仮面ライダー&プリキュア・オールスターズ~奇跡の出会い、運命の共闘~ 作:風森斗真
えっと、一言で言うならば、やりたいからやりました。
ほかの作品との兼ね合いやまだ序章しか出来上がっていないという事情で、かなり更新は遅くなると思います。
それでもよければゆっくりしていってください。
なお、平成ライダーは主にクウガ、電王、キバ、ディケイド、W、OOO、ウィザードが主。
プリキュアはハートキャッチ、スイマル、ハピネスチャージ、Go!プリンセス、魔法使いが主になる予定です。
……まぁ、それしかまともに視聴してないっていうのが本音ですが。
――人々は知らない。
世界の平和の裏には、それを守るために戦う英雄が存在しているということを。
だが、だからこそ英雄は願っている。
誰かの笑顔が、今日も守られ続けていることを……。
――自分たちが戦うその先に、大切な人たちの笑顔があることを。
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仮面ライダー。
悪の組織によって、あるいはその組織を知る科学者の手によって、あるいは古代の力に目覚めたがために改造人間となった青年たち。
そして、人でありながら人ではない哀しみの中で、正義と平和のために戦う、孤独な戦士。
プリキュア。
妖精たちと心を通わせる、笑顔と平和を愛する少女たち。
世界を征服しようとたくらむ組織から、人々を守るために戦う、愛の戦士たち。
彼らは、様々な次元、異なる世界でそれぞれの世界を守るために戦い、人々の希望の灯となった。
彼らはそれぞれ別の世界に存在している。
それゆえに、互いの存在を知ることはなく、また、互いの戦いを知ることもない。
だが、ひとたび、一つの世界が滅亡の危機を迎えたとき、世界の垣根をこえて、戦士たちは共闘する。
ただ一つの目的、人々の希望を守るために。
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冒険家、五代雄介。
彼は二千の技を持つ、心根の優しい、非常に穏やかな青年だ。
しかし、彼には一つ、秘密があった。
それは、へその下、武術の世界や東洋医術の世界で"丹田"と呼ばれる部位に埋め込まれた霊石"アマダム"にあった。
かつて、長野県の山奥にある遺跡で、研究チーム全員が惨殺されるという事件があった。
それを皮切りに、謎の生命体、のちに未確認生命体、あるいは"エム"と呼ばれる怪人たちによって東京の人々が大量虐殺される事件が起きた。
その怪人たち、グロンギと呼ばれる古代の戦闘部族の中で唯一、彼らと死闘を繰り広げた「未確認生命体第四号」という怪人がいた。
その正体が、彼、五代雄介だ。
彼は、遺跡からの出土品である"石のベルト"を身につけたことで、"クウガ"と呼ばれる古代の戦士となった。
『みんなに笑っていてほしい』
その思いを胸に、生来の優しく、臆病で泣き虫な心を押し殺して、彼は戦士クウガとなって、戦い続けた。
その死闘の末、雄介は再び冒険野郎に戻り、世界各地を旅しながらみんなを笑顔にしてきた。
その旅先で、彼は一人の青年と出会った。
彼の名は、火野映司。
彼もまた、旅を愛する穏やかな、しかし雄介と同じく秘密を持つ青年だ。
世界を股にかける旅を続けてきた彼が日本に帰国した時、一つの事件に巻き込まれ、怪人と戦うことを余儀なくされた。
『傷つく誰かを見過ごせない』
その思いと欲望が、彼を"
だが、この時の二人は、目の前にいる青年が自分と同じ、仮面ライダーであることを知らなかった。
そんな思いもよらぬ邂逅から数か月。
五代雄介は、実に十二年ぶりに日本を訪れていた。
だが、彼は、到着したことを知り合いに連絡することもなく、空港のターミナルでのんびりと飛行機を眺めていた。
「……突然だけどさ、俺、辛い時に笑顔でいられることってすっごいことだと思うんだ」
傍らで泣いている少年に向かって、雄介は微笑みながら自分が旅先で見聞きしたこと、経験したことを話し始めた。
