禁魂。   作:カイバーマン。

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第七訓 教師、チンピラ達と語り合う

 

スキルアウトの本部として置かれている廃団地の一室ではワイワイと騒ぎ声が聞こえていた。

その中で特に騒いでいるのは黒子に協力してここに潜入捜査としてやってきた……。

 

「ギャハハハハ!! あんときは本当に笑えたわ!! ”一端覧祭”! わさび寿司食わせたり熱湯風呂に突き落したりよ! そんでどんどんエスカレートしてつい高層ビルからのバンジーとか人間大砲とか火の輪くぐりとかやらせちまってさ!」

「ブハハハハハ! アンタ鬼だなホント!」

 

リビングでゲラゲラと笑い声を上げているのは銀髪駄目教師の坂田銀時、そしてここのスキルアウトで駄目リーダーをやらせている浜面仕上だった。

どっから入手来てきたのやら二人の周りにはビールやら酒やらの空き瓶で一杯。更につまみにしたのかその辺に大量のサバ缶が捨てられている。

恐らく数時間前から飲んで食ってすっかり舞い上がってしまっているらしい。

 

「もうなんでもやんだよホント! 大勢の観客の前だからアイツも引けに引けない状況に追い込まれたからもうヤケクソになっちまってんの! アイツ昔からそれに弱いんだよ!」

「うわ立派だわ! リアクション芸人の鑑だわ! アホだけど!」 

「けどその必死さのおかげでドッカンドッカン客にウケちまって! 終わった頃にはなんかまんざらでもない表情浮かべてんだよあの”女王”! なんかムカついたからもっかい熱湯風呂にぶん投げた!」

「女王ぱねぇ! ところで女王ってその芸人のあだ名かなんか?」

 

とある人物の過去の話題で盛り上がってすっかり意気投合している銀時と浜面。

酒のおかげもあってか二人は短い間で随分と仲良くなったようだ。

 

「いや~あんときはマジでウケたからなホント、観客はもう大爆笑でさ、先頭で観ていた”ホストみたいなガキ”がいたんだけど、なんかもう笑い過ぎちまって最終的に白目剥きながら泡吹いちまって、救急車で急いで病院に担ぎ込まれてったわ」

「そこまでウケたのかよ! そりゃ女王もこれはヤバいと思ったんじゃないか」

「ああ、さすがに担ぎ込まれるガキを見ながら青ざめてたな「え?このままやっちゃっていいの?」的な顔でこっち見てきたけど。無視したわ」

「アンタマジぱねぇ!」

 

顔を真っ赤にした状態で寝そべりながら腹を押さえて苦しそうに笑う浜面。

同じく顔を赤くしている銀時は自分のコップにビールを注ぎながら機嫌良さそうに語りだす。

 

「アイツ、”デビュー戦”でおもくっそ滑ってる過去があるからさ。一発デカい花火打ち上げる為だけでも全力で勝負するしかねぇんだよアイツは」

「お笑い芸人って大変なんだな。俺あんまお笑いとか知らないけどその人の事は応援しとくよ」

「んだよ、リーダーに応援されちゃあ今年もアイツとコンビ組まなきゃいけねぇじゃねぇか」

「おお! そん時は連絡くれよ! すぐ行くから!」

 

和気藹々とそんな会話をしているとふと銀時が「あん?」と不機嫌そうな声を上げた。

 

「おいサバ缶もうねぇぞ、あんなにあったのにどこいったんだ。つかなんであんなに冷蔵庫に入ってたんだサバ缶」

「ああ、それはフレンダの奴が……」

「ふー、スッキリしたー」

 

空になったサバ缶を持ち上げて不満をたれる銀時に浜面が説明しようとした時、彼の一応部下である少女、フレンダが濡れる髪をバスタオルで拭きながらリビングに戻って来た。

 

