孤高の牡牛と星の灰被り姫 【完結】   作:シエロティエラ

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ようやくひと段落着いたリアル生活。
では更新します。




俺に立ち向かう全てを/息をひそめて、淋しさにたえたのなら

 

 私は朝から良太郎と繁華街へと出かけていた。兄の侑斗は今回単独行動を…いや、デネブがいるから単独じゃないね。

 そんなわけで今はとあるお土産屋さんにいる。

 

 

「お母さんにはこれでいいかな?」

 

「あっ、これなんか叔母さんにどうかな?」

 

「ええ~? 良太郎センスなーい」

 

「おろ~?」

 

 

 お母さんにお土産を買うために品定めをしてるんだけど、どうしてこう、良太郎は美的センスがないのかなぁ。なんでそんな不細工な置物をたのむかなぁ。お母さんにだったらこのコーヒー豆のほうがいいに決まってる。

 支払いを済ませ、二人で近くのレストランに入ることになった。私たちの入ったレストランはご当地限定メニューが存在するため、二人してそれを注文した。料理が来るまでの間、しばらく良太郎と談笑していると、私たちの近くの席に一人の凛とした女性と、見たことのある二人の女の人が座った。

 どこかで見たような…

 

 

(ねぇねぇ良太郎。隣の人たち…)ヒソヒソ

 

(うん…僕も見覚えがある)ヒソヒソ

 

(どっかの有名人かなぁ)

 

(さぁ、わからない)

 

 

 良太郎とヒソヒソ声で話していると、私たちの料理が運ばれてきたので、隣の三人組を気にしつつも料理を食べ始めた。と、そこに件の三人組から会話が聞こえてきた。

 

 

「ふむ、たまには現場を見てみるものだな。報告書だけでは把握できない部分も理解できる」

 

「そうですか」

 

「それにさっき武内から連絡がきたが、アナスタシアと新田。鷺沢を呼びに行った際、お前たちの恩人に偶然出会ったらしい。これからこちちに来るそうだ」

 

「それは本当ですか、専務!?」

 

「ユウトさんも、いるんですか?」

 

 

 ユウト? へぇーこの二人って、一度ユウトって人に助けられたんだ。偶然だと思うけど、侑斗と同じ名前だね。って、

 

 

(ちょッちょっと良太郎!?)

 

(ん? どうしたの?)

 

(隣の二人、346のアイドルだよ!? で凛とした人は346のボスだよ!?)

 

(え”!? そ、それ本当?)

 

(間違いないよ!! いまアナスタシアと新田って言ってたし、その名前であの外見と声って本人だよ絶対!!)

 

(…そういえばライブで見たことがあった)

 

 

 ま、まさかこんな旅行先で有名人に出くわすことになるだなんて、私一生分の運を使っちゃったのかもしれない。

 

 

(ねぇ、サインもらえるかな?)

 

(駄目だよ。もしかしたらプライベートで来てるかもしれないし、控えておこう。少なくとも向こうから話しかけられない限り)

 

(ちぇっ)

 

 

 良太郎に注意されたから渋々我慢する。まぁ言ってることは正論だから仕方がない。でもマナーがなってないのは自覚してるけど、話をちょっと聞くだけならいいよね。

 

 

「アーニャちゃんはオフの日に一度会ってるんだよね?」

 

「Да!! そのときお家のカフェにも招待されました!! 他にもデネブさんやモモさんとも出会いました」

 

「そうか。なら私も顔を合わせるとするか」

 

「専務が、ですか?」

 

「無論だ。346(うち)のアイドル、お前たち二人が助けられたのだ。お礼をするのが普通だ」

 

「専務も、きっとユウトさんを気に入ります」

 

 

 隣の三人は楽しそうにはなしを続けている。というかそのユウトって人、アナスタシアさんに相当気に入られいているなぁ。その人の話をするとき、若干うっとりとしてたし。

 

 

(ね、ねぇハナちゃん)

 

(ん? どうしたの)

 

(い、今ね? とっても聞き覚えのある名前が聞こえたんだけど…)

 

(え? どういうこと?)

 

 

 聞き覚えのある名前? そんなの一言も……あ。ああ!?

