7日に渡る大規模なイベント大覇星祭。簡単に言えば全校が参加する能力使用ありの運動会なのだが。
そんな大事な大会で常盤台は初日から出ばなを挫かれてしまっていた。
今年入学した期待の新人性、レベル5の超電磁砲こと御坂美琴によって
そしてその彼女はというと……
「は? 行方不明?」
「アンタが目を離してる隙にドロンさ」
最初の種目の綱引きで全滅してしまった常盤台の生徒達を救護テントへ送り終わって中から出てきた銀時の前に、常盤台理事長であるお登勢が渋い顔で現れた。
「よっぽど自分がやらかしちまった事にショック受けちまったみたいでね」
「逃げてどうにかなるもんじゃねぇだろ……やっぱ探さなきゃダメ?」
「それがアンタの仕事だろ、私もアンチスキルやらジャッジメントやらに駆け寄ってみるよ」
競技が終わった後、美琴の行方は誰もわからず何処へ消えてしまったらしい。
お登勢に捜索活動を命じられてもなおめんどくさそうな顔で銀時は渋々と言った感じで重いため息を突く、
「ウチのガキが回復したら探しに行く」
「頼んだよ、私は代わりの参加選手をすぐに集めなおさないといけないんだからね、やれやれ、コレじゃあ今年もまた優勝逃しちまうね……」
疲れた様子を浮かべながらお登勢はブツブツ呟きつつ行ってしまった。
残された銀時はしばし彼女を見送った後、再び背後にある救護テントの中へと入る。
生徒が急に体調を崩した時や怪我を負ってしまった時の為に休む為に設置された施設。
学園都市にいる生徒の数は尋常ではないので当然救護テントはここだけではなくあちらこちらに設置されており。
このテントの中は常盤台の生徒がほとんどのベッドを占領して横たわっていた。
「少し寝てりゃあ回復するって聞いたが……」
幸い美琴の電撃は後遺症が残る程の強い電撃ではなかったので、しばらく」横になって大事を取っていれば時期に痺れが抜けていくらしい。
銀時はベッドで横になって呻き声を上げている生徒達の横を歩いて行きながら、一人の生徒のベッドの上にドサッと腰を下ろした。
「どうするお前? 学園都市一周フルマラソンまでに復活できんの?」
腰を下ろすが振り返らずに背後にいる少女に銀時はけだるそうに話しかける。
しかし少女の方は
シーツを頭までくるまり、サナギの様な体制でうんともすんとも言わない。
「シカトぶっこいてんじゃねぇぞコラ」
返事が返ってこなかったので銀時は遂に彼女の方へ振り返り。
シーツにくるまられた頭の部分にベチンと平手打ち。
少女の体がビクッと震えるが声は出さずに沈黙を続ける。
「なに? もしかして機嫌悪い? 拘束プレイと電撃プレイの合わせ技一本だよ? その辺の店じゃこんなサービス受けられねぇよ?」
「……」
「お前そういうの昔から慣れてんだろさ、こんな事でいちいちいじけんじゃねぇよ」
「……」
「これぐらいでヘコたれてたら一生リアクション芸人になれねぇぞ」
ずっと黙りこくっている少女に銀時が何度か話しかけていると、その内シーツの中からピッと何かの電子音が鳴った。
すると、少女の向かいで寝ていた筈の常盤台の生徒の一人、縦ロールの少女が急にバッと起き上がって銀時に向かってキラキラとした目を向けながら
『私は別にそんなの目指してないわぁ』
「能力使わないでテメーの口で喋れやクソガキ」
いきなり意識があるのか定かではない様子で語りかけてきた縦ロールの少女の異変にすぐに気づいて銀時は、仏頂面でゴンと傍でシーツにくるまってる少女の頭に拳骨を振り下ろした。
「オメーの能力は危険だから遊び半分で使うんじゃねぇっていつも言ってんだろうが。使う時は俺を通してから使え」
『嫌よぉ、今あなたと顔を合わせてお喋りする気分じゃないから。この子に任せちゃうんだぞ☆』
「だぞ☆じゃねぇよ、どんな風に言えば語尾に☆が付くんだよ」
『イタ! も~男の子が女の子をそんな簡単にポカポカ叩いちゃダメ~』
銀時が彼女を叩くと、向かいにいる縦ロールの少女が頭を押さえて痛がってるリアクションをわざとらしく取る。
『女の子には優しくする方がモテるわよぉ?」
「甘やかさないで愛の鞭でシバき倒すのが俺の教師論だ」
『教師、ねぇ……』
銀時はまだシーツから顔さえ出さない少女の方へ目線を向けているが。
返事をするのはやはり向かいのベッドにいる縦ロールセットを施した清純そうな少女だった。
『正直あなたには向いてないのよねぇ、あなたみたいなガサツでぶっきらぼうな天然パーマは私達お嬢様にはあまり好かれないタイプだし』
「天然パーマは関係ねぇだろうが、しょうがねぇだろ。向いてなかろうが引き受けちまったらもう後には引けねぇんだよ」
『……どうして引き受けたのかしらぁ?』
