ハイスクールD×D 『本物』を求めた赤龍帝   作:silver time

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調子に乗って三連続!!!


乗るしかねぇ、このビッグウェーブに!

まあ長くは続かないと思います


第一章 旧校舎のディアボロス
図書室司書の日常


 

 

時の流れは早いもので、あれからもう一ヶ月近く経った頃にはすっかり学園に馴染んでいた

 

赴任当初は多くの生徒で賑わっていた図書室だが、最近はようやくなりを潜め客足が段々と落ち着いてきた。

それでも一日に数十人ほどは生徒が訪れるが

 

一応勤務中の身ではあるが、偶に常時携帯してるポッキーを齧りつつ読書をしている姿は全生徒に認知されつつある。

 

さて、晴れて比企谷もこの駒王学園の名物の一つとなった訳だが、この駒王学園には色んな意味で有名な変人生徒や教師が居たりする

 

曰く、駒王学園の二大お姉様

 

曰く、三人で活動する駒王学園の何でも屋

 

曰く、リアル白馬の王子、理想のナイト様

 

曰く、変態三人組

 

曰く、幾多の不幸(主に女難)に見舞われるツンツン頭の少年

 

曰く、駒王学園のマスコット

 

曰く、ロクな発明をしない発明家になりたかった教師

 

曰く、フレンドリーな関西弁独身女教師

 

曰く、生徒に対して真正面から向き合う真面目だが無駄にエリート意識が高くウザがられる教師

 

曰く、童顔ドジっ子巨乳の三拍子揃った天然女教師

 

曰く、多くの生徒からお姉様と慕われ木刀一本で大の男をも打ち倒す学年主任

 

以上のような色んな意味で話題に事欠かない多くの名物生徒、教師がこの学園には揃っている

 

そして最近では、その名物の一つとして認知されつつある比企谷の最近になって高確率で見られるようになった光景が存在している

 

それは

 

 

 

 

 

「…………」ポリポリポリ

 

「…………」サクサクサク

 

 

 

 

比企谷の膝の上で共にお菓子を食べながら同じ本を読んでいる駒王学園のマスコットというたいへん癒される光景がほぼ毎日図書室にて開催されている

 

この光景に悶えるものも少なくはなく、一部の女子生徒の間でこの二人のツーショット写真が本人達の知らぬ所で高値で取引されていたりする

 

例としては比企谷がお菓子を小猫の口元まで持って行き食べさせる(見ようによっては餌付け)といった画像や、二人のあくびがシンクロした瞬間を収めた貴重な写真があったりする

 

最後まで読み終えた二人は本を閉じ、比企谷は小猫に作品の感想を聞いた

 

「どうだった?今回のは」

 

「とてもおもしろかったです。…インドラから鎧を奪われたにも関わらず、カルナが鎧を潔く差し出した所が特に印象的でした」

 

「ほう、まあ楽しめたのならそれでいい」

 

「次はどんな本を読みますか?」

 

「そうだな……今までとは趣向を変えて推理モノにしてみるか」

 

こんな具合に元々甘党同士で意気投合し、今ではご覧の通りに中睦まじい二人であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼休みの事

 

比企谷は特に理由もなく廊下を歩いていた

 

「仕事が落ち着いてくると案外暇だな」

 

急ぎの仕事は無く、比企谷に回されてくる程に忙しくも無かった

 

本格的に暇になり始めた比企谷が廊下歩いていると

 

「……ん?」

 

前方から幾つも積まれた段ボールから足が生えてコチラに千鳥足のような不安な足取りで歩いて来た

 

 

「んしょっ、よい、しょ」

 

……のではなく、頭が隠れるまでダンボールを積み上げ一気に運んでいる山田先生だった

 

「……山田先生?」

 

「へ?比企谷君?何処に居るんですか?」

 

「………目の前ですよ。というより前見えてませんよね?」

 

 

「すいません、一気に持っていけば早く終わるのでつい…」

 

