禁魂。   作:カイバーマン。

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第二十九訓 電撃少女、相変わらず墓穴を掘る

好き嫌いは誰にだってある

キノコが好きな人がいれば嫌いな人もいる

たけのこが好きな人がいれば嫌いな人もいる

生魚が食える人もいれば食えない人もいる

ジャンプが好きな人もいればマガジンが好きな人もいる

個人それぞれ好き嫌いがあるのは至極当然の事。

そういった中、小さなスペースが作られた場所で、意見が食い違う両者が揃った時に言葉を用いて争い合う事も人間であればよくある事だ。

 

ギンタマンが死ぬ程好きだと公言する人もいれば

 

吐き気を催すほど嫌いだと宣言する人もいる

 

御坂美琴は偶然とあるファミレスでかぶき町でホストとして働いてる少年、垣根提督と出会った。

 

美琴は言った、ギンタマンは人気ある素晴らしい作品だと

垣根は言った、ギンタマン面白くねぇから早く打ち切られろと

 

 

今日知り合ったばかりの両者が今

 

互いの信念とプライドを賭けて激しい論争をおっ始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とは言ったものの……」

 

4人用の席に向かい合わせに座ってメンチを切り合う美琴と垣根。

しかし最初に口火を切ったのは、美琴の隣でめんどくさい事に巻き込まれてしまったと嘆く白井黒子だった。

 

「論争って一体何やるんですの? とりあえず議題が無いと何も始まりませんわよ?」

「このゲーム・ジャン魂ロンパに議題なんてモンはねぇんだよ、小娘」

 

尋ねてきた黒子に対し垣根は腕を組んだまま静かに答えてみせた。

 

「なぜなら俺達が争い合う理由はもうとっくにあるからだ。大事なのはジャンプに対する敬意の表明。いかにどちらかがよりジャンプ好きだと公言出来るかがこのゲームの醍醐味だ」

「ちょっと黒子、わかりきった事質問しないでよ、私が恥ずかしいじゃない。常識でしょ私達の中じゃ」

「いえ、残念ながらわたくしの常識とお姉様達の常識と遠くかけ離れておりますので」

 

どうして尋ねただけで美琴に非難されるのか黒子は理解できなかった。

わけもわからない様子で彼女にツッコむ黒子に垣根はふんっと鼻で笑う。

 

「おいおいハンデでコンビで来いって言ったが、こりゃ相方も相当レベルが低い様だな。ジャンプレベルはせいぜい33程度といった所だろ、勝ちが見えすぎてこれじゃあ退屈しのぎにもならねぇんじゃねぇか?」

「ジャンプレベルってなんですの……? お姉様、33って低い方なんですか?」

「低すぎでしょ、せめて50以上には上げときなさいよ。どうしてこういう戦いが来る事を想定してレベル上げなかったの、全く」

「いやわたくしが33だと決めたのはあの殿方ですし、それにこんな事態を想定できるわけありませんし、ていうかレベル上げってどう上げるんですの」

 

またもやこちらに振り返って呆れた視線を向けてくる美琴に黒子はジト目で返した。

ジャンプの知識に乏しい、そもそも漫画自体あまり詳しくない黒子にとっては知らない事ばかりである。

だが美琴や垣根にとってはこの専門用語は極ありふれた日常に用いる言葉と同じみたいなモンのようであった。

 

「こりゃマズいわね、アンタは私の足を引っ張らないようにする事だけを考えてなさいよ、いいわね」

「あの~お姉様、熱くなってる所悪いのですが……わたくし帰っていいですの? めんどくさくなったので」

 

すっかりこの場違い感に居たたまれなくて黒子は戦場離脱を試みようとするが

突然、美琴が肘を突いていたテーブルをバン!と大きく叩いた。

 

「ホスト相手に怖気づいてんじゃないわよ! 敵を前にして逃げるとかそれでもアンタジャッジメントなの!」

「ジャッジメント関係ありませんわよ! 最初から言ってるでしょう! わたくしはジャンプなど全く読んでないんですの! 議論に参加する理由もありませんのよ!」

「ギンタマンをこんな頭悪そうなホストに散々侮辱されて……アンタは悔しくないの!?」

「悔しくもなんともないし寧ろ殿方達の意見に同意する点が多くありましたが!?」

 

両肩を力強く掴まれて前後に揺らされながら黒子は反論するが、揺さぶってくる美琴には全く通じない様子で血走った目つきのまま

 

「私は悔しいのよ! だからアンタも傷ついた私に協力しなさい! なんでいつもは嫌でもベタベタしてくるのにこういう時に限ってドライなのよアンタは!」

「いかにお姉様を愛するわたくしでもジャンプに対して熱狂的な声を上げる時のお姉様の相手は荷が重すぎます! わたくしよりもっとも適任がいるでしょ、あの銀髪バカとか!」

