

 

 

「…ヘスちゃんには申し訳ねっすけど、一緒についてきてもらってもいいっすかね?」

「あぁ、勿論さ。『ギルド』はともかくとして、ガネーシャのところにはボクも行くべきだろうしね」

 

 少なくとも、今日はヘスティアもルプスレギナも互いに“仕事”は休みだ。では、と2人の視線はベルに向いて。

 

「ベルっちはどうするっすか?」

「あ、ぼ、僕は、その…お2人がよければ、ダンジョンに潜りたいなぁ、なんて…」

「むむむ…」

 

 先ほどからどこかそわそわした様子のベルは、自身の膝の上に丁寧に置いてある漆黒の短刀とヘスティア達とを交互に見た後、口を開く。

 昨日の今日でもう単独行動をさせるのは、さすがに危険すぎやしないかとは思うが、彼の気持ちも分からんでもない。

 シルバーバックに追い詰められた時、彼を勝利へと導いたのがヘスティアより授けられた『ヘスティア・ナイフ』なのだ。

 

 そのナイフの凄まじさを体感していた少年は、改めてダンジョンにてそれを再認識したいのだろう。純粋に、ヘスティアからのプレゼントである新装備に興奮して、というのもあるのだろうが。

 

 嬉しい半面、とても心配…葛藤するヘスティアは、やがてまっすぐにベルを見つめて。

 

「…くれぐれも、無理はしないでおくれよ?」

「はいっ! もちろんですっ!」

 

 ルプスレギナの魔法で傷や疲労は回復しているとはいえ、油断や無理は禁物。ベルもそれを理解しているように大きな返事と共に頷いて。

 

「…なら、行っておいで」

「っ! はい、行ってきま…」

「はいストップー!!」

「ぐえっ!?」

 

 ふっと柔らかな笑みで許可を得、立ち上がったベル――しかし、数歩も進む前にルプスレギナに首裏の襟元を掴まれてしまう。

 

「ル、ルプー君!?」

「ゲホッ、ゴホッ…ど、どうじだんですか…」

「いやーいやいや、申し訳ないっすね。行く前に渡しておきたい物があって」

 

「「…?」」

 

 慌てて立ち上がるヘスティアと座り込み咳き込むベル。ちょいとやりすぎたかと思いつつも軽い謝罪のみで流したルプスレギナは、やがてポーチから一つの腕輪を取り出す。

 

「…これは…?」

「まぁまぁ、取り敢えず付けてみるっすよ」

 

 サイズ的にベル用と思わしき黒塗りの腕輪を手渡され、しげしげとそれを眺めるベルに装着するよう促すと、ベルは素直に腕輪を着けた。

 

「…はい、これで大丈夫ですか?」

「んー、おっけっす。 えーと…んー、ん゛んっ、あー…」

 

 

    《伝言(メッセージ)

 

《あー、あー、ベルっちー、聞こえてるっすかー?》

「…えっ。…えっ!? な、なんで今、ルプーさんの声が…!」

「……あぁ、成程。そういうことか」

 

 わざとらしく何度か咳き込み、口を閉じたルプスレギナ。しかし次の瞬間、ベルの頭の中に直接響くかの如くルプスレギナの声が届き、一瞬呆けたベルは飛び上がるようにして立ち上がる。そして、それを見ていたヘスティアは合点がいったとでもいうように口元を緩ませ、頷いた。

 

 …その口ぶり、くれぐれも深読みなんかはしてないですよね?

 

《うっしっし、実験は成功みたいっすね》

「あ、また…ルプーさん、これはいったい…」

《その腕輪の効果っすよ。便利なもんっすよね》

 

 口元に手を添えて笑うような素振りを見せるも、当然ながらルプスレギナの口は開いていない。

 

「え、えぇっ!? こ、この腕輪にそんなチカラが…じゃ、じゃあコレ、物凄い高かったんじゃ…!?」

《えっ、いやぁこんなんその辺の露店で…あー、ゲフンゲフン…そうっすね、まぁそこそこ良い物なんで、あんま見せびらかしちゃダメっすよ。それより…ほれ、ベルっちもやってみるっすよ。私に伝えたい言葉を、頭で考えてみるっす》

「えっ? …えぇっと…」

 

《……こ、こんな感じですか…?》

《おぉっ》

 

 ぱっと見ただの黒塗りの腕輪にそんな効果があるなんて思ってもみなかったと、ベルは素直に驚いていた。それを見て若干良心が咎めるが、ここはグッと我慢だ。

 

