ドラえもんのいないドラえもん  ~超劇場版大戦 地球は何回危機に遭う~   作:ルルイ

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感想、及び誤字報告ありがとうございます。

0時までにちょっと間に合いませんでしたが投稿します。




真・鉄人兵団6

 

 

 

 

 

「三番艦隊、八番艦隊壊滅!」

 

「友軍の損害率40%を超えました!」

 

「くそっ! またしても一方的にやられっぱなしではないか!」

 

 惑星メカトピア近辺宇宙域にて メカトピア軍は連日交戦状態にあった。

 展開している兵数はメカトピア軍の方が大きく勝っているのだが、ロボットとしてのスペックと武装の差により交戦するたびに戦力を減らし押され続けていた。

 今はまだ後方から戦力の応援を得られているがそれも無限にあるわけではなく、何らかの手段で戦況を打開しなければ遠くないうちに軍は崩壊すると艦隊の総司令は危惧していた。

 

 メカトピアのロボットは人であり兵士だ。

 工場で量産して増やし、すぐさま戦場に送り出して戦力に加えるといった手段はとれない。

 ロボットを道具として扱えるなら可能だが、メカトピアの価値観としてロボットを量産するなどクローン兵を用意するようなもの。

 何よりそれはメカトピアの禁忌に触れるものであり、初めからそんな考えはメカトピアの人々にはない。

 ただ言える事は消耗品に出来る敵のロボットと、消耗品に出来ない味方の兵士では、いずれ質だけでなく量も戦力を上回られる可能性があった。

 

「このままではメカトピアを滅ぼされかねん!」

 

「総司令! 敵の主力機に防衛網を抜かれました!

 こちらにものすごい速度で向かってきます!」

 

「弾幕を張れ! 旗艦の近くの友軍も敵主力機に攻撃を集中!

 奴に好き勝手させるな!」

 

 総司令の乗る旗艦から無数のレーザー・ミサイル・バルカンが発射される。

 更には味方のロボット達のレーザーやブラスターも無数に発射されるが、高速で移動する対象には空振るばかりで、たまに当たっても装甲の強度にはじかれてダメージにならない。

 ロボットは形態を変えて飛行機のような形になっており、その状態での高い機動力で弾幕を潜り抜け、遂に総司令の乗る旗艦のブリッジの前までたどり着く。

 一瞬で飛行機型から人型に変形すると、ビームライフルを抜き放ちブリッジを正面から撃ち抜いた。

 

 すぐさま再変形して離脱した直後ブリッジは爆散し、そこから誘爆する事で旗艦だった船は爆散した。

 旗艦の撃沈を機に相手側は一斉に撤退を開始。

 旗艦を落とされ総司令を失ったメカトピア軍は混乱しており、撤退した相手を追撃する余裕はなく見送る事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 メカトピア最高評議会。

 ここでは惑星メカトピア上空で行なわれる連日の宇宙戦闘の結果に、物議を醸しだしていた。

 

「また地球の人間にいいようにやられて逃げられただと!

 何度目だと思っている!」

 

「先の布告よりすでに半月が経過しているから、十連敗以上はしているな。

 たった半月とはいえ、ここまで連戦を続けている事もおかしい。

 嘗ての戦争の時代でも、このような戦況は聞いたことがありません」

 

「地球人が戦況が有利にも拘らず、中途半端なところで撤退する事でお互いの戦力を消耗し切らずにいられるからだろう。

 地球側の継戦能力に何か問題があるのかと軍は追撃をかけてみたそうだが、同日に二回戦が始まっただけでこちらが大きく消耗しただけだった。

 奴らの戦術に一体何の意味があると言うのだ」

 

「人間共の行動などどうでもいい。 重要なのが我ら栄光あるメカトピアのロボットが人間に従うロボットごときに負け続けているという事だ!

 この不甲斐ない結果に、軍部は一体どう責任を取る気だ」

 

「責任もなにも純粋な兵の戦闘能力で劣っているのだ。 軍の作戦そのものに何の問題もない」

 

「我らが地球のロボットに劣っているというか!」

 

「戦闘能力に関しては認めざるを得ないだろう!

