ドラえもんのいないドラえもん  ~超劇場版大戦 地球は何回危機に遭う~   作:ルルイ

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 最新話で飛んできた方へ。
 今回の話は一応二話同時投稿ですので前の話からどうぞ。

 と言っても予告編に構想をまとめただけの話なので、鉄人兵団を期待してくれていた方はごめんなさい。


 今回のお話は鉄人兵団が終わった後の話として続いています。



隠れ地上人代表会議

 

 

 

 

 

 鉄人兵団事件もようやく片付き、残る問題となる事件は雲の王国だけとなった。

 厄介なことに映画での事件の解決の方法は、ドラえもん達の人徳が解決に導いたという、僕等ではどう頑張っても成し遂げられない解決方法だ。

 僕等の出来る解決方法はひみつ道具による力押しで相手の意思を叩き折るくらいしか思いつかなかった。

 力ずくでの解決を出来る限り望んでいない僕等は協議を重ねたがいい解決方法が見つからず、解決法の立案は暗礁に乗り上げていた。

 

 

 

 雲の王国。

 映画の通例通りのび太の我儘で始まったこの映画は、ドラえもんのひみつ道具で雲の上に王国を作った事から始まる。

 自分達が施した隠蔽機能によって雲の王国を見失ってしまったのび太達は、それとは別の本当にあった雲の上の国天上世界に迷い込んでしまう。

 そこでは天上人達が暮らしており、彼らは地上人の環境破壊による公害の被害を受けて一つの計画を立てていた。

 ノア計画というの伝説のノアの大洪水に見立てた水害を起こし、地上文明全てを洗い流して環境被害を無くしてしまおう、という非常に過激な計画を企てていた。

 それを知ったのび太達は計画を止めるために奮闘するという、環境問題を題材にしたストーリーだった。

 

 

 天上人のやり方は過激だが環境問題に関しては地上人に非があることは事実なので、彼らの言い分を真っ向から否定することは出来ない。

 しかしノア計画など認める訳にもいかず、どこまでいっても一個人に過ぎない僕等では政治的な解決方法を提示することも出来ない為、未だ解決法に悩んでいた。

 力ずくで解決したくはないが簡単に出来てしまう事から、平和的な解決方法に拘らずにはいられなかった。

 

 だがノア計画の実行まで一月に迫った所でも妙案が上がらず、苦肉の策として僕等以外の知恵を借りる事にした。

 いくら人数がいてもコピーである以上発想の違いが生まれない事から、第三者の視点が必要と判断したからだ。

 とはいえ一般人を呼ぶわけにもいかず、かつての映画の事件で知り合った人物であり、地球の地上に関係する人を僕等の本拠地に招いた。

 

「お久しぶりです、ハジメさん」

 

「久しぶりクンタック君。 王様で忙しいのに呼び出してしまってすまない」

 

「いえ、恩人であるハジメさんに相談に乗ってほしいと言われたら断れません」

 

 大魔境の時に知り合ったアフリカの奥地にある秘境、犬人族の国バウワンコの王様になったクンタック君。

 地上全てを洗い流すという事はおそらく秘境も巻き込まれることになるだろうから、事情を知る資格もあり相談に乗ってもらうべく来てもらった。

 会った時は王子で当時から貴人としての品格を持っていたが、王様になって更に品格の強さを高めたように感じる。

 

「御呼び頂き有難う御座います、ハジメ様」

 

「様なんて付けなくていいですよ、バンホーさん」

 

「とんでもない、神の御使いである貴方様を呼び捨てなど出来ません」

 

 竜の騎士の時に知り合った地底に住む恐竜人の騎士をやっているバンホーさん。

 タイムマシンで恐竜が隕石の衝突で滅びる時代に行き、そこで恐竜人類の祖先が暮らす地底空間の建設時に同じく未来から来ていた恐竜人類の部隊をバンホーさんが率いていた時に顔を合わせた。

 

「しかしご相談があるとはいえ、祭司長や軍団長ではなく一介の騎士である私で本当によろしかったのですか?