 何度も頭で考えたことが口から出そうになるのを我慢しながらもやがてベルの声が頭に響けばルプスレギナもまた少しばかり驚いたような反応を見せつつ、嬉しそうにはにかんで。

 

「流石っすね。まぁ最初は違和感あるかもしんねっすけど、そのうち慣れるっすよ。あと注意事項なんすけど…ベルっちのその腕輪は着信専用っす。私から繋げない限り会話はできないんで、気を付けるっすよ。あと、当然ながら有効範囲にも限りがあるっす。ある程度離れたら使えないんで、それも注意っす」

「は、はい。わかりました」

 

「…むむぅ…疎外感…」

 

 さらに言うなら、この腕輪…というか、《伝言》を使用するのは主にダンジョンに潜っているときになるだろうから、ダンジョンというイレギュラーの塊でどこまでが有効範囲になるのかもしっかり調べておかねばならないだろう。

 

 そんな風に色々と注意事項を述べていると、今度はヘスティアのほうが蚊帳の外になってしまい、どことなく不満げに頬を膨らませている。ベルと共にそれに気付けば互いに苦笑し合い、自分たちよりもずっと年上の筈なのに見た目相応の幼さを見せる女神も交えて暫し話し合いを続けて。

 

 

「――それでは、行ってきます!」

「ういうい、くれぐれも気を付けて行ってくるっすよ」

「あんまり無理しちゃだめだからねっ!」

 

 ヘスティア・ナイフと黒い腕輪。2つの贈り物ですっかり上機嫌なベルは、一足先に教会を後にする。見えなくなるまでこちらに手を振りながらも離れていくベルを見送り、やがてヘスティアとルプスレギナは互いに向き合って。

 

「…腕輪の効果とは、なかなか考えたじゃないか」

「フッフーン、良くも悪くも純粋なベルっちにだからこそ通用する事っすよ」

 

 ニヤリと笑ったヘスティアに胸を張るルプスレギナ。この幼い女神は気付いているのである。

 

 

 今渡した腕輪が、ただの装飾品であることを。

 

 

 言うまでもなく、ベルに対して使ったのは()()()()()()()()()()()使()()()伝言(メッセージ)》の魔法である。

 

 この世界においては、一部例外を除くと下界の住人たるヒト1人が扱える魔法は最大でも3つまでというのが常識だ。

 例外に当たるレフィーヤだってこの世界では規格外の存在だ。しかし、彼女は【ロキ・ファミリア】に所属し、ロキと愉快な仲間たちによる庇護があるからこそ他所のファミリアからの勧誘などは無い。

 対して、ルプスレギナが所属する【ヘスティア・ファミリア】は…言うまでもないだろう。

 

 とにかくそんなわけなので、ファミリアが十分な力を得るか、ルプスレギナ個人に十分な後ろ盾が出来るなどの事でもない限りは極力表立って使用する魔法は慎重に選ぶべきだと判断した。

 

 で、《伝達》の魔法であるが…同系統の魔法および無線などの機器がこの世界に存在しないのであればかなり強力な魔法となるだろう。遠く離れた相手にリアルタイムで伝言ができるのだから当然だ。

 

 しかし、メインで使う3つに据えるのかと考えると…うん、正直微妙なんだなぁ。

 

 というわけで、考えたのがあの腕輪である。パッと見…てか、見た目だけでなく実際に普通の腕輪だから奪われたりすることはないだろうし、武器破壊攻撃などに強くなる《固定化》の魔法も掛けてあるので多少の衝撃にも耐えられるだろう。

 まだこの都市についての知識が浅く、何事も信じやすいベルにだったからこそ通用した策。

 

 …大事な仲間を、悪意がないとはいえ騙すことに対するこの良心の痛みは、ヘスティアと分かち合うとしよう。

 

 

「ともあれ、定期的に《伝言》でベルっちの様子を確認しつつ有効範囲の確認っすね」

「そのついでにベル君も《伝言》での会話に慣れるだろうしね」

 

 たとえどれだけ不器用な人間であろうとも、普通は同じことを数回も繰り返せばある程度は慣れるものだ。それなりに器用なベルであれば、そう数日もしないうちに《伝言》での会話にも順応できるはず。

 

 

「…よし、それじゃあボク達も行こうか」

「ういうい、りょーか…」

 

「う~ん…姫ぇ…それがしはますますの忠誠をぉ…」

 

「「……」」

 

 

 野性を知らない知性あるモンスター(ハムスケ)とは、なんとも面倒くさそうだ。

 