「ああ?」
やや挑発的な口調とニヤニヤとした笑みを作りながら縦ロールの少女が銀時に真横になる程に首を傾げる。
『銀さぁん、心読まなくてもわかるわぁ。あなたやっぱり第三位のあの子の事放っておけないと思ってるでしょ?』
「……オメーになにがわかんだよ、ここ最近まともにツラさえ会わしに来なかったオメーに」
『あの子の傍にいたいから常盤台の先生になった、あの子を護りたい、あの子を護る事で過去の痛みを消し去りたい、昔何もできなかった大切なお友達と同じ顔の……』
「おい」
わざと怒らせようとする様にベラベラと口を開く縦ロールの少女。
銀時はそちらに振り向かずにあくまでシーツにくるまる少女の方へ鋭い視線を向ける。
「それ以上ふざけた事抜かし続けるんなら熱湯の入った釜茹でに頭から突っ込ませるぞ」
『あら図星突かれて怒った? ごめんなさいね、私が言いたいのはつまりぃ』
悪びれる様子の無い謝罪。
縦ロールの少女は操り人形の様に首や関節を曲げたり奇怪な動きをしながら銀時に妖艶な笑みを浮かべる。
『これ以上あの子を使って自分自身を誤魔化さないでほしいのよねぇ』
「……」
『御坂美琴はただ同じ顔をしてるだけの別人。あなたが見てるのはただの愚かな”幻想”』
突き付ける様に微笑みながらそう断言した後、いきなり項垂れた縦ロールの少女がボソッとか細い声で
『……そんな幻想に一番大事な居場所を奪われた私の気持ちがあなたにわかるの……?』
「ん? おい、今コイツに何言わせた? 小さすぎて聞こえなかったぞ」
『どうでもいい事だから気にしないでぇ、音量下げるボタン押しちゃっただけだからぁ』
さっきまで流暢に語りかけてきたのに急にちぐはぐな喋り方になっている縦ロールの少女に銀時が眉をひそめるがシーツにくるまる少女は適当に誤魔化す。
「まあいいけどよ、とにかく俺は別にあのガキに対して特別なモン持ち合わせてねぇよ。ロリコンじゃねぇし」
『あなたの心は本当に能力使わなくても簡単に読めるわねぇ、そんな己にも言い聞かせようとするような嘘付いちゃって』
「いやだからロリコンじゃないんだって、長い付き合いのオメーならわかってくれるだろマジで。今まで俺がお前に変な事しようとした事あるか?」
『そっちじゃないわよ、別にあなたがロリコンでもファミコンでも私は構わないし』
なんかどうでもいいことにムキになって来た銀時に縦ロールの少女がため息を突いた。
『いつもあなたはそう、わざわざあなたの為に手を回してあげてる自分がバカらしくなってくるわぁ……』
「あん? まさかお前俺が知らない所で変な事してんじゃ……」
声が小さかったが今度は銀時ははっきりと耳に入れた。
何か良からぬことをしてるのではないかと彼は遂にシーツをめくって彼女本人の口から聞こうと手を伸ばしたその時……
「すみません、ここに常盤台の坂田先生って方はいませんか?」
「ん?」
少女がくるまるシーツを無理矢理ひっぺがえそうとした手がピタリと止まって銀時は顔を上げた。
突然見慣れない少女が救護テントから入って来て自分の事を探してるみたいだった。
滑らかに流れる様な長い黒髪を垂らした凛々しい顔つきをしたいかにも超が付く程真面目そうな少女、美琴よりも年上だろうというのがすぐにわかる程の中々良いスタイルである。
「あなたが坂田先生ですか?」
「そうだけど」
「証明書とか持ってます?」
「いらねぇだろ別に、俺が坂田先生だよ、常盤台の坂田先生」
「免許証とかでもいいんで早く出してください」
「いやどんだけ疑り深いんだよ! 本人がそうだって言ってんだからさっさと要件言えよ!」
「身分を証明しないのであればあなたを救護テントで横になってる女生徒を襲おうとしてる不審者としてジャッジメントに通報しますけどいいんですか?」
「はぁ!? んな根拠のないデタラメを吐くんじゃ……!」
腕を組んで冷めた口調でこちらを睨みつけたまま話しかけてくる少女。まるで本当に不審者でも見てる様な目つきだ。
銀時はイライラしながら一言文句を言ってやろうとベッドから身を乗り上げようとするがふと自分の置かれた状況に気づく。
怯えてるかのようにシーツにくるまってる少女のベッドに体を乗せて。
おまけにその少女の唯一の盾となるシーツを男の力で無理矢理引き剥がそうとしている。
傍から見ればどう見ても未発達の少女に欲情した変態さんにか見えないような……
「違うからね! これは違うからね! コイツはただのウチのガキだから! 大丈夫かなー?って教師として心配してただけなんです俺! 常盤台のちゃんとした教師の坂田先生なんです俺! はい免許証! まごう事無き本人です!」
