ドラえもんのいないドラえもん  ~超劇場版大戦 地球は何回危機に遭う~   作:ルルイ

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始めてしまいましたが、気まぐれで書き始めたものです。
とりあえず中編ですが、グダグダな結果で終わるかも


プロローグ

 

 

 

 

 

 人生いろんなことがある。

 現代人、普通に生きていれば小学校に入り、中学校に入り、高校にも入るだろう。

 そんな中で勉強をして、部活をして、友人を増やしたり、恋人を作ったりすることもあるだろう(自分はないが…)

 

 いい事ばかりではなく時には喧嘩をしたり、失敗をしたり、事故にあったりすることもあるだろう。

 だがどんな些細なことでも青春の一ページであり、重要な経験だと僕は思う。

 何が言いたいかと言うとだ…

 

 

 

 ある日、突然子供の姿になっているということがあっても可笑しくない訳だ。

 

 

 

 

 いや、おかしいよ!?

 これまで何度もこの状況を自問自答している。

 コ○ン君でも『ドクヤクヲノマサレ、メガサメタラ…』体が縮んでしまっていたっていう過程があるんだから。

 僕だってもうちょっと何かあっただろうと、思いつく限りの手段で思い出そうとしてみたが、事前事後の間に起こったことが全く分からない。

 

 それも数年も経てば、少しずつ気にならなくなってくる。

 ああ、先ほどは子供になっているといったが正確には気づいたら赤ん坊だった。

 自分の状況を理解した時には、乳幼児で母親らしき女性に抱きかかえられていた。

 某名探偵に例えてしまったので、彼と同じくらいと勘違いさせてしまったかもしれない。

 

 うん、赤ん坊になっていると自覚した時には真っ先に転生したのだと思った。

 事実そうなんだと思う。

 何せ親と思われる人物は前世(・・)の親とは違うから、時間逆行したというわけじゃない。

 かと言って、こうなる前の自分が死んだ記憶は全くない。

 突然事故に遭ったということもたぶん無い。

 

 だからこそ何度もこうなったのか考えては結論が出ないまま時間が過ぎていき、今では五歳の誕生日を迎えてしまっている。

 すなわち生まれ変わって五年も経っているわけだが、ちょっとショッキングな出来事が今世に起こって再度人生を思い返した。

 

 

 

 今世の現状を言うと、環境は前世と特に変わっていないんだ。

 つまり転生はしたが現代の地球の日本と特に変わりのない、剣と魔法のファンタジーな世界という訳ではない。

 ただ時代が二十世紀から二十一世紀になったばかりなので、過去に戻ったのか前世によく似た平行世界だと思っていた。

 

 更に転生したと理解して落ち着いた後に、何か特典でもないのかと自身を調べた。

 こうなる過程を覚えていないので神様に会ったことも覚えがないのだが、転生したのだから何かあってもいいのではないかといろいろやって調べた。

 間違いなく赤ん坊がやったら奇行としか思えない行動もあったので、親に見られていないのを確認しながらだったが。

 どういう風に調べたかは、まあ厨二的としか言えない。

 

 結果としてはアブナイ厨二的な能力が発現することはなかったが、チートな能力に気が付いてしまった。

 

 気付いたのは生まれ変わって一年くらいが経った頃で、さすがに能力は無いのかなと諦めかけていた頃に親に着せられたポケットに手を入れたら、幼児服のポケットのサイズ的に不自然なほど大きな物を取り出せた。

 手にしていたのは全体的に黄色い半球体の土台の付いた竹トンボ。

 一目で解るそれは【タケコプター】だった。

 

 それからポケットを確認してみれば、絶対に入りきらない幼児服のポケットから出るわ出るわの秘密道具のオンパレード。

 幼児服が四次元ポケットなのかと思ったが、さらに試してみれば僕が手を突っ込んだポケットが四次元ポケットになるのだと気が付いた。

 間違いなくこれはチートだろう。

 

 なにせ有名な道具だけでも物理法則を無視したようなことが出来るし、本来四次元ポケットには入っていないタイムマシンの代わりになるような道具もあって時間移動も出来る。(ちなみにタイムマシンも入っていた)

