ここの鷲巣様はワシズ(スピンオフ)の超豪運鷲巣です。
とある長野県の雀荘にて…
「…ツモ、8000・16000」
鷲巣手牌 {二二78白白白発発発中中中 ツモ6}
「うわっ大三元!?」
「おいおい嬢ちゃんまだ四巡目だぜ?」
「ついてんな~」
点棒を受け取りながら鷲巣はこうなった要因を思い出す。
どうやら自分は死んだわけではないらしい。
そう結論を出したのは目を覚まして数日経ってからだった。
西暦は2014年…アカギとの死闘から40年近くが経っていることになる。
しかしどの文献を調べても「共生」という経営コンサルタント会社は見つからなかった。現在はなくなっているとしても日本を裏から牛耳る企業だったのだ。
かなり後ろめたいことはやっていたが歴史から抹消できる規模ではない。
この事実から鷲巣はここが自分のいた未来ではないことに気づいた。余りにもオカルトチックだが若い頃超人類となった乳児と麻雀を打っていたりした鷲巣は案外あっさりこの現状を受け入れた。
次に戸籍等の問題だがこれもあっさり解決した。全て揃っていたからだ。
名前は鷲巣
両親は既に事故により他界しており、祖母(鷲巣にとっては面識もないが)が世話を焼いてくれる。
ある程度の遺産があり鷲巣が成人するまではもつだろう。
しかし15歳という事は義務教育がとうぜんあるわけで…大学まで卒業した鷲巣にとってはストレスが溜まるだけの場所だった。
もっとも孤立していたのか滅多なこと以外では話しかけられることはなかったのが幸いか。
休日、憂さ晴らしに雀荘に入った鷲巣は大学生らしき3人組と打つことになって現在に至る。
役満を上がられたというのに目の前の3人組には動揺がない。
それどころか今の上がりを褒める。
それもその筈、この雀荘はノーレートで純粋に麻雀を楽しむ場所だからだ。
鷲巣は心の中でため息を吐く。目の前の3人は典型的な凡夫…
かつての鷲巣なら無能な若者に対していらだちが募っていただろう。
しかし今はただただ失望していた。
残りの半荘を適当に済まし場代を払い雀荘を引き払う鷲巣…
何も賭けず、緊張感など欠片もない面白くもなんともない麻雀…
その顔には現状に対する不満が明らかに見て取れた。
「つまらん…」
つい呟いてしまう。
現在麻雀は世界的なブームとなっており麻雀人口も爆発的に増加した。
これにより麻雀のイメージをよくしようと違法な高レート雀荘はほぼ検挙されてしまったのだ。
まだあることはあるのだが一見は入れない。未成年などもってのほかだ。
さらに野球中継の代わりに麻雀中継、囲碁教室の代わりに麻雀教室が放送されるようになったのだ。
鷲巣も自宅のテレビで麻雀プロリーグの試合(薄型テレビをみて心底驚いた)を見てみたのだが、自分やアカギクラスの人間はいなかった。
せいぜいアカギの前に戦った確か平山といったか…それくらいなのだ。
麻雀に見切りをつけるべきかもしれないと思い始めていた。
アカギとの打ち合いに未練はあるが、とにかく自分はここで再び「共生」を立て直すこと…
その為には当然学歴は高いほうがいいのだ。
もうすでに12月…そろそろ高校を選ばないといけない。
「ここらで一番上の(偏差値が高い)高校は…龍門渕高校…か…そこにするか」
こうして鷲巣は龍門渕高校を受験することにしたのだった。
ちなみに勉強は近代史を少し確認するだけですんだ。
受験は大きな問題も特に起きず無事龍門渕高校に入学することが決まったのだった。
鷲巣は龍門渕に入学しました。
この世界の麻雀に失望した鷲巣。
鷲巣の理想が高すぎるのもあるんですが…
ちなみに鷲巣が見たのは男子プロの試合です。