 貴方様が御呼びになれば法王様とて駆けつけますのに」

 

「あなたがまだ一番話し易いからですよ。

 それに法王様って確かいい御歳で、呼び立てる訳にもいかないでしょう」

 

 バンホーさんも非常に僕に畏まっているが、その上の祭司長や軍団長は僕をあまりに持ち上げすぎるので遠慮してもらった。

 原作の話でドラえもん達と一番交流があった恐竜人だというのもあって彼に来てもらった。

 

「外の世界は広いのですな。 彼らのような人種も存在しているとは」

 

「彼らも風の民と同じで、外と交流の無い環境で暮らしてる種族ですよ。

 フーコたちを預かってもらったのに御呼び立てしてしまってすいません」

 

「なに、ワシも外の世界に興味がありましたからな。

 それに彼らのようにワシ等も嵐族のマフーガ復活阻止の件は感謝しております。

 事前に復活を阻止してくれていたのですからな」

 

 ふしぎ風使いの時に関わった風の民の長老のイスゲイさん。

 事件発生時には関わらずマフーガが復活しないように処理してから、フーコ達の引き取り先として風の村においてもらえないか交渉しに行った時に知り合った。

 フーコ達の事情を説明する際にマフーガ復活の危機があったことも伝えたから、一応感謝されているのだが脅威が起きる前だったのでそこまで感謝されることでもないと思っている。

 

 呼び出す事になった三人の代表は全員地球の出身で、ノア計画に少なからず影響を受ける可能性がある人たちだ。

 地底暮らしのバンホーさんの所は影響が低いかもしれないが、知恵がほしかったので恩を利用する形で呼ぶことにした。

 他にも地球の人間で一般に関わりのない存在に海底人がいるが、彼らとは事件の時にも関わらなかったので呼ぶことはなかった。

 関わりが全くない上に水中にある海底では地底以上に影響はないだろうし。

 

「世間に関係は無くても、地球で暮らす皆さんに来てもらったのは他でもありません。

 僕が皆さんに関わりのある事件を解決したように、今回ちょっと厄介な事件の対処を行う事になりました。

 その事件の穏便な解決方法が思いつかず、皆さんにも少なからず影響のある事件になりそうなので解決案を模索するために相談に来てもらいました。

 まずその事件の概要を説明させてもらいます」

 

 

 

 僕は彼らに天上人の存在を明かし、彼らが行おうとしているノア計画の理由と目的を彼らに教えた。

 地上全てを洗い流す計画という荒唐無稽な話に三人とも絶句して目を見開いていた。

 

「地上全てを洗い流すとは、天上人は何を考えているのです!」

 

「地底に住む我々恐竜人に影響は少ないかもしれませんが、地上が丸ごと無くなってしまうのは無視出来る話ではありません」

 

「ノア計画……まさかノアジンの名を外の世界で聞くことになるとは思わなんだ」

 

 各自無視できない地上の大災害に驚きを隠せない中、長老だけは少し別の事を呟いていた。

 

「確か風の村の伝承のマフーガがかつての大洪水を起こしたのでしたね。

 外の世界ではノアの箱舟という伝承で大洪水は語り継がれて、そこから天上人の計画名にされたのでしょう」

 

「ノアジンはマフーガを封印した偉大な人物なのじゃが、これではノアジンが洪水を起こす存在に聞こえるのう」

 

「ハジメさん、マフーガとは何ですか?」

 

「そちらのご老人は我々とは違い普通の地上人のようですが、ハジメ様に呼ばれた以上特殊な事情があるのでしょう。

 天上人の計画と関係があるのでしたら、よければ教えていただきたいのですが」

 

「ただ単に名前の由来が繋がってるだけだよ」

 

 クンタック君とバンホーさんに風の村とマフーガの一件の事を説明する。

 マフーガはかつてノアの箱舟と言う名が生まれる大洪水を引き起こした存在であり、少し前に嵐族がそれを復活させようとして僕が事前に阻止した事を語った。

 

「ハジメさんはそんなこともしていたのですか」

 

「神の御使いである貴方様は人知れず多くの人々を救っていたのですね」

 

「あまり持ち上げないでくれるかな。 敬われる為にやってるわけじゃないんだから」

 

「わかりました」

 

 返事は良いバンホーさんだが、目が思いっきり眩しい物を見ているように輝いている。

 実際に多くの人々を結果的に救っているのは事実なのだから、無意味に嘘をついて否定も出来ないのだ。

 

「マフーガが復活していれば天上人の計画の前に地上が洗い流されていた可能性があるな」

 

「確かにそれは恐ろしい話ですね」

 

「流石はハジメ様です」

 

「せっかく危機は去ったというのに、今度は人の手で世界を洗い流そうとは……愚かな事じゃ」

 

 マフーガを生み出したのは呪術師ウランダーで人間なのだから、過去の大洪水を起こしたのは人と言えない事もない。

 

「それで皆さんに相談したいのは計画を阻止する穏便な解決方法です。

 僕もいろいろ考えたのですが、彼らの計画が個人ではなく国全体が主導してやっている事なので、国を丸ごと納得させられる様な方法でないといけません。

 何でも構いませんので意見を頂きたいんです」

 

 僕の要望を聞いて三人は頷き考えるしぐさを見せる。

 最初に案を提示してきたのはクンタック君だった。

 

「やはりまずは話し合いで解決を探るべきではないでしょうか?