「アイツの連絡先なんて知らないわよ! アイツ携帯も持ってないし!!」

「いや、わたくしはあの男の自宅の電話番号知ってますのでそこにかければ……」

「なんで私より付き合いの短いアンタがアイツの自宅の電話番号知ってんのよぉぉぉぉぉ!!! 私知らないのに!!」

「お姉様関連の事で相談する手段として教えてもらっただけですの! ああ! そんなに激しく揺らさないで下さいまし! 黒子は! 黒子はもう壊れてしまいますの!!」

 

自分の体を激しく揺さぶってくる美琴に黒子が意識を失いかけそうになりながら叫んでいるのを終始眺めながら。

 

垣根の隣に座っていた女性、心理定規が年下の子供達に語りかけるように話しかけた。

 

「あまり店内で大きな声で騒がないでね、ここのお店気に入ってるから出禁とかになりたくないのよ。ね?」

「う……敵のクセに正論を……」

「私は審判役だから公平な判断してるだけよ」

「わ、わかったわよ、黒子、お願いだから帰らないでよ。私一人置いてんな真似したら一生口聞かないからね」

「それは嫌ですわね……仕方ありませんの、微力ながらお姉様にお供します……」

 

彼女の言い分に渋々従って黒子を開放する美琴。しかし釘を刺して黒子をその場に留まらせようとし、黒子もそれに嫌々言う事を聞くしかなかった。

 

「それでは始めましょうか……え~……お姉様とこの垣根さんという方のどちらかがよりジャンプの事をわかっているか語り合うのでしたわよね」

「ま、そんなもんハナっから決まってんだけどな」

 

先程の垣根の説明を踏まえて黒子がスタートの合図を出すと、早速美琴の向かいに座る垣根がフっと笑いながら話を始める。

 

「なぜならギンタマンとかいう犬のクソにも劣る漫画なんぞに熱を出してる時点で、ジャンプファンなんてぜってぇ認められねぇんだよ」

「へ~その犬のクソより劣る漫画より先に終わった作品が一体どれ程あるのかしら?」

「人気が落ちれば即打ち切りという過酷なジャンプの世界だ、それは仕方ねぇとは思ってる。だがな、ギンタマンにはそんなの関係ねぇ、あれはただの漫画に対する冒涜だ」

「へ~そんな事言っちゃうのアンタ? ちょっと頭の中メルヘン過ぎじゃない?」

「メルヘン過ぎってなんだよ、意味わかんねぇよ」

 

真っ向から否定的な言葉を述べる垣根に美琴はまだ余裕の表情。噛みついて来た彼にすぐに反論する。

 

「最初から最後までが全て決まったストーリーを、打ち切りという恐怖が常に襲い掛かるジャンプで描き切るなんてほとんど不可能に近いのよ。実際はただ作者が生き残るために死に物狂いで必死に描いてただけ、その中でギンタマンが生き残っているという事は読者からの支持を得ている証拠、おわかり?」

「はぁ……」

「あらどうしたの? ジャンプ歴十年のベテランが一年の若造に論破されて悔しいのかしら」

 

反撃を出してきた美琴に垣根は以外にも軽くため息を突くだけ。その反応に勝負あったかと美琴が勝利を確信したかのようにドヤ顔を浮かべるが、垣根は顔に手を置くと

 

「いるんだよなぁバクマン。読んで現実知っちゃってると勘違いしてる奴……」

「な!」

「死に物狂いで描く? そんなのどこの漫画家だって皆同じなんだよ、お前はどこにでもありふれている当たり前の出来事を口から吐き出してるだけじゃねぇか。ジャンプに載るってのはいわば血生臭い戦場に出陣するのと同じだ、いつ討死にしてもおかしくない世界、そんな事常識だぜ?」

 

格下の相手を見下すかのような視線を美琴に向けると、垣根は自分の意見を語り始めた。

 

「その戦場で見事に討死せずに生き残り続ける事は大切だ。だがそこだけが大事じゃねぇ、ずっと戦場で戦い続けた後、無事に生還出来た者こそ、真の勝利者なんだよ」

「ちょっと待ちなさい! アンタさっきその女と話してた時は長期連載でもこち亀はいいとか言ってたわよね! その言い方だと長期連載のこち亀をバカにしてるとしか思えないけど! おかしくない!?」

「テメェは本当にわかってねぇようだな、わかんねぇのか? こち亀は別だと言ったらだろ、つまりこち亀は既に勝利者という立場になっているって事だ」

「え?」

 

言って繰り出す美琴だが垣根には全く通用しなかった、逆に怒涛のラッシュ攻めが彼女に襲い掛かってくる。

 