 でなければ正面から戦って、こちらの方が損害を多く出している理由に説明がつかん!」

 

 議会の評議員たちもまた連日の敗戦に動揺しており、その事実を受け入れきれずにいた。

 

 メカトピア上空の宙域での戦闘が始まったのは半月前。

 始まりは人類奴隷化計画の地球侵攻の為に送り出した鉄人兵団が壊滅し、司令だったズォーターただ一人が地球人のメッセージと共に送り返されてきたことが始まりだ。

 

『メカトピアのロボット共に告げる。

 我々は地球を守護する組織シークレットツールズ。

 貴様らが地球の人間を奴隷にしようと送り込んだ鉄人兵団は、我々の戦力によってすべて壊滅させた。

 このような侵略行為を我々は許すわけにはいかない。 報復攻撃の準備として既に惑星メカトピア近辺の宇宙宙域に戦力をそろえている。

 我々の要求はただ一つ。 二度と侵攻などしないという地球への不可侵の厳守だ。

 これを認めない限り我々はメカトピアへの報復攻撃を続け、最後まで認めないならメカトピアを滅ぼすことも厭わない。

 早い段階でこの要求を受け入れる事をお勧めする』

 

この勧告が評議会にズォーターを送り付けられると同時に、メカトピアの一般メディアにも強制的に放送され、国民全員にこのことが周知されてしまった。

 鉄人兵団が返り討ちにされズォーターに持たされていた戦闘記録に議会は驚愕したが、だからと言って素直に要求に応じるようではメカトピア最高議会の威信に関わる。

 すぐさま防衛部隊が編成され、宇宙にいる地球軍に対し攻撃を仕掛け、開戦した。

 

 既に目の前まで迫ってきていた地球軍に対して即座に攻撃を仕掛けたことで戦力分析など終わっておらず、鉄人兵団の二の舞になるようにあっさりと兵はやられていった。

 しかし地球軍はメカトピア軍にある程度損害を出すと、戦闘を中止して後退し交戦宙域から離脱した。

 初戦の時は一方的かつ損害の大きさに追撃する事はなかったが、翌日以降も同じようにある程度メカトピアの軍に損害を出すと撤退する事から、継戦能力に問題があるのではないかと損害を無視して追撃を試みるが、地球軍は再び戦闘を開始。

 その日はより大きな損害を出すだけの結果に終わり、その後も連日損害を与えられて撤退されることを繰り返していた。

 その行動の意味を軍部も評議会も測りかねていたが、ただ言える事は戦力に圧倒的な差があり、地球軍がその気になればいつでも壊滅させられるのではないかという意識が根付き始めていた。

 

「先ほど兵器開発部から超大型ボディ換装計画の成功例が三十機揃ったと報告があった。

 最終調整を終えたら全機戦場に派遣する予定だ」

 

「おお、あの計画の成功体なら戦況を打開出来るかやもしれませんな」

 

「待っていただきたい。 確かあのボディ換装の成功率は完全ではなかったはずでは」

 

 超大型ボディ換装計画はジュドが受けたもので、メカトピアの通常サイズのロボットの電子頭脳を巨大なボディに移し替えるものだが、その成功率は完全とは言い難く失敗する確率も十分あった。

 

「確かに成功率はいまだ70%を上回らないが、換装術を受けた者たちはすべて志願制で立候補した兵たちだ。

 強制的に改造したものなど一人もいないと約束しよう」

 

「そういう問題ではない。 そのような危険な換装を行なうこと自体が問題なのだ」

 

「では他にこの状況を打開する方法があるのかね。

 それを提示してから批判をしてほしいものだ」

 

「ぐっ」

 

 批判的な意見を述べた議員は、その反撃に言葉を濁らせるしかなかった。

 有効な手段を思いつかない中で、超大型ボディによる戦闘力が一番期待できる手段に違いなかった。

 言葉に詰まった議員は、騒がしい議会の中で喋らずに腕を組んだまま考え込んでいるアシミー議員に気づく。

 

