私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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さて、今回は本番1日前の物語です(^^)/

もうかれこれ舞台本番も3回目になるんですねえ・・・。色々ネタもなくなるはずです(笑)


「もうさ、終わったこと悔いても、仕方ないじゃん」

私たちの本番である、新入生歓迎公演、一応「春公演」と銘打っている「マクベス」までいよいよ後一日、明日へとなった。

 

今回の公演は文化祭とは違い、講堂を使って出来ることが決まっている。

 

文化祭とは違い始めから椅子はあり、照明も一通りあるため、本番に向けての準備はあまりなく予定通り放課後を1日使っただけで終了、今日これからリハーサルを行う。

 

あ、ちなみに音響関係はもちろん放送部のみなさん、更に照明関係もぜひやってみたいという人がいたので、それも引き受けてくれることに。この部分はどうしようとみんな考えたところだったので、あっさり決まってくれて良かった。

授業も終わり、私は亜由美、それと麻由美ちゃんと部活に行こうとした、そのときだった。

 

「あれ?」

 

バツン、といきなり電気が消えた。誰か誤って電気消しちゃったのかな?と思い、スイッチを方を見るが、そこの近くにいた人は「違う違う」と言っているし、それにスイッチを点けたり消したりしてるので違った。

 

「どうしたのかしらね?」

 

「なんだろう~?」

 

3人で不思議そうに顔を見渡す。

 

それから少ししても電気が点かないので、クラスの中では「停電?」と言う人も出てきて、私はだんだん心配になってきた。

 

その直後、一度教室から出た担任の先生が戻ってきた。

 

「あー、みんないいか?」

 

教室のざわつきが止まり、みんな先生に顔を向ける。

 

「なんかな、どうやら電気関係のところがやられちゃったみたいなんだ。詳しい原因はまだわからないから復旧のメドもたっていない」

 

え・・・?それを聞いた瞬間、私の中に激震が走る。

 

「だからとりあえず今日は部活や委員会活動は全て中止にすることが決まった」

 

静かな教室がまたざわつき始める。「マジかー」とか「やったぜ!」とか「大会近いのにヤバくない?」とか、驚いたり、喜んだり。その中で、私たち3人は何も言えなくなり、その場で固まる。

 

先生は「あーまだ話あるぞー静かにしろー」と言い、続ける。

 

「明日にはとりあえず復旧出来るだろうってことだがらとりあえずは何も連絡なければ学校にはくるようになー。休みの場合は緊急連絡網で回すから親御さんにも言っとけよー」

 

それにまたクラスは反応。「えー、休みにしちゃうよー」とか「大丈夫なんかな?」とか文句言ったり心配したり。

 

私はそんな状況に、付いていけないのか、それとも現実逃避したいのかわからないけど、何も言えずにいたが・・・。

 

これって、リハーサル出来ないってこと・・・?

 

そう思ったと同時に亜由美が先生の元へと詰め寄る。

 

「ちょっと待って下さい!今日部活中止ってなんでですか!?少し待っても復旧は無理そうなんですか!?そういう判断も各自に任せるのは無理なんですか!?」

 

亜由美は感情的に先生に問いただす。普段冷静な亜由美が・・・。

 

「うーん、それがわからないからこの判断なんだ。俺も君たちが大変のなことくらい知っているんだが、こればっかりはどうにもならない。わかってくれないか」

 

先生は冷静にそう返す。一応、説明しておくけど、私たちの担任の先生は演劇部のことを結構応援してくれている。だから亜由美もこれ以上は聞かなかった。

 

と、麻由美ちゃんも先生のところへ行き、話す。

 

「先生!今日中止なのは私も仕方ないと思うしそれはわかりました。でもやっぱり明日いきなり本番は厳しいんです!もう1日、講堂を借りるのは無理なんですか?」

 

麻由美ちゃんも必死に次の手を探し尋ねる。が、無情にも答えは「ノー」であった。

 

明後日は午後からある人を呼んでの新入生に対しての公演がある。それを今更ずらすのは無理。

 