「あの作品はとんでもなく長い間戦い続けてきた、いわば歴戦の視線を潜り抜けて多くの死を見続けてきた老兵。ジャンプの長い歴史を知る生き証人と言っても過言じゃねえ」

「ま、まあそうね……」

「ギャグマンガの一話完結物、それを長く続けるのは容易じゃねぇってのはさすがにわかんだろ?」

「う、うん……」

「長々と続ける作品は俺は苦手だ。だがな、過酷な戦場を年老いた体をものともせずに一生戦う事を義務付けられてる様な人生を送ってる作品には敬意を払うべきだとも思っている。今のこち亀はワンピースの様に絶賛されてる訳でもないし、NARUTOの様な話題が生まれるドラマがあるわけじゃねぇ。そんな中で生き残り戦場を我が家同然の如く威風堂々と歩くその姿はまさに勝利者だと呼べるだろう」

「た、確かに……! そう言われるとなんかカッコよく見えてきたわこち亀が……!」

 

こち亀は数多の戦場を歩いて来た歴戦の老兵。そう言われて美琴は論争中にも関わらず思わず納得して頷いてしまう。

それに黒子がテーブルに肘を突きながら横からボソッと

 

「敵の意見に納得したらその時点で敗北ですわよお姉様」

「は! そうだったわ危ない危ない! ギンタマンだって凄いのよ! え~とギンタマンはいわば戦場にいる……」

 

彼女の一言で我に返った美琴は慌てて状況を立て直して鋭い返しをしようと思考を巡らせ始めるが

 

「え~……」

「別に相手の例え話に乗っからなくてもいいと思うのですが」

「私もギンタマンをこち亀みたいにかっこよく例えてみたいのよ! あ! そうだわ!」

 

あえて相手の土俵に立ってしまう美琴に黒子が注意するも彼女は聞く耳持たず。

そして何か閃いたのかすぐに垣根の方へ振り返って

 

「ギンタマンはわね、こち亀程じゃないけど長く戦いを経験している筈、だからすごく強いのよ、めっさ強いのよ、わかる?」

「いやわかんねぇけど」

「いやだからアレよ、ギンタマンは滅茶苦茶強いって訳なのよ、つまり例えるなら……」

 

美琴の頭悪そうな根拠は垣根の心には全く響いていない様子。

逆に彼に問い詰められて彼女は焦りながら数秒程考えた後、突然バン!とテーブルをまた強く叩いて

 

「例えるなら歴戦の戦を縦横無尽に暴れ回る”ゴリラ”よ!!」

「なんで戦場の例え話にゴリラ出てくんだよ!」

 

胸を張ってどうだと言わんばかりに自陣満々に答える美琴に、思わず飲んでいたアップルティーを噴き出しそうになる垣根だが、そこはなんとか堪えてすぐにツッコミに入る。

 

「老兵とか猛将とか策士とかそれっぽい例えにしろよ! なんでまさかの人外チョイス!?」

「ギンタマンは既に人としての領域なんて超えてるのよ!! ゴリラ凄い強いんだから! 他の作家陣の”バナナ”を引っこ抜き回って血に塗れた戦場を住み慣れた故郷のジャングルかのようにくつろぎながら!」

「作家陣のバナナって何!? 引っこ抜いたってどういう事だよ!? もしかしてアレ引っこ抜いてんの!? 俺達男にとって大切なシンボルをバナナと勘違いして引っこ抜いちゃってるのギンタマンゴリラ!?」

 

それはそれで恐ろしいが……垣根が無茶苦茶な例えをやらかしてしまった美琴に戦慄を覚える中、彼等の隣に座って向かい合わせになっている黒子と心理定規はというと

 

「そもそも垣根さんのジャンプを戦場で例えるというのもどうかと思うのですが、どっちもどっちですわよね……」

「本人達は深い事言ってるつもりだろうけど、ジャンプはジャンプなのにね」

「うるせぇぞお前等! 俺の例え話のセンスに嫉妬してんじゃねぇ! ゴリラよりはマシだろゴリラよりは!!」

 

二人でコソコソと会話してるのが耳に入ったのか、垣根は機嫌悪そうに彼女達に叫ぶと、すぐ様黒子の方へ矛先を変えた。

 

「テメェも議論に参加しないでなにのんびりしてやがんだ! おらなんか言ってみろ! 好きな作品を持ち出して俺にぶつけてみろ!!」

「ぶつけるって……スラムダンクが好きですがなにか言いたい事ありますの?」

「意外なの好きだなお前!」

「よく言われますの」

 

常盤台のお嬢様が結構渋いのを好みとしている事に垣根がわかりやすいリアクションで驚いた後、スラムダンクと聞かれて小難しそうな表情を浮かべ始めた。

 

「てっきりコイツがギンタマンバカだからお前も一緒だと思ってたんだが」

「いえ、むしろあなたと同じくアンチギンタマン派ですので」

「ああ? じゃあテメェと争う理由なんてねぇじゃねぇか」

「こちらも元々あなたと議論する気なんてありませんでしたが……お姉様に頼まれて仕方なく」

 