 天上世界に行って対話をしてみる、それが平和への第一歩だと思うのです」

 

「間違いではないと思うけど、地上人であっても一個人の僕じゃ一般人の戯言として国としては簡単に無視されるだろう。

 国の意思決定としては何か実績を見せない事には動くことも止まることも出来ないはずだ。

 クンタック君も王様として、一個人の意見に確証もなく応える訳にはいかないだろう」

 

「それは……そうですね。

 では地上の国と天上世界の国の橋渡しをしてはいかがでしょう。

 お互いに知ろうとしないから争いが起こるのではないですか?」

 

「僕の存在は特殊だからあまり表に出したくはないが、穏便に解決出来る確証があるならそれでもかまわない。

 だけど地上が天上世界の存在とノア計画を知れば、敵意一色になって戦争が勃発しかねないと思う。

 逆に天上世界も地上に知られれば、慌ててノア計画を実行に移そうと先走るかもしれない。

 そういうリスクがあるから橋渡しをしただけじゃ、事態を悪化させることになりかねない。

 そこまでいけば後は力ずくで抑えるしかなくなる」

 

「戦争手前になって抑えることが出来るのですか?」

 

「クンタック君の事件を解決した頃よりずっと戦力が充実しているからね。

 つい先日も宇宙から来たロボット軍団を返り討ちにして母星まで殴り込みに行ったくらいだ。

 被害に目をつぶれば地上と天上世界の軍を纏めて相手にしても勝てるよ」

 

「そ、そうですか…」

 

 クンタック君は顔が引き攣っていたが、宇宙からの侵略があったことに驚いているのだろう。

 地球には気付かれない様に解決したので、秘境に住んでいるクンタック君達は当然知ることは無かっただろう。

 

「クンタック君も外の世界の国と交流するなら慎重にならざるを得ないだろう?

 話し合いだけで解決するには、天上世界の地上への悪感情が強すぎる。

 それを抑えるには彼らが納得するだけの何かが必要だ。

 それが思いつかないから困ってるんだよ」

 

「なるほど…」

 

 天上人が抱えている問題は地上人の環境汚染による被害のとばっちりを受けて、健康被害を受ける事態が起こっている。

 これを解決するには環境問題を解決する必要があるが、これは僕個人ではどう頑張っても解決出来る事ではないのでどうしようもない。

 現状の環境汚染はひみつ道具で解決出来ない事はないが、地上人が再び汚してしまっては意味がないので人間の活動を改善しないといけない。

 流石に車の排気ガスや森林伐採などの環境破壊に繋がる行動をそれぞれひみつ道具で改善して回るのはあまりに非現実的だし、そこまでしてしまえばひみつ道具の存在を隠すことが出来る筈もない。

 

 話し合いに持ち込む事は決して悪い事ではないが、何も提示出来ない以上会話だけで解決する事は出来ない。

 ひみつ道具で天上人の要望に応えられない事もないが、そうなればひみつ道具の露呈は確実であり更なる要望を持ってくるだろう。

 人の望みは尽きず、そうなればこっちは相手の願いを叶えるだけの願望器扱いだ。

 文化や技術的には進んでいるかもしれないが、ノア計画なんて考えて話し合いをせず滅ぼそうとするあたり、天上人もどこまで行っても人間と変わりない。

 自分勝手ってことだ。

 

「バンホーさんは何かいい案はないでしょうか?」

 

「フフフ、この程度の事、ハジメ様が心配なさる事ではありません。

 我々地底の恐竜人がハジメ様の憂いを取り除いてごらんに入れましょう!」

 

 バンホーさんは拳を握って宣言しながら立ち上がる。

 気合十分なのはいいのだが、具体的な案を語っていない。

 『我々』と言ったあたりから非常に不安を感じるのだが…

 

「それで、どのようにしてハジメさんの悩みを解決するのですか」

 

「お答えしましょう、クンタック殿。 そもそも私たち竜の騎士は…」

 