「結構、出すんならもっと前にさっさと出して下さい、こっちも忙しいんですから」
やっと己の身に置かれている状況を察して銀時は慌てふためきながら急いで白衣のポケットから財布を取り出して、中に入っていた自分の免許証を少女の前に突き付ける。
少女はジッとそれを見つめた後、キビキビとした態度をしながらもわかったかように頷いてくれた。
「大覇星祭の実行委員をやってる”吹寄制理≪ふきよせせいり≫”です。坂田先生にお話ししたい事があってここに来ました」
「いや自分の名前を名乗る時にそんな恥ずかしい報告まで付けたされても困るんだけど……男だよ俺? そりゃ女にとっては苦痛だってのは前にちょっと関係持ってた女に聞いた事あるけどさ……まあアレだ、お大事に」
「明らかに誤解してますけど吹寄制理で私の名前ですから、今度そんな変な誤解したら年上だろうが先生だろうが蹴り入れますよ」
年頃の少女に対してとんでもない誤解をする銀時に対して、吹寄と名乗る少女はカチンと頭に気て少々ムッとした表情になった。名前が名前なのでこういう間違いを受けるのは慣れているのかもしれない。
「とにかく……坂田先生、常盤台から捜索手配が出ている一年生の御坂美琴さんが見つかりました」
「え、マジで? もう見つかったの?」
「競技中にも関わらず常盤台の生徒が1人だけでフラフラ出歩いてたから、私が見つけましてね。常盤台の直接連絡したら失踪した生徒さんだと聞いたので」
「ふーん」
美琴が見つかった、それを聞いて銀時は別にホッとため息を突くような人間ではない。
相変わらずの死んだ魚のような目でけだるそうに返事するだけ
「たかがガキ共の運動会の手伝いやってる暇なガキ共の群れのクセに、警察ごっこしてるガキ共よりもよっぽど仕事してんじゃねぇか」
「なにか引っかかる言い方ですねそれ……今は私達実行運営のテントに置いて預かっています。それであなたの所の上の人に報告したらすぐにあなたに連絡して迎えに行かせろと」
吹寄の連絡に受け答えしたのは恐らくお登勢であろう。
彼女なら銀時がまだこの救護テントにいる事は知ってるからだ。
しかし銀時は迎えに来いと言われると嫌そうな顔を吹寄に向ける。
「めんどくせぇからこっちに引っ張って来てくんね?」
「……あなた本当に教師ですよね?」
「その質問は教師なってから何百回も聞かれてるから答えるのもダルい」
もう一度身分を証明する者出してもらおうか吹寄が考えた時、銀時は自らベッドから腰を下ろして立ち上がった。
「わーったよ、仕方ねぇから迎えに言ってやるよ。案内しろガキンちょ」
「はぁ……ついて来て下さい」
結局迎えに行くと決め、偉そうな態度の銀時に吹寄は疲れた表情でため息を突くと踵を返して救護テントから出ようとする。
「最近の教師ってのは一体どうなってるのかしら……。ゆとり教育だの言われてるけど根本的に改善するべきは生徒ではなく教えるべき教師の方じゃないの全く……」
ブツブツ文句を垂れながらテントから出て行く吹寄。銀時もまた後を追いかけようとこの場を後にしようとするが
「ん?」
「……」
着ている白衣の端をぎゅっと掴まれた間隔。銀時がそちらに振り向くと
シーツにくるまってた筈の少女がか細い腕だけを出して掴んでいた。
「……」
「……何か言いてぇ事あるなら自分の口で言え、能力使わずにな」
「……」
静かに問いかけても少女の答えはやはり沈黙だった。
銀時は数秒程シーツにくるまったまま動かない少女を見下ろした後、白衣から彼女を引き離してサッと背を向けて歩き出す。
「心配しなくても、俺はアイツの事ばかり気にかけてお前を一人残すような事はしねーよ」
「……」
「俺はお前も世話してやってんだからな」
振り向かずに背中をボリボリと掻きながら、銀時は救護テントから出て行った。
少女はシーツの中から出してる拳をギュッと強く握る。
『……やっぱり嘘が下手ねぇ銀さぁん』
少女の心の吐露を代弁するかのように、縦ロールの少女が静かに呟いた。
『……もういいわ、あの人との話も済んだしぃ、ここに寝ている生徒さん全員起こしてあげましょう』
救護テントの中が怖いぐらい静かだったのはやはり彼女が能力を使っていたのであろう。
シーツにくるまりながらも使った能力を解除する為にゴソゴソと動き始める。
だがその時
「失礼しますの」
不意に飛んで来た声に少女はシーツの中でピタリと止まった。
声の持ち主は段々とこちらに近づいてくる。否、まだ能力で操り人形にしているままの縦ロールの少女の方へ歩み寄ってるではないか。
どうやら声の持ち主はここで意識がある者は彼女しかいないと判断しているらしい。
シーツにくるまる少女はそれに気づいて能力を解除するのを一旦止める。
