私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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どうもかもにゃんこです(^◇^)

春公演の回はどうでしたでしょうか?ああいう表現の仕方もいいかなって思います!

さあ、タイトル的の言葉に対し、圭はなんて答えたのか・・・!


「やっぱり告白するの~?」

春公演が終わり、約1週間が経過した。今日はちょうど1年生が部活動を選択し、本入部となる日である。

 

それまでの期間は体験入部の期間。興味がある部活動を見学し、練習等を体験するいわゆるお試し期間のようなもの。

 

ちなみに俺は体験入部期間に演劇部への参加はしなかった。いや、どちらかと言えば出来なかったと言った方がいいか。優美と亜由美の2人だけだと大変かと思い、俺も麻由美も手伝うと申し出たのだが、亜由美曰く「部員でもない人がいたらおかしいって思われるでしょ?それにこれからいない人たちがいるのもなんかね」と言われた。まあ、確かにその通りだと思い、特に反論とかはしなかった。

 

で、その新入部員はどうなったかというと。

 

実は公演直後に2人、入部希望の生徒がいた。もちろん、彼らも見学をしてからではあったが、結構やる気に満ちていた感じだったのでほぼ間違いなく入部すると俺は思っている。

 

ただまあ、やっぱりちゃんと本入部をするまでは不安と言えば不安。だから正直この1週間は結構そわそわしていた。

 

「あ、お疲れ~!」

 

生徒会室でそんなことを考えていたら麻由美が入ってきた。

 

「こんにちは」

 

麻由美は適当に荷物を置き、なぜか俺の真横にイスを持ってきて座る。

 

「おい、なんだよ?」

 

別にイヤってわけじゃあないが、わざわざそこへ座る必要もないよね?と思い。

 

「いいじゃんいいじゃ~ん!優美が見てるわけでもないんだからさ~!」

 

いやそう言うわけじゃないんだが・・・。

 

「・・・ってまあそれはどうでもよくて、いよいよ今日じゃん」

 

突然麻由美は真面目な表情でそう話した。

 

何が今日なのかなんて言わないでもわかる。

 

「そう、だな・・・」

 

「なんかさ、大丈夫、大丈夫、だとは思うんだけどさ、そうは思ってもなんとなく緊張しちゃって」

 

と、次の瞬間、麻由美は俺の手を握ってきた。

 

「ちょっ・・・あ・・・!」

 

ちょっと何するんだ!って言おうと思ったが、一瞬にして彼女が手を握ってきた理由がわかった。

 

震えていた。麻由美も、麻由美だからこそか、心配で心配で仕方ないんだろう。

 

「・・・あはは、なんか突然でごめんね?ちょっと緊張しすぎちゃって。こうすれば少し落ち着くかなって・・・なんて~!」

 

「・・・落ち着いたか?」

 

「うん、少しは、ね。ありがと~!」

 

実は俺も俺で、麻由美が手を握ってからは少し気分が楽になっていた。そりゃあ男女が手をつなぐなんて、って言うのはあるけども、人と人とが手を繋ぐと落ち着くって言うのはあるし、こんな時くらいはいいかなって思う。

 

それから、少しの時間が経った後、麻由美は自分から手を放し、お互い自分の仕事に取り組んでいた。

 

と、その時、机に置いてある携帯電話が鳴る。一応麻由美は仕事中だったので、彼女を見て出ても大丈夫かどうかの確認を取ろうとしたら・・・。

 

「あれ?私のも鳴ってる~?」

 

「え?」

 

「あゆちゃんだ~!ね、もしかして林崎くんの方って優美・・・?」

 

チラリと液晶に表示されている名前を見たら、麻由美の予想通り優美だった。

 

「竹下さんだ・・・!なあ、これってもしかして・・・」

 

「うん、もしかすると思うよ~!って、早く出よう!」

 

「あ、そうだな」

 

ちょっと驚いて出ることを少し忘れていた。俺は少し緊張しながら通話のボタンを押す。

 

「・・・もしもし?」

 

『あ、やっと出たっ!もう切っちゃおうかと思ったよっ!あはは・・・』

 

「悪い、ちょっとその、アレ、でな・・・」

 

別に言い訳とかしてどうにかなるわけでもないけど、なんとなく麻由美と一緒って言うのは言いにくかった。

 

『ううん、大丈夫っ!いきなり電話したのは私の方だもん!今時間大丈夫?』

 

「ああ、大丈夫だよ」

 

『・・・あのさ、今日ってさ、新入生の本入部の日でしょ?』

 

「あ、うん」

 

何の話を聞かされるかなんて電話に出る前から分かってはいたが、

 

いざその話となるとなんとなく緊張する・・・!ゴクリ、と唾を飲み込んだ。と、そのとき・・・。

 

「4人!?おめでとう~!!やったね~!」

 

「え!?」『えぇ!?』

 

・・・まあお察しの通りです。おそらく麻由美は俺よりも早いタイミングで亜由美から、優美から聞くはずだった新入部員のことを聞いて、喜びのあまりついつい電話口の向こうにいる優美にも聞こえるくらいの声を出してし

まった感じ。

 

『・・・ってアレ?もしかして麻由美ちゃんと一緒にいるの?』

 

あ、そうだよな。優美からしてみればそもそも俺と麻由美が一緒にいることがまず驚きか。

 

「ああ、うん。生徒会室でたまたま一緒になって」

 

『そっかー。うん、なるほど、良かったっ!』

 

「・・・良かったって、何が?」

 

『え!?あ、いや、その・・・なんでもないからっ!』

 

新入部員の話題はいつの間にかそっちのけに。

 