「アシミー議員はどう思います。 危険性の高いボディの換装を推し進める事について」

 

「私か? …私もそのような換装術を好まないが、志願制でありなおかつ兵として戦場に送り出す以上はどちらにしろ命の保証はない。

 ロボット道に基づくなら賛同するべきではないが、兵や軍としては危険に飛び込むことを止める事は出来ない」

 

「そ、そうですか」

 

「流石大戦の英雄殿は覚悟が違いますな」

 

 アシミーの賛同が得られなかったことで否定的だった議員は黙するしかなくなった。

 

「だが超大型ロボットの戦場投入で地球軍に勝てるようになるとは、私も到底思えない」

 

「ではどうするおつもりです? 大将軍と呼ばれたあなたの意見も是非聞いておきたい」

 

 嘗ての大戦を生き抜いた歴戦の英雄の意見と聞き、議員たちの視線がアシミー議員に集まる。

 

「私に有効な打開策などない。 戦後からは軍事に関わっておらんから有効な武器開発など知らんのでな。

 だが、我々が取れる手段が無いわけでもない」

 

「と、言いますと?」

 

「地球人のメッセージを憶えていよう。

 彼らの要求は地球への不可侵の厳守。

 要は今後地球に関わらないと約束すればいいだけの事」

 

「敵の要求を受け入れると!」

 

 アシミーの発言に議員たちがどよめく。

 

「我々に敗北を受け入れろと言うのですか、アシミー殿は!」

 

「この戦力差では致し方ないと考えている。

 敵の要求はそれ一つと明言している。

 戦場で兵がどんどん数を減らす一方では、要求を受け入れる事で戦いを終わらせることも一つの手段だ」

 

「人間に我々が負けを受け入れる事がどういう事なのかわかっているのですかな。

 嘗て神は人間を見放し、ロボットに宇宙の支配者に成れと期待を託された。

 その期待を裏切る事になるのですぞ」

 

「然り、それは神への冒涜に他ならない。

 嘗ての戦乱でロボット同士で戦い、一方が負けを認める事とはわけが違うのですよ」

 

 メカトピアのロボット達の中には神が定めたルールが今も残り続けている。

 故にそれが神の存在の証明であり、絶対の信仰としてメカトピアに根付いている。

 それを覆す事は到底出来ない物だった。

 

「では我々が地球の人間に押されている現状をどう説明する」

 

「それは…」

 

「いくら神の期待が我らロボットに掛かっていようと、現実はどうやっても変わりはしない。

 このまま敗戦が続けば地球人の宣言通り、メカトピアは滅びる事になるかもしれん。

 そうなれば神の期待も何も残らない。 敗北を受け入れる事でメカトピアが存続するならそれでもいい」

 

「「………」」

 

 メカトピアが滅びる事に比べれば、そういわれてしまえば敗北を受け入れるのも一つの手段かもしれないと議員達も理解はする。

 

「しかし、地球人の要求が本当にそれだけで終わりますかな。

 更なる要求を突き付けてくるやもしれませんぞ」

 

「かもしれん。 それが受けれられる要求であれば受け入れる事も仕方がない。

 だが受け入れられない要求であれば、背水の陣で徹底抗戦をするしかなくなるだろう。

 これは嘗てのメカトピアのロボット同士の戦いではなく、メカトピアの存亡をかけたロボットと人間の戦いでもある。

 負ければ一方が完全に滅ぼされる事もありうる」

 

 アシミー議員の言葉に議員たちはこの戦いの意味を改めて理解する。

 嘗てのメカトピアのロボット同士の戦いであれば勝ち残った一方は生き残ったが、これは別の種族である人間を相手取った戦いだという事を。

 負けて全てを奪われればメカトピアのロボットが文字通り全滅する事になる可能性を理解した。

 

 その事実に議員たちは慄く。 メカトピアのロボットがすべて殺される、それは想像もしたことがない恐ろしい未来だった。

 アシミー議員も静まり返った議会を動かすように言葉を紡ぐ。

 