「風呂上りはサバ缶サバ缶~」

「お前……何時間風呂入ってんだよ……もう山崎の奴は待ちくたびれて最寄りの銭湯行っちまったぞ」

「あのね、小汚い恰好がデフォの浜面にはわからないだろうけど、乙女の入浴タイムは一日の中でも特に大切な時間なの。綺麗な体をより美しくする為には細かな美容と方法を繰り返し……ってあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「大声で叫ぶのも美容の為なのか?」

 

得意げに人差し指を立てて無知の浜面に勤勉を垂れようとしたその矢先、フレンダはいきなり金切り声をあげて浜面と銀時に指を突き付ける。

 

「なに勝手に私のサバ缶食ってる訳ぇ!! しかもほとんど食って……って冷蔵庫の中何も入ってないし! アンタ達まさか私がお風呂入ってる隙に全部平らげたの!?」

「何だあれお前のだったのか、しょうがねぇな」

 

サバ缶を大量に冷蔵庫に入れておいたのは彼女だったらしい。

激怒した様子で詰め寄ってくるフレンダに対し

爪楊枝で歯に詰まったサバの欠片を取りながら銀時は真顔でその爪楊枝をフレンダに差し出し

 

「ほらよ」

「いらんわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怒声を上げながらフレンダはその爪楊枝を手で叩き落す

 

「返せ! 元の原型で私のサバ缶を返せ!!」

「何言ってんだ小娘、世の中にはな、サバどころか何日も煮干し1本さえ食えないぐらい貧しい奴もいんだぞ、それに比べれば今日一日お預け食らっただけのお前なんてまだまだ幸せなんだよ」

「知るかぁぁぁぁぁぁ!!」

「その幸せを噛みしめつつ、近くのコンビニで酒とつまみを買ってこい。あ、あとアイスもな」

「お前が買ってこい私のサバぁぁぁぁぁ!!!」

 

自分の大好きなサバ缶を根こそぎ奪ったばかりか挙句の果てにパシリに走らせようとする銀時に、フレンダは額に青筋を浮かべて激昂しながら彼の隣に座っている浜面を睨み付ける。

 

「ていうかアンタも同罪な訳よ! コイツと一緒に食べてたんでしょ!」

「いや~酒のおかげでつい、ってぐぼはぁ!」

 

首を傾げて「てへへ」といった感じに笑って見せ、物凄くムカつくリアクションを取った浜面の横っ面をフレンダはご自慢の綺麗な脚で蹴り抜けた。

浜面は空のサバ缶が山積みにされている所に激しい音を立ててぶっ飛ばされる

 

「す、すみません……調子乗ってましたホント……来世はオケラとして生まれ変わるんで許して……」

「チッ、結局こんなのがリーダーやってちゃ近い内に消滅する訳よ。連中からの脅しもヤバくなってきてるし、全く何が攘夷だ天誅だ何だか……」

「……」

 

白目を剥きながら気絶してしまった浜面を見下ろしながらふと呟いたフレンダの一言に。

さっきまで酔っ払いのおっさんだった状態の銀時がわずかに目を見開いた。

 

「つーかよ、なんでお前等攘夷活動やってんだ? 連中から金でも借りてんの?」

「……そういえば”新入り”のあなたにはまだ教えてなかったか」

 

新入りの部分を強調しながらフレンダは銀時にしかめっ面を向けた。

 

「私達は元々攘夷活動を目的としたスキルアウト団体じゃないの。社会や学校、親から見捨てられたような連中が身を寄り添って生まれた組織ってだけな訳だったの」

「ああ、要するに元々ここは負け犬チンピラ同士で傷舐めあう為に構成された負け犬集団って事か」

 

フレンダの説明に少々酷い言い方をする銀時だが、彼女は特に気にせずに「ま、そんな所な訳」と頷く。

 

「けど私は違うから、私はただ学校でついアクシデント起こして退学になっちゃって、それで居場所を失ったからここにいるだけな訳だから」

「いや同じだろ、おもくそ学校から追い出されてんじゃねぇか、ていうかなにやらかしたんだよ」

「いやぁ放課後の理科室でつい興味本位で爆弾作ってたらそれが爆発しちゃって~。学校は大破、死んだ奴はいなかったけど結局そのおかげで退学の上にすんごい額のお金請求されたから逃げちゃった訳、てへ」