面白くなさそうにため息を突く垣根、どうやらこちらに対して敵意は消えたらしい。

それを感じた黒子は、これでこんな不毛な争い事から抜けられると内心ホッとするが……。

 

「スラムダンク好きなのはさすがに文句なんて言えねぇよ、面白いよなアレ」

「はぁ、まあ面白かったと言えば面白かったですわね……」

「お前どのキャラ好き? 俺はミッチーだけど」

「わ、わたくしは基本どのキャラクターも好きでしたが……特に好きと言われるとやはり安西先生ですわね……」

「あ~わかるわそれ、確かにあの人もいいわ、うん。ジャンプの歴史に残る名言を多く生産してる偉大な人物だよあの人は、お前はよくわかってる」

(な、なんか急にフレンドリーになってきたんですけどこの人!? なんですのコレは!? なんでお姉様との議論そっちのけでわたくしとスラムダンクについて語り合おうとしているんですの!?)

 

急にテンション上がってノリノリで攻めてくる垣根に黒子は頬を引きつらせて動揺を隠せない。確かに好きな作品に同調されるのは嫌じゃないし、むしろ嬉しい、だが先ほどまで敵意を見せていた相手がこうもコロっと態度を変えてくるとこちらも対処の仕方に困ってしまう。

しかも本来垣根が話をするべき相手は自分ではなく隣に座っている美琴なのだが……

 

「ちょっとアンタ! 争ってる時になに私の友達と仲良くスラムダンク語り合おうとしてんのよ! 見せつけるんじゃないわよ! こちとら誰ともそんな風に楽しくギンタマンについて語りあえる人がいないんだから!」

「うるせぇな、それじゃあ今は休戦タイムだ。お前だって当然知ってるだろ、あの名作スポーツ漫画スラムダンク、ほら語り合おうぜ」

「……スラムダンクで語るって言われても……私あんまり……」

「え?」

 

スラムダンクと聞かれて何故か美琴は気まずそうに眼を逸らした

この反応に垣根と黒子は嫌な予感を覚える。

 

「あの~お姉様……まさかスラムダンクをご存じないとか? ジャンプではメジャーな部類に入る漫画であると初春から聞かされていたのですが?」

「え? あ、ああもちろん知ってるわよ! 何言ってんのよ黒子! 私は筋金入りのジャンプファンよ!! そんな作品もちろん知ってるわよ!」

「いやだけどさっきのお前の反応おかしかったぞ、じゃあ言ってみろ、スラムダンクってどんなストーリーだよ」

「そ、それは……」

 

疑ってる目つきで問いかけてくる垣根の視線を美琴はチラッと目を逸らしてしまう。

明らかに知らない態度、美琴は垣根と黒子と目を合わせられず気まずそうに額から汗をかいた。

 

(スラムダンクってバスケ漫画よね……タイトルのダンクってバスケのダンクの事よね……てことは!)

 

数秒程黙りこくった後、突然美琴は垣根の方へ視線を戻してビシッと指を突き付け

 

「ゴリラがダンクを決める漫画よ!」

「微妙に当たってるけどなんかちげぇ!」

「微妙でも当たってるって事は当たってるんでしょ! ね、黒子!」

「正しくはゴリラじゃなくてゴリですの」

「うっさいわね! 細かい所指摘すんじゃないわよ!! 脳天にダンク決めるわよ!!」

 

知ったかぶり全開の美琴に垣根はすかさずツッコミを放ち、黒子がジト目でボソッと指摘するが、美琴はこれで難を乗り切ったと満足そうに表情を和らげる。

 

「こ、これでわかったでしょう。私が知らないジャンプ漫画なんてないんだから……さあ論争の続きをやるわよ」

「いちご100%」

「へ?」

「いちご100%だよ、結構前に連載してて未だにファンも多いラブコメ漫画。ストーリーを具体的に言ってみろ」

「ア、アンタいきなり何を……」

「知ってんだろ、”当然”」

 

議論を再開せずにまたもや似たような質問をしてきた垣根に美琴は額から流れる汗が止まらない。

マズイ、この男、なにか察している

 

「いちご100%……確かヒロインが複数いる典型的なハーレム漫画だとか聞いたような……あ~複数の雌ゴリラが一匹の雄ゴリラを力づくで奪い合う青春ラブコメストーリーだったっけ?」

