艦隊これくしょん ~春の雨・秋の雨~   作:七ツ盾=月桜

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お久し振りです!颯乃依です!

おまたせしましたー……汗w

やっと…やっと更新できた………orz

と、取り敢えず…どぞw




第三話

 

―美桜坂鎮守府、提督執務室。

 

その一室は重い空気に包まれている。

 

「熊野、これは…決定、か?」

 

「……はい、本部からの通達ですわ…」

 

男―月瀬洸洋(つきせこうよう)少佐が天を仰ぐ。

 

机には一揃えの書類が投げ出されている。

 

―特例海域指定書。

 

そう書かれた書類だ。

 

「ふん…あれから天龍から通信は?」

 

「ありませんわ、恐らく無事海域を抜けたと思われますが…」

 

「そうか…」

 

「提督…」

 

先の天龍から突如深海棲艦が発生、襲撃を受け甚大な被害を被ったという報告があった。

 

旗艦・天龍は中破にて村雨に曳航されており、春雨は単身敵艦隊に突貫、その後不明という事だ。

 

その報告と前後して鎮守府統括(BWI)サーバーより統合軍本部からの通達があった。

 

曰く。

 

《当BWIサーバーに"風吹"と入電。当該海域にて特殊例外環境が形成された事を確認した。1400時当該海域を特例海域と指定する。当該海域への侵犯及び接触を禁ずる。現状当該海域内に在する全ての作戦展開は停止、即座に周辺海域からの離脱を統合軍本部より命ずる。》

 

とのことだ。

 

「……さて、どうするか……」

 

「提督、やりますのね?」

 

「…ふふん、流石だな。熊野」

 

「伊達に秘書艦はやってませんわ」

 

「確かにな。…熊野、第十三艦隊を召集する。旗艦は熊野。僚艦は任せる」

 

「了解しましたわ。では旗艦はわたくし。以下金剛・照月・大鳳・翔鶴・瑞鶴…それとわたくしが出撃している間の秘書艦は鈴谷、弥生でよろしいですか?」

 

「ん、それでいくか。んじゃ書類は用意しとく。そっちは頼む」

 

「はい!…秘書艦熊野より連絡ですわ。今よりお呼びする方は提督執務室迄いらしてくださいな。まず…」

 

「それじゃちゃちゃっとやりますか!」

 

………

 

沈黙。

 

美桜坂鎮守府、提督執務室。

 

七人の艦娘が召集により集まっていた。

 

重苦しい空気が場を覆っている。

 

その空気に耐えきれず、金剛が(かぶり)を振り。

 

「Heyテートク~!私たちを呼んだのは何故ですカー?」

 

「こ、金剛さん!空気!空気読んでください!」

 

「んー…ねー提督?鈴谷と弥生も呼ばれたってのはもしかして…やっちゃうのかなぁ?」

 

「……弥生は、構わないけど…」

 

「鈴谷さん、弥生さん⁉なんか怖いです!」

 

「照月さん、落ち着いて。いつもの事だし…」

 

「そうですね、大鳳さんの云う通りですね」

 

「翔鶴姉ぇ…大鳳さん…二人も大概よ…」

 

「お前らブレないなぁ…」

 

重苦しい空気が飛んでいった。

 

「さて、と」

 

場を改めるかの様に月瀬が一つ、間を置く。

 

瞬間。今度は冴えた空気が覆う。

 

「皆も知っての通り、天龍水雷戦隊がイレギュラーに遭遇し、艦娘が一人行方不明になっている。行方不明なのは春雨だというのは聞いていると思う」

 

「ホントだったんだ…春雨ちゃん…」

 

「照月さん…ん、提督。私たちが呼ばれたと云うことは、第十三艦隊として動く…ということですか?」

 

「その通りだ、大鳳。現時刻を以て第十三艦隊を編成。旗艦を熊野とし、随伴として金剛・照月・大鳳・翔鶴・瑞鶴の六人で編隊を組んでもらう。その間の秘書艦は弥生及び鈴谷を指名する。…質問は?」