『あらぁ、何か用かしらぁ? ここにいる人達でちゃんと話せるまでに回復してるのは私一人なんだけどぉ』
「そうなんですか……一体どれほどの電撃を考えもせずに放出したんですのあの女は……」
『んん?』
ギリリと奥歯を噛みしめて呻くように呟く少女の声に縦ロールの少女がピクリと反応した。
そして向かいのベッドでシーツにくるまる少女からピッと怪しい電子音が
『なるほど……用があるのは御坂美琴さん絡みの事なのねぇ』
「え、どうしておわかりになったんですの?」
『あなたの考えてる事なんかお見通しなんだぞ☆』
「は、はぁ……読心能力をお持ちになってる方なんでしょうか……」
指で作ったピースサイン横にして顔に当てたままキメ顔を浮かべる縦ロールの少女に、少女は戸惑いつつも一応納得した。
『それでぇ? ツインテールの美少女ちゃんは一体御坂美琴さんについてどれ程知りたいのかしらぁ?』
「変なあだ名付けないで下さいまし……わたくしはただあの女が一体どんな学校生活を送っているのか気になっただけですの」
『さっきの綱引きであの人が私達に酷い事したからぁ? あんな血も涙もなさそうな冷血非道な女のいる常盤台に進学するべきか悩んでるって訳ねぇ』
アゴに手を当て何度も頷きながらこちらをキラキラした目で見つめてくる縦ロールの少女に少女は「う……」と呻いてたじろいだ。
「やはりわたくしの心をお読みになっしゃってるようですわね……冷血非道のくくりまでお読みになるとは、さすが名門常盤台の方ですわ」
『お褒めに預かって光栄なんだぞ☆』
「でもその語尾に☆付けるのやめてくれませんこと? ていうかどう喋れば☆が付くんですの?」
『企業秘密なんだぞ☆』
「どこの企業が秘密にするんですのそんなしょうもない事……」
さっきいた銀時同様同じツッコミをする少女だが、縦ロールの少女はペロッと舌を出してわざとらしいぶりっ子アピールをしてくるので、少女はその件について聞くのは止めることにする。聞くのも馬鹿らしくなった。
「おわかりになられているのであれば是非お聞かせ願いたいんですの。先程の競技で拝見した時の御坂美琴の姿はとても褒められるような行いでもないし、ましてや尊敬すべき目標となる先輩になる存在にも到底見えませんわ」
『へぇ~、そうなの……そんなに知りたいんだあの子の事ぉ……』
「わたくしは来年常盤台に入学してあなた方の後輩となる身、ですがあんな能力を自分勝手に使うような酷い女を先輩と呼ぶのは生理的に……だから常盤台に進学するべきか悩んでいるんですのわたくし」
『ふぅん……』
彼女がいかに御坂美琴という存在が気に食わないのかがよくわかった。少なくとも彼女の背後でシーツにくるまって寝たフリしてる少女は何もかもお見通しだった。
そしてその少女に意識を奪われて操られている縦ロールの少女は僅かに口元に笑みを広げる。
『いいわぁ、未来の後輩候補さんが悩んでいるんですもの、先輩候補としてキチンと答えて上げないと』
「助かりますの、あの女のせいで手負いになられているあなたに聞くのは悪いとは思いますが。進路についてはキッチリと考えたいんですの」
『そうなの、私もそういうの随分前から決めてるのよぉ、将来自分のいるべき”居場所”はここだって』
「なるほど、やはりあなた達常盤台の生徒さん達も進路についてはキチンとお考えになられているのですね」
『ええ、特に私はね……』
縦ロールの少女の笑みが僅かに歪んだのに少女は気づかなかった。
『でも今はとんだお邪魔虫さんのおかげで実現できるかどうか危ういのよねぇ』
「ああ、そういえば常盤台は派閥勢力が強い学校でしたわね、大変ですわね、ライバルがいると」
『そう、私の大切なものをいきなり横から掻っ攫った酷い人がいるのよぉ』
悔しそうにプンプンとして頬を膨らます縦ロールの少女。しかし一瞬顔を逸らして少女が聞こえぬぐらいの小さな声で
『……でもあなたに会えたおかげで、その大切なモノを奪い返せるいい方法を思いついちゃったわぁ……』
背後でシーツにくるまる少女自身が、クリスマスに欲しかったおもちゃが目の前に現れた幼子のように無邪気な笑みを浮かべてこちらを見つめている事に、ツインテールの少女は気づけなかった。
一方その頃、銀時は実行委員の吹寄と共に美琴を迎えに行ってる途中だった。
「アイツ見つけた時どんな状態だった?」
「今にも泣きそうな様子でブツブツ意味不明な事呟きながら、行く当ても無く彷徨ってる感じでしたね」
「ふーん、いつも通りか」
「……いつもそんな感じなんですか彼女?」
「調子乗って失敗すると大体そんな感じ」
美琴を預かっている実行委員用の待機施設へと向かいながら銀時が彼女の事を話始めるので、ふと吹寄は一つ気になる事があった。
