私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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さて、文化祭前のお話の続きです(*^▽^*)

前半は演劇の話だったりしますが、後半で圭と優美の2人きりの場面があります!


「もっともっと、キミのことわかりたいな」

優美の噂をしていたら、すぐ後に当の本人が部室へと来た。

 

「おはよっ!・・・ってなんでみんなして笑ってるのかな?」

 

あの話をした後だったこともあり、優美を見たみんなはクスクスと笑っていた。

 

「優美、気のせいよ」

 

「ホントかなあ?ねぇホントなの?」

 

亜由美の言葉が信じられない優美は1年生たちへと聞く。

 

「ホントッスよ!」

 

「センパイにウソをつくわけないじゃないですか!」

 

そんなことを言ったがさらっと現在進行形でウソをついているんだよなあ(笑)

 

「うー、なんか気になるけどまあいいや!あ、麻由美ちゃん久しぶりだねっ!ホントに来てくれて嬉しいよっ!」

 

「久しぶり~!私は誘われて嬉しかったし~!」

 

優美と麻由美は久々の再会を喜ぶ。と、今度は俺に目線がくる。前までならこんな感情はなかったが、少し緊張してしまう。

 

「林崎くんも、久しぶり、だね。わざわざありがとう」

 

「お、おう。こちらこそ」

 

どうにもこうにも自然に装うとしてもうまくいかない。

 

そんな違和感ありまくりな俺たちに、麻由美は早速反応。

 

「あれ?もしかして2人何かあったの~?というか2人も久々なんだね~!普通に会ってると思った~!」

 

別にケラケラ笑いながら言ってるため、心配してるというよりはからかっているという感じ。それでもどう反応すればいいのか・・・。

 

と、俺らが何かいう前に麻由美は自己解決したみたいで。

 

「あ、わかった~!なるほどなるほど~!ふっふっふっ!」

 

ニヤニヤしながら1人で納得。何を思って何を納得したのかわからんが・・・。

 

「麻由美、世間話は後にして全員揃ったのだし早速始めるわよ」

 

亜由美の一言の後、俺たちは早速部室から移動し稽古を始めた。

 

 

× × ×

 

 

俺と麻由美の役は本当に名前もない、いわゆるモブみたいなもの。セリフはだいたい5個ほどしかなく、今日だけの稽古で全部覚えられた。

 

2人が出る場面が出来るまでやった後、1度であるが通し稽古もやり部活は終了となり、今は帰路につく。

 

俺と優美はもちろん、1年生の2人(男女1:1)も一緒。会った始めはレジェンド扱いされてたが、一緒に稽古やって別に普通の人間と気がついたのか今は普通だ。

 

それでももちろん、今日初めての雑談らしい雑談が出来るとあって、色々質問される。

 

「受験勉強って大変ですか?」

 

「まあ大変と言えば大変だけど、やるしかないし自然と頑張れるよ」

 

「センパイ、部長ってちょっと怖いときありますよね!?」

 

「あー、あるある。笑って怒ってるときはマジで怒ってる時だから気を付けた方がいいよ」

 

とたいした内容ではない質問が他にもいくつか続いたが、ついに爆弾を投下してきた。

 

「セーンパイ!センパイってモテそうですよね!カノジョさんとかやっぱりいるんですか?」

 

いずれ聞かれると思っていたが、やっぱり来たか・・・。いつもなら優美の様子を見つつという感じなのだけど、今は彼女ともなんとも言えない感じになってしまっている。とりあえず当たり障りのない感じで答えるか。

 

「いや、いないよ。ってかそんなにモテないから。いたこともないし」

 

そう答えると2人はちょっと残念な様子。

 

「そうなんですかー。色々お話聞けると思ったのに・・・」

 

「センパイでいないとか俺は希望ないッスね・・・」

 

俺は答えがそれだけじゃ悪いと思ったのか、それはわからないが、ついつい付け足してしまう。

 

「まあ、アレだ、一応好きな人は、いる・・・」

 

あ、これヤベ、と思った時には遅かった。

 

「誰ですか!?もしかして部長だったりします!?」

 

「あ、それか梅田センパイですか!?2人とも生徒会ですし、さっきもなんか仲良かったですよね!?」

 

うわ、凄い反応!どうしよう!

 

「いや、まあ、その・・・その2人は違うんだが・・・」

 

一応間違ってはいないのでそう伝えるが、それで彼らの質問攻めがなくなるわけではなく・・・。

 

「あ、じゃあ誰なんですか!?この学校の人ですか!?」

 

どうすればこの状況から抜け出せるんだ・・・。

 

そう思ったとき、まさかの助けが入った。

 

「林崎くん困ってるでしょ?追及するのはやめた方がいいよ?」

 

真面目な表情と話し方で優美はそう答えた。

 

「あ・・・そ、そうですよね!すいません!」

 

「調子に乗りすぎました、すいません」

 

先輩に促された2人はとっさに俺に謝った。確かに困っていたは困っていたが、そこまで謝られるようなことではないと思い、少し困惑。

 

「あ、別に怒ってるとかそう言うのはないからな?気にしなくて大丈夫だから」

 

まあ、何はともあれ質問攻めから逃れられたのは事実。助かった。

 

それから駅についた俺たち。1年生2人は俺と優美とは別方向のためここでお別れとなった。

 

なんとなく気まずい雰囲気は続いてはいたが、とりあえずさっきのことはちゃんと感謝しないとと思った。

 

「・・・さっきはありがとう」

 

「あ、う、うん!なんか2人がごめんね?」

 

「いや、まあ・・・」

 

いつも通りに戻れるきっかけにと思ってこの話をしたのだが、会話が続かない。

 

時間だけが過ぎていく。何か言わなければ、言わなければ、そう思いながらも話すことが出来ない。

 

そうこうしているうちにあっという間に優美が降りる駅に到着してしまっていた。

 

「じゃあ、また」

 

一言だけ優美は告げ電車から降りた。

 

・・・ダメだ、このままじゃ!ちゃんと大事なことに向き合わないと!