と気がついたらいつの間にか隣で亜由美と話していた麻由美が終わったらしく、こっちに来た。

 

「良かったね~!」

 

肩を叩きながら麻由美はめちゃくちゃ笑顔で俺にそう話した。

 

とりあえず優美から聞かされたわけじゃないけど、新入部員が4人入ったということはわかっていたため、俺もまだ優美と電話中であったため無言ではあるが笑顔で頷いた。

 

とここでようやく電話口の向こうの優美がそれを話始めたが・・・。

 

『でね、新入部員が・・・』

 

「竹下さん」

 

俺は途中で遮る。優美も部活中で時間も限られている。その中で俺はどうしてもこの時点で彼女に言わねばいけないことがあったから。

 

『え!?』

 

「後で・・・部活終わった後でいい。話がしたいんだ。あ、ちなみにだけど新入部員が4人入ったってのは隣の人から聞こえたからもう知ってるよ、おめでとう」

 

俺への「依頼」が達成された以上、避けては通れない話を彼女としなくてはならない。

 

『あ・・・そう、だったんだ!うん、やったよ!ホント、私からもありがとうだよっ!・・・えーと、部活終わるのはいつもの時間だけど大丈夫?』

 

「うん、大丈夫。じゃあ昇降口で待ってるから」

 

『・・・うん、わかった・・・!あ、ごめん!休憩終わっちゃうから、またっ!』

 

「あ、うん、また」

 

最後はあわただしく通話は終了した。俺は通話が終わった後の携帯電話の画面を見ながらぐっと手に力を込めた。

 

そして俺は隣にいる麻由美へと、改めて言葉を伝えた。

 

「・・・ありがとう」

 

たったそれだけ。でもそれだけでいい。それだけで十分なんだ。

そんな言葉を聞いた麻由美も俺に同じ言葉を返してくれた。

 

「うん!私も、ありがとう!」

 

それから俺と麻由美は笑い合った。嬉しさ、安堵、感謝・・・色々な感情が混ざった笑いだった。

 

しばらく笑い、落ち着いた俺たち。

 

「ふぅ~!改めてだけど、ホントに良かったね~!」

 

「ああ、良かったよ。それに4人も、だなんてね」

 

2人はほぼ確定してたとはいえ、4人も入ってくれたなんて驚いた。

 

「うんうん!・・・あっ!」

 

「どうした?」

 

「あ、いや、ね~、あゆちゃんは『4人以上じゃなきゃ私は失敗も同然と思うわ』って今朝言ってたからさ~、あゆちゃんもスゴくホッとしてるかな~って!」

 

どうして4人も?と一瞬わかったが、すぐに答えは出た。

 

「なるほどな。今は2人いるから大丈夫だけど、秋で抜けたらそのくらいは最低いないとキツいもんな」

 

「お~!よくわかったね~!さすが~!」

 

「この1年やってよくわかったからな。3人から4人になっただけでもやっぱり全然違うなあって。だから今回、キミが助けに入ってくれたことも本当に助かったよ」

 

改めて真面目にそう伝えたら、麻由美はちょっと照れ臭そうな反応。珍しいなあと思う圭。

 

「あ~、いや、うん。ってかさ!これから優美に会うってさっき約束してたよね~?」

 

恥ずかしいのか話題を変えてきた。いつかは突っ込まれると思ったのでまあいいけど。

 

「まあ、そうだが」

 

「何々~?やっぱり告白するの~?」

 

テンションが高い麻由美に対し、そんなこと言われても俺は普通にする。不思議に思った麻由美は聞いてくる。

 

「・・・アレ?違った?」

 

俺は優美に伝える前に誰にも言いたくない、言うべきではない、言ったら自分の決意が歪むと思い、返事はしなかった。

 

そんな態度の俺に麻由美は察したのか、彼女も納得したように頷き、自分の仕事へと戻っていった。

 

 

× × ×

 

 

「あ、ごめん!待った?」

 

「あ、いや、大丈夫」

 

優美と、それと亜由美が昇降口へ来た。

 

「・・・林崎くん!」

 

亜由美も俺に気がつき、少し頭を下げた後、感謝を口にする。

 

「・・・ありがとう、本当に、ありがとう」

 

遅れて優美も「ありがとう」と一言。そんな2人に対して俺も一言だけ声をかける。

 

「・・・おめでとう」

 

言葉は少なくとも、だって言葉なんていらないくらい、俺たち3人は相手のことがわかるんだから。

 

少しの時間3人で微笑み合い、察してくれたのか、亜由美は先に挨拶を俺たちから別れた。

 

「・・・俺たちも行こっか」

 

「・・・うん!」

 

お互いすでに少し緊張している。どんなことを話すかわかっていて、それがとても大切だから・・・。

 

 

それから学校を出た俺と優美はいつだろうか?いつだかの朝に来た、公園のベンチへと2人で腰を降ろした。

 

少しの無言の時間の後、改めて気持ちを込め、俺は話始めた。

 

「・・・俺は・・・キミが好きだ」

 

周りから見たらただの告白に見えるだろう。だが俺の次の一言によってそれは全く違うものになる。

 

「でも・・・まだキミとは付き合えない」

 




な、なんだと!?まだ付き合えないって!?もうそろそろエンディングになりそうな感じだったのに・・・って思われている方もいるかもしれませんが、はい、まだまだ続きます(^^)/

この物語の中では圭×優美が確定してるので出来ませんが、別の世界線で、圭×麻由美も書いてみたいなあ、って。だってあの2人仲良すぎですしね(笑)

おっと、優美怒られるからこれくらいにしましょう!

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