「半分持ちますよ」

 

「え?いいんですか」

 

「ええ。むしろやらせて下さい。そうじゃないと不安で仕方ないです」

 

「……それじゃあ、お願いしてもいいですか?」

 

「どうぞ」

 

 

比企谷は山田先生から半分程ダンボールを受け取ると山田先生の後について行く

 

「どこまで運べば?」

 

「資料室までお願いします」

 

「任されました」

 

山田先生の歩調に合わせ、ゆったりと廊下を歩いていく

 

よいしょ、よいしょと小さく掛け声を掛けながら前を歩く同僚に本当に年上かと小さく笑いながら彼女の後を歩いていると、山田先生が後ろを歩く比企谷に向けて話しかけた

 

「比企谷君はもうお仕事にも慣れました?」

 

「まあ、ぼちぼちといったところですかね」

 

「比企谷君が来てから図書室を利用する生徒が多くなりました。前はそもそも使われてすらいなかったんですけどね……」

 

「最初見た時はここまで汚れるものなのかって驚愕しましたよ。次の日に改めて掃除やら補修やらしましたけどかなり疲れました……」

 

「あははは……本当にお疲れ様でした」

 

そうこうしてる内に目的の資料室まで到着し、段ボールを資料室にしまった

 

「お疲れ様でした。お陰で助かりました」

 

「また何かあれば言ってください。基本的に暇なので」

 

「はい。それじゃあまたお願いします」

 

用事が終わり、山田先生はポケットから一本の緑色の液体が入ったビンを取り出した

 

「山田先生、ソレは何ですか?」

 

「中馬先生の作った栄養ドリンクですよ」

 

「……中馬先生が?大丈夫ですかそれ」

 

比企谷は山田先生が持っている栄養ドリンク?の製作者が中馬先生である事を知り、恐る恐る尋ねた

 

実際、中馬先生の発明品にはロクな物が無かった。

 

紫藤先生が性格が変わる薬を飲んだ時は誰だコイツなレベルで変わりすぎて妙に気持ち悪かった

 

「確かに、中馬先生の作ったものは大抵変なものばかりですけど、この栄養ドリンクは本当にスゴイんですよ!」

 

「はあ……」

 

色的に不安しか感じない比企谷をよそに、山田先生は例の栄養ドリンクを飲んでいく

 

「あれ?」

 

「……どうかしました?」

 

「いえ、なんだかいつもの味と違う気がして……」

 

なんとなく嫌な予感がした比企谷はその場を後にしようとしたが……

 

「ん?猫?」

 

「うわー!見てください比企谷君!この猫ちゃんすっごくカワイイですよ!」

 

いつの間にか山田先生の足下には何処からか入ってきた黒猫が山田先生の足に頭を擦り付けていた

 

時折にゃーと鳴き、ゴロゴロと喉を鳴らしている。

その姿はまるでマタタビを与えた時のように(・・・・・・・・・・・・・)

 

「…………」

 

気づいた時にはもう遅かった。

 

なぜなら

 

 

「……山田先生。走るのは得意ですか?」

 

「え?いきなり何を……」

 

「今から職員室まで直行しますよ。」

 

 

 

 

なぜなら、窓から無数の野良猫がコチラにロックオンしていたからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ココに置いてた筈なんだけどな〜」

 

「チュウさん?一体どないしたん?」

 

「いや~、ココに置いてたはずのマタタビンZがなくなったんだよね~」

 

「……なんやその、マタタビンZって」

 

「猫好きの人用に作った薬なんだけど、一口飲むだけで猫が押し寄せて来る位に強力なんだよね~」

 

「……嫌な予感しかせえへんのやけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はっ………はぁ…………なっ、何なんだコレは!?」

 

「はぁ……わ、わかりません!」

 

『ニャー!』

 

「お、追いつかれる!逃げねぇとあの猫の大波に飲み込まれる!」

 