 語りだすバンホーさん。

 その口からは自身の役職である騎士の仕事から設立目的、そして映画の事件である六千五百万年前での地底世界の設立の話。

 恐竜人達はタイムマシンで過去に向かったことを聖戦と呼び、恐竜の絶滅の原因と戦う為にバンホーさん達竜の騎士は訓練を重ねてきたことを語った。

 絶滅の原因が隕石というどうしようもないことだったので、軍隊レベルの訓練は意味をなさなかったが、彼らが過去を確認したことに意味はあった。

 

 彼らも手に負えない天災その物には気にしておらず、不本意だが地底世界の始まりを作った事が神の意志であり、僕等を神の御使い扱いしたことで大体納得したらしい。

 地底で暮らす事を恐竜の定めとして、今後も地底で繁栄していくということで彼らの聖戦は幕を閉じたのだ。

 地底には環境問題もないしかなり広大な土地が広がっているので、天上世界の様に問題になることは当分はないだろう。

 

 少々話は長かったが、バンホーさんが過去での出来事を大よそ語り終える。

 他の二人も僕のやったことに目を見開いているが、今は別の問題があるので後にしてほしい。

 

「こうして聖戦は聖地の真実に辿り着き、我々は改めて地底を良き国にしようと神と御使い様に誓ったのです」

 

「あの……ハジメさんとバンホーさんの関係はよくわかりましたが、問題の解決策は語られていませんよ」

 

「おや、すいません。 聖地誕生の神話は今地底で引っ切り無しで語られておりまして。

 目撃した私もこの感動を、少しでも多くの人に広めねばと少し興奮し過ぎてしまいました」

 

 大したことではない……とは言い切れない事をやったが、新興宗教の教祖に祭り上げられた気分だ。

 とても地底に行く気になれん…

 

「なにが言いたいかと言いますと、ハジメ様が御困りでしたら我ら竜の騎士一同、何処へでも参上する所存に御座います。

 御使いの御心を救う事こそ、まさに我らに課せられた使命であり新たに掲げられた聖戦の狼煙!

 天を語る愚か者など我らの槍で貫いて御覧に入れましょう!」

 

「や・め・て!」

 

 何を言ってるんですか、このバンホーさんは!

 映画では沈着冷静で異種族とはいえ大人の対応をしていた人なのに、まるで落ち着きを感じさせていない。

 言ってることは忠義に厚い騎士っぽいけど、半分質の悪い狂信者の妄言にも聞こえるよ!

 

「穏便な解決方法を相談したのに、なんで地底人参戦なんてことになってるんですか!」

 

「しかし我らにとって大恩あるハジメ様の御心を乱す輩は放っておく訳にはまいりません」

 

「恐竜人の人達は地底で良い国にするために穏やかに暮らしていくんでしょう。

 無理に外様の問題に槍を振り回さないで、国の為に振ってください。

 解決法の相談にだけ乗ってほしかったんですから」

 

 相談に乗ってくれるだけにしてくれと言ったつもりだったが、僕が言い切るとバンホーさんがなぜか目元を抑えて泣き出す。

 

「慈愛の心で我らの祖先の為の世界を作ってくれるだけでなく、今を生きる我らの国を想ってくださるとは!

 恐竜人を代表して改めて感謝の意を申し上げる」

 

「(こんなにメンドクサイ人だったかな…)」

 

 滂沱の涙を流しながら騎士風の礼をしているバンホーさんに呆れる。

 こっちを敬い過ぎて、逆に話が成立しない。

 軍団長さんや祭司長さんよりはマシな筈だったんだけど…

 

「村長さんは何かいい案はないですかね」

 

「期待に応えたいのは山々なんじゃが、ワシも長生きはしているつもりでも外の世界を知らない世間知らずですじゃ。

 村の長とは言え閉塞な小さい村です故、そちらの王様や騎士殿ほどの知恵を持ってはおりません」

 

「そうですか…年配の方の知恵を借りれないかと思ったのですが…」

 

 閉じた村の村長さんでも、年の功で何かいい考えが聞けるかと思ったのだが…

 

「ところでお聞きしたいのですが、もし天上人がノア計画を実行に移してもハジメ殿は穏便でない方法でなら止められるのですかな?」

 

「え、ええ。 手段を選ばなければ止める方法などいくらでも用意してますよ。

 穏便な手段が思いつかなかったとしても、ノア計画で地上を洗い流させませんのでご安心を」

 

 影響の少なそうなバンホーさんの所の地底はともかく、風の村もバウワンコも一応地上だ。

 地上全てが洗い流される懸念は払拭しておいた方が良いだろう。

 