「無論それは最悪を想定しての事態だ。 勝つ為ではなく生き残るためであればまだまだ手段はいくらでもあるだろう。

 今はまだ滅びるか滅びないかの段階ではなく、勝つか負けるかの段階だ。

 勝つために戦っている兵士の為にも、我々が容易に諦める訳にはいかない」

 

「…そうですな。 アシミー殿の意見も最悪の事態を見越しての事ですからな。

 いずれにせよ人間相手に容易に敗北を認めるなど、全てのメカトピア人が認めはしませんよ」

 

 神の教えはメカトピアのロボット達が誰もが知っていることだ。

 神が見放した人間に負けを認めるのは、議会の威信だけでなくメカトピアロボットの意義に反する。

 滅びなど当然受け入れられないが、敗北を認める事も非常に難しい事だった。

 

「確かに神の教えは我々にとって絶対だ。

 安易に人間に関わろうとしたことがそもそもの間違いなのかもしれない。

 神が人間を見放したとは、関わるべきではないという考えだったのやもしれぬ」

 

「アシミー議員はこれを見越して人類奴隷化計画に反対をしていたのですか?」

 

「まさか? 流石に私もこのような事態を予想などしていなかったよ。

 そういう意味では私も人間を甘く見ていたことに違いはない。

 もしこうなる事がわかっていれば………議会を占拠するかクーデターを起こしてでも止めていたかもしれん」

 

「ははは、それは恐ろしいですな」

 

「英雄殿は今なお国民からの根強い人気がありますからな。

 その気になれば立ち上がる者達も数多くいる事でしょう」

 

「だが今は団結してこの国難に立ち向かわねばならん。

 どのような難敵であれど我々がメカトピアを守り抜くのだ!」

 

 アシミーの宣言に多くの議員が同意するように頷いて答える。

 英雄と呼ばれたロボットの輝きは議員となった今でも消えていなかった。

 

 

 

 

 

「以上が、つい先ほどの議会の内容だね」

 

「私達の情報が筒抜けじゃない!?

 どうなっているのこれは!」

 

 議会の映像記録を宇宙船の一室でリルルに見せたら、このような反応が返ってきた。

 機密に近い最高議会の会議の様子が丸分かりの現状に、リルルは頭を抱えるしかなかった。

 

「これ一体どうやって議会の映像を入手してるのよ。

 議員の中に裏切り者でもいるとでもいうの?」

 

「それなら停戦工作も楽に進んで君を仲介役にする必要性もなかっただろうね。

 まあ映像の入手方法は当然秘密だけど」

 

「絶対調べだして見せるわ。 この映像を私に見せたことを後悔させてあげる」

 

 この映像はタイムテレビを使った時空間を通した観測なので、時間干渉が出来るほどの技術が無ければ対策を講じることが出来ない。

 例えメカトピアの技術でもすぐに対処する事は不可能だと分かっていたので、ハジメはこの映像をリルルに見せていた。

 

「とまあ、戦端が開いて半月。 ようやく向こう側も負けた時の事を考え始めたみたいだ。

 国民も戦況が思わしくないことが広まってるみたいで、不安を抱え始めている。

 もう一押しすればたとえ敗北であっても戦争を終わらせようという動きが出てきてもおかしくない」

 

「…アシミー様の言ってたようには人間に負けを認めるのは受け入れがたいけど、メカトピアそのものが滅びるよりはずっとましね。

 それでこれを見せたという事は、そろそろ私に何かをしてほしいという事よね」

 

「ああ、これから準備を整えたら僕達と一緒にメカトピアに降下して都市内に潜入する。

 目的はこのアシミー議員に接触をすることだ」

 

「確かに以前から地球への侵攻を反対していたアシミー様なら、終戦への準備を裏から進めてくれる可能性が高いわ」

 

「それに議会でただ一人敗戦を視野に入れていたことも評価が高い。

 秘密裏に接触して戦いを終わらせるための取引を求めれば、応じる可能性は十分にある」

 