「なんでまたゴリラなんだよ! スラムダンクはともかくいちご100%にゴリラ全く関係なかっただろが! はい次! シャーマンキング!!」

「それも名前聞いた事あるわね……え~とストーリーは……大量のゴリラが集まってゴリラの王様を決める漫画?」

「だからゴリラ引っ張るんじゃねぇよ! いつまで引きずる気だテメェ!! はい次! 遊戯王!!」

「それは勿論知ってるわよ! 有名なカードゲームも出してるし! ゴリラが「立ち上がれぼくの分身!」とか叫んで自分のバナナを取り出すんでしょ!」

「それ違うカードゲームの主人公のセリフ! それとバナナ取り出すってなんだ! ゴリラどころか下ネタまで引きずってくんのかお前は! 次! 北斗の拳!」

「ゴリラとゴリラが殴り合う漫画!!」

「それただの動物園のありふれた日常風景じゃねぇか!! つうかいい加減にしろ! さっきからずっとゴリラゴリラでこっちまで頭おかしくなりそうだわ! これで最後だ言ってみろ! コブラ!!」

「え、ゴリラ?」

「どんな聞き間違いすりゃそうなるんだよ!! ゴリラに呪われてんのかテメェはよぉぉぉぉぉ!!」

 

それなりに名の知れた作品を並べていく垣根だが美琴の答えはなに一つかする気配さえ無い。叫びし過ぎてゼェゼェと荒い息を吐いた後、呼吸を整えながら垣根は美琴に一言。

 

「……お前、にわかジャンプファンだろ……もしくは熱烈なゴリラのファン」

「え!? ち、違うわよそんなわけないでしょ!」

「ジャンプ歴1年と聞いた時点で気付くべきだったぜ……お前、最近連載されてる作品しか知らねぇだろ?」

「ぐッ!!」

「はぁ……これじゃあ勝負以前の問題じゃねぇか……話にもならねぇ」

 

垣根が気付いた事、それは彼女がごく最近の漫画しかわからない事だった。

指摘された美琴は案の定、バツの悪そうに視線をあちらこちらに泳がせる。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 私だって昔のジャンプ漫画知ってるわよ! るろうに剣心とか!!」

「心理定規、るろうに剣心って前に実写映画やってたよな」

「ええ、同じ職場の人と観てきたけど面白かったわよ」

「さては映画観たから興味を持って原作買ってみたという典型的なパターンか」

「コ、コイツどうしてこんなに鋭いのよ……! し、知ってる事には変わりないでしょ!」

「地獄先生ぬ~べ~」

「地獄からやって来た先生が生徒を護る為に”ゴリの手”で敵をやっつける漫画!」

「ダメだコイツ完全に頭の中ゴリラしかいねぇ! 完全にゴリラに脳みそ侵食されてるよ!!」

 

これで完全にわかった、御坂美琴はかなりのレベルを行っているジャンプファンだと自称しているが、実際彼女のジャンプに対する知識が非常に乏しいのだ。

その事を頭の中で結論して垣根は腕を組んで静かに頷く。

 

「論争の仕方もなっちゃいねぇ、おまけに言葉も足りねえ、挙句の果てにはジャンプについて全然詳しくねえ。これじゃあ争う必要もねぇな」

「はぁぁぁぁぁぁ!? どういう意味よそれ! さては私との戦いに怯えて言い訳してトンズラかまそうって腹ね! 逃がさないわよ腐れホスト!」

 

指を突き付けてギャーギャー騒ぎだし始めた美琴を感情のこもってない無の状態で眺めながら垣根は隣に座っている心理定規に話しかけた。

 

「なあ心理定規、お前から見てコイツをどう思う」

「そうね、元の素材がいいから工夫すればきっと凄い子になるわよきっと、ウチの店で人気でるんじゃないかしら」

「いやそういう事聞きたくて尋ねたわけじゃねぇから」

 

キャバ嬢ならではの洞察力を披露する心理定規だが生憎垣根はそんなつもりで聞いたわけではない、今度はドン引きしてる視線で美琴を眺めている黒子の方へ口を開く。

 

「オメーからはどうだ、えー……名前なんだっけ?」

「白井黒子ですわ」

「そうか、白井、ダチとしてコイツの醜態を晒す姿に何か思う事はあるか」

「(遂に名前で呼んでくれるまで親しげに……)そうですわね、とても見てられない状況なのは確かですの。許されるならばここから逃げ出したいとも思っております」

 

スラムダンクで話が合ったのがキッカケなのかどんどんフレンドリーになってくる垣根に戸惑いつつも黒子は素直に答えると、垣根はそれを聞いて改めて美琴の方へ振り向く。

 

「だとよ格下、客観的に見てもお前はもう詰んでるって事だ」

「黒子ぉ!! なに敵の方へ寝返ってんのよアンタはぁ! 少しはフォローとかできないの!?」

 

怒りの形相で怒鳴りつけてくる美琴に黒子はブスッとした表情で一言。

 

「このまま争ってもどんどんお姉様が墓穴掘っていくだけですわよ、トークスキルや議論の手順もホストをしている向こうの方が上手ですし。一方お姉様はあまり色んな人と会話する機会がありませんからコミュニケーション能力が乏し過ぎますの」