 そんな道具が把握出来ないほど入っていて、思いつく限りのことが出来そうなのだ。

 正直喜ぶところだが、少し怖くなってしまったくらいだ。

 

 とはいえまだ子供なので、親に見られない時間というものがそれほどない。

 ある程度大きくなって自由に行動出来るようになるまでは、多用しないように控えた。

 生まれ変わった経緯を調べるために使ったりもしたが、それでも大きく動いてはいない。

 まあ、公に出来ないことには変わりはないが。

 

 つまり現状は現代社会に生まれてファンタジーなし。

 転生特典は四次元ポケットで道具チート。

 まだ子供だから自由が少ないので多用はなし。

 ショッキングな事件で現状整理←今ここ。

 

 というわけだ。

 

 

 

 現状整理で忘れかけ…落ち着くことが出来たが少々問題が起こったんだ。

 それこそ秘密道具を多用しなければいけない事件が…

 

 正確には事件は起こってはいないが前兆に気づいてしまった。

 それは親と見ている朝のTVのニュースだった。

 

『宝島が発見されました』

 

 宝島なんてほんとにあるんだなーと最初は思ったが、このセリフにどこか既視感を覚えた。

 どっかで似たようなニュースを聞いたようなと思ったが、その時はまだ思い出せなかった。

 だがまた別のニュースで…

 

『黄金を積んだスペイン船が発見されたとのことです。

 しかし引き揚げ作業に入ろうとしたところ、不思議な事にスペイン船は一夜にして消えてしまったそうです。

 専門家の話では…』

 

 うん………またどこかで聞いたような気がする。

 今度は既視感と一緒に危機感、嫌な予感がしてきた。

 ひみつ道具を使えば確認出来るような気がするけど、開けたら大変なことになる玉手箱のようなパンドラの箱のような…

 

 気にはなるが関わりたくない気がしてならない予感に悩んでいると、また別のニュースで、

 

『密猟を警備にあたっていたパトロール隊が、象の群れが飛んで雲の中に消えていくのを見たと話題になっています。

 幻覚か夢ではないかと思われますが複数の目撃者がおり、確認されていた動物の群れがいくつも行方不明になっていることから密猟者との何らかの関係が…』

 

 ………思い出した。

 一つ思い出したら、そういえばこんなことあったなと関連のある事がすべて思い出せた。

 これらのニュースって確かドラえもんの劇場版の話にあったことばかりなのだ。

 

 つまり劇場版で起こることがこの世界で起こっているってこと。

 それにこれらのニュースは一つの映画での話じゃなくて別々の話。

 そうなると他の劇場版の話も現実に起こってても可笑しくない。

 

 その上劇場版のいくつかの話は、地球が割と大変なことになりかねないものもある。

 最後のニュースに関連する話も事態が進行したらかなりやばい。

 ともかくここまで確信があると確認せずにはいられない。

 

 親から隠れてひみつ道具を使う。

 こういう時に必要な道具となると………あれだな。

 僕はポケットからひみつ道具を取り出す。

 

「【○×うらない】~!」

 

 誰も聞いていないから言ったが、この出し方はお約束だ。

 

 ○と×を象っただけのこの道具は、あらゆる質問に○か×で答えてくれる道具だ。

 しかも占いと言いながら的中率は100%で正確に答えてくれる。

 これも劇場版竜の騎士で登場した道具だが、かなり便利に思えたので覚えていた道具だ。

 

 ひみつ道具を出す能力のおまけなのか、出した道具の使い道が何となく頭に浮かぶ。

 おかげで使い方に困らないが、すべての道具を把握出来ているわけじゃない。

 手にしないとわからないから、出してみるまでは知らない道具とかもたくさんある。

 一個ずつ出してから確認しているのでかなり手間取っているが、今は必要なものがわかるのでどうでもいい。

 

 この○×うらないなら質問を重ねれば詳しいことがだいぶわかるはずだ。

 まずはこの世界の根本的なことから。

 

「この世界はドラえもんの世界である?」

 