 

そう思うと同時に俺はもうすでに電車から降り、彼女を追いかけた。

 

言うんだ!覚悟を決めろ!

 

「・・・竹下さん」

 

「え!?」

 

俺が後ろから声をかけてくるなんて全くの予想外。当然のごとく優美は驚く。

 

電車から降りてしまった以上、優美を引き留めてしまった以上、もう逃げられない。

 

何から言えばいいのかなんてとりあえずわからないが、なんとなく謝らないと思った。

 

「ごめん!いや、その、いきなり何でって思うかも知れないけどとにかくごめん!」

 

「え・・・?えっと・・・」

 

当然優美は戸惑う。いきなり何言ってんだコイツって思われても仕方ないか。

 

それから俺は自分が今思っていたことを話した。本当は夏休み前に言いたかったことを。忙しくても少しだけでも会いたかったこと、電話やメールもしたかったこと・・・。

 

「・・・でもキミが部活も勉強もで凄く大変そうだし、そんなこと俺のわがままだし言えなくて・・・」

 

「それに今日も会ったらちゃんと普通に話したかったのに、そんなことを考えてたら意識しまくって変な雰囲気になっちゃって・・・」

 

「だから、ごめん、なんだ・・・」

 

とにかく言いたいことを言うことは出来た。自分の自己満足でもいい、それでも何も伝えないでうまくいかないのだけはダメだ。

 

優美は俺の言葉に驚きつつも少しの間の後、俺の言葉に対してちゃんと返事をしてくれた。

 

「・・・そんなこと思ってくれてたんだ。なんか・・・私、バカみたいだなあ・・・」

 

優美は苦笑いしつつ、そして目に少し涙も見えた。

 

「いや!だって悪いのは・・・」

 

そんな優美に対し、俺は再度謝ろうとしたが、優美の言葉により遮られた。

 

「ううん、違うよ。だって私、嫌われちゃったって思ってたんだから・・・」

 

「え・・・?」

 

なんだって・・・聞き間違いじゃあなければ何かとんでもないことを言われた気がした。

 

「・・・聞いてくれる?」

 

俺が自分の意見を彼女に話したように、彼女もまた、自分が思っていたことを言う。

 

「私ね、林崎くんには何も言わなくても夏休み中も普通に連絡くれると思ってたの」

 

優美は続ける。

 

「でもさ、いつになってもメールも来なくて・・・私からしようかとも思ったけど、普段私からしたことなんてあんまりなかったし、それにもし返事が来なかったら、って考えたら出来なくて・・・」

 

「そこで私思って。受験生だけど夏休みは時間あるし、林崎くんも遊んだりしたいのに、私は部活があってあんまりそういう時間がないから、あ~あ、嫌われちゃったんだ、ってなんか思うようになっちゃってね」

 

だんだんと、目に浮かぶ涙の量は多くなっていく優美。

 

「私、バカだなあ・・・今、思えば、そんなこと、あるわけ・・・うう・・・」

 

優美は話の途中のようであったが、堪えきれなくなったのか涙を溢し、すすり泣いてしまう。

 

・・・まさか優美がそんなことを思っていたなんて。俺は彼女の話を聞き、色々な感情が渦巻く。

 

結局一番感じたことは、1年間以上一緒にいるのに、優美が考えたり思っていることを、自分じゃわかっているようでまだまだ全然わからないんだなあって。

 

だから伝えた返事はこうなった。

 

「・・・もっと、もっともっと、キミのことわかりたいな」

 

「え・・・?」

 

返事になってない返事を返したため、ちょっと困惑。そりゃね。

 

「いやね、俺自身あの時のキミの考えがわかってると思ったんだ。だから連絡出来なかったんだよね。でもそんなのただの思い込みだったわけだし・・・」

 

そこまで話を聞いた優美がたまらず声をあげた。「私だって!!」

 

まだ目に涙を浮かべながらも強い口調で話す優美。

 

「私だって・・・林崎くんがああいうこと思ってたと勘違いしてたのだから・・・」

 

「だから私だってキミが考えること、思ってること、感じてること・・・もっともっといっぱいいっぱい色々知りたい!」

 

2人で少しの間見つめ会う。それから、すぐに笑い合う。

 

「「ふふふ・・・!」」

 

なんで笑い合ったのかなんて、ね、そんなの、ね。

 

「結局俺たちってさ」

 

「同じこと考えたんだねっ!」

 

「ちょっと見栄張ってわかってるつもりをしたかったけど、今はまだちゃんとお互いに言葉にしなきゃな」

 

「うんうんっ!私もそれ言おうと思った!ありがとうっ!」

 

色々あった夏休み。お互い見栄を張ったせいで下手をすれば大変なことになっていたかも知れない俺と優美。

 

それでも俺はこの事を前向き捉え、あの時あの事があったから今はこうしてられるんだと思えるような出来事だったと、将来2人で笑って話したいと感じた。




書き終わった後思いましたが、こんなことで高校生の男女ってこんな感じになるのかなあ、と。作者は高校生の頃に恋愛なんてしたことないんであくまで想像で書きましたが(*_*)

でも、逆に見栄を張りたいくらいの年齢かなとも思い、こんな感じの話に。

まあ、結局はなんらかのトラブルを入れたかっただけですが(笑)

次話は文化祭回です('ω')ノ

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