またそこから数日も他の部活も放課後使う予定が組まれており、決まっていることを今更変えるのはすぐに出来ることではない。

 

私も一緒になって、先生の回答を聞いた。

 

「お前たちには本当に申し訳ない。必死に練習してるのも、明後日がめちゃくちゃ大事なのも知っている。でも仕方ないってわかって欲しいんだ」

 

先生の言うことはもっともだ。今日停電が起こることはもちろん想定外だし、私たちが講堂を使えるようになったら他のことに影響が出る。

 

そんなのはわかっている・・・わかっているけどもやっぱりやり切れない部分はある。亜由美もそんなことを考えているのか、かなり険しい表情を見せる。

 

少しの沈黙の後、それを切り裂いたのは麻由美ちゃんだった。

 

「うん、わかりました~!仕方ないですもんね!」

 

「えぇ!?」

 

「え!?」

 

まさかそんなことを言うものだと思ってもいなかった私と亜由美は驚く。

 

「ちょっと、麻由・・・」

 

そう言いかけた亜由美は麻由美ちゃんによって遮られる。

 

「もうさ、終わったこと悔いても、仕方ないじゃん」

 

いつもはあまり見せない真剣な表情。

 

「今日はもう学校にはいられない、明日が本番、じゃあどうするの?それだけ考えればいいじゃん?」

 

まったくの正論。過去には戻れないけど、未来をどう迎えるかは私たち次第だよね。私も後ろばかり向くのは嫌いだし、麻由美ちゃんの意見に賛成する。。

 

「そう、だね・・・!うん、その通りだよっ!」

 

そんな私の反応を見た麻由美ちゃんは少し驚き、そして笑顔になる。あくまで私の想像でしかないけども、結構思い切って言ったのだろう。

 

「優美・・・うん、頑張ろう!って、まあ、明日も停電だったらアレだけどね~あははっ!」

 

私が同意したのにホッとしたのか、麻由美ちゃんはそんな冗談(?)を言う。あとは・・・亜由美・・・!

 

「・・・麻由美、冗談でもそんなこと言ってはいけないわ」

 

私と麻由美ちゃんは、言葉発した亜由美の方を振り向く。

 

「私も冷静さを欠いていたわ。麻由美の言う通り。終わったことは仕方ない。明日に向けての最善を考えましょう」

 

「亜由美!」

 

「あゆちゃん!」

 

喜ぶ私たちを横目に亜由美は先生にペコリと頭を下げながら一言。

 

「お騒がせしてすいませんでした」

 

「いや、こっちこそ悪い」

 

それだけで終わると思いきや、亜由美はニヤリと笑い・・・。

 

「もし明日までに停電が復旧しなかったら・・・先生が責任取ってくださいね?」

 

うわ!怖いよっ!笑ってるけどそれが余計に怖いよっ!

 

「お、おう・・・まあ、それについては大丈夫だと保障するぞ」

 

若干おびえ気味な先生。私と麻由美ちゃんは2人で見合わせてクスっと笑う。

 

「さあ、2人とも。こうしちゃいられないわ。早速動くわよ!」

 

「お~!!」

 

「お、お~!」

 

麻由美ちゃんに釣られて「お~!」と言ったはいいものの、何をすればいいのかわからない私。

 

「とりあえず私はまだ学校にいるであろう放送部に人たちに連絡を取るわ。リハーサルはできないけども、打ち合わせくらいは出来るでしょ?」

 

そう言いながら亜由美は電話をかけ始めた。

 

私はこれからどうしようと思っていたら、聞き慣れた声が聞こえたはドアの方を、私と麻由美ちゃんとで見ると・・・。

 

「はあ、はあ・・・良かった、まだいた・・・」

 

そこには息を切らした林崎くんの姿が。

 

「どしたん!?」

 

麻由美ちゃんがそう声をかける。

 

「いや、まあ、どうしたもこうしたも・・・とりあえずみんないて良かった・・・小松さんは誰と電話を?」

 

自分がどうしたかなんてまるで後でで、今はそんなことより、という感じ。

 

「あ、亜由美は今、放送部の人に連絡取ってて・・・」

 