 ×『ブッブー!!』

 

 ×のマークが間違い音と共に上がった。

 質問にはマークが浮き上がって答える。

 

 質問して気づいたがドラえもんのストーリーの世界なのか、ドラえもんの存在する世界なのかわからない。

 あくまで正否のみで答えるから、この道具は認識違いを起こしやすい。

 

 竜の騎士の話で使用されたときも『地上に恐竜は存在する?』の質問には×と答えたが、地底に恐竜が存在していたので『世界或いは地球に恐竜は存在している?』と質問していたら○と答えていただろう。

 それくらい質問する側が気を付けなければ正否に拘る、便利だが融通が利かない道具なのだ。

 

 それを踏まえて再度質問をする。

 

「この世界に、いや今の時代にドラえもんは存在している?」

 

 ×『ブッブー』

 

『では、過去か未来にドラえもんは生まれている、あるいは存在している?』

 

 ×『ブッブー』

 

 つまりこの世界の未来ではドラえもんは生まれていないということか。

 ちょっと残念な気がするが、もしもの時あてには出来ないことはわかった。

 次は現状の再確認だ。

 

「僕の見たニュース、それはドラえもんの劇場版の話と関わりがある?」

 

 ○『ピンポーン』

 

 やっぱりか…

 

「その話はそれぞれ南海大冒険、海底鬼岩城、雲の王国である?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「…これらの話に関わる事象は現在進行中である?」

 

 ×『ブッブー』

 

「ん?」

 

 どういうことだ?

 話通りだとしたらかなりヤバイ事になるんだが、やっぱり何か違うんだろうか?

 まずドラえもんがいないんだから、存在しないからこそ起こらない劇場版の話なわけだし…

 そもそも未来があるのかすら………もしかして。

 

「ドラえもんが存在する未来、未来デパートとかタイムパトロール、未来からくる時間犯罪者は存在しない?」

 

 ○『ピンポーン』

 

 そういうことか。

 南海大冒険の事件の黒幕は時間犯罪者。

 未来でドラえもんが生まれないというよりは、その未来が存在しない。 

 だから同じ未来からくる存在がいないから、それに関わる南海大冒険なんかの事件も発生しない。

 ニュースでやってた宝物くらいは、時間犯罪者がいなくても変わらずそこにあったんだろう。

 

「南海大冒険…いや、時間犯罪者が起こす劇場版の事件は発生しない?」

 

 ○『ピンポーン』

 

 ちょっと安心した。

 いくらひみつ道具があっても、同じ物持ってる奴らなんか相手にしたくない。

 タイムパトロールが来てもひみつ道具を持ってる現状をどう説明すりゃいいって話だしな。

 まあ、それだけで全部安心できるわけじゃないが…

 

 きっぱり確認してしまおう。

 細かいことは少しずつ確認すればいい。

 

「確認するけど、ドラえもん達を含めた未来人が関わらない劇場版の事件は存在する?」

 

 ○『ピンポーン』

 

 ドラえもん達を含めたのは、彼ら自身が切欠に起きた事件もあるからだ。

 残るのは未来人が関わらなくても発生する事件。

 

「地球、いや地上文明はこのまま放っておいたら壊滅、あるいは全滅する?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「それは何回も?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「地球が滅亡することもあり得る?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「大戦争になりえる?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「劇場版の敵勢力と敵勢力がぶつかりあったり?」

 

 ○『ピンポーン』

 

「………すべての事態に対処できるのは僕だけ?」

 

 ○『ピンポンピンポンピンポーン』

 

 なぜ最後だけ気合を入れて三連続…

 だがまあやっぱり予想通りってことだ。

 

「つまり地球がヤバイ、ってことだよな」

 

 それを僕が対処しないといけないと…

 どうしようもないなら逃げるなりして諦めがつくが、ひみつ道具でどうにかならないこともない気がするのが嫌になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球がヤバいというのはまあ確信したが、どの劇場版の話が実際に起こっているのか一つ一つ調べてみる。

 劇場版の話を事細かに覚えているわけではないが、殆どの話は子供の頃から何度か見ている。(当然前世の話で、この世界にはドラえもんの話は存在していない)