「見捨てていいレベルじゃねぇよお前だけ、斬り捨て御免されるレベルだろそれ」

 

舌を出してコツント自分の頭を叩いて可愛い仕草をするフレンダに仏頂面でツッコミを入れる銀時。そんなバカげたことをしでかしたおかげでここに行きついたのも頷ける。

 

「まあオメーの身の上話はどうでもいいとして。じゃあなんだ、この組織が生まれたばかりの頃は、ただこの街でチンピラらしい悪さをするだけの底辺な組織だったのか」

「そうそう、ATM荒らししたり車や宝石奪ってそれを売りさばいたり、あと調子乗った能力者共をシメて病院に送り込むとか」

「……ふーん」

 

嬉々として物騒な事を語るフレンダに銀時は重い腰を上げた。

 

ここまで彼女が自分に気を許してるなら……

 

そう思い、彼はここに来てから一番気になっていたことを問いかけた。

 

「じゃあなんで天人の大使館に爆破テロなんて真似しやがったんだ?」

「……」

 

極々自然的な流れで聞いたつもりであったが。

銀時の問いかけに対してフレンダの態度が一変した。

さっきまで笑いかけてきた彼女はもうそこにはいなく、冷たくそして感情の無い顔で睨みつけてる少女がそこにいた。

 

「……結局アンタ、私達の組織に入る為にここに来た訳じゃないでしょ?」

「どういう意味だそりゃ?」

「浜面から聞いたけど、アンタ達って攘夷活動する為にここに来たとか」

 

髪を掻き毟ってシラを切る銀時にフレンダは一歩詰め寄る。

 

「攘夷活動なんて馬鹿な真似するなら、私達みたいなチンピラ集団より攘夷浪士の方へ取り入るってのが相場な訳よ」

「ああそっか、その手があったか。いやー賢いなお前」

「ま、アンタ達がどこの警察組織だろうと、スパイに来た攘夷派だろうと、私には関係ないって訳よ。ただ……」

 

そこで言葉を区切ると、いつの間にか銀時との間はほんの1歩分程度まで詰め寄っていたフレンダが氷の様な冷たい声を彼の耳に響かせる。

 

「私の”居場所”を奪う真似なんてしたら殺してあげる」

「……随分とここを気に入ってるご様子で」

 

常人ならその場で震えあがって腰を抜かしそうな彼女の言葉と動作に銀時が僅かに笑ってみせると。

フレンダもフッと笑って急にいつものやわらかい口調と態度になった。

 

「ま、確かに追われてる身の私を拾ってくれた恩がここにはあるし、それに結局この場所の居心地もそう悪くはないって訳よ」

「そうか? 女子供が住むにはちと清潔感足りてねぇだろここ」

「そこはまあ大目に見てやってる訳よ、この寛大な心を持つ私が。それに」

 

胸に手を当て自分で自分を高く評価すると、フレンダは背後で気絶してぶっ倒れている浜面の方へ振り返る。

 

「拾ってくれた恩は返さないと悪いかな~みたいな感じ?」

「もしかしてオメーを拾ったのってそこでバカ面で気絶してる奴?」

「そ、最初ナンパ目的で私に声かけてきてさ、このバカ面」

 

思い出しながらついハハハと笑ってしまうフレンダ。

もはや銀時に対して敵意を放ってくる気配はなさそうだ。演技である可能性もあるが

 

「上手く騙して金奪ってやろうと思ったのに……いざ話し出すとコイツってば結局自分の事ばっかり語りだした訳よ、しかもほとんど愚痴ばっかり。思う様に上手くいかないだの仲間に馬鹿にされるだの、本気になれば自分はもっと凄い事が出来る筈なのにだの」