「それでしたら安心ですの。

 であれば、後はハジメ殿の好きなようにやられるのがよろしいかと」

 

「え?」

 

「かつて我々の祖先のノアジンはマフーガを倒し大洪水を収めましたが、今度の大洪水は住む場所は違えど多くの人の意思の元に行われるもの。

 辺境の村の村長でしかないワシには、とても手に負えるような話ではありません。

 例えノアジンがいたとしても止められる事ではないのでしょう。

 ですのでハジメ殿。 地上が再び大洪水で流される可能性があるというのなら、ワシ等はそれを止められるというハジメ殿の言葉を信じてただ待ちましょう」

 

 村長さんはまっすぐ僕を見ながら全てを委ねるという。

 彼らとはマフーガの復活を阻止した後の報告とフーコ達を預けたくらいで、大した交流はなく信頼関係と呼べるものはないはずだ。

 なのに村長さんの目は本気で信じると言い切っている。

 

「なぜそこまではっきりと信じられると言い切れるのですか?

 風の村との付き合いはそれほどでもないし、僕が失敗する可能性を考えないのですか?」

 

「確かに失敗は恐ろしい事ですが、ワシ等に何も出来ない以上何を言っても仕方ない事ですじゃ。

 なぜ信じられるのかはハジメ殿がまるで不安を感じていないからじゃ」

 

「いえ、結構悩んでいるんですけど」

 

「それは天上世界にどういう対応をするかでしょう?

 ワシ等にとって重要なのは大洪水を止められるかどうかで、天上人の事情を考えている余裕はない。

 大洪水その物を大して気にせず、相手の事を考えていられるのは余裕のある証拠じゃ」

 

 確かに彼らからしたら重要なのは大洪水を防ぐことで、天上人にどう対応するかなど二の次だろう。

 そういう意味では大洪水の対処法を既に準備し終えている僕は余裕があると言ってもいい。

 

「大洪水を起こすという者達と、それを平然と止めるというハジメ殿。

 ワシには手に余る正に雲の上の話過ぎて、天上人と言われてもピンとこんのです。

 ただ切欠は地上人が原因とはいえ、世界を纏めて洗い流してしまおうというのはやり過ぎだとはワシも思います。

 話し合いをするにしても一度ガツンッとやってしまってもよいと思いますぞ」

 

「私もイスゲイ殿に賛同します。

 天に暮らして思い上がっている天上人共をハジメ殿の威光で平定するのです!

 ハジメ様がご命令くだされば何時でも軍を動かします」

 

「いえ、戦力は十分ですからバンホーさんの所は下手に動かないで!」

 

「確かに地上を全て洗い流そうとする人達なら、話し合いで終わらせるにしても一悶着は確実にありますね。

 穏便に解決するにしても力を見せるのは必要かもしれません」

 

「クンタック君まで…」

 

 穏便に解決する手段を相談したつもりが、逆に過激な手段を使う事を諭され始める。

 こうして平和な解決手段ではなく、いかに力を見せて天上人を脅すかという過激な話にシフトしていき、最終的に僕自身もその方が手っ取り早いと諦めた。

 何事も暴力で解決するのが一番だ、という言葉は誰のセリフだったか…

 

 

 

 

 




 実は今回の話に、出会った中で一番権力者としての力が強いパピ君を招待する予定でしたが、地球の問題として参加は控えてもらいました。
 本当は今回の話を書いた時にパピ君を出す事を忘れていただけかもしれませんが、この話の執筆が完了して長いので正直もう覚えていません。
 今回の連続投稿の誤字修正で作品を見返している時に、今回の話にパピ君を登場させるの忘れたなと思い出しました。
 書いていた時にもしかしたら別の理由で出すのをやめたのかもしれませんが、ホントにもう覚えていません。

 今回の話が最後の事件になるのですが、地球内の事件ですので遠慮なしにMSの全戦力を投入して大暴れという訳にはいきません。
 余り暴れすぎると地上に気づかれるという欠点があるからです。
 解決策として原作鉄人兵団のように天上世界誕生その物を無かった事のしてしまうというのもありますが、前に語った通り全てを無かった事にするのは最終手段という事で使いません。
 それでも結局乱暴な解決手段になるんですがね。

 ともかく今回の事件で劇場版事件は終了となります。
 はっきり言って落ちが無いような気がするのですが、ひみつ道具無双し過ぎてグダグダになってしまうからです。
 山あり谷ありがあるのは面白いですが、チート物なら最後までハラハラせず安心して読める方が自分は好きです

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