デート・ア・ライブ 王花ディバイナー   作:メカレン

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2章

結局、昨日現れた精霊が何の目的で私の前に現れたのか。メインディッシュとは一体誰のことなのかという謎が残されたまま、明日を迎えた私は現在『天宮クインテット』という大型複合商業施設でショッピングを楽しんでいた。

 

「あぁ、このバックも中々……でも少し高いわね。でも、こっちのじゃ少しデザインが――」

 

などと、傍から見れば休日に女子高生が一人で買い物に来たようにしか見えないだろう。しかも、外見はかなりの美少女だ。なので、時折王花にナンパしてきた者たちも多くいるが、その大半が柄の悪い男達だった。

さすがに、王花も男なら誰彼構わずというわけではない。無論、突っかかってきた相手もいるがその持ち前の技術で相手を組み伏せていた。

 

 

(ナンパされるのは悪い気分ではないのだけれど、少し目立ちすぎたわね……私としてはもっとゆっくりと休日を過ごしたいのだけれど。)

「しかし、一人でショッピングするのも味気ないわね。どうせなら……「なら、私と一緒にいかがですか?」――っ!?」

 

「どうも、昨日ぶりですわね。」

 

「……時崎狂三。せっかくの休日なのよ、だから少しはゆっくりさせてもらえないかしら?」

 

「そう、警戒なさらないでください。今日、貴女に会いに来たのは戦う為ではなく、話をするためなんですから。」

 

 

どこかで聞いた声に振り向いてみれば、そこにいたのは昨日私に問答無用で銃をぶっ放してきた精霊(くるみ)だった。一応、霊装ではなく私服を着ているため、一見こちらもただの少女にしか見えない。

そのため、周りからは少し仲の悪い女子高生同士が会話しているようにしか見えないだろう。

 

 

「会っていきなり銃をぶっ放してきた貴女がそれを言っても信用できるわけないでしょう。」

 

「なら、ここで昨日の続きを始めましょうか?私はもちろん構いませんが……貴女にできるでしょうか。」

 

「私が周りの被害を考えないで、貴女に手を出す可能性だってあるわよ。」

 

「それはありえませんわね。とはいえ、被害を出さぬよう戦えるのかもしれませんが、別にそれならそれで私は構いませんもの。」

 

 

彼女の言う通り私は手を出す気はなかった。無論、精霊の力で被害を出さぬように戦うこともできるが万が一もある。それに、周りには買い物や観光で賑わっている大勢の人たちがいた。

おそらく、もし私が手を出せば彼女は周りの人間を積極的に巻き込んで戦うだろう。それに最後の彼女の物言いは、まるで私に対抗手段でもあるか……もしくは倒されても特に彼女の不利益にはならないような言い方だった。

 

 

「はぁ……わかったわ、話でもしましょうか。でも、なんで私なのかしら?」

 

「興味を持っているから……では駄目でしょうか?あとは……一種の意趣返しですわね。

もちろん、あなたに対してという意味ではありませんわ。ただ、私の意中の人が私とのデートの最中に、他の相手ともデートをしているようなのでそれに対してですわね。」

 

「勝手に人を意趣返しの為に巻き込まないでくれないかしら。というか、その相手もすごいわね。どうやってほかの人とデートしてるのかしら?あと、その人が例のメインディッシュなのかしら?」

 

「どうやら縦横無尽に走り回ってるようで……それと、質問の答えですがその通りです。」

 

「それより貴女、私と一緒に行動してていいの?その人戻ってくるんじゃない。」

 

「あぁ、それは大丈夫ですわ。そちらは『私』がきちんと対応してますもの。なので、今は【私】があなたと話してても問題ありませんわ。」

 

「そう、用意周到なのね。ところで話をしたいって言ってたけど何についてかしら。」

 

「そうですわね……色々と聞きたいことがあるのですけど、今は貴女について知りたいですわね。正直あなたについてはほとんど何も知らないので。」

 

「……わかったわ。ただこちらからも一つ質問をさせてもらうわ、いいかしら?」

 

「構いませんわ。でしたらこちらも質問は一つだけにしましょう……対等な関係でいたいですから。」

 

 

対等な関係については何をいまさら、と突っ込みたかったが今は無視することにする。

正直、今は情報が一つでもほしかったので、こちらとしてはこの展開は願ったり叶ったりだ。

 

 

「では、私から一つ……あなたのその力は一体()()()()()()()()()()()?」

 

「……そうね、真面目に答えるとしたら【()()】かしら。」

 

「ふざけてるわけでは……無いようですね。」

 

「えぇ、至って大真面目よ。じゃあこちらも一つ……そのメインディッシュとは一体誰なのかしら?」

 

「……都立来禅高校2年生の【五河 士道(いつか しどう)】という方ですわ。」

 

 

これで繋がった……おそらく、十香の〈シドー君〉と『五河士道』は同じ人間なのだろう。

ただ、何故彼が狙われているのか、狂三は何を目的としているのかはまだ分かっていないが――

 

 

「とりあえず、互いに質問を終えましたし、これで私は失礼させていただきますわ。」

 

「そうね、私もそろそろゆっくりと買い物をしたいし。」

 

「それでは、さようならですわ。」

 

「えぇ、……あと、最後に一つ言っておくけど、私あなたのことそんなに嫌いじゃないわよ。」

 

「――えぇ、私もです。」

 

 

そう言いながら、彼女は人ごみへと紛れて消えていった……

そして、私はここに来た本来の目的を果たすためにショッピングを再開するのだった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、結局一人でショッピングするのよねー……」

いつになったら。運命の相手を捕まえれるのか皆目見当がつかないまま、私はトボトボと店を渡り歩いていった。


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