 それでも歴代の映画を全て思い出せと言われて直ぐに思い出すわけではないので、ひみつ道具を使って思い出してみる。

 

【記憶映写とんかち】【記憶とりだしレンズ】【記憶掘りだしビデオ】

 

 記憶に関する道具を探してみたら出てきた道具だ。

 記憶映写とんかちは、これで頭を殴ると忘れてしまった記憶が目から映写機のように出てくるらしいが、頭を殴るから痛いうえに狙った記憶がうまく出てこないのでいまいち使えなかった。

 記憶とりだしレンズは、思い出したい記憶を思い浮かべるとそれが脳裏に鮮明に浮かび上がるので、映画の全てのタイトルをしっかり思い出すのに役立った。

 記憶掘りだしビデオは、対象の頭の中から記憶をチェックして録画再生したりして視聴出来る道具だった。

 前世と脳が違うから引き出せないかと思ったが問題はなく、これが一番役立って劇場版のそれぞれの内容をしっかりとした動画で記憶から回収することが出来た。

 

 生まれ変わる前後の記憶もこれで調べてみても手掛かりは得られなかったが、劇場版の必要な情報は全て思い出すことが出来た。

 そして○×うらないを使ってそれぞれの劇場版の話が何時起こるのか明確にしてみた。

 

 

 

・のび太の恐竜:のび太も当然居らず、敵役の時間犯罪者もいないので発生せず(ぴー助の卵の化石はある)

・宇宙開拓史:一昨年

・大魔境:昨年

・海底鬼岩城:今年

・魔界大冒険:【もしもボックス】を使わなければ発生しないが、昨年

宇宙小戦争(リトルスターウォーズ):来年

・鉄人兵団:今年

・竜の騎士:来年

・パラレル西遊記:【タイムマシン】と【ヒーローマシン】を使い間違えなければ発生しない

・日本誕生:敵役の時間犯罪者がいないので発生せず、ヒカリ族の日本移民も行わなくても歴史に変化なし。

・アニマル惑星プラネット:一昨年

・ドラビアンナイト:しずかちゃんもいないので発生せず、シンドバットも未来人がいないので宮殿を貰っていない。

・雲の王国:来年

・ブリキの迷宮(ラビリンス):去年

・夢幻三剣士:【気ままに夢見る機】と夢幻三剣士のカセットはポケットに入っていたが、現実に影響はないので問題なし。

・創世日記:創世セットを使わなければ発生しない筈だが、占いが発生すると出た(未来の僕が使うということだろうか?)

・銀河超特急(エクスプレス):銀河超特急の舞台自体がないが、敵対勢力は存在している。

・ねじ巻き都市(シティー)冒険記:今年(ただし僕が都市を作らなければ発生しないし、敵役の犯罪者も既に捕まっているらしい)

・南海大冒険:敵役が時間犯罪者なので発生しないが、宝物はある。

・宇宙漂流記:今年

・太陽王伝説:過去の時代の話なので何時とは言えないが、手を出さなくても歴史に変化はない。

・翼の勇者達:舞台となるバードピアが未来人に作られるので発生しないが、世界は存在している。

・ロボット王国(キングダム):来年

・ふしぎ風使い:今年(時間犯罪者が敵役にいるが、大して変わらない話になる)

・ワンニャン時空伝:去年(ただし要因となる野良犬野良猫がいるだけで、僕が手を出さなければ事件は起きない)

 

 

 

 …内容を纏める途中で気づいていたが、事件が起こってる真っ最中じゃないか!!

 僕まだ5歳だぞ、のび太だって10歳だったんだからもう少し時間に余裕があってもいいじゃないか!!

 ていうか、いくつか既に手遅れって、どうなってるんだ!?