 

……

………

…………

 

 

「――というわけ…理解できたかい?」

「うむむ…なるほど、そういうことでござるか!」

「…その台詞、お前が言うとそれはそれで不安っすね」

 

 眠りこけていたハムスケを叩き起こし、事情を説明するのに無駄に手間取ってしまったが、なんとか理解を得ることはできたようだ。

 最後のルプスレギナの呟きは聞こえずスルーされ、なら早速と全員が全員準備を始める。

 

 …まぁ、準備なんて言っても

 

 

「……よし、準備完了!!」

「…ヘスちゃん、ノリノリっすね」

「それがしも準備万端でござるよー!」

 

 デデン! なんて擬音付きでハムスケに乗るヘスティアを見つめ、思わず苦笑い。

 ヘスティアとルプスレギナの関係については既にハムスケにも説明してあるので、ハムスケの中でヘスティアは『主人の主人』となっている。

 

 そうなると問題になるのはヘスティアの呼び名なのだが…当初、渋るハムスケを説得してヘスティアを『姫』、自分のことを普通に呼ばせようと画策していたものの、見事にヘスティアに阻止された。

 で、色々と話し合った末、結局自分は『姫』のまま、ヘスティアも普通に『ヘスティア殿』と呼ばれるようになっている。畜生。

 

 

 閑話休題。

 

 最初はヘスティアに手招きされ、またハムスケに期待に満ちた瞳を向けられたものの、ルプスレギナは笑顔でそれをスルー。渋々と進みだしたヘスティアonハムスケの3歩後ろを歩くのであった。

 

 

……

………

…………

 

 

「……あの、ヘスちゃん?」

「ん~?なんだい?」

「私たちって確か、【ガネーシャ・ファミリア】に向かってたんっすよね?」

「…うん。それで、いま着いたわけだけど…」

「……これが?」

「……これが」

 

 

  ――【ガネーシャ・ファミリア】本拠(ホーム) 『アイアム・ガネーシャ』前

 

 何かの冗談なんじゃないかと、ルプスレギナは目を擦る。やっぱり変わらぬその建物は、どことなく小さい頃に家族と行った動物園で子供たちが並んでいたアニメキャラクターのエアートランポリンを思い出す…思い出してしまう。

 

 神様たちは皆濃いキャラクターばかりだなぁとは勧誘に会った日やロキと会話した時などに何度も思っていたが、なんというか…まだ見ぬガネーシャ像がどんどんとおかしくなっている。

 

 まだ敷地の外だというのにも関わらず強烈なインパクトをこちらに与えてくれやがったその建物を呆然と眺め、やがてヘスティアの合図で再びハムスケが歩き出すとルプスレギナもまたその後を歩く。そうして【ガネーシャ・ファミリア】の正面に回り、改めてその建物を見上げて…ああ、もうよそう。疲れるだけだから。

 

「…何か感想は?」

 

 ルプスレギナの呆けた顔という珍しいものを見たヘスティアがにやにやと笑いながらも問いかけてくれば、乾いた笑みを一つ

 

「…あれ、窓とか見当たらないっすけど、換気とか大丈夫なんっすかね」

「そこかよ」

 

 

 気の抜けるようなやり取りの後、建物の股間(入り口)へと向かう2人と1匹であったがその歩みはまたも途中で止まることになる。入り口に続く階段前に立つ門番係の冒険者2人組に止められたからである。

 

 

「お早う御座います、神ヘスティア。本日はどのようなご用件でしょうか?」

 

 顔の上半分を像の仮面で隠している2人組の片割れが代表として声を掛ける。ヘスティアは多く存在する神の中で自分のことを知っていた目の前の冒険者に驚いたようだが、彼女は覚えていない…ついこの前の『神の宴』での悪目立ちぶりを。

 

 一応の礼儀としてハムスケから降りたヘスティアであったが、冒険者たちは油断なくハムスケを視界に捉えている。こういう時、目元も隠れるタイプの仮面は便利で助かる。

 

「うん、実はガネーシャに用があるんだ…この子のことでね」

「…かしこまりました、少々お待ちくださいませ」

 

 ハムスケの姿が見えていた時点で用件は殆ど分かりきっていたのだろう。昨日の騒動の後始末もまだ終わっておらず、本来ならばアポなしで主神(ガネーシャ)と会おうなど無理のある話ではあるが、今回は話が別だ。門番係は互いに頷き合うと、その片割れが建物の中へと入っていく。

