今回も多少飛ぶところがあるので見にくいかもしれませんが、ご了承くださいませ!
新学年が始まり今日は1日目。今日は午前に始業式、午後に入学式を行う。ちなみに新入生部活紹介は明日の午後。つまり今日はそれの1日前である。
始業式等を終えた俺たちは、新入生が登校してくるのに合わせて校門付近へと行った。
「うわあ、凄い人!」
「どの部活も新入部員獲得に必死なのね」
そう、何をするかと言うと各々の部活がビラ配り。先手必勝と言わんばかりに新入生に配る配る。そういや俺も入学式のときにやられたなあと思い出す。
どうやら新入生はちらほら登校して来てるみたいで、優美と亜由美、それと俺の3人は少しバラけて新入生に優美の手作りな可愛いビラを配っていく。
あ、麻由美は入学式での挨拶をしなくてはいけないためこの場にはいない。何故かって?そりゃあ生徒会長様ですからね!
とりあえず誰彼構わず新入生にビラを渡そうとするが、あんまり受け取ってくれない。まあ、ほぼ無名の部活だし当然ですよね・・・。
30分ほどたったあと、新入生も全員来たのかどうかはわからんが、だんだん人が減って来たのでそれに合わせ俺たちも撤収した。
「はあ、頑張って笑顔作って配ってもほとんどもらってくれなかったよぉ・・・」
せっかく自分で作ったからか、優美はガッカリ。
「優美、これは想定内よ。あんまり落ち込まないで。明日で挽回すればいいのだから」
優美に対し亜由美は前を見据える。確かに過ぎてしまったことを悔いても仕方ない。
「そう、だね!明日からが勝負だもんねっ!」
優美はよしっ!と拳で『頑張る』のポーズをする。優美は3年生になっても可愛いですね!
「麻由美が戻るまでは明日のことやってもいいかしら?」
「ああ、大丈夫」
軽く了解の返事。ちなみに明日のことと言うのは、部活紹介でやる短い時事ネタを題材した劇のこと。俺と麻由美が生徒会でいない時に練習をしてたみたいで今日が見るのは初めて。
「じゃあ本番さながらの感じでやるから、もし何かあったら言ってね」
無言で頷く。そして2人がいったんハケたところからスタートした。
× × ×
「どうだったかしら?」
終わるなり亜由美に感想を求められる。
「うーん、ネタ的にはかなりいいセンスかな。普通に面白かったし。でもちょっと表現の仕方が難しいかなあって思ったかな。もうちょっと簡単に要点だけ絞ってもいいと思う」
言った後思ったが、まだまだ2人に比べたら初心者なのにちょっと上から目線過ぎたかなあと。
「なるほど・・・言われて見ればそうかもね」
「あ~、確かにっ!」
「じゃあここはこうして・・・」
俺はそう思ったけど、2人は意見を取り入れてくれた。なるほど、もしかしたら演劇としてどうかと言うよりも、単純に初見の人がどう見るかってことが今回は大事なんだな。
それから、立ち稽古をやり、みんなで意見を出し合い改良し、を繰り返してさらに面白いものに仕上がった、と思う。
実際、新入生の反応は割りと良かった。俺は司会として見る側だったのだが、劇中にも結構笑い声は聞こえていたし、終わってからも体育館が冷めた雰囲気にはならず、それなりに盛り上がりながら次の部活を迎えたため、好印象ではあったと思う。
その日、稽古や裏方の準備を終えいつもの通り優美と2人で帰る。話題はもちろん今日のことから。
「終わった後さ、俺も心の中で軽くガッツポーズしたよ。めちゃくちゃうまくいってたと思うよ」
「ホントっ!私なんてもう夢中でみんなの反応なんて見てられなかったよ~!」
「まあ俺個人の感想だからなんとも言えないけど」
「あー、だよねぇ」
ただそうは言ったが新入生の反応を見るに、演劇にあまり興味がない人からの評判は良かったと思う。
「今日のでさ、興味ある人はもちろん、興味なかった人も公演見に来てくれるかなあ」
そう優美が言うように今回の目的はそれである。興味を持ってもらって公演の方も見てもらい、「演劇やってみたい!」と思ってもらうこと。
大丈夫だよ!と力強く言いたいところだが、こればっかりはわからない。
俺も優美も公演見て演劇をやろうと思ったわけではないからだ。
「うーん、なんとも言えないというかわからないよね。俺はそう言う流れで演劇始めたわけじゃないし・・・」
「あ、そうだね。私も自分で演じて、演劇楽しいって思って演劇部入った感じだからなあ」
ちょっとおさらいすると、優美は中学生の頃に演劇部の助っ人でやって楽しかったから、という理由です。
優美はうーん、という顔をしていたが、すぐに笑顔になった。