「アンタといいアイツといいどうしてそう率直な意見を面と向かって本人に言えちゃう訳!? 泣くわよ!? ていうかもううっすら涙目になってるわよ!」

「それが本人の為だと思って言ってるまでの事ですわ、これを機にお姉様にはもっと同年代の方々とお話が出来るようになってもらおうと思って……」

「……わかったわ」

「お姉様……」

 

黒子は彼女の事を心から尊敬しているし度を越えた愛情も持ち合わせている。しかしだからといって彼女自身の欠点を指摘しないという訳ではない、従う時は従うし言う時は言うし。願わくば彼女にはこれからも能力だけでなく精神的にも成長して欲しいというのが黒子の望みなのだ。

 

しかしそんな彼女の望みも美琴は知ったこっちゃないという風に

 

「こうなったら論争とかクソめんどくさい事はこれっきりにして、こっからは互いの能力を用いて真剣勝負にしましょう」

「お姉様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「この世は弱肉強食、ゆえに強い者が上に立って弱い者が従う、それが自然の摂理であって私は何一つ間違ってないわ。そうよね黒子」

「間違いまくってますの! どこを間違ってるか指摘する気も失せるぐらい!」

 

言葉で勝てないなら武力で勝つ。その暴君極まりない美琴に黒子が慌てて止めに入った。

ホスト相手にレベル5の第三位が暴れたらそれこそ大参事は必然。しかし慌てる黒子を尻目に、テーブルに肘を突いた垣根は呑気な表情で「ふ~ん」と呟く。

 

「別にそれで構わねぇけど?」

「ちょ! あな……垣根さん! ちょっと前に聞いた筈ですわよ! お姉様は確かにアホですが腐ってもレベル5の第三位! 一般人が相手出来る様な人物ではありませんの!」

「”一般人だったら”だろ?」

「へ?」

「口で勝てねぇなら手を出すってやり方、それはどこにでもよくある常識だ、ただし」

 

黒子に言われても垣根は全く意に介さない様子で

静かに目を瞑った後、すぐにカッと見開いて鋭く眼光を光らせた。

 

「”俺”にそんな”常識”は通用しねぇぞ”格下”」

「なんですって……」

「今お前が目の前に座っているのは」

 

レベル5の第三位を前にしても全く負ける気など微塵もない態度を取る垣根に、いささか美琴も表情をこわばらせると、彼は睨み付けながらゆっくりと答える。

 

「ホストの世界でもナンバー2でもあり、学園都市の能力者の中でもナンバー2に入る男なんだからよ」

「!! アンタまさか……!」

「そう、俺は……」

 

学園都市の能力者の中で”2番目”の実力者。その言葉の意味に美琴がゴクリと生唾を飲み込む。

もし自分の推測が当たっていたら、彼は自分がずっと気になっていた能力者の二人の内一人という事になる。つまり……

 

美琴が頭の中で結論を放つ前に

 

垣根提督はガタッと席から立ち上がって、ポケットに両手を突っ込んでオーラを出しながらこちらを見下ろして

 

「学園都市が誇る7人のレベル5の一人、更にその中で上から2番目に数えられる超能力者ってのは、第二位であるこの……」

 

戦慄する美琴と黒子に、見下ろしながら垣根が高らかに宣言しようとしたその時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな所でなぁに店にも来れねぇような年のガキを口説いてんだクソガキィィィィィィ!!!!」

「おぐおッ!!」

 

立ち上がっていた垣根の脳天に突如”何者”かのデカい拳骨が振り下ろされたのだ。

そのまま床を突き抜けて地面に埋まりかねないようなその一撃に、垣根は脳が揺れているのをはっきり感じながら思わず変な声を出してしまう。

 

頭を両手で押さえながらそのまま席に戻って項垂れる垣根、だが美琴と黒子は彼よりももっと”とんでもない物”を目の当たりにしてしまった。

 

「ちょ……え……」

「あ、あ……」

 

言葉さえ出せない状況というのはこういう事を言うのだろう。片やレベル4、もう片方はレベル5だというのに、二人は垣根の背後に立つ人物に目を見開いて呆然と眺める。

 

口元には青髭、更に着物では隠しきれていない筋骨隆々のボディと自分達より遥かに高い身の丈。

そして周りの者すべてを平伏させかねないような強大な威圧感。

明らかに男性、それもそんじゃそこらの男とは比べ程にもならない正に漢とも呼べる存在。

そしてなにより美琴と黒子が驚愕しているのは

 

その漢が女性の着物を着こなしているという所だ。

 

(ア、アレってまさか……! ウソ……初めて見たんだけど私……!)

(オカマ……! 男性の体で女性の心を持つと言われるオカマさんですの!)