「そこまで知ってるなんてあなたは彼女と一体どんな関係なんですか? まさか教師と生徒でありながら……」
「少なくともお前さんが考えてる様な関係じゃねぇから」
軽蔑の眼差しを向けてくる吹寄を察して銀時はすぐに否定する。
「アレだアレ、アイツってウチの学校でも特殊な奴だからさ、俺が面倒見る事になってんだよ」
「そうだったんですか、そんな特例があるなんて学園都市でも珍しいですね」
「デキが悪い妹みたいなモンでよぉ、ホント見てて呆れるぜ。こっちが何度フォローしてもてんでダメダメでよ」
納得した様子で頷く吹寄に銀時がぼやくと、彼女はふと歩きながら「なるほど」と前を見つめながら呟く
「私にもそれに近しい存在の奴がいます、同い年ですけど」
「そいつもウチのガキみたいに友達さえまともに作れねぇダメ人間?」
「いえアイツは交流関係は人並み以上です、引く程」
「引く程ってなに? ナウシカレベル? 人間どころか手乗り狐や王蟲とまで仲良くなれるぐらい?」
「そんな感じですね、でもなんというかその男が一番の問題児でして……心から腑抜けきってる情けない男なんです」
「なんだ彼氏か」
「違います、そいつただのクラスメイトです」
キッパリと否定して吹寄は話を続ける。
「一年生の頃から同じクラスで、偶然にも三年生までずっと同じクラスになった男です、結構な腐れ縁ですよ」
「中一から中三までってのは確かに長い付き合いだわな」
「遅刻はおろか欠席ばっかりして、成績もまともに高校に行けるかどうか心配になる程のどん底レベル、そこまで自分が危うい状況なのに全く気付かずいつもヘラヘラヘラヘラ笑って……」
「よく見てるねお前も」
「しかもジャンプとかいう雑誌を毎週欠かさず読む事が俺が生きる意味の一つだとか訳の分からない事抜かして……その熱意をほんのちょっぴりでもいいから勉学に注ぎなさいよ……」
「いやそれはしゃーないよ、ジャンプは男にとって教科書以上に勉強になる少年雑誌だから、そいつはよくわかってる」
うんうんと頷きながら、銀時がその若者の心意気に深く同意しているのをスルーして吹寄は愚痴を止めない。
「それでそいつは毎度毎度同じ事を言うんです。”不幸だ”って」
「不幸?」
「言い訳してるだけですよ情けない」
イライラしてるのを隠さずに吹寄はグッと拳を掲げて強く握る。
「悪い奴ではないんですけど……そういう所を見てると本当に腹が立ってくるんですよ、確かに人より運に恵まれてないのは付き合いでよくわかってるけど、だからって自分の頭が悪いせいで補修される羽目になった事を不幸だからって言い訳するのはどう思いますか!?」
「え、いやどう思うって言われても」
「あーなんかイライラしてきた! 今”ツンツン頭の男”を見かけたら殴りかかりそうな自分が怖い!」
「天然パーマで良かったと思うなんて久しぶりだわ俺」
辺りをキョロキョロしながら拳を握ったまま歩き回る吹寄を後ろから観察するようについて行きながら
銀時はようやく大覇星祭実行委員の連中が使っている施設ビルの前に着いたのであった
銀時は吹寄と共に実行委員が借拠点として貸りている使われてないビルに入ると。
早速失踪してほんの少し騒ぎを起こした張本人御坂美琴を見つけた。
安っぽいソファに覇気のない表情でだらんと背を預けながら、再放送のドラマをやっているテレビをボーっとしながら見つめていた。
「家なき子……いつも主人公の女の子は独りぼっち……私も独りぼっち……」
「なんかテレビに向かって語りかけてますよあの子……」
「いつも通りだな」
「……またいつも通りなんですか?」
「極限に達したらテレビどころか壁にあるシミにまで話しかける奴だ。最近じゃ架空の友達を脳内で創造する事に成功している」
「いやそれもう病院に行かないとマズイレベルじゃありませんか……?」
テレビに向かってブツブツと呪文のように何かつぶやいている美琴を見ても特に動じずに銀時は後ろから彼女に声をかけた。
「おいクソガキ、中島みゆきの歌に浸ってないでさっさと帰るぞ」
「……」
銀時に話しかけられてやっと美琴はテレビに向かって呟くのを止めて彼の方にムスッとした表情で振り返った。
「いいわよ別に、私みたいな奴が戻って来ても誰も喜ばないわよ。むしろ参加しなくて喜ぶ奴等の方が多いでしょ、アンタの所の第五位とか」
「なに拗ねてんだテメェ、ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと立て。次の種目までにまだ間に合うから」
行きたくなさそうにまたテレビの方へプイっと向けてしまう美琴の肩に銀時がポンと手を置くと彼女はまたウジウジと