「最低のナンパだなそりゃ」

「終いには喫茶店で泣き出す始末だし、けど結局コイツのくだらない話を長々と聞いてると、自分のしでかしたことや現状で悩んでる事もアホらしくなってね」

「いやお前のやった事はアホらしくないからね、学校爆破してるからねお前」

「そんでコイツの話聞いてたらつい私まで自分の身の上話始まっちゃって、結局朝まで互いの愚痴り合いよ」

 

銀時の冷静なツッコミも無視してフレンダは話を続ける。

 

「結局それがキッカケで連絡取り合う仲になって、行き場を失って困ってる私をコイツが拾ってここに入れてくれた訳」

「……ダメ男のダメさ加減に惹かれるダメ女のパターンだな」

「うっさい。コイツは特に秀でた特技もないし凡人だし無能力者だし根っからのバカな訳だけど、コイツとの愚痴の言い合いは不思議と悪くなかったし良いところもある」

 

未だ気絶している浜面を、フレンダはしゃがみ込んで優しく見守る様に眺める。

 

「だから護ってあげたい訳なのよ、コイツが気に入ってるこの場所、私達の居場所……」

 

ぽつりとつぶやいた彼女の一言に銀時は目を逸らし、仏頂面で小指で耳をほじり出す。

 

「居場所ねぇ……」

「という事で私達を脅かすような真似でもしたら容赦しないから、そこん所よろしくな訳よ」

「あーそうかい、そいつは大変だ。なにせ爆破テロなんて馬鹿な事やる連中だしな」

「それは結局連中に脅されたから仕方なくやっただけな訳で……」

「仕方なく?」

「……実は私の妹が……」

 

 

フレンダが銀時のペースに流されて話の本意をうっかり言ってしまおうとしたその時……。

 

「ただいま帰りましたー、ってなにこの部屋酒臭ッ! あとサバくせぇッ!」

 

数少ないここに残っているメンバーの一人である山崎退がドアを開けて戻って来たのだ。浜面が外出さえ出来ずに怯えてる状況で呑気に堂々と銭湯に行っていたらしく、手にはその帰りで寄ったのか食料が入ったコンビニのビニール袋がある。

 

「姐さん、少しはサバ缶控えたら?」

「うっさいザキッ! 酒も私のサバ缶も食ったのはコイツと浜面な訳よ!」

 

フレンダはビシッと主犯格である銀時と気絶してぶっ倒れている浜面を指さす。

山崎が倒れている浜面の方へ一瞥した後銀時に向かって「未成年に酒飲ませるとか、アンタ絶対教師とか向いてないですね」と呟いてるとようやく浜面がムクリと半身を起こした。

 

「……ああ山崎、帰って来たのか」

「えーどうも、リーダーも早く風呂に入ったらどうですか?」

「こっちは無神経なお前と違って、攘夷派の連中に命狙われてるんだから外出なんて出来るわけねえだろ」

「だからそれは考え過ぎ……いや確かにそうかもしんない」

「ん?」

 

いつもならここで「考え過ぎですよ」とか言われるのかと思ったのだが、自分の言った言葉を訂正する山崎に浜面は目を細めて違和感を覚える。

すると山崎はシレっとした表情で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下には俺達全員を皆殺しにしかねない攘夷浪士がわんさかいたし」

「……へ?」

「確かにリーダーが鼻歌交じりに下に降りたらその場ですぐ殺されちまうかもしれないですね。あの殺気マジヤバかったし」

「はぁぁぁぁぁぁぁ!? ちょ、ちょっと待って何言ってんの山崎君!?」

 

まるで「俺犬嫌いなのに通学路に犬飼ってる家があるんだよ、嫌だなー」みたいな感じの軽い口調でとんでもない事を言い出す親友に浜面は酔いも醒めて慌てて起き上がった。

 

「し、し、下に連中が! もうすぐそこにいるって言うのか!? 嘘だよな! 嘘だよね山崎君! 嘘だと言ってよ山崎君! 来週のジャンプ代カンパしてやるから嘘にしてください山崎君!」

