リ・バース!再誕したけど目標ないよ!   作:閃駆

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第10話【魔具ショップにて】

「よし俺の奢りだぁ!何でも食ってくれ、あ、ねーちゃんとりあえずエールくれ!」

 

ギルド内の食堂兼酒場で俺たちは手頃なテ―ブルにこしかけメニューを見ていた。

 

意外と多くのメニューが記載されてはいたが料理名でイマイチ想像つかないのばかりだ。

 

魔物素材の料理が多く、○○の煮込みやら焼き物やらとそもそも魔物の名前まではインストールされていない。

 

仕方なく手頃な日替わりランチにする。馬鹿みたいに高そうなのにも心は惹かれたが案パイでいくよ…

 

アーシャもどうやらメニュー内容でどんな料理がでるか分からない様子だ。

 

「決まったかよ?」

 

「ああ」『オッケーです!』

 

「ねーちゃん!注文頼むわ!」

 

食堂の若い女性がこちらにきた。

 

「お待たせしました。ご注文は如何ですか?」

 

「おう、シオンはなににする?」

 

「ん、日替わりで」

 

『私は、この10種果物和え~シェフのイチオシ~で!』

 

アーシャお前マジか、デザートメニューでも一番高いやつ迷わず頼みやがった。その図太さを賞賛してやりたいぞ。

 

「っおま、妖精さん妖精さんそれ銀貨2枚もするやつなんだが…日替わりの4倍もするんだが!」

 

『えー、奢りですよね?私の懐は痛みません!』

 

ランドルフは助けを求めてこちらに顔を向けるが俺は知らない。昨日はなにも食えなかったアーシャに自重はないようだ。

 

そもそもお前はなにも食べなくても問題ないだろうと思わないでもないが、奢り宣言はランドルフが言ったことだ責任とってもらおう。

 

「ドンマイ!」

 

「くっ、しかたねぇ。これきりにしてくれよ。先日魔具買っちまって金が本当にねーんだよ。ねーちゃん、俺も日替わりで、以上だ」

 

「かしこまりました、失礼します」

 

店員はそのままキッチンまでいったようだ。

 

 

 

 

そう時間もかかることなく料理がきた。日替わりメニュー意外とボリュームもあり労働者には満足するだろう量があった。

 

アーシャも美味そうにデザート和えを食べている。分けてほしい。

 

「シオンおめぇどこから来たんだよ」

 

「んー?そりゃお前秘密だわ」

 

そもそもそんな設定考えていない。馬鹿正直に1000年前の研究所から転生して出てきましたなんて言えるわけねぇ。

 

「訳ありかよ、ギルド所属の魔法使いなんて早々普通いねぇーもんな。あんな速度で付加魔法使うなんてすげぇとは思うけどよ」

 

「なんだ魔法使ったの分かったのか。ただの硬化だけどな。そんな珍しいのか?」

 

「GランクやFランク程度の魔法ならそんな珍しくねぇよ、いくら貴族が独占してるっていっても多少は市政にだってあるさ。じゃねーと魔具なんてありふれちゃいねぇだろうが」

 

「硬化なんてそんな珍しくないだろ?ギルドカードだってエンチャントされてんだし」

 

「まあな、だがあの速度はすげぇよ。見たことねぇ。正直お前ほどなら組みたいぐらいだ」

 

『マスターは超一流ですからね!本気をだせばランドルフさんなんてケチョンケチョンです!』

 

手振り身振り激しくアーシャは言った。

 

「っは、俺だって切り札は見せたつもりはねーよ。次は負けねぇ!」

 

「はいはい、俺も負ける気はないさ。次は更に圧倒してやるよ」

 

ランドルフは酒を飲みながらも強気の発言だ、実際すべてはだしてないだろう。魔具だって使ってなく武技と強化のみだ。こっちも相手に合わせた強化しかしてないけど!