「だからもういいのよ私は、アンタだって本音は仲間の足を引っ張る事しか出来ない私なんかいらないと思ってるんでしょ……いいわよもう、私の世話とかもうそういうのいいから私なんかほっといて……」
「……手間のかかるガキだよ本当にお前は」
ソファの上に体育座りしてすっかりふさぎ込んでしまっている美琴に銀時は彼女の肩に置いた手を放してボリボリと自分の後頭部を掻く。
「めんどくせぇけどお前の世話するのが俺の務めだ。オメェ前に自分でも言ってただろ、心の底では俺はお前の事を大事にしてるとかなんとか」
「それはただの私の推測よ……そうであってほしいって気持ちも含めて言っただけなの……私にとって付き合ってくれる人はアンタ一人しかいなかったから……」
「……まあその……アレだ」
自分の言った事をまだ覚えてくれてる事に美琴は若干驚きつつも、それを表に出さない様にしながらまだ体育座りで殻に閉じこもっている。
それを見かねて銀時は照れくさそうにそっぽを向きながら
「大事にしてるかどうかは自分でもよくわかんねぇけどよ……少なくともお前と一緒にいる事に嫌だと感じた事はねぇから……」
「え?」
「だからさっさと戻って来いつってんだよコノヤロー」
ポツリと小さく言葉を漏らした銀時に美琴は思わず目を見開いてバッと彼の方へ振り返った。
銀時を頬を指で掻きながら彼女の顔を直視できずにそっぽを向いたまま。
「それに俺だって話し相手なんざロクにいねぇぞ? 最近じゃ死にかけのババァとお隣さんと小娘ばっかだよ俺の交流関係。てか今更気づいたけど俺の相手女ばっかだなオイ」
「……」
誤魔化すように自分の事を放し始める銀時をじーっと見つめた後、何を感じたのは美琴は体育座りを止めてソファからスクッと立ち上がり一言。
「……戻る」
「そうかい」
短く呟いた彼女に銀時は特に動じずに軽く鼻で笑ってやった。
「ならさっさと行くぞクソガキ、次はアレだ棒倒しだ。これなら能力使い放題だから遠慮なく相手をぶちのめせ」
「はぁ……言われなくてもそのつもりよ。電撃ぶっ放す事だけが私の取り柄なんだから」
ため息突いた後にちょっと微笑んだ後、美琴は銀時の後をついていく。
銀時はそのまま実行委員の待機室を出ようとした時、ふと銀時の前に先程まで終始見ていた吹寄が通りかかった。
「思ったよりも随分と微笑ましい関係なんですね、あなた達って」
「ただの腐れ縁だ、お前とツンツン頭のガキと変わらねぇよ」
「そうですね……」
平然とした顔でつっ返してきた彼に吹寄はフッと笑みを見せた。
「私もあなたを見習ってもう少し親身になってアイツの事を理解するように付き合ってやろうと思います」
「甘やかさずにビシビシしごいてやる事も忘れんなよ、頭突きかませ頭突き。あとジャンプは大目に見ておけ」
自分の中の心情が少し変わったと自覚を覚えながら吹寄は彼に頷く。
「大覇星祭が終わった頃には進路を絞る機関に入るので、その時はどん底レベルのアイツをなんとかまともに戻せるぐらい矯正しようと思います」
「おうおうその意気だ、頑張れよ小娘」
「でも仮にアイツが高校に行けてもどうせまた腑抜けに逆戻り……なら私もレベルを落としてアイツのいける学校に進学した方がいいかもしれないわね」
「世話焼き女房にも限度ってモンがあるだろ」
指に手を当てながら模索し始める彼女にさすがに銀時もツッコミを入れた。
このままだと高校大学と来て就職先まで一緒にしようとするかも知れない程の世話焼きっぷりだった。
「いっそ結婚でもすりゃいいんじゃね?」
「あり得ません、坂田先生はその子と結婚する気ありますか?」
「全然」
「私も同じです。私にとってアイツは世話のかかる弟みたいなモンですから。長い付き合いはありますが異性として見た事など一度もありません」
そこだけは譲れないといった感じで頑固にキッパリと言ってのける吹寄
そんな彼女と気さくに会話している銀時に、先ほどまでの一部始終を見ていた美琴が後ろから話しかける。
「……やっぱアンタってコミュニケーション能力半端ないわね、すぐ色んな人と仲良くなっちゃって……」
「人生経験の差だ。お前だってこれから先もっといろんな連中と付き合う事になんだ。せいぜい逃げ出さずに向き合えるようになれるぐらいにはなっておけ」
「……善処する」
彼のアドバイスに不安げな様子でうつむく美琴。果たしてこれから先の人生で自分は彼みたいに多くの交流関係を作っていけるのだろうか……
「せめて同年代の子と友達になれれば……私も少しは自信がつくんだけどさ……」
「んなもんこっから先でいくらでも作れるだろ、仮に出来なくなったとしても」