「アイツ等に見つからずにここまで来るの大変でしたよ、なんせそこら中に帯刀してる野郎共で一杯だし……」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

なんでそんなに冷静にできるのかそんなツッコミさえ出来る余裕なく、浜面は絶叫を上げてその場に両膝から崩れ落ちてしまった。

 

「もう駄目だァァァァァァ!! おしまいだァァァァァァ!! 俺はここで死んで来世は

アメーバとして生まれ変わるんだァァァァァァ!!」

「うっさいアホの浜面! 結局浜面がリーダーならここでシャキッとして部下を先導するのが常識って訳でしょ!!」

 

両手で頭を押さえながら意味不明な事を口走ってパニくっている浜面をフレンダは彼の胸倉を掴み叱咤激励する、だが浜面は首をブンブン横に振って

 

「出来るわけねぇだろぉぉぉぉぉぉ!! だってアホの浜面だもん! アホだもん! 浜面だもん! そんな主人公みたいな事無理に決まってんだろぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「自分で言ってて悲しくならないのアンタ……」

 

絵にも描けないような見事な情けなさっぷりを見せる浜面にフレンダは彼の胸倉を掴んだまま唖然とした表情を浮かべる。情けなさだけなら天下一品だ。

 

しかし浜面がそんな醜態を恥ずかしげもなく披露している一方で

傍に立っていた銀時は顎に手を当て考え込んでいた。

 

「攘夷浪士が下にわんさか……へー」

 

独り言を呟き彼が軽く頷くと同時に

シュンと音を立てて彼の隣に突然何かが現れた。

 

「下に帯刀してる連中がたくさん集まってますの! 数は大体5、60名! ってなにここお酒臭ッ!」

 

現れたのはレベル4のテレポーターである黒子。出てきて早々思いきり不快な表情で鼻をつまむ。

 

「あなた下がとんでもない事なってるのにまさかここで酒飲んでましたの!? っておえサバ臭ッ!」

 

いきなり現れた彼女に銀時は特に驚きもしなかったが浜面の方はパニくるのを一旦止めて仰天した表情を彼女に向ける。

 

「うわ! お前! 一体どうやっていきなり出てきたんだ! まさか能力者!?」

「説明は後ですのリーダー、ところで……」

 

浜面の質問を軽く流して黒子は銀時に歩み寄る。

 

「下は大変な事になっていますわね、どうやらここのスキルアウトと組んでた桂一派の連中かもしれませんわ」

「組んでたっつーより、ここの連中は奴等に脅されて仕方なくやってたんだとよ」

「そうだったんですの。まあやっちまったモンはもう取り返しがつきませんがね、減刑対象には入りますけど」

 

銀時の情報を耳に入れながら黒子は話を続ける。

 

「さて”先生”、この状況あなたはどう見ますの?」

「そうだな、わかった事といったら」

 

皮肉っぽく先生という言葉を使いながらこちらに意地の悪い笑みを見せてくる彼女に銀時は髪を掻き毟りながら不敵に笑った。

 

「コイツ等がただの小さい魚じゃなくて、より大きな魚を釣る為のエサだったって事だけだな」

「全く、無駄足かと思いきや、よもやそれがこんな大漁のチャンスを与えてくれるとは……」

 

黒子にとって浜面程度の小悪党を捕まえる事などもはやどうでもいい。潜入捜査としてここにやって来た事もどうでもいい

それよりももっと上が、さらに上を捕まえる可能性を秘めた存在がノコノコと向こうから現れてくれたのだから

 

「さてと」

 

一つ深呼吸した後、過酷な状況に追われている事など知ったこっちゃない様子で黒子は改めて銀時の方へ振り返った。

 

「網を引く準備はできてますか、”お侍さん”」

「酔い覚めのいちごおでん忘れんなよ”お巡りさん”」

 

 

 

 

第七訓 教師、チンピラ達と語り合う

 

 


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