今日も貪食   作:4256巻き

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とりあえず五月になる前に投稿

そしてそこまで話しが長くならなかった


10話 怖くも仲良く?

「グォォォォオオオォォオオオオオ!!!」

 

貪食ドラゴンが発した咆哮は例外なく近距離のギーシュ

遠距離の生徒達にも響き渡らせる

 

咆哮は叩きつけるように肌を揺らし、間近に居ると錯覚を起こし

物理的、本能的にうら若き生徒達に最上級の危機感を感じさせる

 

・・・・・・

 

しかし存外、体を震わせ腰を抜かす者がいても

大半が逃げ出せない、または逃げ出さなかった

 

それは貪食ドラゴンが向ける矛先がギーシュにある事と

怖いもの見たさ、決闘が終わるまで過程を見たいが為か

はたまたこの両者の行く末を心配に思うが故に・・・・

 

早い話しが気になってそのまま見てしまっている

それがこの場に残る者達の共通点である

 

決闘の当事者、ギーシュと貪食ドラゴンを除いて

 

 

ズシャン、ズシャン

 

火竜、水竜、風竜、地竜のどれにもあてはまらない

正体不明にして恐ろしき紫色の巨竜がギーシュに近づいてゆく

 

「ワ、ワルキューレッ!!」

 

ギーシュがそう叫び、薔薇の形をした杖を振るうと

8体の人の形を取り、別々の武器を持った青銅のゴーレムが現れた

 

そしてゴーレムに興味が湧いたのか貪食ドラゴンは足を止め

反り返った体を起き上がらせてゴーレム達を眺めている

 

その隙にギーシュはゴーレム達に攻撃命令を出す

 

カン!キン!ガッ!

 

しかし青銅の武器は貪食ドラゴンの頑丈な外皮に弾かれ

一切傷を負わす事なく、全ての攻撃が通じなかった

 

ならばとギ-シュは自身が操るゴーレムの一体に

外皮がなく縦に裂けた口の様な部分に攻撃をさせる

 

ガシン

 

しかしゴーレムは口の両端に生える牙の様な肋骨に挟まれると

どんどん奥へと押し込まれ、無数の蠢く牙に咀嚼される

 

ギギギッ、ギギギギッギギ、バギャン!!

 

僅かな時間、あの牙の咀嚼に耐えたがすぐさま

青銅のゴーレムの全体がひしゃげ、圧し折れ、牙に穿たれ

人間らしきの形がかろうじて残された金属の残骸が

貪食ドラゴンの体にある恐ろしき口から崩れて落ちる

 

このゴーレムのあり様に殆どの者は恐怖と迫力を感じ

金属の擦り切れる音が聞こえる度にギーシュは足が震えた

 

なにせ自身が誇るゴーレムが数秒で残骸に変わり

場に残るゴーレムも同じく数秒しか耐えられないと理解した故に

 

そして操作主であるギーシュが動揺すると同時に

ゴーレム達の動きは鈍くな反応の悪いものとなり

次々と貪食ドラゴンの手に掛かる

 

一体目の咀嚼されて残骸に変わったゴーレムに続き

二体目のゴーレムは踏み潰され

三体目のゴーレムは握りつぶされ

四体目のゴーレムは両手で引き千切られ

五体目のゴーレムは掴んで地面に叩きつけられ

六体目のゴーレムは近くの塔に投げて叩きつけられ

七体目のゴーレムは空高くに投げられどこかに墜落し

そして・・・・

 

ズシャン、ズシャン

 

ギーシュと1メートルの距離に貪食ドラゴンは居た

 

「あ、ああ・・・・!」

 

八体のゴーレム全て違うやり方で壊されたギーシュは

既に戦意はなく僅かな意思で震えつつもそこに立っていた

 

そして貪食ドラゴンはゆっくりとした動きで手を動かし

ギーシュの一歩手前の地面に光る文字を書いて見せる

 

『腹が減った、まいったと言え』

 

それは貪食ドラゴンにその気がなくとも

降参しなければお前を食す、としか思えなかった

 

「まっ、まいった!だから食べないでくれ!!」

 

ギーシュの発したこの言葉で決闘は終着するも

広場には歓声はなく、詰まった息を吐く様な音が聞こえた

 

それはまるで見続けていたホラー映画が終わったかの様な

緊迫感や恐怖感の終わりがそうさせるのだろう

ギーシュがこの決闘から無事に生還した故の一息とも言えるが

 

しかしそのギーシュは現在なぜか

貪食ドラゴンの手に体を掴まれ周り者達もそれに気づいた

 

「つ、使い魔くん、なんで僕は掴まれているんだい?」

 

ギーシュの疑問に対して貪食ドラゴンは言葉を伝える

 

『まず、己とお前は喧嘩らしき事をした』

 

「そ、そうだね」

 

『喧嘩後は共に食事をして仲直りをすると聞く』

 

「まぁ・・・・そうらしいね」

 

『食しに行く』

 

「いや僕は人間で君は竜だからちょっとちが」

 

ズシャン、ズシャン

 

貪食ドラゴンはギーシュを話しを聞かず掴んだまま

食堂のある方角へと歩いて行った

 

この場でそれを見続けていたルイズは案外平和に済んだみたいね

とつぶやいていたがすぐに戻って来た貪食ドラゴンに掴まれ

ギーシュ共々食堂へと運ばれ食事をした

 

 

この後、怖い物見たさが残ったのか生徒達の幾らかに

怪奇小説などの本を読む生徒が増えたそうな




次回、デルフリンガーは必要ですか?

正直言って貪食だしソウルの中には既に色んなものもあるし
どうやってデルフを手に入れるかとか考え中

そして口から出るあれは巨大ものに使用予定

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