自分の白衣の裾を掴みながらまた弱気になっている彼女に、銀時は振り返らずに背中を見せたままの状態で
「遊び相手ぐらいなら今まで通り俺がやってやらぁ」
「うん……」
少しだけ、ほんのちょっぴりの極僅かではあるが
いつもの素っ気ない態度の中に自分の事を考えてくれている事を知れて
美琴は口元をほころばせながら彼の白衣をギュッと強く握った。
だがそんな一方で、常盤台が療養中である救護テントでは嫌な空気が漂っていた。
美琴の事を詳しく知りたがっていたツインテールの少女に
縦ロールの少女が彼女の事を教えて上げているだけであるのに
『……とまぁこんな感じで、周りを自分から遠ざけて好き勝手やりたい放題しているのよ御坂さんって』
「まさかそこまでとは……そんな方が一年上の先輩になるなんて、やはりわたくし耐えられませんの……」
『でしょぉ? しかも同じ年に入学したこれまた可愛い美少女の女の子に嫉妬して、一番大切なモノを持ち去って行った酷い人なのよぉ』
「その大切なモノとはなんですの?」
『お金なんかじゃ買えない、一生に一度しか手に入れる事が出来ないぐらい貴重なモノなの。奪われたその美少女ちゃん可哀想~』
「それは許せませんわね、どれ程のモノか知りませんが、レベル5でもやっていい事と悪い事はキッチリ区別出来ないといけませんのに」
いかにもわざとらしい喋り方をしながら身振り手振りでぶりっ子アピールをしてくる縦ロールの少女だが、ツインテ娘はそれを馬鹿正直に信じ切っている様子。
先程美琴の行いを見ていたのが後押しとなり、その話を事実として受け止めてしまっているらしい。
「ならばわたくしは常盤台に進学するのは止める事にしますわ。御坂美琴、いくらなんでも酷過ぎますわ……目上の者に従わずに野蛮で姑息で卑劣で好き勝手やる……もはや人というより”類人猿”、猿ですわ猿」
『その評価嫌いじゃないわぁ、でもちょっといいかしら』
「なんですの?」
人間として扱わずに猿扱いまでするあんまりな少女に、縦ロールの少女はニッコリ笑ったまま彼女の方へずいっと顔を近づける。
『あなた御坂さんの事は本当に嫌い?』
「当たり前ですの、あなたの話を聞いたおかげで今ではその名を聞く事さえも嫌ですわ」
『そう、じゃあもし……』
今更そんな事を聞くのかと、少女はハッキリと美琴への嫌悪感を強く示すと
縦ロールの少女の笑顔がニタリと横に広がった。
『……ならの「大嫌い」って気持ちが……「大好き」って気持ちに”改竄”されたら一体あなたはどうなっちゃうのかしら……?』
「……なにをおっしゃってるのかわかりませんの」
いきなり不気味に笑いかけてきた彼女に少女は思わず後ずさりして後ろにあるベッドにドサッと尻持ちしてしまう。
『あなたお名前は?』
「……白井黒子ですが」
『……ねぇ白井さぁん、やっぱり常盤台に来るの止めるなんてダメよ。御坂さんにはあなたみたいな子が必要だわ、あなたみたいに”扱いやすい子”がいれば私にとっても役に立つのよぉ……』
「……一体なんなんですの、いきなりどうしたんですか……」
態度を急変させて一層怪しさが増す縦ロールの少女に、少女は、白井黒子が恐怖を覚えて向かいのベッドに座ったまま彼女から距離を取ろうとするが
先程までこのベッドでシーツにくるまっていた少女が
後ろからそっと彼女の体に手を伸ばして柔らかく抱きしめる。
『だから来年入学しに来て、私はその時が来るのを今からワクワクしながら待ってるから……その日が来る為にちょこっとあなたの頭をイジッちゃうけど気にしないでね、私と会った事はちゃんと記憶から消去してあげる』
「こ、これはどういう……!」
『フフフ、白井さぁん……』
後ろからそんなに強くない力で掴まれているだけなのに、なぜか自分の体が金縛りにあったかのように動けない事に気づいて、少女の顔にどんどん怯えの色が見えてきた。
そしてそれを頃合いに、向かいでお面の様な作り笑いをした縦ロールの少女がゆっくりと口を開いた。
『来年からはあなたがあの人の代わりに御坂さんの相手してあげてね……』
その言葉と同時に、少女の背後からピッと軽い電子音が聞こえる。
その瞬間、彼女の意識は消え、虚ろな表情のまま
「もしやあなたが第五位の……」
ベッドに身を預けて横に倒れた
『私ってホントいい子ね、嫌いな子の為にわざわざ友達”作って”あげちゃうなんて……ねぇ銀さぁん、また私はあなたの為に裏から手を回してあげたわよぉ……』
『だからこれからはちゃんと私の事を見てね、でないと怒っちゃうんだぞ☆』
誰も聞く者がいない静かな救護テントで
代弁するだけに使われている操り人形の言葉だけが響き渡るのであった。
おまけ
教えて、銀八先生!
