一体彼らは何なんだ?
たったあれだけの人数で立ち向かってるのかい?
ここって日本の会議場だよな?
クレイジーだぜ、よく立ち向かえるなぁ
これって実は自演なんじゃね?
馬鹿言うなよ、演技だったら全世界の回線を全く同時にジャックできないだろう?
「はあ!!」
「トゥアッ!!」
「タアッ!!」
拳の足の、一撃一撃に夢を希望を乗せて、ライダーたちはショッカーに挑む。ただ上に命じられるがままに、闘争本能に従うままに戦う構成員や怪人たちに、俺たちライダーが負ける要素はない。
何度も拳を叩き込み、何度も蹴りを繰り出し、何度も剣で切り裂き、何度も銃で撃ちぬく。どんなに構成員や怪人が増員されても、それを上回るスピードで俺たちはショッカーを蹂躙していく。
「ちぃっ、状況が悪いか。いったん戻って立て直そう」
アポロガイストはそういうとオーロラを出し、戦線から離脱した。続くようにしてドクトルGやジェネラル・シャドウもオーロラの向こうに消えていく。前回の天文台での襲撃同様、部下に時間稼ぎをさせて自分たちは逃げる算段の様だ。
「ゼロノス!! ディケイド!! そしてディエンド!! 奴らを追うのだ!!」
「ここは我らが受け持つ!!」
「この世界を真に守るのは、お前たちだ!!」
一号ライダーに二号ライダー、V3ライダーの言葉に後押しされ、俺たちは直ぐにオーロラが閉じる前に飛び込んだ。周りの怪人たちが妨害してきたが、最低限切り払うのみをし、最高スピードで駆け抜ける。
オーロラに飛び込んだ先は、どこかの地下研究上のような施設の中だった。ずっと置くまで続く薄暗い通路の先には、恐らくスーパーショッカーの研究施設か本部があるのだろう。
「慎重に行こう」
「何があるかわからないからな、用心に越したことはないか」
俺たちは後方と前方に警戒を怠らないようにして通路を進んでいった。
◆
「みんな!! 各々の最強技で決めるぞ!!」
「「「「おうッ!!」」」」
「超変身!!」
「変身!!」
≪Survive!!≫
≪555 blaster, Complete!!≫
≪Absorb Queen, Evolution King!!≫
「響鬼装甲!!」
≪Hyper Cast Off!!≫
≪Super Climax Form!!≫
≪Wake Up Fever!!≫
≪Extreme!!≫
≪タカ!! クジャク!! コンドル!! タ―ジャードルー!!≫
≪Cosmic On!!≫
≪Infinity!! Please!!≫
≪Fire All Engine, Drive Type Trydron!!≫
≪チョーカイガン!! ムゲン!! Keep On Going!!≫
≪レベルマーックス!! 最大級のパワフルボディ!! ダリラガン!! ダゴスバン!! マキシマムパワーX!!≫
俗に平成ライダーと呼ばれる者達は、各々最強フォームへと変わる。そしてすぐさま必殺技を放つ準備に入る。昭和ライダーたちも各々必殺技を放つ準備に入る。
「行くぞ!!」
「「「「「オールライダー・キック!!」」」」」
ライダーたちはいっせいに飛び上がり、右足左足両足に己が全エネルギーを集約して蹴りを放つ。その蹴りは敵を一体もうち漏らすことなく、全ての構成員と怪人たちを撃滅した。
煙が荒れた後、周りを見渡す。もはや敵は一人もいない。この場でやるべきことは済んだ。
ライダーたちの後ろに大きな灰色のオーラが形成され、エミヤケンゴの足元には虹色に輝く魔法陣が形成された。
「あとはお前たちの役目だ」
「この世界の人の未来は頼んだよ」
言葉少なに、ライダーはオーロラを通って自分たちの世界に帰っていった。最後に残ったエミヤは魔法陣を通過し、完全にこの世界からいなくなった。
「夢を、希望を照らせ。守るべきものがあるならそれを守り抜け、この世界の抑止力よ。その先には、間違いなく光り輝く未来があるだろう」
◆
随分と先を進んだが、未だ景色に変わりはない。警戒しながら進んでいるのもあり、不通に比べたら進むペースは遅いがそれでも広すぎる。
だがそれも終わりらしい。とうとう通路の端に着いた。目の前にはショッカーのマークの付いた大扉がある。
「……ここみたいだな」
「らしいな。気を抜くなよ?」
「ああ」
最大限の警戒心を持ち、扉を開けると中にはアポロガイスト達以外にジャーク将軍、シャドームーン、仮面ライダーネガ電王の姿もあった。
成程、この六人がスーパーショッカーの幹部なのか。
「……よくぞ来たな、仮面ライダー達よ。歓迎しよう」
仰々しく言葉を発するアポロガイスト。周りの幹部連中は嫌な笑いを浮かべたり、発していたりしている。また俺たちが入った後、後方は今回表に出ていなかった構成員や怪人に囲まれてしまっている。
どうやら俺たちは誘い込まれていたらしい。流石のディケイドやディエンドも少し焦っているようだ。
「お前に歓迎されても嬉しくないな」
「まぁよいではないか。どうせあと幾ばくかの命なのだから、な」
ジャーク将軍が指を鳴らすと、いつの間にか設置されていた機会と怪人たちの腕からエネルギー波が発せられた。そのエネルギー波は真っすぐ俺たちに飛び、俺達は大きなダメージを受ける。普通の攻撃とは違う、明らかに殺しにかかってきている攻撃によって、俺たちは変身が解除されてしまった。
「クハハハハハ!! どうだねライダー諸君、我が科学の味は!!」
