前半出てくる子はまた出そうと思ってます(名前はまだない)。
優美と亜由美と電話で話した翌日、俺は言われた通り昼休みに彼女らのクラスへときていた。
昼ご飯だけは自分のクラスで食べたかったが、ぶっちゃけ亜由美が怖かったのでチャイムが鳴ると同時に行った。
「あ、ごめんなさい、竹下さんと小松さんっています?」
ドアの近くにいた適当な女子生徒に告げた。さすがに他のクラスにズケズケ入るのって嫌なんだよね!みなさんなんとなくわかりますよね?
「はい?優美ちゃんとあゆちゃんのこと?…あ!なるほど!ちょっと待っててね~!」
なるほどって何がなんですかね!?それになんでめちゃくちゃニヤニヤしてるんかね!?
そんなことを考えているうちに優美だけがこっちに来た。
「わざわざ来てくれてありがとうね~!こんな早く来てくれたってことはお昼ご飯まだ食べてないよね?」
「うん、まあ」
「じゃあ一緒にウチのクラスで食べながらお話しない?うん、それがいい!そうしよう!」
え、マジでか!他のクラスに入るだけでもアレなのにお昼食べるとか…。それに女の子2人とかどう考えてもマズいですよね…?
「じゃあ教室で待ってるからお昼ご飯持って来てね!」
どうやら決まってしまったらしい。とりあえず自分の教室に戻るか…。
「失礼しまーす…。」
誰に言うわけでもないがとりあえずそう言いながら入った。
すると1人の女子生徒に声をかけられる。
「ねぇねぇ!キミ林崎くんだよね?」
「そうだけど?何か?」
ちなみにさっきドアの近くで声をかけた人とは違う子です。
「私、優美とあゆちゃんの友達なんだけどさ、色々話聞いてるの!」
何か嫌な予感がぷんぷんしますねぇ…。
と思いつつも無視するわけにはいかず(無視出来ないが正解)、話を聞く。
「で、ぶっちゃけなんだけど2人のどっちかと付き合ってるんでしょ?」
「ぶっ!」
やっぱりそういう話か!しかもめちゃくちゃドストライクに聞いてきたし!
「いや、そういうんじゃないから!マジで!」
「え~!ホントかな~?あ、じゃあさ!付き合ってないにしてもどっちか狙ってたりするんじゃないの~?」
「そういうのはないから!うん、ないない!」
全力で否定した。…だが、全力過ぎたのがむしろ火に油だったようで、さらにニヤニヤして、
「怪しいねぇ~?必死過ぎるよぉ~?ほらほら、素直になればお姉さん手伝ってあげるよ?」
お姉さんって同級生でしょうが!いや、ダブってる可能性もありますが…。そういう問題じゃないわ!
これはどうやって逃げれば…と考えていたら教室の奥の方にいた優美と目があった!よ、よし!口パクで助けを求めよう!
(「た・す・け・て」)
ど、どうだ?通じ…なかったようだ。なんか手を振って微笑んでいらっしゃった。
結局例の女子生徒は友達に呼ばれて尋問(?)は終わり、話が終わったタイミングで優美に声をかけられ今は亜由美も合わせた3人で話を始めた。お話中だったから声かけるのは悪いと思っていたらしい。そこは気を遣わなくてよかったのに・・・。
「とりあえず色々ありがとう二人とも」
「ううん、今まで結構任せっきりだったしこれくらい大したことないよ!」
「それで聞きたいんだけど、いったいどんな脚本でやることに?」
どのように部活を抜け出せたかも正直気になったが、時間もあまりないため大事なことだけを聞いた。これについては亜由美が口を開く。
「ベースになる物語はシンデレラにしたわ。タイトルだけでも誰でもわかる物語だし誰でも観やすいと思うわ」
ふむ、なるほど。確かにその通りだな。
「ただ、そのままでやっても演劇としては面白くはならないと思うの。だからアレンジをして演技をする楽しさを伝えられたらって思うわ」
「素人なんでいまいちわからんが・・・どのような感じ?俺にもわかるように説明って出来る?」
「そうね、簡単に言えば見せ場を増やすって感じかしら?」
それで簡単って!さっぱりわからん・・・ってしてたら話は続く。
「ドラマやアニメを見ているとき、どんなところでこの役者さんは凄いって思うかしら?」
俺が少し考えていると優美が発言をする。
「うーん、やっぱり感情を込めた演技をしたときはついつい見入っちゃうかな?」
なるほど、確かに。…あ!そういうことか!
「つまり感情を込められて演技をする場面を増やして、見てる人を楽しませる演技をするのを楽しいってことを伝えて興味を持ってもらうってことだね」
「正解よ。優美もわかったかしら?」
優美の方を見るといつもの笑顔でうんうんと頷いていた。俺の説明でわかってくれたみたいですね。
「そうすると亜由美が色々付け加えてくれるってことになるのかな?」
「そういうことになるわね。少しは手をつけてはいるのだけれどまだ完成には時間が必要だわ」
とか簡単に言ってるけど物語の大筋を崩さずに改定を加えるって普通にめちゃくちゃ凄いな…。
「小松さんってマジで凄い…改めて思ったわ」
と素直な感想をする。
「ありがとう、あなたに誉められると素直に嬉しいわ」
とここであることに気がついた。彼女ら2人で劇をやるのにシンデレラって難しそうなのでは…?あんまり内容は覚えてるわけじゃないがそれなりに登場人物もいたと思いますし。
そんなことを思っていたら優美が、
「ねぇねぇ!私思ったのだけどコレって2人で出来るの?1人何役とかにしてもちょっと厳しくない?それに王子様とか出てるから男手も必要だよね?」
それを聞いた亜由美はにやりと笑い・・・。
「それについては大丈夫よ?そこの彼も出演してもらう予定だから」
優美の話を聞いてるときになんとなーくそんな予感がしたがやっぱりか・・・。
「え、そうなの!確かに3人いればなんとかなりそうだね!・・・でもいいの?」
正直自分が出るのはこの依頼を受けたときは予想外ではあったが、演劇にはそれなりに興味あったしそれに最後まで協力はしてあげたいと思う自分がいた。
「やるよ。生徒会も別に毎日忙しとかそういうのはないし」
そう答えると優美はいつものとびっきりの笑顔になった。
「ありがとう!ホントに嬉しいよ!」
俺からしたら可愛い優美からそう言われて嬉しかったが、そのクラスの一部男子からの変な視線を感じた。今日の帰りは後ろに気を付けよう。
「ふふふ、もともとダメって言ってもどうにかして無理やりやってもらうつもりだったけどね」
めっちゃ笑顔で言ってるが怖いよ!
「じゃあさっそく今日の放課後からやるわよ?基礎からしっかり私が指導してあげる」
あー、なるほど、昼休みに呼ばれたのはこれが理由だったんすね・・・。優美もかなり積極的な性格ではあると思ってたが、亜由美も勢い付いたら止まらない感じだったんだね。
「よし、じゃあ頑張ろうね!」
「おう、やってやろうぜ!」
俺と優美はこぶしを合わせてそう誓った!ようやくこれでスタートラインにたった気がする。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、もうお昼休み終わるわよ?まだ食べてないみたいだけど大丈夫?」
はっ!!つい夢中で忘れていた!この後俺はめちゃくちゃ急いで食べましたとさ。まる。(ちなみにほかの2人は話してる最中に食べてた)