 それをヘスティアとルプスレギナは黙って見送り、そして数分後――

 

 

「お待たせしました。どうぞお連れ様もご一緒にお進みください」

「武器は中でお預かりいたしますので、そちらはご了承ください」

 

「うん、それでいいよ。ね?」

「はい、モチのロンで御座います」

 

 ルプスレギナは完全にいつものスタイルでいるため、当然背中には巨大な聖杖を背負っている。それを預けることになるのは事前に予測出来ていたため、素直に頷き了承する。

 …因みにルプスレギナ。【ガネーシャ・ファミリア】の敷地内に一歩踏み入れたその瞬間、意識を従者の其れに変えている。その割には言葉遣いが若干おかしいが、気にしてはいけない。

 

 それにしても、てっきりハムスケは表で待機となるのかとも思っていたのだが…まぁ、ここに来たのはほかでもないハムスケに関する話なのだし、一緒にいたほうが都合がいいのか。

 

 建物の中へと揃って入れば、一斉に向けられる視線。ここに至るまでも、道をただ歩くだけで注目は浴びていた。ヘスティア(女神)が乗っていたために騒ぎになることなかったが、向けられる視線のほとんどは驚愕と好奇心…案の定というかなんというか、子供と女性の視線は特に多かった気がする。

 

 そして此処では…殆どがルプスレギナとハムスケの両方を注意深く見据えているようだ。まぁ、【ガネーシャ・ファミリア】のメンバーはハムスケがダンジョンで生まれたモンスターであることを知っているのだから、ハムスケに警戒するのはわかるが…

 

《……なーんで私まで警戒されてるんっすかね…》

《さ、さぁ?》

 

 ヘスティアに《伝言》を使って疑問を飛ばすも、ヘスティアも同じような疑問を抱いていたので望む答えは得られない。

 

 …因みに原因を明かしておくと、【ガネーシャ・ファミリア】の団員たちはほぼ全員が『豊饒の女主人』での『ベート・ローガぶん殴り事件』を知っている為、只者じゃないとバレているからだ。

 まぁとにかく、エントランスホールで2人と1匹は一旦立ち止まる。すると一番近くにいた冒険者が「武器をお預かりします」と歩み寄ってきた。

 

「はい。…あぁ、そうそう…この杖は命よりも大事な物なので……くれぐれも、乱暴に扱わないように、ね?」

「っ…も、もちろんです」

 

 別に威圧するつもりなかったが、杖に対する愛着…否、執着心ゆえに杖を預かろうとした冒険者に顔を近づけ浮かべた笑みはどことなく怖くなってしまったやも知れない。その杖の大きさから万が一のことを考えたか、他の冒険者も2人ほど早足で近づいてくると、ルプスレギナの杖は3人がかりで運ばれ、丁重にお預かりされていくのであった。

 

「…コ、コホン…では、最上階のガネーシャ様の執務室へ…」

「その必要はなーい!!」

 

「「「「!!?」」」」

 

 案内係の男性が咳払いと共に歩き出そうとしたその時、エントランスホール全体にどことなく暑苦しさを感じる男性の声が響き渡る。ヘスティア、ルプスレギナ、ハムスケは当然として【ガネーシャ・ファミリア】の団員達も皆驚いたように声の聞こえてきた方角へと視線が集まり、そして

 

「とう!!」

 

 上階へと続く階段から飛び降りてきたのは、他の団員達の其れと似たような、しかしほんの少し質の良い象の仮面をした浅黒い肌と引き締まった筋肉が男らしい青年であった。本拠というだけあって普段着になっている者が多い【ガネーシャ・ファミリア】の団員たちと比べてみても特徴的な衣服と周囲の視線から、恐らくはこの青年が彼らの主神、ガネーシャなのだろうと判断できる。

 

「おぉ、スーパーヒーロー着地。あれ絶対膝に悪いっすよね」

「…君は何を言ってるんだい…」

 

 象の仮面から始まる見た目のインパクトに関しては、ここに来るまでに色々なモノを見たおかげ(?)で冷静に対処できる。代わりにとガネーシャの着地の仕方を指摘すれば、隣に立つヘスティアからジト目でツッコミを入れられてしまった。

 

 因みにハムスケであるが、話し合いが始まる前に言葉を発してまた不用意に警戒を高めるのは面倒だとして、事前に合図をするまでは口を噤んでいるようにと言い聞かせている。故に今はルプスレギナの背中に隠れるようにして、鼻をヒクつかせていた。

 

 