「はいどーも、坂田銀八です。え~今回は読者から質問があったので、答えようと思いま~す」
「ハンドルネーム、フロントラインさんからの質問」
Q
メルトダウナーな物質の硬度関係なしにとう融解させる性質だったんですけどどうやって受け止めたんですか? 武装色の覇気でも使ったんでしょうか?
「はい、まず禁魂。の「第三十五訓 サバ缶娘、良からぬ何かを秘める」を開いて」
「まず最初のシーンで第四位がとてつもなくデカい光線を放ってそれを謎のオッサンが傘で受け止めるシーンです」
「第四位は基本口は悪いが相手を本気で殺そうとはしない主義です」
「ですがこの一撃、分が悪いと察したコイツが思いきり原子崩しの力をフルに使っていますね」
「しかも原子崩しの攻撃は基本どんなに頑丈で堅い防御でも無尽蔵に突破します」
「ではなぜこのオッサンはその攻撃を傘で受け止め、おまけに両腕二本を負傷するだけで済んだのか」
「ズバリお答えします、それはコレのせいです」
「アーウチ! なんてこった! 原稿終えて気晴らしに久しぶりの外出してみたら能力者共が戦争おっぱじめてやがった! まるで雨の様に能力者の攻撃が降って来るぜ!!」
頭の上にベレー帽をかぶった顔の濃い外国人が、ブーメランパンツ一丁で困っている様だ。
四方八方から爆発音やら炎やら電撃やその他色々なモンが落ちて来る始末。
「これじゃあ原稿終わりに毎回行ってるエロティックな店に行けねぇじゃねぇかシーット!!」
「何嘆いてるの舞蹴、」
すると突如彼の下にやって来たのは鼻の高いパツ金女性。なんと彼女は全くの無傷でここまでやって来たのだ。
「聞いてくれよ魔理鈴! 受験戦争に明け暮れた年頃の能力者達が膨大なストレスを抱えた結果モノホンの戦争初めて……ってお前どうやってここまで来たんだ!」
「それはコレのおかげよ! その名も「阿死蛇之如≪あしたのジョー≫」
よく見ると彼女が持ってるのは一本の巨大な番傘
「コイツは傭兵部族「夜兎」の一族最強とも呼ばれているある男が対能力者兵器を作るために辺境の星にある「理木威師」っていう巨大な山を削り取って作られた代物でなぁ! この傘で受け止めれば能力の理屈、「自分だけの現実」を根本的にねじ曲げて防ぎきる事だって出来んだぁ!!」
「マジでか魔理鈴!」
「傘を開いていれば肉体系能力や精神系能力まで防げちまう! おまけにあのレベル5の攻撃でさえも本質を見極めて改竄し、ただの物理攻撃に返還させちまうぐらいヤベーモンなんだ!!」
そう言って彼女が傘を開てみるとこの通り。
火の雨の様に降って来ていた能力者達の攻撃は傘に落ちて来るも彼女はピンピンしている。
「今なら特別に月々12回払いでこの金額! おまけに配送料無料! コイツがあれば能力者にも負けねぇ無敵の存在になっちまうんだ!!」
「これで30分1本コースで予約したお店にレッツゴーだぜキャッホォォウ!!!」
【注意・この傘は人間には扱えません】
「んじゃ2本お願いするわ、1本予備が無いと落ち着かないから」
深夜、老け顔の男がテレビを眺めながら電話に耳を当てていた。
テレビの向こうでは金髪の外人二人が巨大な傘を持ったままファンキーに踊り狂っていた。
「え~という事で答えは、残念ながら武装色の覇気ではなく、オッサンが通販で買った傘がとんでもなく強力だったって事でした」
「さすがに能力者対策の得物使われちゃレベル5でも手こずりますよ、防御貫通出来るビームも防がれますよ」
「とういう事で能力者に困ったらならまずはテレビショッピング、これテストに出るから覚えとけよ」