 

そう彼(彼女?)はオカマと言う言葉を見事に表している紛れもないオカマだった。

そのオカマはというと、二人をそっちのけで、頭を押さえてうずくまっている垣根の方へ凶悪なツラを浮かべながらギロリと見下ろす。

 

「心理定規から聞いたわよ。アンタ女子供相手に大人げない真似して威張り散らしてたみたいじゃないのさ……」

「テ、テメェ心理定規……」

「いやねぇ、私は状況の報告をメールで送っておいただけよ。でもまさかメールだけですっ飛んでくるとは思わなかったわ、”西郷さん”」

「コイツが騒ぎ起こしたら面倒見てる私が責任取る羽目になるからね」

 

心理定規に西郷と呼ばれた人物は垣根を睨み付けながら口を開く。

 

「面倒事は起こしてないだろうね」

「さっき起こそうとする数秒前だったわ」

「ああん!? まさか中学生の女の子相手に変な事やろうとしたんじゃねぇだろうなぁテメェ!!」

「うがばッ! 死ぬ! マジ頭割れる! 止めろ化け物!! 俺を誰だと思って……! ぐおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

いきなり雄叫びを上げながら垣根の頭部を鷲掴みにしてギリギリと力を込み始める西郷。

あまりの痛みに垣根は罵声を放つがそれが更に西郷の怒りに触れたのか、とてつもなく強い力が頭部に強烈な痛みを走らせる。

 

目の前で行われている拷問に美琴と黒子は呆然としたまま言葉も出ない。

 

「ど、どうすればいいの黒子……」

「どうするも何も……わたくしだってこんな珍百景を見るのも初めてですので……」

「あらちょっと何? この子達ってお登勢の所の学校の生徒さんじゃないの」

「「!!」」

 

コッソリ会話してる所に不意に西郷がこちらの方へ顔を上げてきた。

美琴と黒子は思わずビクッと肩を震わして固まってしまうが、西郷はお構いなしに彼女達にニヤリと不気味な笑みを浮かべ出し

 

「あらヤダ、よく見ると二人共可愛いじゃな~い。二人共コイツに変な事されなかった~? 正直に言っていいのよ」

「い、いえ大丈夫です……え~と、ところで一体どちらさんでしょうか……」

「私? 私はかぶき町でオカマバーを経営してるモンよ、”鬼神・マドモーゼル西郷”っていうの、素敵な名前でしょ? うふ」

「げ……」

 

女装した大男のウインクというのはこんなにも破壊力があるのかと、美琴はさぶいぼを立てながら身を持って体験した。

眉をひくひく動かしながら軽く怯える彼女に、西郷は話を続ける。

 

「このホストのガキはね、私が預かって保護してやってるんだよ。コイツはこう見えて能力者の中では2番目に強いらしくてね、強大な力を己で抑止できるようにする為に私達みたいな大人が面倒見てやらなきゃいけないのさ」

「それってつまり……コイツがレベル5の第二位!?」

「あら詳しいじゃない、ちゃんと勉強してるのね。お利口さんよあなた」

「はは……ど、どうも……」

 

褒めてくれるのは嬉しいがそのウインクを連発するのは勘弁してくれないか……とは言えない美琴は頬を引きつらせながら無理矢理笑い声を上げた後、隣に座っている黒子の方へこっそり耳打ちする。

 

「ちょっと黒子……オカマがレベル5の面倒見てて、しかも相手が学園都市では謎に包まれている第一位と第二位の内の一人なんてどういう事よ……」

「わたくしも驚きでしたわ……まさか第二位のレベル5がかぶき町でホストやっていたなんて……」

「ったく女王といいレベル5ってのはロクでもない連中ばっかりね」

「お姉様、それツッコんで欲しいんですか?」

 

ブツブツ呟いてぼやく美琴に黒子がジト目で遠い視線を送っていると、向かいに立っている西郷はグイッと垣根の後ろ襟をつかんで無理矢理席から立たせていた。

 

「ほら行くぞ坊主、心理定規。アンタ達これからすぐ仕事だろ。早く帰って支度しな」

「はーい」

「言われなくても帰るっつうの……ゴリラみたいなツラで俺に指図するんじゃ……おぐしおッ!!」

 

青ざめた顔で垣根が何かいいかけるが、言い終える内に、西郷が無表情で彼の首に手をかけてポキッという音と共に無理矢理ひん曲げる。

その瞬間、垣根は白目を剥いてガクッと意識を失ってしまった。

白目を剥く彼をそのまま西郷はヒョイっと掴み上げてると広い肩にかけ、心理定規を連れて店を後にしようとするが、最後に美琴と黒子の方へ振り返る。

 

「それじゃあねあなた達、あなた達はまだ子供だからこんな危ないホストに引っかかっちゃ駄目よ、あ、そうそう。もしお酒を飲める年になったら、かぶき町にある私のお店にいらっしゃい、もちろん”男の子”を連れて来てね」