「よく来てくれたなヘスティアと眷属の少女よ!! 何を隠そう、この、私がッッ……んんガネーシャ!! である!!」

 

「「あ、はい」」

 

 わざわざアクション付きで自己紹介してくれたガネーシャにそろって頷き、ルプスレギナはちらりと周囲を見てみる。ガネーシャの眷属である団員たちは普通に拍手している…なるほど、つまりはいつも通りというわけか。

 

 

「え、えぇとガネーシャ…まずは『神の宴』以来だね。その節は満足に挨拶もできなくてすまなかったよ」

「うむ、気にすることはないぞヘスティアよ。こちらこそ…色々と、迷惑を掛けたようだしな」

 

 軽い挨拶の中、仮面の下にあるガネーシャの目がハムスケの姿を射抜き、ハムスケはびくりと肩を跳ね上げて丸くなる。当然、体格の差から全然隠れきれていないが。

 

「うん、まぁ、見ればわかると思うけど…今日はこの子のことで話があってね」

「あい分かった。今更上階に上がるのもなんだ、この奥にあるミーティングルームを使うとしよう」

 

 頷き、やがて歩き出したガネーシャの後を追う形でヘスティア達もまた歩き出す。個性的な造形の建物の割に内部の構造は多少まともなようで、恐らくは長期遠征の作戦会議や、ギルド等との打ち合わせに使うと思わしきミーティングルームへと通される。

 

 

 ヘスティア側は言うまでもなくヘスティアとルプスレギナの2人なのに対し、ガネーシャ側はガネーシャと、記録を書き記したりガネーシャの補佐をする男女の団員の3人。

 

「では、話だが…」

「っとと、その前に一ついいっすかね?」

「うむ、なんだ?」

 

 早速本題に取り掛かろうとするガネーシャに、ルプスレギナは軽く片手を持ち上げる。その際の言葉遣いであるが、事前にガネーシャから「楽にしてくれて構わない」と許しを得ているため、それに素直に甘えていた。

 

 ルプスレギナは、ガネーシャの許しを得たところで小首を傾げ

 

「そちらのお2人さんっすけど、団長さん…とかじゃなさそうっすけど…」

「あぁ、うむ。その通りだ。我が【ガネーシャ・ファミリア】の団長たるシャクティを始めとする主だったメンバーは今、昨日の一件での後処理に奔走していてな。俺自身も書類仕事を終え次第そちらに合流する予定だったのだ」

 

 投げかけたのは、ガネーシャの補佐としてついている団員たちのこと。正確な強さはわからないが、少なくとも彼らはこの【ガネーシャ・ファミリア】の主力とは思えなかった。故に投げかけた質問に対し、ガネーシャは頷きながらも団長不在の理由を述べる。

 

 すると、今度はヘスティアの方が目を丸くして

 

「え、ちょっと、それっていいのかい? いくらなんでも、そっちの中心メンバー抜きで話を進めるのは不味いんじゃ…」

「いや、構わん。まぁ事後報告にはなってしまうが、あれらも俺の自慢の眷属(子供)たちなのだ、分かってくれる」

 

 事態が事態とはいえ、アポなしで急に訪れたのは此方なのだ。最悪ガネーシャが留守であったり忙しかったりといった理由で門前払いされそうになった時は伝言だけ頼んでまた後日にしようとも考えていたので、無理に今日話し合いを進める必要はないと気を遣う。

 しかし、ガネーシャはその必要は無いとかぶりを振った。次いで告げられた言葉を聞き、ヘスティアは僅かに瞠目した後ふっと小さく微笑む。眷属()を想う気持ちは彼女も同じだから、ガネーシャの言葉に納得したのだろう。

 

「…ん、そっか。なら遠慮なく話を進めさせてもらうよ」

 

 そうして始まった話し合いであるが、最初のうちに特に特筆すべきことは語っていない。先日の『怪物祭(モンスターフィリア)』に参加したこと、そしてその際の騒動の事と、それに巻き込まれたこと。

 話の節々でガネーシャから謝罪の言葉などはあったが、ヘスティアは別段ガネーシャに対して怒りの感情などは持ち合わせていない…まぁ、確かに命の危機ではあったが、結果として全員無事だし…お姫様抱っこ…とか、してもらえたし…。

 

 

「…あー、それで、話の続きなんっすけど。ヘスちゃ…ヘスティア様達がシルバーバックと戦っていた間、私はヘスティア様達を探して居たんっす。で、そこで出会ったのが…」

「…“其れ”というわけか」

 

