更新予定等をTwitterにて報告したいと思います。
アンケート結果ですが、ディケイドに一票が入っていたので、あと4話ほど進んだら出そうと思っております。
では更新します。
≪Full Charge!!≫
「ハァァァァァアア……ウァアラァッ!!」
「ウボアァァァァアアア……!?!?」
ゼロガッシャーの斬撃を受け、爆発しながら散っていくモールイマジン。今日もまた一枚チケットを使った。残るはベガが十二枚、ゼロが八枚。
チケットがベルトから抜け、塵に還る。そして同時に俺を襲う浮遊感と意識が遠のく感覚。いい加減このチケットを使い始めてから長いので、もう慣れてしまった。他人から気づかれないことにも慣れた。
「侑斗、もうイマジンはいないぞ。そろそろ帰ろう」
「そうだな」
明日は事務所の手伝いがあるし、早く帰って寝よう。
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あのあとテレビレポートは無事に終わり、テレビでも全国放送されたことにより、うちのカフェは連日大賑わいとなった。また一見さんのつもりで来店した客も、今や常連となっている者が何人もいた。
そして今回店に来た4人に触発されたのか、ほかの346アイドル、何故か765のアイドルも来るようになり、ある意味うちの店は有名になった。まぁ母のおかげで、変に騒ぐ輩は今のところでていないが。
まぁ何はともあれ、無事にことが済んで早二週間。試験も終わり、今日は346の事務所で仕事の手伝いをしている。
近々大きなライブを控えているためか、事務所だけでなく、建物全体がそわそわと落ち着きがない。まぁそれでも俺は事務員助手のような立場なためあまり深い事情までは知らない。俺はただ次から次へとデスクに重なる書類を処理するだけである。
とはいえ、流石に疲れた。同じ部署の人は皆休憩をとったし、今度は俺が休憩に入らせてもらおう。
先輩に一言告げ、階下のロビーに向かう。そこの自動販売機はコーヒー以外の缶ジュース類もあるので、俺はここで仕事をするときは重宝している。
で、お茶を購入してベンチで飲んでいると、
「あっ、桜井さんおはようございます」
「? ああ、楓さんおはようございます」
「お仕事には慣れましたか?」
「ええ、ぼちぼちですね」
「それは良かったです♪」
高垣楓、346のなかでもトップクラスのアイドルである。アイドルになる前はモデルをしていたらしい。そしてこの人、超を付けていいほどの酒好きであり、加えて酒に強いため、飲みに誘われたときは気を付けなければならな…
「ところで桜井さん。今晩どうですか?」
言葉を聞くだけなら、俺と彼女に間にただれた関係があると勘ぐるだろう。だがここに一つの動作が入ればどうだろうか? たとえば猪口を持ったような手を口に近づけ、一口飲むような動作とか。要するに今晩一杯? どうかと誘われているのだ。
「仕事がいつ終わるかわかりませんので」
「なら待ってます」
「いえ、そこまでしてもらわなくても…」
「もしかして、私と飲むのが嫌ですか?」
上目遣い込みでこちらを見つめる楓さん。だが正直今この状況で飲みに行くのは立場的にもきつい。正社員の方々の中では、徹夜している人もいるという。いくらアルバイトのような立場とはいえ、大それた行動はできないだろう。
そんなことをウダウダと考えていると、楓さんは何かを思いついたような顔をし、手のひらをパンと打ち合わせた。
「そうだ!! 桜井さんの家で飲みましょう」
「ちょっと待てどうしてそうなる」
思わず年上であることを忘れて突っ込んでしまったのは許してほしい。それもこれも高垣楓さんが突拍子もないことを言いだしたせいだ。
「だって外で飲むのは嫌なのでしょう? なら桜井さんの家なら問題ないですよね♪」
「問題大ありです。実家で俺以外の人がいるとはいえ、アイドルがそうあっさりと一般人の家を訪れるのはどうかと思います。店のほうならいいですが、夜は開いてませんし」
「なら私から愛理さんに聞いてみますね」
そういうや否や、携帯を操作しだす楓さん。というか何故母のアドレスを知っている。そして母も、なんでそう簡単に自分のアドレスをアイドルとかに教えるかな。
「ああ、桜井さんのアドレスも知ってますよ」
「はい?」
「愛理さんとハナちゃんに教えてもらいました♪」
俺の個人情報が本人の与り知らぬところで広がっている。しかもハナまで味方につけるとは、俺の逃げ道をふさぎにかかっている。
そして無情にも母から許可が下ろされ、今晩は楓さんと家で飲むことになった。しかもつまみはデネブが張り切って作るとのこと。完全に外堀を埋められたため、俺もあきらめることにした。
そして夕方になり仕事も何とか終わらせたので、荷物をまとめてロビーに向かった。果たしてそこには変装した楓さんがいた。そして何故か姫川と新田もいた。
「あっ、桜井さんこっちです」
「おおー!! 侑斗くんやっほー」
「侑斗さん、お疲れ様です」
予定では楓さんだけのはずだが。
「安心してください侑斗さん。私はただ居合わせただけなので」
「そうか…」
「じゃあ早速行きましょうか!! 美波ちゃん、お疲れ様でした」
「はい!! また明日」
とりあえず新田は帰宅、問題は姫川だが。
「まさか姫川もですか?」
「大丈夫!! 愛理さんに許可とってるから!!」
「……」
拝啓海外の天文台にいる父へ。どうやらあなたの息子は齢二十一にして、女に振り回されるようです。
帰りにスーパーによって酒を買い(その際大量購入しようとした二人に牽制をかけ、焼酎瓶二本に留めさせた)、そのまま二人を伴って「ミルクディッパー」へと向かった。
カフェの看板は「CLOSED」になっていたが、明かりはしっかりとついているため、みんなカフェにいるのだろう。
「こんばんわ―!!」
「お邪魔します♪」
「……ただいま」
二人が先に入り、ノロノロと後に続く俺。カフェには既にハナが待ち構えており、デネブと母は厨房から夕食を運んでいる最中だった。
「二人ともいらっしゃい。でもお酒の前に夕ご飯食べましょう」
「侑斗、風呂が先か? それともごはんが先か? 今日も侑斗の好き嫌いを治すために、椎茸をたっぷりと使ったぞ!!」
デネブ……お前ぇえ!!