しかし、少年はなおも泣きやまなかった。
雄介はそれでも決して穏やかな表情と笑顔を崩すことなく、少年の頭に手を置いた。
「……まぁ、お父さんやお母さんとはぐれたら、やっぱり不安だよな」
しかし、雄介は困った顔一つせずに、懐からボールを取り出して、ジャグリングを披露した。
物珍しさのあまり、少年は泣き止んで雄介のそれを凝視していた。
五分ほど、だろうか。
雄介が投げていたボールをすべて受け止めると、少年は笑顔になって手を叩きだした。
すると、少年の母親のものだろうか。
名前を呼ぶ声が聞こえてくると、少年は女性のもとへまっすぐと向かって行った。
その背中を見送った雄介はぐっと背伸びし、バイクが置かれているはずの駐車場まで歩いていった。
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同時刻。
雄介がジャグリングをしていた場所から少し離れた場所に、四人の少女がいた。
そのうちの一人は、まるで顔を隠すかのように、レンズが少し大きいサングラスをかけていた。
「お迎え、ありがとね。はるはる、みなみん、トワっち」
「ううん!きららちゃんが日本のファッションショーに出るって聞いたら、居ても立っても居られなかったの!!」
「こうしてみんながそろうのも、一年ぶりだものね」
サングラスをかけた少女の言葉に、花の髪飾りをつけた少女と、青い髪の少女が微笑みながら答えた。
ふと、サングラスをかけた少女――きららは、もう一人の紅い髪をした少女の方に視線を向けた。
「まさか、トワっちがこっちに来てるとは思わなかったよ」
「えぇ。わたくしも、まさかホープキングダムとこの世界が再びつながるとは思いませんでしたわ」
トワっち、と呼ばれた少女、紅城トワは、自身でも言うように、この世界の人間ではない。
彼女はこの世界と隣り合わせで存在する世界、ホープキングダム、と呼ばれる城で育った、れっきとした
彼女の故郷、ホープキングダムは、かつて"絶望の魔女"ディスダークによって支配されていた。
ディスダークの目的は、今彼女たちがいるこの世界の希望を絶望に塗り替え、自分たちの勢力下に置くことだった。
だが、ホープキングダムの王子カナタの手によって、かつてディスダークを退けた伝説の戦士"プリキュア"に必要となるアイテム、"ドレスアップキー"と"プリンセスパヒューム"を妖精であるアロマとパフに託し、この世界へと送りこんだ。
それらのアイテムを手にしたはるか、みなみ、きららの三人は、夢を守る伝説の戦士"プリンセス・プリキュア"となり、ディスダークと戦った。
その中で、ディスダークの娘と名乗る"絶望のプリンセス"トワイライトとなっていたトワを救い出した。
トワは、自分の国を絶望に染め上げた罪を清算するため、自身もプリキュアとなって、はるかたちと戦うことを決意した。
そうして、一年にわたる戦いは終わりを告げ、四人はそれぞれの夢に向かって別々の道を歩き始めた。
ホープキングダムとこの世界を結ぶ扉は、ディスダークとの戦いが終わるとともに消滅し、もう二度と、トワに出会うことはできない、と思われていた。
だが、どういうわけか、ここ最近、再びホープキングダムとこの世界を行き来するための扉が復活し、こうして、この世界に顔を出すことができるようになっていた。
「また四人そろうなんて、まるで奇跡だよ!素敵すぎる!!」
と、はるかはみなみときららに飛び掛かり、抱き着いた。
むろん、きららのすぐ隣にいたトワもそれに巻き込まれたが、彼女は迷惑そうな顔を一つもせず、嬉しそうに微笑んでいた。
だが、その表情と裏腹に、トワの心中には一つの不安があった。
ホープキングダムとこの世界をつなぐ扉が再度出現した。
それは、この世界か、ホープキングダムに再び災いが降りかかる、ということなのではないか、と。
今はその災厄が何であるかはわからないし、もしかしたら、本当に偶然なのかもしれない。
だが、胸から消えることのないこの不安に、トワは一人、戸惑っていた。