時は1965年…
東京武蔵野において狂気の宴が繰り広げられていた。
アカギ対鷲巣の半荘6回戦。
アカギは自らの血液を賭け、対する鷲巣は大金を賭けた戦い。
いつもどおり勝てるはずだった。目の前の男の亡骸を拝むはずだった。
しかし始まってみると予想外の苦戦を強いられる鷲巣。
隠し預金を含めた6億円(現在の価値では約60億円)を全て奪われアカギと同じ血を抜く状況に追い込まれてしまい満身創痍で迎えた6回戦オーラス…
「ツモ…清一色三槓子リンシャンツモドラ8…数え役満だ」
アカギ手牌 {2235 ツモ4 副露 ■11■ 888横8 666横6}
「ア…アカギィ………」後ろに控えていた仰木が涙をこらえ駆け寄る。
「やったな、アカギ。これで決着だ!」
長い長い死闘が終わり、アカギのサポートの安岡も仰木組の黒服たちも露骨に安堵の表情を浮かべる。
「負けた…鷲巣様が…」
「鷲巣様…」
一方鷲巣陣営は敗北という現実を受け入れるしかなかった。先ほど散々流した涙を三度流している者もいる。
(ツモられた…か…この流れで…)
鷲巣巌は敗北したというのに変に落ち着いていた。
「頼む!」
ここでここまで静粛を保っていた鈴木がアカギに対して頭を下げる。
「もちろん金は全て持っていっていい…まごう事なきこちらの敗北だ。
だが鷲巣様の命だけは見逃してもらえな…「よせ…」」
しかし鷲巣が鈴木の頼みを一蹴した。
「何度も言わせるな。決まりを反故にしてなにが王か…
もし生きながらえたとしてもそれは死んだも同然…
ワシは生き恥を晒すつもりはない。」
「しかし…」
「アカギ!」
鷲巣がはっきりとしない意識ながらもアカギに呼びかける。
「確かにワシは今日お前に負けた…それは認めてやる。
そこの6億とワシの命…くれてやろう。
だが…いつの日か…必ず再戦だ…
次は完全に叩きのめす。それまで待っとれ…」
「な、なにをバカなことを「安岡さん」ア、アカギ…」
「なるほど、鷲巣…お前らしい。命乞いなど無様な真似をせず
再戦要求か…いいだろう。今後お前以上の強敵は現れないだろうからな…」
フッと鷲巣が鼻で笑う。その表情はどこか満足げでもあったという。
「岡本」
「ハ…ハッ!」
鷲巣の呼びかけに後ろで控えていた白服の1人、岡本が涙で歪んだ顔を上げる。
「抜け…」
「鷲巣様………ぐっ…分かりました……」
もう鷲巣はなにをいっても意思は変えないだろうと悟った岡本がゆっくりと血を抜き始める。
次第に薄れていく意識。近くに寄ってくる白服たち。
「わし…さま…」
「…ず……ま…」
(…意識が…遠のく…)
こうして…かつて昭和の怪物とまで呼ばれた鷲巣巌は1人の悪魔じみた青年によって、75年の生涯に幕を閉じた…かに思えた。
(……………あっ?……)
鷲巣は疑問に思う……どうして自我があるのかと…
自分はアカギとの死闘に敗北し、血を抜かれ死んだはずだと…
(見たところ地獄という訳でもないようじゃが…)
鷲巣はかつて昏睡状態に陥った際死者しか送られないはずの地獄を訪れている。
そこはまさに地獄としかいいようがない場所だった。
ここはそんな地獄とはかけ離れている。
とある屋敷のような部屋。そこで鷲巣は目覚めた。
何かがおかしい。視線も低いし、髪もやたら長い。
幸いあれだけ血を抜かれた後なのに体調がいいのであたりを探索してみる。
その部屋にあった鏡を覗いて言葉を失った。そこには白髪で長髪の美少女が映っていた…
展開が強引ですが勘弁してください。
こんな感じで進めていきます。
長文書くの難しいですね…善処します。