 

「提督~?ヒドイ事を云うけど…春雨がまだ(・・)無事だと、思ってる?」

 

「………最悪の事態も想定しないとネー…こんな考え方はイヤデスケド…」

 

「………」

 

その言葉に月瀬は一瞬沈思する。

 

「それは…」

 

「熊野。俺が云う」

 

云いかけた言葉を遮り、一瞬の躊躇の後続ける。

 

「実は件の海域でイレギュラーが起きたのと前後して近海でもう一つイレギュラーが起きているんだよ。然も今までのイレギュラーとは異質な反応が出ている。…ってまぁ、イレギュラーに共通項なんてほぼないからなんとも云えないんだが…な…」

 

「イレギュラーが、複数…?」

 

「そうだ。今までにない現象だ。だから…もしかしてと淡い期待を、な…」

 

一つ息を吐き、(かぶり)を振る。

 

と、気を入れ替え。

 

「どちらにしろ確認せずに諦めたくはない。それにどうやらあいつ(・・・)が調査担当になってる。だから話は既に通している。外野から口出しはない。危険な出撃になるが、どうか皆…頼む。そして無事に帰ってきてくれ…!」

 

言葉にはしないが、月瀬も頭では解っている。イレギュラーが起きた、という時点で望みは持てないということは。それでも…今までとは違う何か(・・)に、祈らずにはいられない。

 

それを彼女たちも解っている。いや寧ろ彼女たちも同じ思いだ。春雨が、大切な仲間が無事で居ることを諦められない。一縷でも望みがあるなら例えどのような苦境でも進むだろう。

 

故に、答えは一つ。

 

「第十三艦隊・旗艦熊野。以下五名。出撃致しますわ。提督。わたくし達は必ず任務を全う致します。待っていて下さいな!」

 

「その間の事務処理は鈴谷と弥生に任せてよ!」

 

「弥生たちに任せて…」

 

意思は一つ。

 

〈生きて帰る〉

 

月瀬も瞳に力を込め。

 

「よし。第十三艦隊、出撃せよ!」

 

「「「「「「はい!!」」」」」」

 

 

 

第十三艦隊、出撃後暫く。

 

「提督~、天龍さんたちが帰投したって」

 

「わかった。報告は後で良い。先ずは入渠を済ますように伝えてくれ」

 

「りょーかーい」

 

「弥生、そっちはどうだ?」

 

「陽乃瀬提督から入電。特例海域付近に異常なし。特殊例外反応は沈静化した模様とのこと。安全域の確定まで周辺海域にて待機するそうです」

 

「了解。無理はするなと伝えてくれ。それと何か情報がないか聞いてくれ」

 

「ん…追加で報告。二つ目の特例反応が出た後に艦娘反応があったらしいです。…ただ既存の反応ではないみたい…です」

 

「ライブラリにない反応…?深海棲艦ではなく、か?」

 

「…ん。ちがうみたい…リトルフォーク(妖精)反応が有ったって。艦娘で間違いない…筈…」

 

煮え切らない風な言葉だ。

 

「何かあるのか?」

 

「ん…わかんない…何処かがおかしいけど、何処がおかしいのかがわからない…」

 

「春雨ではないのか?」

 

「…ん。違う。春雨の反応は掴んでない」

 

「そう、か…弥生、鈴谷。引き続き頼む」

 

「「はい」」

 

 

 

その少し後、入渠施設にて。

 

 

「「「…………」」」

 

ここでも重い沈黙。

 

現在三人の艦娘が入渠している。

 

時雨、村雨。そして夕立だ。

 

「天龍さんは大丈夫かな…」

 

「大分損傷を受けていたからね…今は集中治療用の入渠施設居るでしょうね…」

 

「………」

 

「夕立…」

 

「…夕立…ごめん…僕は…」

 

「時雨…」

 