 両手を頬に添えて「えへへ…」なんてトリップしているヘスティアの後を継ぐ形で、ルプスレギナが口を開く。どのみち、ここからは当事者である自分が説明したほうがいいだろう。アイズ達との戦闘に関しては、今回は関係ないので飛ばした。さすがに「味方に魔石灯ブン投げられて墜落した先で邂逅した」なんて恥ずかしいし。

 

 ガネーシャの一言で、ガネーシャ側全員の視線がハムスケに向けられる。相変わらずルプスレギナの後ろに大人しく控えていたハムスケは、再び小さく震えてルプスレギナを見上げた。

 

「…その通りっす。ガネーシャ様…いえ、皆様なら、この子…ハムスケの正体はご存知だと思うっすが…」

「うむ、やはりそうなのだな?」

「えぇ、そうっす」

 

 

「「「「「ジャンガリアン・ハムスター」」」」」

 

 その場にいる5人全員の声がハモった瞬間であった。

 

 

「俄かには信じられん…普通のハムスターでないのも、間違いないのだろう?」

「はいっす。その辺のデータはそちらにもあるとは思うっすけど…この子は、間違いなくモンスターっす。しかも、その辺のモンスターよりはずっと強い」

「うむ、少なくともレベル3の冒険者相当の強さを有していることは確認している。しかも、生まれたばかりのところを奇襲したという形でそれだけの実力だったことから、本来はもっと上なのやもしれん…そのあたりはどうなのだ?」

「仰るとおり、この子の強さは下手をするとレベル4の冒険者にも届くかもしれないっすね。純粋な力だけじゃなく、魔法が使えるというのも重要っす」

 

 瞬間、仮面越しにもガネーシャとその眷属達の表情が険しくなる。とはいえ、ガネーシャたちもハムスケが魔法――もしくはそれに近い能力――を使うことは知っていた。ただ、ハムスケと1対1で戦い、その強さを自分たち以上に理解しているであろうルプスレギナの言葉に、改めてハムスケの価値、危険性を感じ取ったのである。

 

 それに…

 

「それだけじゃあないっすよ。この子の凄いところは」

「…ほう? いったい何があるというのだ?」

「……ハムスケ」

 

 暫しの沈黙の後、名前を呼ばれたハムスケはおずおずとルプスレギナの後ろから進み出ると、事前に打ち合わせていたようにガネーシャたちにぺこりと頭を下げる。

 ここまでは、まぁ…確かに驚きはするが、わざわざ話題に上げるほどではない。故にまだ続きがあるのだろうと、ガネーシャは腕を組んだままハムスケを見つめ、そして…

 

 

 

 

「…お、お初にお目に掛かるでござるよ、ガネーシャど…ぴぃっ!?」

「「「!!!??」」」

 

 

 実際には初めてではないが、立場が変わった以上そうすべきだろうとして、ハムスケの口から放たれた確かな()()に、ガネーシャを含む3人が目を剝いたのが伝わった。その驚愕と、そしてガネーシャの眷属である2人が咄嗟に武器に手を掛けそうになったのを見て竦み上がったハムスケは、なんとも間の抜けた悲鳴を上げるが

 

「よせ、2人とも」

「はっ、いえ…し、しかし…」

「よいのだ」

 

 自身の眷属達を制し、改めて椅子に掛けなおしたのを確認すると満足そうに頷いてから、ガネーシャは再びハムスケ、そしてルプスレギナへと視線を戻す。

 

「…と、まぁ、こんな風に、ハムスケは色々と普通のモンスターとは逸脱した存在っす」

「…うむ」

 

 重々しく頷くガネーシャであるが、彼はハムスケのような存在のことを知っている。

 自身と、そしてとある2柱の神――更にはもう1人いるが――のみが知る、その存在

 

「(『異端児(ゼノス)』か…いや、元の種族も分からぬ以上、()()()とも違うやもしれん…ヘスティアの様子を見る限り、ウラノスからの接触もないようだしな…)」

 

 それに、言葉を発すという点以外で、ハムスケには()()()()()が微塵も感じられない。それこそ姿かたちだって、完全にモンスター…というか、ただバカでかいハムスターなのだ。

 

 何より重要なのは、今のところ『ギルド』の主神であり、『オラリオの創設神』とも呼ばれるかの男神がなんの動きも見せていないことだ。

 まだ様子見をしているだけだという可能性もあるが、ならば少なからず自分には何らかの接触があってもおかしくはない。それすらもないということは、ウラノスはこの眼前のモンスターを『架け橋たる存在』とは見ていないということか。

