私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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4か月ほど飛びまして、もう新年です(*^_^*)

今回は、前の年にやらなかった初詣のお話です。

ちなみに次回へと続きます(^o^)/


「でもそんな林崎くんも好きだけどねっ!」

「林崎くん!」

 

「竹下さん!おは・・・じゃなくて・・・」

 

「明けまして」「あけましてっ!」

 

「「おめでとうございます!」っ!」

 

早いものでもう新年。俺は優美と一緒に初詣に来ている。

 

3年生は文化祭が終わった後はもうイベントらしいイベントが全くない。あえて言うなら実力テストがあったか(笑)

 

クリスマスというイベントは、あわよくば、時間があればと思ったけど、優美が予備校の冬季講習があり、あえなく断念。お正月なら大丈夫ということで今日会うことにした。

 

「なんか年明けそうそうに会えるってちょっと嬉しいねっ!」

 

「確かにそうかも。去年も部活始まったのは5日からだったしね」

 

初詣、ということでよくある漫画とかアニメのテンプレ展開ならヒロインは着物を着たりしているが、優美は普通に私服。茶色のコートに優美にしては少し長めの膝くらいまであるスカート。

 

会うなりチラチラと彼女の服を見てたため、視線に気が付いたのか感想を聞かれた。

 

「どかな?この間セールになってから買ったんだけど、もう高校生も終わるし大人目にしちゃったんだけど・・・」

 

聞かれて思ったことは毎度毎度ではあるが、自分に似合う服をしっかり選んでるなあ、と。たまーに明らかにミスマッチなの着てる人を見ると「あー・・・」って思う。

 

「いいんじゃない?似合ってなくはないと思うよ」

 

なんとなく、そんなことを言ったが、何やら優美は不満気らしくて。ちょっと頬を膨らましている。

 

「むー・・・!それって似合ってないってことだよね?似合ってるなら似合ってるっていつも言ってくれるしっ!」

 

似合ってないとは思ってはないんだが・・・うーん、今から似合ってると言っても信じてくれないよなあ・・・。

 

「あ、私わかったっ!」

 

何やら優美は1人で何か考えついたみたいで。

 

「前にね、麻由美ちゃんから聞いたんだけど、男の子ってこういう感じのよりも短いスカートが好きな人が多いって聞いたことがあるんだけど・・・」

 

「あー・・・」

 

うん、まあ、それは考えてはなかったが、否定は出来ない。うん、俺もミニスカート姿の優美は好きだし。

 

「やっぱり林崎くんもそうなの・・・?」

 

ジーっと怪しげな視線を送る優美。いかんいかん!変なこと考えてないで否定しなくてはっ!

 

「いやいや!俺は竹下さんが何を着てようと大丈夫だから!」

 

何が大丈夫なのかよくわからんが、まあいいだろう!

 

「ふーん・・・」

 

と、優美はスカートの裾を持ち上げた。タイツには包まれてはいたが、そのキレイな足があわらになった。いかん、これは絶対罠だ!!と思ったときにはもう遅く、そこへと視線が行ってたみたいで・・・。

 

「やっぱりそうなんだねっ!」

 

「いや、違っ・・・いや、違くは・・・あ・・・」

 

そう言いかけたが、耳元での優美からの囁き声に途中で言葉が終わる。

 

「えっち・・・でもそんな林崎くんも好きだけどねっ!なんてねっ!」

 

そういった優美はくるくるっと周りながら俺から離れる。顔を見ると少し赤くなっている。あ、もちろん俺もそんなこと言われたから顔赤くなってると思うけど。

 

そういえば今日もそうだけど、一緒に登下校しているときもいわゆる「小悪魔優美ちゃん」が出る回数は多くなった気がする。もしそれが俺にだけ見せている彼女だとしたら、嬉しくないわけがないと思った。

 

 

少し歩き、近くの神社へと到着。世間でも割と有名みたいで15分ほど並び、俺たちの番が近づく。

 

「こういう時って5円がいいのかな?」

 