 

 

「す、すみません!! 今デネブに会ったと言いました!?」

 

「ええ!? な、なんですか!?」

 

「す、すみません!! とても聞き覚えのある知り合いの名前が聞こえたもので」

 

 

 思わず身を乗り出して声をかけたことを謝りつつ、デネブに関する情報を照らし合わせていく。そして桜井家の家政婦と化しているデネブイマジンと合致した。

 

 

「おデブちゃん、何してるのホント? 家に招いて、剰えデネブキャンディ―を配るなんて、良く侑斗に技をかけられなかったものね」

 

「あはは…まぁデネブらしいね」

 

 

 私と良太郎が二人合点していると、専務の人が声をかけてきた。

 

 

「話を聞く限りでは、君はこの子らの恩人の関係者みたいだな」

 

「たぶんそうです」

 

「ユウトって人は多分うちの兄かと」

 

「ユウトさんの、妹ですか?」

 

「ええ、そうで『キャァァァァァアアアア!! 怪物ゥゥゥウウウ!!』!? 怪物!?」

 

 

 突如外で悲鳴が上がり、次いで大きな衝撃が伝わった。窓の外で舞う砂塵の隙間に目を凝らすと、そこには蜘蛛っぽい特徴を持った怪物のような存在が雄たけびを上げていた。

 

 

「み、ミナミ。あれは…」

 

「ライブの時と…同じ…」

 

「なに!? ライブの時あれがでたのか!?」

 

 

 おデブちゃんの胸元と同じような模様を全身に入れた怪物はところかまわず攻撃を仕掛けていた。ここに攻撃が来るのも時間の問題だろう。

 

 

「三人とも、伏せてください。そのほうが少しは安全です」

 

「どうやらそのようだ。二人ともふs『オラァ!!』なんだ!?」

 

「えっ、侑斗!?」

 

「ユウトさん!?」

 

 

 窓の向こうで何かを殴る音が聞こえ、そちらに目を向けると信じがたい光景が目に入った。我が兄、桜井侑斗が妙なベルトを着けて怪物を殴り飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 町で暴れていたのはスパイダーイマジンだった。前世では俺の酷い戦い方で苦戦してしまったが、二度も同じ轍を踏まない。

 

 

「二度目の相手だ」

 

「何言ってんだてめぇ!! 俺の邪魔をするな!!」

 

「やかましい!! 変身!!」

 

≪Altair form≫

 

 

 ベルトにカードを差し込み、変身を完了させると同時にボウガンで数発撃ちこむ。

 

 

「最初に言っておく!! 俺はかーなーりッ強い!!」

 

「既に攻撃してるだろ!?」

 

「やかましい!!」

 

 

 更に数発打ち込み、ゼロノスガッシャーを剣に変形させる。そして奴の起き上がりざまに数発斬りつける。

 

 

「この、舐めるなぁ!!」

 

 

 スパイダーイマジンが糸を飛ばしてくるがそれを避ける。俺の後方に人がいないのは確認済み、被害が広がる心配はない。というよりだ。

 

 

「二度も同じ手は食わないと、そう言っただろう!!」

 

「な、何故あたらないんだ!?」

 

「てめぇのやり方で、こっちは一度痛いめを見てるんだよ!!」

 

「ゴバァッ!?」

 

 

 更に数撃叩き込み、奴を吹き飛ばす。毒針を三本ほど飛ばしてきたが、手に持つ剣ではじく。以前はデネブに助けられたが、今回は一人で対処する。冷静に的確に、更に飛ばしてくる毒針を確実に薙ぎ払う。

 

 

「なんだよ…なんなんだよ、おまえ!!」

 

「貴様に名乗る名前はない」

 

「くっそぉ!!」

 

 

 自棄になったのか、毒針と糸を連射してくる。流石に剣で薙ぎ払うのは難しくなり、果たして剣に糸が絡みついて動かすことができなくなった。

 

 

「ケヒャヒャヒャヒャッ!! 俺を馬鹿にするからだ!!」

 

 

 右手に持った剣を動かそうとしたが、やはり動かない。このままでは、毒針にやられるだろう。デネブがまだ来ていないが仕方がない。

 

 

「死ねぇ!!」

 

「まだだ!!」

 

≪Charge and Up≫

 

 カードを差し直し、ゼロフォームへと変化する。緑の鎧は変色し、錆び付いたような赤銅色に変わった。それを利用しガッシャーを再びボウガンにし、奴の放った毒針をすべて撃ち落とす。目の前で起こったその光景に呆然とするスパイダーイマジン。

 

 

「悪いな。まだ死ねない」

 

「き、貴様…」

 

「さっさと終わらせる」

 

≪Full Charge≫

 

 

 エネルギーをチャージしたカードをガッシャーに差し込み、狙いを定める。

 

 

「ま…待て‼?」

 

「オォォォォォオオオオッ!!」

 

 

 引き金を引き、圧縮されたエネルギー談をイマジン向けて射出する。弾はそのまま直進し、イマジンを貫いた。

 

 

「……ふう」

 

 

 一度は不覚をとったスパイダーイマジン。今回もゼロフォームを使うことになった。俺は、まだまだのようだな。さて…

 

 

「侑斗、これどういうこと?」

 

「君はいったい…」

 

「ユウトさん、こんにちわです」

 

 

 一人マイペースな奴を除いて、どう説明するかな。

 

 

 

 




五日ぶりでしょうか?
まぁ何とか課題をこなしてようやく一段落したところです。
次はハリポタを更新しますね。




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