 

 …まぁ、分かる気もする。なんせ、そう…如何せん、()()()()()のだ。

 

 いくら見た目がハムスターといえど、これほどの大きさともなればその正体を訝しみ、警戒するのは当然のこと。現にダンジョンや地上にだって、普通の動物に似た姿のモンスターは沢山存在している。

 

 にも拘らず、目の前の()()は…見ているだけで毒気が抜かれていくというか、警戒するのが馬鹿馬鹿しくなってくるというか…『警戒心<可愛い』という構図が勝手に出来上がってしまうのだ。

 その実際の強さを知っている自分や自分の眷属でもこうなのだから、何も知らぬ人々からすれば警戒など抱くまでもなく、その可愛らしさに()()されてしまうのではないだろうか。

 

「(…それはそれで、危険な気もするが…)…そやつについてはよく分かった。…それで、本題は?」

 

 しばらくの間ハムスケを見つめたまま思考に耽っていたガネーシャは、やがてゆるりとかぶりを振ってそれらを一旦止め、ルプスレギナに視線を戻す。

 それを受け、ルプスレギナは小さく頷く。隣に座るヘスティアは、小さく喉を鳴らした。

 

「…この子の所有権を、僕たちに譲ってほしいんだ」

「「ッ!?」」

「…」

 

 半分以上予測できていたとはいえ、いざ口に出されてやはり動揺を見せる眷属達と、口を噤んだガネーシャ。

 

 その実力、可愛らしい見た目、人の言葉を解すという特異性は、言うまでもなく非常に希少である。ダンジョンで見つけ、捕獲した以上ハムスケの所有権は【ガネーシャ・ファミリア】側にあり、【ヘスティア・ファミリア】側の要求を拒むのは容易いだろう。

 しかし…先ほどからハムスケの様子を見ていたガネーシャは、ゆっくりと口を開き、ルプスレギナに問う

 

「…そやつは、お前が調教(テイム)させたのか?」

「うん? …あー、まぁ…確かに、結果的にはそうなるっすかね」

 

 それこそどこぞのキャットピープルの言葉を借りるなら、『ぶっ倒したハムスケがむくりと起き上がり、仲間(ニャかま)になりたそうな眼差しを送ってきた』結果であって、意図して手懐けたわけじゃない。

 

 故に煮え切らない答えになってしまったものの、まぁ重要なのは結果だ。

 

「ふむ…ちなみに聞くが、お前個人としては、そやつのことをどうしたいのだ?」

「勿論、許しさえいただけるのであれば仲間として受け入れたいところっすね」

「うぅむ…」

 

 何度も言うように彼女たちがここに来た理由は殆ど予測できていたとはいえ、やはりいざとなるとなかなかどうして決心はつかない。

 だからこそヘスティアもルプスレギナも答えを急がず後日改めて、という形でも構わなかったのだが。

 

「…では、最後に問おう。ハムスケ、だったな」

「!! は、はいでござる!」

 

 続いてガネーシャの視線が向いたのはハムスケのもと。緊張で完全に丸まっていた背中を出来るだけ伸ばすその姿をじっと見つめ、問いかける

 

「…お前自身はどうなのだ。お前自身の意思を、聞かせてほしい」

 

「某の、意思…それは、もう決まり切っているでござる! 某は姫に命を助けてもらったという恩義があるでござる! そしてその恩は、絶対の忠誠でお返しする所存でござるよ!!」

 

 キリッと引き締めでもまだまだ可愛らしい顔つきで、ハムスケはまっすぐガネーシャを見つめながらもそう返す。

 両者の間に沈黙が訪れ、ハムスケは冷や汗を浮かべながらも緊張した面持ちでガネーシャを見つめる。心なしか、ヘスティアとルプスレギナもだ。

 

 そして…

 

「――…ふ、はっはっはっは!! うむ、良い瞳だ! ガネーシャ満足! よかろう、お前は今日から【ヘスティア・ファミリア】所属だ!!」

「「えっ!?」」

「「えぇっ!!?」」

 

 静寂を突き破るかの如く笑い出したガネーシャに全員が呆気にとられ、次いでの発言に今度は驚愕の声を上げる。因みに最初の2人がヘスティア達で、後半の2人がガネーシャの眷属達だ。

 

「ちょ、ちょちょっ、ちょっと待って!! 許可を取りに来た僕らが言うのもなんだけど、そ、そんなアッサリ決めちゃっていいのかい!?」

 

