孤高の牡牛と星の灰被り姫 【完結】   作:シエロティエラ

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はい、更新です。
ではどうぞ。




半端にウロウロするのなら/笑顔に会えるのだろうか

 

 

 あの旅行での一件から早数ヶ月、世間でも俺の周りでも色々なことが起きた。

 あれ以降346の専務や武内さんからスカウトがきた。どうもプロデューサーとして俺を雇いたいらしく、結構な期間説得をされた。そして余りの熱心さに折れてしまい、来年の就活に見込みがなければ雇ってもらうことで話が付き、現在は週末のみ事務作業を手伝っている。

 イマジンも湧き、俺が出張って解決することも、たまにモモタロスが手伝いに来て解決すること十数回。頻繁に戦いを続けていたため、残りのチケットの枚数も半分ほどになった。

 

 そしてこれは結構大きな事件だったのが、346のあるプロデューサー、武内さんではない、が担当アイドルとの熱愛プライベートを週刊誌に撮られ、スキャンダルとなって世間を揺るがせた。

 しかしこれには意外な結末が待っていた。

 なんとその翌日に346が記者会見を開き、専務と社長がとんでもない発言をしたのだった。

 

 

「わが社では一度も”アイドルは恋愛禁止”とは言っていませんが。世間が勝手にそういう押しつけのような観念を持っているだけです」

 

「もしアイドルが恋愛をすることによってさらに魅力を増すなら、私たちは喜んで彼女たちの恋愛を推奨します」

 

「そもそも彼女らはアイドルである前に一人の女、自らの感情まで抑圧されては、それこそただの”偶像(アイドル)”、人形と同じです」

 

「彼女たちは人間だからこそ、出せる輝きがある。その輝きに魅せられたからこそ、ファンの人たちが集う。真にファンになるのなら、彼女らの恋愛事情など関係ないでしょう」

 

 

 なんとも強気な発言が繰り出されたこの会見は、一気に茶の間の話題となり、全国に広まった。そしてその発言は世論をも動かし賛否両論を招いた。ネット、雑誌などにも取り上げられ、最終的には346は恋愛公認という形に収まった。

 芸能業界ではこのような問題が取り上げられた際、プロダクション的にもアイドル達の仕事が少なくなり、打撃を受けるのが普通である。しかし先の記者会見のインパクトが強かったのか、逆に多くの仕事が入ってくるようになった。件のアイドルも注目を集め、一人、またはプロデューサーも稀に共演をするようになった。

 

 そんなことがあって数週間が経過したとある週末。今日は346の事務処理もなかったため、自室でゼミの準備をしつつ、カフェの手伝いをしていた。たまにハナの受験勉強を手伝いつつ、自分の仕事をしていると、何やら階下のカフェから楽しそうな声が聞こえてきた。

 時間帯もまだ昼になっていないため、客が賑わう時間ではない。仕事も丁度きりがよくなったので、休憩がてらハナと一緒に階下に降りた。

 そして降りてすぐに自室に戻りたくなった。

 

 

「そうなの、今日はお仕事で」

 

「Да。近くの美味しいお店、紹介するお仕事、です」

 

「アーニャちゃんに紹介されて以前来たとき、私もここの料理が好きになって」

 

「ここを選んでくれるなんて嬉しいわ」

 

 

 な・ん・で、ラブライカの二人がここにいる。鷺沢は本棚の本に夢中になっているし、おいそこの自称世界一可愛いチビ中学生、いい加減自己アピール辞めないならゼロライナーからバンジーさせるぞ。

 というか本当になんで(ここ)にいる。いや、仕事という単語は聞こえていた。だがプライベートでも散々来ているのに、わざわざ仕事でまでくる必要ないだろう。いや、来るのはいいんだが…ああー考えがまとまらない。

 

 

「あっ!! 皆さんいらっしゃいです!!」

 

 

 ハナ…なんでこういう時に限ってお前は…

 

 

「こんにちは、ハナちゃん」

 

「こんにちはです、ハナさん」

 

 

 よし、俺には気づいていない。このまま自室に行けば…

 

 

「侑斗、休憩か? 何か飲むか?」

 

 

 デネブ…お前ぇ…

 

 

「あっ!! ユウトさん、こんにちはです!!」

 

「おや、桜井さんもようやく可愛いぼくに気づいたんですか?」

 

「……」

 

 

 頼むから二人とも、俺を見つけるたびに大声を出さないでくれ。特にアーニャ、少し落ち着け。鷺沢は顔すら上げずに静かにしているぞ。ほら、ディレクターさんもアシスタントさんも生暖かい視線を向けているし、挙句武内さんも苦笑しているし。

 当のアーニャは目をキラキラと輝かせ、俺をじっと見ている。頼むからその純粋な目で俺を見ないでくれ。ハナも15の時はこんな純粋ではなかった気がする。あと輿水、お前のドヤ顔はうざい・

 

 

「あ、ああ、いらっしゃい。仕事か?」

 

「Да!! 今日はお仕事で、この後ここのレポートを、するんです」

 

「愛理さんのコーヒーと料理、おいしいですから是非」

 

 

 あの時の記者会見以来、アーニャは俺に対して積極的に関わってきた。イマジン騒動の時も8割がたアーニャが巻き込まれていたし、プライベートでも出くわすことが多かった。そのせいか彼女にどうやら気に入られてしまったようで、会うたびに純粋な視線を向けてくる。オーナーによれば、アーニャは特異点ではないが。

 俺は正直後ろめたさが勝り、どう対応すればいいかわからない。俺は戦いに身を置いている。イマジンは未来人の精神が肉体を持ったもの。怪人とはいえ、生きているのと変わらない。人を守るためとはいえ、奴らを殺している俺は、奴らの()に染まっているのだろう。

 そして最近だが、周囲に認知されないことが増えてきた。チケットが半数近くになったから覚悟はしていたが、やはり少し来るものがある。家族やなぜか346のアイドル達はその傾向がないが、いずれは皆から認知されなくなるだろう。できればチケットを使い切る前に、このイマジン騒動は終わってほしい。

 

 

「ユウトさん? どうしました?」

 

「…いや、なんでもない」

 

「そうですか。あー、ユウトさん、難しい顔、してます」

 

「わかりました!! ぼくの可愛さに魅了されて動けなかったんですね!! なんて罪なぼく」

 

 

 いや、それはない。少なくとも輿水は俺の好みではない。

 

 

「…本当に何でもない。大丈夫だ」

 

「え? あれ、無視ですか?」

 

「本当に、ですか?」

 

「ああ」

 

 

 これだけは悟られるわけにはいかない。ゼロノスの代償は今まで隠し通してきた。これから先も話すつもりはない。だがアーニャは勘が鋭いらしく、何度かバレそうになった。今もなぜか俺の心の機微を察知してきた。

 

 

「ではそろそろ始めましょうか。位置についてください」

 

「あっ、じゃあ二人とも、お店手伝って」

 

「「はーい(わかった)」」

 

 

 おしゃべりはここまでにしよう。母に呼ばれていることだし、厨房に回りますか。

 

 

「あっ、侑斗とハナはホールお願いね。おデブちゃんはキッチンお願い」

 

 

 ……解せん。

 

 

 





はい、ここまでです。
冒頭でスキャンダルについて触れましたが、件のアイドルはデレステはおろか、モバマスにも出ていないアイドルにしていますゆえ、名前も設定していません。
それにしても、恋愛描写は不得手です。自分で書いていて、こんなにもグダグダになるとは思っていませんでした。

では次回はハリポタを更新いたします。

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