よく語呂合わせでそういうが、そういえば今まではなぜか10円玉を投げ込んでたなと思う。理由は、まあ、5円だと1円の次に安い硬貨だし、効果があんまりないんじゃないかと思って。硬貨だけに。

 

「お母さんにはいつも10円もらってたけど、林崎くんはどうなのかなって思って」

 

「あ、そうなんだ。俺もいつも10円なんだよね」

 

こんなどうでもよさそうな小さなことでも、一緒になるとやっぱり嬉しくなるね。

 

「そっか!じゃあ10円にしようっ!」

 

優美は可愛いお財布から10円を取り出す。雑談してたらもう順番が回ってきそう。あわてて俺も財布から10円を出す。

 

「なあ」

 

「うん?どうしたの?」

 

「俺さ、お願いが2つあるんだけどさ、欲張って2つは駄目だと思うんだ」

 

「あー、うん、そうかもね」

 

そう答えた優美を俺はじっと見る。

 

「な、なにかな?」

 

ちょっと恥ずかしそうな優美。可愛い。じゃなくて。

 

「キミも2つあったりするんじゃないかな?」

 

ちょっと強引かなとは思ったけど、仮に1つしか浮かんでなくてもこの言い方なら2つ目は出てくるだろう。

 

「あっ・・・!まあ、確かに、なくはない、かなあ?」

 

気が付いたらもうお賽銭箱が目の前に。

 

「じゃあキミが学問の方で。ほら、一緒に投げよう」

 

「えっ!うん!」

 

「せーの!」

 

カランと音をたて、10円玉はお賽銭箱へと入る。2人で目をつむり手を合わせ、会釈をし願いを神主様へと伝えた。

 

俺は先に目を空け、隣の優美が目を空けたのを確認して声をかけ、その場から離れた。

 

「ねね!」

 

歩きながら話しかけれる。さっきのが気になるみたい。

 

「お願い、何にしたの?」

 

「たぶんキミが考えることと一緒だよ」

 

からかいたいのか、恥ずかしいのかわからないが、そうはぐらかす。

 

「もう~!気になるよぉ!」

 

「竹下さんはちゃんと『2人が受験成功しますように』ってお願いした?」

 

まあ大丈夫だとは思ったが、俺も確認。

 

「うん!大丈夫っ!・・・って私じゃなくて林崎くんはー?」

 

「当ててみて?」

 

あくまでも言わせたいなあと。きっと可愛い反応するからね。

 

「うー!私も恥ずかしいってわかってるくせにっ!・・・えっと・・・」

 

優美は回りをチラチラと見た後、人が多いことに気がつき耳元でこそっと言う。

 

「私たちがうまくいきますように・・・みたいな感じ、でしょ?」

 

うん、まあ、ニュアンス的には正解だね。

 

「正解正解!よく言えました!」

 

言い終わってそう伝えた優美を見ると予想通りな恥ずかし可愛い表情。思わず笑ってしまう。

 

「もう~!なんかからかわれた感じっ!・・・あっ!お詫びにあそこのおみくじ買って!」

 

優美が指差す方向には色々なおみくじが売っていた。何がお詫びなのかとかいまいちよくわからんが高いもんじゃないし。

 

「いいよ」

 

「やった!女の子は占いとかおみくじとか好きだからね。覚えておいてねっ!」

 

いつもの満面の笑顔を浮かべて優美はとてとてとおみくじのところへ上機嫌で歩いていく。

 

「どれがいいの?」

 

優美に追い付いた俺はまあ、だいたい予想は着くが一応確認。

 

「これっ!」

 

と指差す方には「恋愛みくじ」と書かれていた。うん、予想通り。

 

「じゃあお金入れるね」

 

俺は100円を取り出して入れようとしたら・・・。

 

「あれ?1つ100円だよ?」

 

いや、だから100円を出しているんじゃないか。

 

「ほら、林崎くんも引くんだよ?」

 

「え!?」

 