「とにかく!終わったこと考えても仕方ないよねっ!公演のこと考えなきゃ!」
言われて気がつく。確かにそうだ。どんなに悔いても過去には戻れないんだから。
「そうだね。切り替えないとな。なんか・・・」
「え?何?」
「あ、いや、そう言うキミの前向きなところには何度も助けられてるかなって思って」
クスっと軽く笑い俺はそう言った。
「そっかあ・・・ちゃんと私も力になれてるなら、嬉しいかな。最初は林崎くんに助けてもらったところから始まってだし、亜由美にはいつも助けられてばかりだし、麻由美ちゃんも、それに美結ちゃんや柳さんにも・・・」
優美はてへへ、と苦笑いを浮かべそう答える。でも彼女はすぐに真面目な表情へと変わる。
「助けられてばっかりじゃなくて、私だって誰かの力になりたい」
力強く優美はそう決意した。
彼女ならきっと出来る。それはもちろん、助けてもらった人たちにではなく、きっと入ってくるだろう新入部員を・・・。
心の中では俺はそう思ったが、声に出すことはなかった。そんなこと言わなくても優美自身はもうわかった上でああ言ったはずだから。
「出来るよ、キミなら」
彼女と同じく俺も真剣な表情で、短く、それだけ伝えた。
「・・・ありがとう。私のこといつもいつも、いっぱいいっぱい考えてくれる人がそう言ってくれるなら心配ないかな。えへへ」
そんな言葉を恥ずかしそうに言う優美に俺は一瞬にして奪われた。何か言わなきゃと思いつつも言葉がうまく出てこない。
会話が止まり、2人で見つめ合っていると、優美の顔がどんどん赤くなる。
「もうっ!なんで何も返事してくれないのっ!私がどんどん恥ずかしくなっちゃうよ~!もうっ!」
両手をグーにして胸に合わせそう言う。今はこんなこと思うべきではないと思いつつも、可愛すぎると思う圭。
そんな格好をしてる優美は、ふと、何かに気がついたのかまた俺の顔を見て話を始める。
「あのさ、今ここ触ったらスゴく、ドキドキ、してた」
「これってさ、やっぱり・・・」
言いかけで止める優美。きっといざ言うとなると、やっぱり相当恥ずかしい言葉だもんな。
だから俺は優美の言葉を代弁、いや、俺自身もめちゃくちゃドキドキしてたし同じことを考えていたのでそれを伝えた。
「好きってこと、だよな」
「あ・・・」
「俺も、ここドキドキしてるし、なんか凄く熱いから・・・」
なんとなく優美も言いたかったことを俺は言ったけども、よくよく考えたらこれ、「俺はキミが好きだ、キミも俺のことが好きってことだよね?」と言ってるのと同じことだよな・・・。
お互いがお互いを好きなのは2人とも知っているし、今さらという部分があるが、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。ましてや付き合ってもないのに「好き」とか気軽に言ってはいけないとも思う。
優美が途中で言わなかったのは、彼女もきっとそう思っている部分もあるんだろう。だから俺はちょっとしまったなあ、とも思った。
それでも優美は俺の言葉に対して笑顔で返してくれた。
「私もさ、その、うまく言えないって言うか恥ずかしいって言うかだけど・・・やっぱり同じ気持ちにになるのはなんでも嬉しいかなって」
えへへ、と笑う。そして更に続ける。
「林崎くんもさ、本番精一杯頑張りないって思ってくれてるよね?」
「え?」
今さら、と思いついついそんな反応。でもすぐに彼女が言いたいことに気がつく。
「そりゃ、うん、もちろん依頼を、って言うのもあるけどさ」
「うん」
「あれだけ色々頑張って、目標持ってやってきたんだからさ、絶対悔いが残らないように、何もやり残したことはないくらい精一杯やりたい」
そう真面目な顔で言った後、笑顔で続ける。
「ホント、気持ちが一緒でなんか凄くいいな、ってキミも言いたかったでしょ?」
そんな俺の言葉に優美もめちゃくちゃ笑顔で。
「うんっ!」
きっと亜由美も麻由美も同じことを思っている。みんながみんな同じ方向を向いていれば、絶対に成功すると思うし、成功させなきゃいけないと改めて強く思った。
いよいよ3日後、俺たちは「勝負の舞台」を迎えることになる。
というわけで、本編は終了です。
本当にここまで順調に進んでますね!・・・まあ、予告した通り、次回からちょっとしたトラブルを起こしますが(笑)
それから、本文では明記し忘れてしまいましたが、優美・亜由美・麻由美は3年でも同じクラス、圭は別のクラスです(^O^)
・・・ぶっちゃけ次話で改稿するのが大変なので後付けで決めましたが(笑)
では、また!