 

 

そのままランドルフと飯食べながらついでに色々情報をききだした。情報集める場所だとかあと魔法にも規模でランク制になってるとかかなり有意義な情報だった。

 

1時間もするころには顔も赤く出来上がった馬鹿がいたが放置。俺たちはランドルフに礼をいって手頃な依頼があるかボードを見に行った。

 

 

 

 

 

『まともなものないですねぇ、薬草採集・街の清掃・配達。あ、しょぼいですけどゴブリン討伐なんてのもありますね。これは常にある依頼みたいですけど』

 

「Gランクなんて初心者用でしかないもんな、薬草採集とゴブリン討伐はカウンターもって受理しなくてもいいやつみたいだ。勝手にやってくれってか?」

 

『どうします?』

 

しかたねぇ、さっさとランク上げてこう。ボランティアみたいな活動なんてゴメンだ。ここは討伐一本でなんとかしよう。ついでに薬草採集もしたい。

見分けなんかつかないわけだが…やっぱ先に情報収集かねぇ。ランドルフ情報ではこの街にも図書館はあるらしい。1000年前のことも気になるし行ってみたい。

 

「図書館だな、図鑑みたいのはギルドでも貸し出してるみたいだけどそれ以外にも知りたいしな」

 

『ですねー、私も歴史書などは気になりますし』

 

「つまりはまた街の探検だな」

 

『一気に子供っぽくなりました!行きましょう!」

 

 

 

 

この街はシンプルに円の形をしている、東西南北に門が築かれ外壁が覆っている。森は完全に未開地になっており詳しくは知られていないようだ。

森の先に他国があるわけではないため魔物被害の対策程度なわけだ、だからギルド内は活気がありそこまで軍らしき存在は警邏として騎士が見回りしている程度。

外壁での警備もギルドでの常駐依頼としてあるらしい。

 

「それはどうでもいいんだけど…やっぱ広いわこの街」

 

『絶賛迷子中です。ありがとうございました!』

 

「図書館の場所ランドルフに聞いとけばよかったなぁ」

 

『あの脳筋そうなランドルフさんが知ってるとは思いませんよ!』

 

「図書館の存在は知ってたじゃん、意外と使ってるかもよ?」

 

『想像つきませんね』

 

「ひでぇ」

 

アーシャと軽口叩きながらフラフラ探索を続けると気になる店を発見した。【カミラ魔法具店】いかにもな感じだ。正直魔具は見たかったため入ることを決めた。

 

人はまばらに数人いた。室内はかなりキレイに整頓されている。ガラスケースに説明文つきで魔具が置いてある。パッと見るとアクセサリーショップにすら見える。

 

ちなみに魔具は俺が普段から使っている付加魔法を使用して作成する。

俺が弾丸に使用する簡易付加は一時的なものでこの魔具は術式をアクセサリーに刻みこむことで魔力を流すだけで何度でも使用できるのが魅力だ。

勿論耐久年数や高魔力を無理に流すと壊れてしまうため数年での買い替えは必要なこともある。

簡易付加は術式を直接刻まない一時的な効果だが、色々な効果を与えられるため戦闘でのパフとしてかなり使えるわけだ。

実は魔法での強化と魔力での強化は併用できる。まぁ俺はそんな面倒するくらいなら強化率あげたほうが早いからしない。だって1人だし。

 

「なるほど、パフ系の魔具もそれなりにあるじゃないの。これは火系の魔具か?ジャベリン系とはまた汎用的だな。金額は…金貨5枚か、ワイバーン1匹以上だわ」

 

『マスター空間系魔具もあるようですよ!どうやら【ディメンション】って言うらしいです!言い方カッコいいですね。今後はそう呼称しましょう』

 

「おお!マジだ!どれどれ腕輪系みたいだな。二の腕に装着するタイプみたいだな。小さな倉庫1つ分入るタイプか、金額は…金貨20枚って高っ」

 

『空間系は基本属性ではないですからねぇ。作成には空間属性持ちが作る必要ありますし、希少価値はあるんじゃないでしょうか?』

 

「まぁワイバーンを7匹殺ればいいと思えばなんとかなるか?でもいい情報だ自作して販売すりゃいい儲けになるな。これだけで左団扇じゃね?」

 

『ですねー、魔具売りながら色々な場所巡りってのも楽しそうです!それなら風景転写系の魔具でも作るのもいいんじゃないですかね!』

 

そんな取らぬ狸の皮算用的な会話をしながら魔具を見ていると横に同じように魔具を見ていたやつがいたようだ。

 

「う~ん、どんなのがいいかなぁ、できればあまり傷つけずに済むようなのがあればいいんだけど」

 