「イタイイタイ!? 侑斗、イタイぞ!?」
構うものか、椎茸入れてなければ……椎茸を入れてなければ!!
「侑斗ー、ご飯食べないのー?」
「……食う」
「アイタタタ、今日も中々強烈だ…」
辞めよう、諦めが肝心だ。これ以上精神的にも疲労させるのは得策じゃあない。幸い明日は休日だし、多少飲みすぎても大丈夫だろう。
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と思っていた時期が俺にもあった。夕食の後、用意された軽いつまみを食べながら酒を飲んでいたが、明らかに姫川と楓さんのペースが速い。加えて楓さんはともかく、姫川は既に酔いが回っている。
「姫川、そこまでにしておけ」
「ああー、ユートくんがまたー姫川って言った―」
「うふふ♪」
「明日はお前も休みってのは分かるが、明らかに飲みすぎだ。お前はまだ二十歳だろう」
「うるひゃ~い、苗字じゃなくてユッキってよべ~」
「……」
これは、イマジンよりもたちが悪い。あちらは特に被害を及ぼす個体だけを撃破すればいい。だが酔っ払い、絡んでくる性のタイプは面倒である。
というか楓さん、見てないで手伝ってくれ。ハナは寝てしまったし、デネブは今母と明日の仕込みをしているため、助力は頼めない。よってこの場は俺がどうにかするしかない。
「これで明日起きれなくなって、試合観れなくなっても知らないからな」
「ッ!? ダメッ!! 試合は見る!! 明日はキャッツの優勝が決まるかどうかのゲームだから!!」
「なら帰るか泊まるか選べ」
俺はこれほどにまで甘い男だっただろうか。前世から鑑みても、これほど他人を気にかけたことは、良太郎と前世の妻、娘以外にはほとんどなかった。にも関わらず、こうして酔っぱらいの相手をしている光景をみたら、モモタロス達は何というだろうか。
「ううー……泊まったら迷惑かも『あら、うちは大丈夫よ』愛理さん?」
「まさか…」
まさかの母の登場。
「幸い部屋は余ってるし、一日ぐらいなら大丈夫よ。楓ちゃんもどう?」
「いいんですか?」
「ちょっとまっ「大丈夫!!」…まじか」
こうなった母は
「じゃあ…」
「お願いしてもよろしいですか?」
「ええ、もちろん!!」
「はぁ…なら部屋の用意してくる」
俺は一つため息をつき、彼女らの寝室の用意をしに向かう。空き部屋に向かいつつ、前世に比べると非常に人として充実した生活を送れてると感慨にふける。
だが俺は戦う者、この騒がしくも平穏も長くは続かない。この先一年以内か、それとも何年も先の話になるかわからないが、この時間をかけた戦いが必ず起こるだろう。それまで俺は生きているのか、それともチケットを使い果たしてしまうのか。
脳裏にとある人が浮かぶ。俺が消えた後、あいつはどんな顔をするだろう。諦めた表情か、それとも悲しさに歪めるか。いずれにしても、笑顔が一度消えることは間違いないだろう。それは俺の望むところではない。チケットが全てなくなる前に、事態が全て解決することを野損ばかりである。
「侑斗くーん、どうしたのー?」
さて、シンデレラ達がお呼びだ。早く準備を終わらせるとしよう。
はい、ここまでです。冒頭前書きにも書きましたが、Twitterを通じて更新情報等を報告しようと思っております。無論活動報告もアンケート等で使用していきます。
さて、次回はハリポタを更新しようと思っています。更新日時はTwitterで前日にお知らせします。
それでは今回はこのへんで。