将軍が何か言っているが、耳に入ってこない。変身が解除された後もダメージが残り、痺れや痛みが俺達を襲う。そしてもがいているうちにデネブはネガ電王に羽交い絞めにされ、俺たちは構成員に武器を向けられていた。
将軍とアポロガイストを始めとして、全幹部が俺達に歩み寄ってくる。
「何故そうまでして我らに歯向かう? 何故命を削ってまで我らと戦う?」
奴らが問いかけてくる。
決まってる。単純だ、その答えはたった一つだ。
「何聞いてやがる。そんなもん、人の夢と希望、そして笑顔のためだ」
「それを実現するのが我らスーパーショッカーだ」
「違う!!」
奴らの創り出す世界は、洗脳のうえで成り立つ世界である。その世界で見られる笑顔は、一部を除いて心からの笑顔ではない。そのような世界、夢も希望もありはしない。
「だいたい貴様一人で何ができる!! そもそも人一人が守れるものなど多可が知れている!! 一人で戦ったところで、貴様は誰も守ることは出来ない、何も助けることが出来ない!! 手を伸ばせず、絶望するのが落ちだ!!」
「だからこその我らスーパーショッカーだ!! 我らスーパーショッカーが世界を統べてこそ、世界は幸福を実感するのだ!! 貴様がもたらすものなど、全くの無意味無価値なのだ!!」
ショッカーは俺の答えを全否定した。まぁそもそも意見が対立しなければ、このような争いなどは起きることがない。たとえどんなに否定されても、俺が信じるもの、信じたもの、信じていくものを貫かなければ、彼女にも前世の娘や野上たち、そして今回の戦いに助力に来てくれたライダーたちにも顔向けができない。
「それは違うな」
「何だと?」
しかしそこで門矢が口を開いた。そしてゆっくりと、しかし確実に立ち上がっていた。
「この男は勝ち目のない戦いでも、味方がいない孤独の中でも、決して自分を曲げずに立ち上がってきた」
「誰も泣かなくていいように、愛しき者の笑顔を守り抜くために、戦い抜いてきた」
「愛しき者、そんなちっぽけなものを……」
「ちっぽけだからこそ、守り抜くのだろう!!」
門矢と海東の言葉が入ってくる。そしてそれは、俺を再び立ち上がらせる力となる。
「俺たちのこの手は、誰かの手を握ることが出来る。絶望から引き上げることが出来る!!」
「彼が愛しき者、そしてこの世界の希望なら、僕たちはこいつの希望だ。彼を後押しする支えとなる!!」
「貴様ら……何者だ!!」
ジャーク将軍がこちらに問いかける頃には、俺たち三人は既に立ち上がっていた。そしてそれぞれの腰にはベルトが巻いてある。
「「「通りすがりの(この世界を護る)『仮面ライダー』だ。覚えておけ」」」
「ッ!? 侑斗ッ、それは……」
「……すまないアーニャ。変身!!」
≪Altair Form≫
俺たちは三人同時に変身し、ついでに同時に周りの構成員や弱い怪人を直ぐに攻撃し、爆散させる。いきなりの反撃にはやはり対処できないらしく、俺たちは更に数体の怪人を屠る。
だがそこは流石の幹部陣、いち早く正気に戻り、各々武器を構えてこちらに向かってきた。
「こうなった以上温存する必要はないな」
「思いっきりやっちゃいなよ」
「そうだな。デネブ、来い!!」
「……仕方がない」
≪Vega Form≫
もはやあとはこの拠点を破壊するまで火力で押すのみ。手の内を温存する必要はない。
「……最後に言っておく。侑斗をよろしく!!」
その掛け声とともにガッシャーを横になぐ。すると三人ほどの怪人がすぐさま爆散した。三人とも力にものを言わせ、次々に怪人や構成員を屠る。ものの数分の内に残るはアポロガイスト、ジャーク将軍、ネガ電王のみとなった。
「……貴様ら」
「ここで終わらせる」
アポロガイスト達はそれぞれ武器にエネルギーをためだした。それに応じるように俺たちも最後の力を振り絞る。
「「「死ねぇ!!」」」
「「「ハァッ!!」」」
剣が、弾が、エネルギーがぶつかり合う。互いに押し合い、混ざり合わないよう互いに潰すように動く。
その時互いに想定外のことが起きた。
地盤がもろかったのか、敵の足元が崩れ始めた。そして三人ともそちらに気が向いてしまった。
「ッ!! 今だ!!」
「最後の一絞りだ!!」
≪Full Charge!!≫
更にエネルギーを加え、後先考えない一撃を叩き込む。その攻撃に相手は成す術なく攻撃を受けた。
「ウッ……グゥ……」
「スーパーショッカー……大万歳!!」
「くッ……くそがぁ……」
そして三人は爆散し、ついにスーパーショッカーは壊滅した。だが施設をこのまま残しておけば、また誰かが利用したりして二の舞になってしまうだろう。
「……門矢、海東……デネブ」
「皆までゆうな」
「分かってるさ」
≪≪Final Attack Ride≫≫
≪Full Charge≫
全員武器を構え、それぞれ三方向に銃口を向ける。これですべてが終わる。この施設を還付無きにまで破壊して、終わらせる。
「「「ハァッ!!」」」
三つの銃口から特大のエネルギー談がいくつも発射され、施設を破壊していった。弾は壁を貫き、施設の奥まで破壊していく。何度も何度も弾を打ち込み、ついにすべてを破壊しつくした時に、エネルギーも底が尽きた。
自然と変身も解除される。
俺のチケットは塵と還り、これで最後の一枚がなくなった。ああ本当は欲を言えば、ちゃんと帰って安心させたかった。彼女の笑顔をもう一度見たかった。
もう何度めかもわからない浮遊感に身を任せたまま、俺は意識を手放した。
次回、最終回≪You're the stars shine on me≫