デート・ア・ライブ 王花ディバイナー   作:メカレン

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2章

日下部 燎子はAST天宮駐屯地の隊長であり、ASTとは空間震という大規模災害を伴ってやって来る【精霊】という強大な力を持つ特殊災害指定生命体を武力でもって討滅するために人類が極秘に結成した特殊部隊である。

そんな彼女が部下を引き連れてある現場へと急行しているしているということは、そこに精霊が現れたということに他ならない。そうして現場に到着した彼女であるが、あるものを見た瞬間大きく動揺していた。

それは、一見するとただの少女に見えるがそうではないということが、彼女にはわかっていたからだ。

 

(新種の精霊!)

 

少し前までは<プリンセス>という精霊一体でも、歯が立たなかったのにもう一体増えるとなると絶望的な状況である。

もっともその<プリンセス>は力を封印され、今は【ある男の子】と一緒に同棲生活を送っているのだがそんなことを知らない彼女には絶望的状況に見えるのだろう。とはいえ、例え一人だとしても厄介なことには変わりはないのだが。

 

(とりあえず今はあの精霊だけみたいね。)

「全員配置につきなさい。包囲完了次第一気に叩くわよ。」

 

「「「了解!!」」」

 

いつ他の精霊が来るかわからないのだ。彼女としてはほかの精霊が来る前に早く倒してしまおうという判断だった。無論間違った判断ではなかったが……あまりにも相手が悪すぎた。

新種の精霊は紫色のフード付きのドレスを纏い、まるで【占い師】ような格好をしていて、武器のようなものは一切手に持っていなかったのや、いつも戦っていた<プリンセス>に比べると戦うような格好をしていなかったのも判断の決め手の一つであろう。無論、どのような衣装であろうと大差がないのだが……

 

 

「隊長!包囲完了しました!」

 

 

「油断するな!一気に奴を叩くわよ!」

 

そうして攻撃を仕掛けようとした瞬間、精霊が何かを呟いたと思ったら、精霊の周りにはいつのまにかカードのようなものが現れていた。

そして、精霊の周りをグルグルと囲んでいるカードの一枚を精霊が手に取り、銀色の長い髪をなびかせてながら赤い瞳でこちらを捉えて、ただ一言呟いた。

 

「【死神(デス)】 <停止>」

 

 

 

――その瞬間私たち全員の世界は止まった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈side 王花 〉

無事、私を狙う者たちから逃れたのはいいもののこれからどうしようかと、私はこれからの行動を考えていた。

とりあえず安全な場所、この地域の情報などを目標の一つとしていこう。前者はこの後、町を探索して探すしかないだろう。ならば後者を第一目標として行動しよう。

 

「この町の情報を得るなら図書館が一番の近道かしらね。」

 

今の世の中は大抵インターネットを使えばどうにかなるが、今は、そのインターネットに繋ぐツールがない以上紙媒体を頼るほかない。とはいえ図書館にもパソコンがあるかもしれないがこればかりは行ってみないとしょうがない。

 

「何か有益な情報があればいいのだけれど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と探し回ろうと歩いたら、意外とすぐ早くに見つかってしまった。そういえば、私が昔から探し物とかするときは、ものすごい早さで目的のものが見つかってきたが今回も運が味方をしてくれたようだ。

とりあえず中に入ってみるが、どうやら誰もいないようだ。図書館の中にはパソコンがあり、ちゃんとネットに繋がるようだったので早速調べてみることにした。

 

「なるほど、どうりで人ひとりいなかったわけね。まぁ、武器を持った人たちは一応いたけれども。」

 

ここは天宮市(てんぐう)という街であり、南関東大空災という大規模な空間震で焦土と化してしまった、東京都南部から神奈川県北部の一帯を再開発して建てられた街だということが分かった。ちなみに、【空間震】とは名前の通り()()()()()という私の世界では考えられなかった災害の一種である。その空間震に対応するために街には多くのシェルターがあるようだ。おそらくこの街の人々はシェルターに避難しているのだろう。だから人の姿が見えなったのだと私は確信した。

 

そして、私の持っている知識と今手に入れた知識を合わせてみると、空間震とは精霊がこっちに現界にするときの合図のようなものなのだろう。そしてこれらのことから推測するに、あの武器を持った人たちは精霊が空間震を引き起こすことを知っているために、原因であろう精霊を倒すことによって対処しようとする組織なのだろう。

とはいっても、どうして精霊が現れると空間震が起こるのかはまだ分からないが一通りの知識は手に入れたはずだ。

あとは、図書館にあるこの町の地図を一つ拝借しておこう。大丈夫、いずれちゃんと返すつもりではある。いつ返すかは不明であるが……何はともあれ目標の一つは達したのだ。あと図書館でやることはないだろうと思い、私は図書館を後にした。

 

「次にすることは安全な拠点を探すことよね。とは言っても……あぁ、そういえば〈神秘創造(ラドゥエリエル)〉の中の一つに【隠者(ハーミット)】というカードがあったわね。」

 

隠者(ハーミット)】というカードに込められてる意味の一つに<秘匿>というものがあったはずだ。

これで安全に隠れれるはずだ、あとは拠点を探して【隠者(ハーミット)】で隠れればいいだけだ。とりあえず当面は凌げるはず。ならば――

 

「〈神秘創造(ラドゥエリエル)〉 【隠者(ハーミット)】 〈秘と―― 」

 

 

 

そう言おうとした瞬間、私の前に【ウサギの耳のような飾り物のついたフードを被った少女】がひょこっと現れた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

これが【隠者(ハーミット)】のカードを持つ精霊と〈ハーミット〉と呼ばれた精霊の初めての出会いである。

 

 


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