今日も貪食   作:4256巻き

3 / 13
ちょっと話しが短い


3話 少し近しく

「えー、では条件を守り契約を交わす

・・・・と言う事でよろしいですかな?」

 

「はい!」

 

『異議はない』

 

コルベールの言葉にルイズは元気よく返事をし

竜は特に不満のない様子で答えた

 

「これより契約を行います、それで契約なのですが呪文を唱えて

キスをする事で体のどこかにルーンが刻まれ、契約完了となります」

 

一人と一体が顔を向かい合わせ呪文を唱えていたが

ルイズがふと呪文を止める

 

「ミス?どうしたのですか」

 

「ど、どっちの口にキスをすれば・・・・」

 

巨大な体の割りに小さく小動物の様な顔の口

縦に体が裂け、裂けた両端から多数の牙が蠢く大きな口

 

一つは可愛げ、もう一つは恐ろしげ

ルイズはもちろん可愛げのある方を選びたいが

どちらの口にキスをすればいいのかと迷っている

 

「ふむ・・・・すみませんが契約のキスで

あなたのどちらの口にすればいいのでしょう」

 

『どちらでも構わない』

 

「頭のある方で!!」

 

竜の返事にルイズは裂けた体の血が滴りそうな口ではなく

爬虫類寄りの竜の顔へのキスを即時に選んだ

 

そしてどこか早口気味で呪文を唱えて

竜の顔にルイズの唇が触れた

 

すると竜の片手から光りが現れ

文字か模様の様なものがゆっくり刻まれてゆく

 

「契約のルーンが刻まれましたが・・・・

痛くはありませんか?」

 

『溶岩に比べれば痛くはない』

 

「溶岩、ですか・・・・おや?これは珍しい」

 

コルベールは溶岩に触れた事のある様な竜に

少し戦慄が浮かぶがルーンを見るとメモ帳を取り出す

 

「ルーンを書き写してもよろしいでしょうか?」

 

『これは珍しいものなのか?』

 

「ええ、こうして教職を続けていますが

このルーンは見た事がありません」

 

そう言いながらコルベールはルーンを正確に書き写していく

そんな中で暇を持て余したのかルイズが竜に話し掛ける

 

「ね、ねぇ」

 

『なんだ』

 

「あなたって名前はあるの?」

 

ルイズは一応使い魔となってくれた竜にどう話しを

掛けたものかと考えふと思った事を聞く

 

『貪食ドラゴンと呼ばれていた』

 

「どんしょく?」

 

『貪り食らう竜と言う意味だ』

 

「へぇ・・・・どんなものを食べるの?」

 

そうルイズが聞くと貪食ドラゴンは間を置いて答えた

 

『喋る者、喋らない者を骨まで残さず』

 

「・・・・・・か、変わったのを食べるのね!!

(亜人!きっと食べたのは亜人なのよ!!)」

 

貪食ドラゴンの返答にルイズは自分を含む二足で歩く

生物の名が思い浮かんだがきっと喋れる亜人なのだろう

 

そう考えなければルイズは自分も捕食対象と

捉えられてる気がしてちょっと足が震えそうだった

 

「お待たせして申し訳ない、では学園へ行きましょうか」

 

ルーンを写し終えたコルベールは学園のあるであろう

方角へ歩き、ルイズも学園に向けて歩こうとするが

 

トントン

 

肩を軽く叩かれ振り返ると貪食ドラゴンが

光る文字を書いてルイズに言葉を伝えてくる

 

『遠ければ背に乗せてもいい』

 

ルイズは驚いた

こうも簡単に背に乗せると言う貪食ドラゴンの言葉に

 

「え・・・・乗っていいの?」

 

『その方が早い』

 

竜とはとても強く頭の良い古くからの種族だ

背に乗るには自身が乗りこなすか竜に背を許されるか

 

後者は確かな信頼、竜との交渉、なんらかの譲歩、気まぐれ

このどれかであるが貪食ドラゴンは使い魔となったのだから

ある程度はとの譲歩と

それぞれ歩幅が合わず歩くよりはルイズを背に乗せた方が

早く学園に着けると思ったからだ

 

ひょい

 

「わっ」

 

貪食ドラゴンはルイズをネコと同じように

持ち上げ自身の背に乗せて歩く

 

ズシャン、ズシャン

 

馬ほど速くはなく、荷車ほど安定してる訳でもないが

しばらく乗っているとゆっくりとした旅路のようで

穏やかな日差しとそよ風に疲れも相まってルイズは眠った

 

学園に着くとルイズは貪食ドラゴンに起こされ

眠っていたのが恥ずかしいのか顔が少し赤かった




貪食の食生活ってやっぱり最下層の奴等と不死なんだろうか・・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。