どうやら護身系の魔具を探しているようだ、だがその姿は非常に怪しい。足までシッカリ隠れる色がくすんだような白のローブで顔まで覆ったやつだった。

 

怪しすぎる、事案発生かとか思うが。マジで侵入時犯罪行為をした俺に人のことは言えんと思いつつそいつをツイ観察してしまった。

 

「即時発動させるなら魔法よりもやっぱ術式が最初から刻まれて魔具だし…ここは派手に【ヴォルカニックゲヘナ】クラスの一撃を」

 

「待て待て!アンタ護身系の魔具を探してたんじゃねーのかよ!あきらかに消し飛ばすような魔法名の一撃っておかしいだろ!」

 

「え?」

 

「あ」

 

ミスったつい突っ込んじまった。でもおかしいじゃん、傷つけないようにとか言ってた本人が次の瞬間死刑宣告するような暴挙だよ。

 

俺はおかしくない。

 

「あー君さ、相手を無力化したいんだよね?ならそんな物騒な名前のやつじゃなくてさ。そうだ雷属性系とかどう?そんな激しい出力じゃなけりゃあ気絶程度で済むかも」

 

「なるほど!そうですね!ありがとうございます、どこらへんにあるんでしょうか?」

 

俺は店員じゃないんだが。まぁ声色からして女性らしい、なんか聴いたことのあるような声な気もするが俺に知り合いはいない…っく知り合いはいない!

 

「確かさっきこっちでみた、これこれ。リング系の魔具だよ。Eランクほどの規模での雷撃、出力は魔力次第です。だとさ」

 

『ですです。これなら護身用だけじゃなくともいけるくらいです』

 

「妖精さん?そうですか。これなら大丈夫ですね、でも魔力制御が苦手でして…壊れちゃいませんか?」

 

そんなの知らんがな、そも素材に少量だがミスリルまで使った魔具なんだぞ?そう簡単に壊れるわけがない。

それこそ10万20万とかの魔力を一気に流すとかの愚挙しなけりゃいいだけだ。

 

(『マスターこの子凄い魔力ですよ、多分150万…いえ200万近いほどです』)

 

なんだと?――本当だ200万ほどの魔力を感じる。イヤ深いとこには下手をすればもっとある。俺の感知と魔眼じゃ見切れない。隠蔽?いや封印に近い。

表層魔力だけでこれとは高魔力保持者も近いとこにいるものだ。俺からしたらゴミだが。

 

(「問題はないだろ、俺は1億だ。リミッター外せばそれこそ100億、200万程度それこそ桁が違うさ」)

 

「あの?大丈夫ですか?」

 

「ぁあ、悪い考え事していた。壊れるね…まぁ大事に使えば大丈夫だろ。ミスリルも少量使ってるし壊れにくいはずだよ」

 

「あ、本当ですね。説明見逃してました。私これでも魔力が多くて。…いえ何でもありません。これ購入しようと思います。ありがとうございました」

 

「いや問題ないさ、それじゃあね」

 

「なにかお礼を…」

 

「流石にこの程度でお礼なんていらないさ。それ大切にしてくれればいいよ」

 

『自分の店のものじゃないですしねー』

 

「そうそう、ん、じゃあね」

 

「ありがとうございました」

 

ロープ姿で最敬礼をしてくれた。見た目より全然普通の子のようだ。発言は一部おかしかったけど。

 

特に買いたいものはなかったし、てか余裕なんてないわけだし俺は店から退散した。

 

 

 

 

「なにも買えなかったな」

 

『お金ないですもんね』

 

「貨幣社会の馬鹿野朗め、こんな制度だから社会的弱者は苦労するんだ!」

 

なんて愚痴りながらその場を後にする。と横に雑貨屋があることに気がついた。図書館いくなら紙とペンが欲しい。ついでに買ってくことにした。

 

 

 

 

ごく普通のノートとペンを購入し雑貨屋からでる。ノートは現代と違って綺麗な紙を使用しているわけじゃないがそこは妥協するしかない。

 

この程度で銀貨1枚とられた、高すぎだろと思いつつ図書館探しを継続しようと歩きだそうとし

 

「あれ?さっきの親切な方?」

 

たがそうもいかないらしい。既に購入したマジックリングを左中指につけた怪しいローブ女がそこにいた。


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