「そこまでの案内を私にさせようというのね」

 

「それと君から見た地球の人間の様子を伝えてくれると助かる。

 メカトピアのロボットである君からの説明の方が説得力があるからね」

 

「責任重大ね。 でもやると決めたからには戦争を必ず終わらせて見せるわ」

 

 思う事は多々あるが、この戦争を終わらせることにリルルは一切迷いはなかった。

 人間がどういう存在か知ったのもあるが、戦場で散っていく兵士たちを少しでも多く減らすために早く戦争を終わらせたいと思っていた。

 

「だけど、潜入するには一つ問題があるわ。

 私のボディは地球に潜入するために人間に偽装されているけど、メカトピアに戻ったらこの姿は異質に映ってしまうわ。

 コードシグナルを発信出来るから同じロボットだとは理解してもらえるけど、姿からしてとても目立つと思うわ。

 それに人間の貴方はどうするつもりなの?」

 

「潜入の為に普通のロボットに見える外装を用意してある。

 コードシグナルについても調査済みだから、そのための発信装置をつけていれば問題ないだろう」

 

「確かにそれならいけると思うわ。 コードシグナルの偽装なんて禁忌に触れるから正直気に食わないけど」

 

「確か電子頭脳に関する事の多くが、メカトピアのロボットにとってやってはいけない事なんだったな」

 

 メカトピアのロボットの電子頭脳は、始祖であるアムとイムの物から一切変化していない。

 神が定めたルールとして、子孫を作る際に一切の変更を加えてはいけないというルールがあるからだ。

 他にもルールは多々あるが、それを犯そうとすれば電子頭脳の根底から警告が発せられ、それでも止まらない場合は最悪電子頭脳自ら自壊してルールを破ろうとする行為を止めようとする。

 メカトピアのロボットが人らしく生きるために定めた神のルールは、破ろうとすれば非常に厳しいものが用意されているのだ。

 

「ええ、メカトピアの全てのロボットは神のルールに縛られているわ。

 それを人間が破ることが出来る事も、私にはとても恐ろしいことに思えるわ」

 

「まあ人間だって誰かに頭の中を弄られたいとは思わないからね」

 

「メカトピアのロボットは自分はもちろん他人の電子頭脳を操作しようとする事が許されないわ。

 壊そうとすることにのみ警告は出ないけど、それ以外ではすべて神のルールから警告が出るわ」

 

「先ほどの会議で言ってた超巨大ロボットへの電子頭脳の換装はどうなんだ?

 電子頭脳の干渉に引っかからないのか?」

 

「電子頭脳からの接続を切り替えるだけだから、その者への干渉じゃないとして引っかからないわ。

 もともとボディの換装は昔からある事だから、特に珍しい事でもないの。

 ただ超大型ロボットへの再接続となると、もともとのボディとの差から大きな負担がかかって死んでしまうロボットがいるみたい」

 

 メカトピアのロボットの寿命は電子頭脳が起動してからその機能が停止するまでだ。

 一度停止してしまえば、神のルールによって電子頭脳への干渉と言う禁忌から修復できない。

 だからこそメカトピアのロボット達は人間のような死が存在している。

 

「なるほど。 やはりメカトピア人たちが電子頭脳に干渉出来るのは、子孫のロボットを作って起動するときに限るわけだな」

 

「ふぇ! え、ええその通りね!!」

 

 突然挙動不審になるリルルにハジメは疑問符を浮かべる。

 

「? どうかしたのかリルル?」

 

「何でもないわよ! 貴方が変なこと言うから戸惑っただけ!」

 

「僕、何か変なこと言ったか?」

 

「言ったじゃない! ほら……作るとか……起動するとか……」

 

「え? …あ、あー」

 

 メカトピアのロボットにとってのそれが人間に置き換えるとどういう意味なのか考えると、ハジメはようやく理解する。

 顔を赤くするリルルに人間の感性の違いから、どういう反応を返していいかわからなくなるハジメだった。

 

 

 

 

 

 


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