今日も貪食   作:4256巻き

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日々思い浮かべてたのと衝動でやってみたが・・・・
貪食ドラゴンの描写が難しい


1話 頭はかわいく体は恐ろしく

バァーン!

 

爆発音が短い草の生えた平たく広い場所に響く

 

バァーン!

 

一定の時間毎に一人の少女が爆発を起こし

それを繰り返し続け、それを近くで中年男性が静かに見守り

これを遠巻きに見て嘲笑う多数がいた

 

 

事の発端は魔法を学ぶ魔法学院の1、2、3の学年の内で

2年生が行う行事、使い魔召喚が始まりだった

 

この使い魔の召喚は魔法を唱えられるメイジには

簡単なもので殆どの者は大抵、一回で成功するのだが

この爆発を繰り返す髪がピンク色の少女ルイズは

他の者とは異なり、上手くいかない理由があった

 

ルイズの扱う魔法はどんな内容のものだろうと

爆発へと変り、唱えた魔法の効果は発動されないのだ

 

そして追い討ちを掛けるかのように

使い魔を召喚し契約の出来なかった者は退学となってしまう

 

故にルイズは何度魔法を唱え爆発しようとも諦めない

諦める訳にはいかなかった・・・・・・だが

 

42回目の爆発

 

この爆発は一際大きく、多々起こされた爆発によって

深く広がりクレーターを更に大きく深く抉り、砂煙が舞い上がった

 

「つ、使い魔は!?」

 

煙が晴れて少女が爆発の起こった場所を見るが

一見、そこにはなにもないように見えた

 

「・・・・ミスヴァリエール、あなたには明日に

もう一度召喚の儀を行えるようにします、だから・・・・」

 

ズシャン

 

「!」

 

バッ

 

中年男性はなんらかの音に気づき後ろを振り返る

あるのはクレーターのみ

 

ズシャン、ズシャン

 

だがそこからなにか重いものがこちらに向かって

歩くような音が聴こえて来る

 

「ミス・ヴァリエール」

 

「・・・・はい」

 

「なにか大きなものが来ます、少し離れていてください」

 

「!」

 

ルイズはその言葉に召喚失敗と言う思いが消え

期待するような目でそこから離れずクレーターを見る

 

ズシャン、ズシャン

 

ズシャン、ズシャン

 

足音が近づくほどに中年男性の緊張は高まり

ルイズの期待は高まる

 

にゅ

 

そしてクレーターからなにかが顔を出した

 

それは紫色で爬虫類に近く、人を呑み込めそうな大きい顔で

滑らかな竜の鱗のような頑丈な皮膚を持ち

黒いつぶらな瞳と尖った角のない顔は凶暴とは程遠く

少し可愛いものだと思える竜の顔があった

 

紫色の竜はキョロキョロと周りを見ている

 

「やった・・・・やりました先生!」

 

「ええ、おめでとうございますミス・ヴァリエール」

 

中年男性、もとい男性教師はルイズの召喚成功に

安心と喜ぶ姿を見ると微笑まい気持ちになる

 

遠巻きに見ていた者達はルイズを竜の召喚に対して

驚愕と動揺が見て取れる程に表していた

 

ズシャン

 

足音が聴こえ、男性教師が音のしたクレーターを見ると

紫色の竜がクレーターから這い上がろうとしているようだった

 

「ミス、竜がこちらへ来そうなので

いつでも契約できるよう準備してください」

 

「はい!」

 

ルイズは自分が召喚の魔法に成功したことや

しかも竜を召喚し顔の大きさからして

体も中々に大きい竜であろうこと

 

これらの成功に今ルイズは喜びに満ちていた

 

そして学院にて気軽に話せる友など居ない自分に

これから苦楽を共にし一緒に道を歩んで行く

自分だけの使い魔ができるのだから

 

ズシャン、ズシャン

 

そして足音を立ててクレーターから這い上がり

自然と見えてくる竜の体が目に映る

 

それを見た瞬間、ルイズは先程まで浮かべていた気持ちや思考が

真っ白な白紙に変わり、呆けた顔で口を開けて絶句した

 

 

長く細い腕のような前足2本を使って徐々に這い上がり

見えた紫色の竜の体は小さい顔に反してとても大きく

 

体の一見、胸部や腹部に当たる部分は縦に大きく裂け

裂けた両側の腹からは恐ろしい数の大小様々な牙が生え

 

背中にはその巨体に見合う馬鹿らしい程に大きな竜の翼が四枚と

この大きさ故の影と元々の紫の色合いから悪魔のようにも見える

 

そしてその体は長く、裂けた体の後ろに続く長い胴体は

4本の足が支えており尻尾はこの体以上に長い

 

そんな4枚の羽を生やし6本足の異形に異形を重ねたような巨竜が

クレーターから這い出て、その全容をここに居る者全てに晒す

 

・・・・・・・・

 

ルイズと同じく男性教師や遠巻きに見ていた者達も

なにも言葉が出なかった、出せなかった

 

驚愕か困惑か・・・・

はたまた事態の急変に頭が追いつかないのか誰も動きはしない

 

そんな中で竜は腕のような前足を浮かし

裂けた体だけを後ろにのけぞらせて4本足で立つ

 

のけぞることで前面に出される縦に大きく開かれた裂け目には

多くの牙が蠢き、その奥で動き脈動する竜の内部は

正に怪物の口としか言えない

 

「グォォォォオオオォォオオオオオ!!!」

 

竜が大きく吼えた

 

呆然としている者達の肌が竜の出す音の振動に揺らされ

意識を正常に戻した者達は後ろを振り返らず学院へと逃げた

 

 

そうしてここに残る生物はたったの三つ

 

この事態に一番困惑している少女、ルイズ

 

竜の挙動に注意を向け残ったルイズをどう逃がすか

必死に思考を巡らせる男性教師、コルベール

 

別世界の最下層と呼ばれる場所から呼び出され

盛大な挨拶と言う名の威嚇をかました貪り食らう竜、貪食ドラゴン

 

この二人と一体だけがこの場に残った




次回、ゆるくなります

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