「……ううん。わかってる。わかってるよ…そうするしかなかったって…でも、夕立は…春雨を…」

 

「「「………」」」

 

沈黙。

 

「…そろそろ上がりましょう。報告しないとだし…」

 

「そうだね。行こうか」

 

 

 

 

提督執務室、時雨たちが報告に訪れるも少し中の様子が慌ただしいのに首を傾げる。

 

「…どうしたんだろう?」

 

「取り敢えず入りましょう?」

 

そう云い、意を決して扉を叩く。

 

「提督。時雨以下村雨、夕立。報告に来ました」

 

「入ってくれ」

 

くぐもった声で応答があり、応じて扉を開ける。と。

 

「熊野。そちらの様子はどうだ?」

 

「こちら熊野。情報通り特例反応は検知できず。通常海域に遷移したものと思われます」

 

「こちら鈴谷。熊野ん、こっちでも確認できたよ。痕跡はこれっぽっちも残ってないね」

 

「弥生の方でも確認しました。通常海域へと復旧したのを確定します」

 

慌ただしく通信をやり取りしている様子で、三人は戸惑っている。

 

「えっと…提督?これは…?」

 

「おぉすまない。報告だったな。聞こうか、っても大体はもう聞いてるがな」

 

「…うん。一応再度報告するよ?………」

 

一通り報告を聞き、一つ頷き。

 

「報告は受理した。先ずはお前たちだけでも無事に帰ってきてくれて良かった…と云うのは、酷かね…でも素直な気持ちだ」

 

「わかってるよ…提督。僕たちもそれは、わかってる…」

 

「あぁ、すまん」

 

「それはいいから。それより何をしてるんだい?熊野さんが出撃してるみたいだけど?」

 

「ん?あぁ、第十三艦隊として出撃してもらっている。目的は…」

 

「もしかして…!」

 

「そう。春雨の捜索を頼んでいる」

 

「…!?それで?どうなの!?」

 

「春雨は無事っぽい!?」

 

時雨は驚き、村雨と夕立は月瀬に駆け寄り身を乗り出す。

 

「落ち着け。ちゃんと話すから。…まだ未確定だが、春雨のリトルフォーク(妖精)反応をキャッチした」

 

「つまり…」

 

「無事だって事だ。生体反応もしっかり返ってきてる。沈んでないよ」

 

それを聞いた瞬間。三人の緊張が解ける。

 

夕立は座り込んでしまい、村雨は涙ぐみながら夕立を抱き締める。

 

そして時雨もへたりこむように崩れ落ち、うつむき肩を震わしている。

 

三人とも、心から安心し、喜んでいるのが伝わってくる。

 

「おいおい、落ち着け。まぁそんな訳で春雨は無事だ。…無事なんだが…」

 

「…?なにか、あるのかい?」

 

「いや、春雨がどうとかではないんだよ。んー、まぁ春雨にも色々とあったが…」

 

「どういうことっぽい?」

 

うまい言葉が出てこないように云いよどむ月瀬だが、意を決して云う。

 

「あーまーその…規格外の艦娘…と思われる存在に助けられたらしいんだな。んで、その艦娘のスペックがな?脱帽レベルなんだわ…深海棲艦数十隻を…薙ぎ払った…らしい」

 

「「「はい?」」」

 




ここまで長かった…

なんやかんやとあって更新どころかログインも出来ない日々が続いていて、なかなか執筆が出来なかったorz

お待ち頂いて申し訳ないです汗

取り敢えず書き上げました!

ただ突貫だったので誤字脱字や流れがおかしいとこがあるかもですが…ご容赦を汗

も一つの方をお待ちのかたはすみません汗

もう暫く掛かりそうですorz

ただこれからゆっくりでも書き上げて行くので気長にお待ち下さいませませw

と、まぁ。長々と言い訳してますが、これからも颯乃依を宜しくお願いします(^.^)(-.-)(__)


明けましておめでとうございます。
今年もよろしくです!w

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