マジか。自分だけじゃないか・・・。

 

「もう~!普通こういうところに2人で来たら一緒に引くもんでしょっ!」

 

そうなのか・・・女の子の考えてることってよくわからんなあ。勉強しなくてはね。

 

「お、おっけー」

 

改めて200円を取り出し、硬貨を入れるところに投入。いつも思うがおみくじってお金入れなくても引けちゃうよね、うん、なんでもないです。

 

優美に続いて俺もおみくじを引く。

 

「じゃあ開けよっ!緊張するね!」

 

無邪気に笑う優美。神様、どうかこの子の笑顔を曇らせないような結果を・・・(笑)

 

おのおの空け、まずは自分のだけを確認する。

 

えーと『その他の出来事がうまくいけば恋愛成就なり』か・・・。ちょっとざっくり過ぎないか、これ。だが当たってるのが悔しい。

 

と、続きがある。

 

『両思いの人がいる場合、強く思えば一生の縁になるだろう』

 

・・・なんか凄いことをさらっと書いているぞ!信じるも信じないもというがこれは嫌でも信じたくなる!

 

「どんな感じだった?私はこれ。あははっ!」

 

優美は自分のおみくじを苦笑いで見せてくれた。

 

書かれていた内容は『身近に幸せあり。努力すれば必ず叶うだろう』・・・うん、適当なんだけどなんか正しい。

 

続きは・・・。

 

『思い人がいる場合、怠けぬならば願いは通じる』

 

・・・なんだこりゃ。これはさすがに信じないだろ・・・と思いきや。

 

「う~、これってサボったらフラれちゃうってことだよね~!」

 

いやそれ俺に聞くのかよ!答えにくいがまあ、一応。

 

「いや、フルとかないけど・・・」

 

「ホントに!?・・・じゃあお正月の間の少しくらいはお勉強怠けても・・・」

 

思ってもそう言うこと普通は言わないだろう・・・。

 

「・・・。」

 

突っ込むのもなんとも言えないんで黙っていたら。

 

「なんで黙るの!?もういいもんっ!」

 

あ、すねちゃった。

 

「・・・で、林崎くんのは何が書いてあったの?」

 

あれ、さっきすねてたのにもう話題が変わっている・・・女の子ってやっぱりまだまだよくわからないなあ・・・。

 

俺は自分の引いたおみくじを彼女へと見せた。

 

「ふむふむ、なるほどなるほど!これってつまり林崎くんが他のことをしっかりやれば大丈夫だよ、って感じなんだよね?」

 

まあ、簡単に言うとそんな感じか。

 

「そうなんじゃないか?」

 

「そしたらやっぱり私が少しくらいは怠けても大丈夫って・・・」

 

優美が言い終わる前に俺は目を反らした。

 

「・・・やっぱり、ダメ?えへへ」

 

苦笑いでそんなことを言う優美。まあお正月くらいはサボりたいのはわからんでもないがなあ。

 

というか、今さらになって気がついたが、ちょっと前までなら俺はこんな対応は出来なかったような気がする。

 

そんなこと言ってもし嫌われるようなことがあったら、って。

 

でも今はこれくらいで嫌われるとは思わない。どう感じるかは人それぞれだと思うが、俺は彼女との仲がより良くなっていると捉えたら、自然と笑みが浮かんだ。

 

「どしたの?なんか笑ってるけど」

 

「ううん、気にしないで」

 

「えぇ~!気になるよぉっ!」

 

自分たちは特に思わなかったが、周りから見たらイチャイチャしてるように見えたのだろう。なぜ、そう思ったかと言うと。

 

「新年そうそうからお2人は仲いいですね~!」

 

「初詣をする場所でイチャイチャするのはどうかと思うわ」

 

俺がよく知る2人に声をかけられたから。




優美が「えっち」と言ったセリフですが、どうですかね?優美らしくない、と思う方もいらっしゃるかなー?って思いますが、まあ、彼女も健全な高校生なので(笑)

では、また次話にてお会いしましょう!

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