そして今、後ろから迫り来る無数の猫達が津波のように押し寄せ、それから逃げる女教師と司書がいた。

廊下にいた生徒は咄嗟に教室に避難しているため、生徒に被害は出なかった

 

二階、三階と駆け上がるが猫達は全く落ち着く様子も無い

 

「……ん?」

 

「あっ、紫藤先生!」

 

「貴方達!教職員でありながら廊下を走る…とは………言語……」

 

「紫藤先生逃げて!超逃げて!」

 

「スイマセーン!」

 

「…………猫?」

 

次の瞬間、紫藤先生は無数の猫達による津波に飲み込まれた

 

「紫藤先生……貴方の事は次の日曜日の朝8時30分まで忘れない!」

 

「何でそんな具体的なんですか!?」

 

「特に理由はありません!」

 

 

あっという間に最上階まで上り、いよいよ後がなくなってきた

 

「一旦撒かないと職員室にも行けねぇのに、強力過ぎませんか!?」

 

「わ、私に聴かれても……」

 

「畜生……ん?」

 

ふと、視線真正面に戻してみる

 

すると

 

 

 

 

「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

 

『待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!』

 

 

「前からも!?」

 

「あのバカ共、こんな時に……」

 

 

前方から三名の変態による機動編隊とその後ろから数十人の女子が竹刀を片手に変態三人編隊を追っている

 

正直言って四面楚歌である

 

「あっ、はちまぁぁぁん!!助けてくれぇぇぇぇぇ!!」

 

知らんがな

 

「………………かくなる上は」

 

 

比企谷は覚悟を決めた

 

「山田先生!失礼しますよ!」

 

「へ?……え!?」

 

山田先生をお姫様抱っこする覚悟を

 

「「「なっ!?比企谷テメェェェェ!!」」」

 

 

「最後のガラスをぶちやぶれ!」

 

「えっ、ちょっと待っ――」

 

山田先生を抱え上げ、開いている窓へ大きく踏み込むと

 

 

 

 

 

青い空へと飛び出した

 

 

 

「えっ、おい比企谷!?って――」

 

「「「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」」」

 

直後、三人の変態の断末魔と女子の悲鳴をバックに、比企谷の体はやがて自由落下を始めた

 

「こ、ここ4階ーーー!!!」

 

「口閉じてください!舌噛みますよ!」

 

比企谷は足を壁に着けて壁を垂直に走っていく。急に減速するのではなく、壁を走るようにして慣性を横へと変えるようにする

 

やがて地上まで残り数十メートルの所で地面へと走りながら降り立った

 

「大丈夫でしたか?」

 

「………………私、生きてますか?」

 

「生きてますよー」

 

「………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「にしても外がえらくうるさい事になってるな」

 

「一体何処にいったかな……」

 

「誰か間違えて飲んだんやないんか?」

 

「さすがにそれは――」

 

「「中馬先生!!」」

 

「うわ!?ビックリした……比企谷に山田先生?どないしたん?」

 

「……というか何でお姫様抱っこ?」

 

「「……中馬先生」」

 

「な、何ですか……?」

 

 

「「コレの解毒薬!速攻で作ってください!!」」

 

「あれ、それ俺が探してたマタタビンZ。何で山田先生が――」

 

「「Hurry(ハリー)!!!!」」

 

「は、はいィィィ!」

 

「嫌な予感、的中やな……」

 

 

 

 

「…………ね……ねこの……大群……?……ねこ?……ですよろしく、おねがい……しま……」

 

 

 




今回から第一章!

ようやく原作突入だ!



まあしばらくは一誠を主軸にして進んで行くと思います

八幡の活躍が見られるまでしばらくお待ちください

目指せ!失踪ならぬ疾走シリーズ!



そしてこの作品では紫藤先生はウザいけどいい人です

多少扱いが雑なのもねこでした。ご愛嬌ということで

それでは皆さん


よろしくおねがいします。

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