 手遅れになってる事件は、現代社会に大きく関わらない気がする話だから大事になってないんだろうけど、今年発生する海底鬼岩城や鉄人兵団なんかかなりまずい。

 鬼岩城からは核ミサイルが飛ぶわ、宇宙から世界各国の都市にロボットが進行するわの、世界大混乱間違いなしの事態だ。

 

 運がいいというかご都合主義ではあるが、ドラえもんたちは突発的な事態によく対処出来たよな。

 まあある程度は映画通りに対処すればどうにかなるだろうが、それでもいろいろ準備がいるだろう。

 

 

 

「さてどうするか…

 まずこのまま親の保護下にいたんじゃ、ろくに準備も出来ない。

 あまり使うつもりはなかったけど【コピーロボット】とかの代理を用意して、どこか準備を行う場所を探さないと。

 やっぱり【入りこみ鏡】を使って鏡面世界で準備をするか。

 そこまで広い場所はまだいらないし、【壁紙ハウス】をどこかに貼ってその中で…

 ああー!! どれにしても時間がない~!!」

 

 そう重要なのは時間だ。

 今年起こる事件でも今すぐ事件が起こるわけじゃないだろうが、それでもいくつかの問題にまとめて対処しなくちゃいけない。

 一つの問題にどれくらい時間をかける事になるのかわからないのに、さらにほかの問題にも同時に対処しなければならない。

 

 そもそもドラえもん達が解決した手段が通用しない可能性が高い問題もあるんだ。

 対策もいろいろ考えなきゃならないだろうし、いろいろ準備するにも僕一人だけじゃひみつ道具があっても一度にやれることに限界がある。

 

「なんでこんないきなりな事態になってるんだ!!

 もうちょっと早く気付いてれば、こんなに慌てることもなかったのに。

 今から対処しても間に合うかどうかわからないし、一人じゃとても手が足りない!!

 いくらひみつ道具があるからって、時間も人手も作ることなんか………」

 

 

 

 ………あれ、もしかして。

 作ればいいんじゃないか?

 人手も時間もひみつ道具の力を使って。

 

 時間の問題はタイムマシンで余裕のある時代まで戻って、そこで可能な限りの準備をすればいい。

 人手なんかはさっき挙げたコピーロボットみたいな人の働きをするロボットを用意すればいい。

 そういうひみつ道具はたくさんあったし、足りないなら【フエルミラー】で数を増やせばどうにでもなりそう。

 

「まるでドラえもんみたいな慌て方をしたな」

 

 落ち着いて考えれば、どんな事態もひみつ道具で大抵どうにかなる。

 ドラえもん達が作中では慌てるような事態でも、視聴者側からはひみつ道具でこうすればいいと思うことはよくあった。

 慌てると本当に気付かないものだな。

 

「さっそくタイムマシンで10年くらい前にいこう。

 それくらいの時間があれば十分だろうし、すでに起こってる劇場版の事件も対処できる」

 

 すでに起こっている事件も対処出来るならどうにかしたい。

 大騒動になりかねない事件ばかりとはいえ、劇場版の話は全部思い入れのあるものばかりだからな。

 もしかしたら手遅れだと思っていた事件も、過去に戻った僕が事件を解決しているから現在に影響が出ていないのかもしれないし。

 

 僕はコピーロボットを取り出して鼻のスイッチを押す。

 するとコピーロボットは姿を変えて僕と同じ姿になった。

 

「それじゃあ少しの間、僕の身代わりをしてくれ。

 ある程度落ち着いたらタイムマシンで少し後の時間に戻ってくるから」

 

『うん、わかった。 いってらっしゃい』

 

 僕と同じ声で答えるコピーロボット。

 能力や人格、記憶をしっかりコピーするのだが、うっかり鼻のスイッチをもう一度押すと元に戻るなどの欠点が複数ある。

 ドラえもんが出した時も元々の出典でのパーマンでもよくそれで問題を起こしてたらしいから、あまり長い間あてにはしたくない。

 まあタイムマシンで過去に戻った数分後くらいに戻れば、過去にどれだけいてもコピーロボットに任せる時間は短くて済む。

 

「最初はどうなるかと思ったけど、何とかなりそうだ」

 

 安堵の笑みを浮かべながら、僕はタイムマシンを操作して十年前の過去へ向かった。

 劇場版の事件を余裕をもって解決するために。

 

 

 

 

 


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