それを聞いた彼はホッとした表情になる。

 

「そっか。良かった。彼らとは出来たら打ち合わせをしたかったから・・・」

 

どうやら林崎くんも亜由美と同じ考えだったらしい。

 

「放送部に了解な確認が出来たわ。昇降口で待ち合わせて外での打ち合わせをオーケーしてくれたわ。と、林崎くんも来てくれたのね。連絡する手間が省けたわ」

 

「どうも。放送部への連絡ありがとう。とりあえず昇降口へ移動か」

 

と言うわけで私たちは教室を後に。

 

移動中、なんで息を切らしてたのか私は気になったので聞いてみた。

 

どいやら林崎くんのクラスはホームルームが早く終わり先に教室を出てたらしい。

そこでいきなり電気が消え、その後「部活動は中止」の放送をその場で聞いた(校内放送は少し遅く、先生との話が終わった後くらいだった)。

で、よくよく考えたらリハーサル中止になるんじゃないかと思って亜由美に連絡したら電話が繋がらない(放送部へ電話してたため)。で、ヤバいと思ってウチの教室までダッシュで来たらしい。

 

その話を聞いて、なんで私と麻由美ちゃんには連絡しなかったのか気になったけど(笑)まあ、気にしても仕方ないか・・・。

 

昇降口へ着くとすでに放送部の人がいた。

 

今回は音響と照明も、とのことで2人で手伝ってくれる。どちらも同学年ではあったけど、クラスも違い、私たちとは面識がなかった。

 

「ごめんなさいお待たせして」

 

亜由美が簡単に謝る。

 

「いえ、気にしないで。こっちもこうなってしまってどうしようかと思っていたところに連絡が来て助かったので」

 

話ながらも私たちは移動する。どうやらいつぞやも行った、学校近くの喫茶店へ行くとのこと。

 

「わざわざありがとう。こちらは凄く大事な舞台だけども、そちらはただのお手伝いなのにね」

 

亜由美は申し訳なさそうにそう言ったが、放送部の2人はまさかの反応をした。

 

「いや、こっちとしてもね、正直いいアピールの場をもらったって感じなんだよね。な?」

 

「うん、そうなの。私たちもね、部員少ないしこの機会に色々頑張って部員増やせれば、って思ったから」

 

その言葉に亜由美はちょっと驚きつつも笑顔になる。

 

「そうだったの。なんかそう言われると謝ったのがバカみたいね。ふふふ」

 

「あはは。そう、だからね、俺たちもさ、音とか全然合わなかったら恥ずかしいってか、たいしたことないな、って思われたら嫌だし」

 

「うん、あ、あとね、えーと竹下さん?だっけ?」

 

「え?あ、はいっ!」

 

突然話しかけられた私はびっくりしちゃった!

 

「確かチラシ作ったのってキミだったよね?そのときさ、『音響・照明 放送部』っていうのを少し大きくして、って言ったの覚えてる?」

 

そう言われると・・・なんか言われたような気がするし、大きくしたかも・・・。

 

「だからね、あんなに私たちも大きく名前出しちゃったから、この舞台は演劇部だけじゃなくて放送部の舞台でもあるかなって思って」

 

なるほど・・・。なんかそう言われるまでは正直そういうのは考えられなかった。演じるのはあくまで私たちだけども、彼らだって裏方なんかじゃなくて、音響と照明で『演技』しているようなものだもんね。

 

「ふふふ、確かにそうね。一緒に頑張りましょう」

 

「うん、頑張ろう~!」「だな、ちゃんとやらないとな」「よし!」「頑張るぞい!」

 

おのおの掛け声を掛け合い、改めて頑張ろうとなった。

 




中途半端ですが、これにて終了です。実はもう2500次くらい同じ括りで書いていたのですが、あまりにも長すぎるので分割に・・・なのでこんな感じのちょっと中途半端な終わり方になってしまいました(´・ω・`)

停電とかいうトラブルネタはちょっと強引すぎたかなあ・・・なんて思いましたが・・・まあ、許してください(笑)


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