 

西郷はフフフと意味深な笑い声を上げる。

 

「たっぷり”サービス”してあげるから」

「「……」」

 

もはやどんなサービスなのか想像もしたくなかった。

何も言えずに固まってしまう二人を置いて、西郷は巨体を揺らしながら心理定規と気絶した垣根を連れて行ってしまった。

 

「……怖いよー」

「……ウチの寮監より怖い物があったんですわね」

 

しみじみと感想を呟きながら美琴と黒子は同時に頷いた。

 

「なんかどっと疲れたわ……それにしてもあのホストが第二位って……どんな能力なのか聞いておくべきだったわ」

「第二位という事は第三位のお姉様より有能な能力を持つという事ですが……あの西郷さんとかいう人に思いっきりシメられてましたからあまり想像できませんの」

「レベル5つっても年長者相手になると頭が上がらないモンなのよ、私だってお登勢さんにしょっちゅう拳骨制裁食らってるもの、女王もアイツ(銀時)におもちゃ扱いされてるし」

 

頭を押さえてテーブルに肘を突きながら美琴がそう説明すると黒子はふむっと顎に手を当てて納得した。

 

「なるほど、レベル5でさえ恐れるような存在があるという事ですか」

「そうね……レベル5といっても人によってはまだまだ子供と思う人も一杯いるのよ……」

 

第五位と第二位、美琴が自分以外に知るレベル5はこれで二人になった。残る四人は一体どんな人物なのかわからないが、今までレベル5が大きな事件を起こしたという情報も入ってこないし、皆、自分の様に大人が世話をして上手くやっていけているのかもしれない。

 

そんな事を考えていた時、美琴はふとある事を思い出す。

そういえばさっきまで、自分と垣根は論争の真っ最中でしかも自分の負けが見えていたようだったが……。

 

「……そういえばアイツ、西郷さんに連れ去られてこの場から途中退場したわよね」

「そうですけど、どうかなさいまして?」

「てことはコレって、”私の勝ち”って事でよくない?」

「……」

 

そう言い切ると美琴はぬふふっと嬉しそうに笑みを浮かべて見せる。黒子は無言で呆れた視線を向けるが、彼女は気づかずニタニタと笑いながら足を組んですっかり勝者気取り。

 

「そうよねこれは完全に勝ちだわ、だってアイツゲーム中に抜け出したんだし。いや~結局こうなる運命だったって事ね~。これで私は”にわかジャンプファン”とかいうレッテルを貼られずに済むって訳か」

「お姉様……」

「そういや黒子、アンタあのホストとスラムダンクなんかで盛り上がってたわよね。ダメよあんな奴とそんな”古臭い漫画”で盛り上がってちゃ」

「は?」

 

古臭い漫画、その言葉に黒子がピクリと僅かに体を動かして反応する

だが美琴はすっかり調子に乗ってしまっている様子でそれを見ていない。

 

「一流のジャンプファンである私から命令するわ。徹夜でギンタマンを全巻読破して今度からは私とギンタマントークしましょう、その方がきっと楽しいに決まって……」

「……お姉様」

「え、なに?」

 

ニヤけ全開の美琴に黒子は静かに呼ぶと同時に

 

彼女の隣からシュンと消えて、”彼女と対峙”するかのように先程まで垣根が座っていた向かいの席に瞬間転移し……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは”二回戦”、スタートですの」

「え、ちょ、どういう事……」

「これからわたくしがスラムダンクの良さについて語り尽くしますので、お姉様はギンタマンの数少ない良さを必死にアピールしながら反論して下さいませ」

「ま、まさか黒子……スラムダンク馬鹿にしたの怒ってる……? ご、ごめんちょっと調子乗ってつい口が滑って……い、良い漫画よねアレ! 特に”ゴリラ”が雄叫びを上げながらダンクを決めて!」

「ゴリラじゃなくてゴリですの!! それとわたくしが怒っているのはスラムダンクを馬鹿にされた事だけなくお姉様のアホさ加減に頭に来てるんですのよ!! これからみっちり安西先生の教えを元に教育してあげますわ! 逃がしませんわよ!!」

「うわホントごめん黒子! お願いだから元の黒子に戻って! いつもの様にお姉様お姉様甘えてくる黒子に!!」

「当然敵に背を向ける様な事はしませんわよね、一流のジャンプファンのクセに」

「ア、アハハ……黒子何か頼もうか~私奢っちゃうわよ~……アハハ……」

「さあお姉様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャン魂ロンパ、始めましょうか」

 

数時間後、ようやく日が落ちて完全下校時刻になってた頃には

 

心折れるまで論破されて真っ白な灰になってテーブルの上に倒れる美琴と

 

真の勝者として優雅にコーヒーを飲む黒子の姿があったそうな

 

 

 

 


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