 この場にいる全員を代表するヘスティアの言に、ガネーシャはやはり豪快に笑って

 

「良いのだ、ヘスティアよ。無論いくつか条件などは出させてもらうが、俺はそやつの覚悟をしかと受け取った。こやつは己の言葉を違えるような存在ではないと、魂が感じ取ったのだ! ならば、俺は『群衆の主』として、こやつのことを信じ、愛そうではないか!」

 

 勢いをつけて立ち上がり、大仰に両腕を広げる姿はどこか様になっていて、やはり彼も1柱の神なのだなぁと強く感じさせる。冷静に受け取れば、ただ勢いに任せて許可を下ろしてしまった考えなし、と映るのだろうけど。

 

 

「…それに、俺からの許可を得られたからといって、まだ安心は出来んぞ、ヘスティアよ」

「…それは、分かってるさ」

 

 そう、仮にガネーシャからの許可を得られたからといっても、まだ全ての問題が片付いたわけではない。むしろ、本番はこれからだといえるだろう。

 

 ここまで、逆に不思議なくらい話はスムーズに進んでいる。本来であればハムスケが巨大なハムスターの姿をしている点や、人間の言葉を理解し、且つ喋ることが出来るという点で話が拗れるのは容易に想像できていたのに、だ。

 

 まぁ、それはガネーシャが“そういった存在”を知っているからこそという理由があるのだが…無論、それはガネーシャ以外の誰も知らぬことだ。

 

 

 まぁ、ともあれ…まずは一安心。そして、この後に向かうことになるであろう場所のことを考え、胃が痛くなるのを感じるヘスティアなのであった。

 

 

……

 

 

「――…これでいいだろう。あと、必要な書類や条件などについてはまた、追々話し合うとしよう」

「あぁ、何から何まですまないね」

「私からも、心より厚く御礼申し上げます」

 

 ミーティングルームを後にしたヘスティア達は、再びエントランスホールに戻るとそこでガネーシャに待機を頼まれていた。

 そして、後からやって来たガネーシャにとある封筒を渡される。

 

 その内容は、このオラリオの大手ファミリアの一角を担い、特に腕の立つ調教師(テイマー)が多く所属している【ガネーシャ・ファミリア】の主神からの、ルプスレギナの調教師としての腕前を保証するといった『推薦状』だ。

 

 再びガネーシャの眷属達の目が増えたところでメイドモードをONにしたルプスレギナが綺麗な姿勢で礼をすると、ガネーシャは「よいよい」と上機嫌に笑う。

 

 

「それにしても…ハムスケ、だったか」

「えぇ、ハムスケで御座います」

「ハムスケだね」

 

「うぅむ…メスのそやつにその名はどうなのだ?」

「「えっ」」

「むっ」

 

 ここにきて重大な事実が発覚した。

 

 ハムスケめ…()()()()メスだったか。

 

 

「……まぁ、この子はこの名前が一番っすよ、ねぇハムスケ?」

「…(コクコク」

 

 ハムスケについての情報が浸透するまでは無暗に喋らせないようにとミーティングルームで決めていたので、ルプスレギナの言葉にハムスケは頷く形で応える。

 

「そうか、ならばもはや何も言うまい! 無事に『ギルド』で許可が下りた暁には、お前はこのオラリオにいる数少ない調教師の1人になるのだ! 俺は今からそうなるのが楽しみだぞ! さぁゆけ、若者よ!」

 

「あ、はい」

「…メスだったのか…」

 

 背後に炎を背負い、その場にいる全員より少し高い位置で熱く語るガネーシャ、それに対してなんとも軽い返事をするルプスレギナ、ハムスケがメスだったという事実に軽くショックを受けたままのヘスティア。

 なんとも濃ゆい話し合いは、こうして終わりを迎えるのだった。

 

 




 
 はい、そんなわけでルプーとガネーシャの初対面でした。

 本当はこの話はここで切らずにギルドまで行く予定だったのですが、そうすると2万字超という度を越えた長文になってしまうのと、最初に書いたものを見直すと流石にご都合展開が過ぎると思い書き直そうと思ったので、分割しました。

 …エピローグ的な話を分割とか、どうなんでしょうね←

 あまりにもあっさりとハムスケの所有権の譲渡を認めたことに違和感を覚える方も多いと思うので、ぶっちゃけ今回の話は賛否両論覚悟です。

 …でも、僕はガラスのハートの持ち主です(ぁ


 …はぁ、ほぼ毎日更新していたあの頃が懐かしい。

 

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