あとがきでちょっと長めに語ります!
出だしが出だしだったので、ちゃんと勉強出来るかどうか不安だったが、柳さんの「よし、さっさとやろう!」の一声により、勉強はスタートした。
まず柳さんが優美に数学を教える。
聞けば優美は、2学期までは数学もそれなりに出来ていたが、3学期に入りやたらと難しくなったこともあり、かなり苦戦しているとのこと。まあ、俺も結構苦戦したし、わからなくもない。文系選択らしいので、ここを乗り切れば大丈夫らしいが(俺も)。
その間、俺もどちらかといえば苦手な数学を勉強。麻由美も静かに勉強している。
柳さんの解説はすごくわかりやすいみたいで、彼が説明したあと、「なるほどっ!」とか「へえ、すごい!」とかの反応。優美は教えてもらった問題が解けるたびに、笑顔を柳さんに見せている。
わかっている。別にあの子はただただ問題が解けたことが嬉しくて自然に笑顔になっているわけであって、柳さんに対して笑顔を見せているわけではない。
それでも、やっぱり他の男性と話しているときにああいう笑顔を見せている姿を端から見るのはいい気分にはならない。
・・・まあ、それは俺のただのわがままだし、彼女がちゃんとテストを通過してくれなきゃ困るし・・・。
勉強の手を止め、そんなことを考えいると隣にいた麻由美に声をかけられた。
「林崎くん、ちょっとちょっと!」
「え?何?」
肩を叩かれ部屋の隅に誘導される。
「どうした?」
「いやさあ、なんていうかね~・・・」
麻由美は珍しくなんとも言えない言い方をする。表情も少しばかり戸惑っているような感じ。
「いや~ね~、な~んかたかくん、優美が喜んだりするのを嬉しそうに見すぎじゃないかな~?ってちょっと思って~。な~んかやな感じ~って思わない~?」
え!何、麻由美さんもそんなこと考えてたの!?
「あ、いや別にね、気持ちがわからなくもないって言うかさ~、優美相手にデレデレするとかないとかはわかるんだけど~」
そうは言いつつもちょっとつの口の麻由美。そんな麻由美の態度や発言を見て俺はついつい笑ってしまう。
「ふっ!」
「え!なんで笑うの!?」
「ああ、いや、な、俺も竹下さんに対してキミみたいなこと思ってたから面白くなって」
それを聞いた麻由美は一瞬ポカーンという表情を見せた後、笑顔になる。
「そうなん!確かにそれは面白いかも!ってか林崎くん意外と独占欲強くてビックリ!」
「いやいや、そんなんで独占欲とかそういうのまではいかないだろ!そんなん言うなら俺だってキミの印象変わるなー」
「何それ~!」
お互い顔を見合せ笑い合う。
「ってかさ、俺ら2人ともそんなこと考えるなんて相手のこと好き過ぎだよな」
「何それ!私はそうでもな・・・くないかな~!めっちゃ好き~!」
「頑張れよ」
「ブーメラン!」
「俺は両思い確定だからな!」
「そんなん時が経てばわからないし~!」
「ブーメラン!」
とかなんとか、いつの間にかこそこそ話さないとって言うのもすっかり忘れてて、向こうに聞こえる声になっていたようで・・・。
「ちょっとー!2人とも勉強してないじゃん!」
「なーにイチャイチャしてんの~?好きな人いるのに酷くない?ねぇ、優美ちゃん?」
いきなりそんなん振られてビックリする優美。
「へ!?あ、いや、そういうんじゃないっていうかなくもないっていうか、その、まあ、ちょっとやだなあって思ったりしななくもないけど・・・」
少し恥ずかしそうに言う優美は本当に可愛い。
「林崎くんって罪な男だ~!」
「いや、お前が一瞬に圭くんと話してたんじゃんか!」
「あ、確かに!あはは~!」
そんな感じで4人で顔を見合わせクスクスと笑い合った。勉強は中断したけど、いい休憩になっということにしよう(笑)
それからまた優美は数学をやった後、時間も時間なので俺が地理を教えることに。
地理なんて暗記教科じゃん!とか思っているそこのあなた!そんなんなら優美だって苦戦しませんな。
何故か今回の範囲は数式やらの問題ばかり範囲にある。地理って意外と理系っぽいところあるんだよな。
俺は優美がわからないと言っているところをまずは簡単に教える。
「どう?今のでわかる?」
「う~・・・。これはわかるけどこっちがこうなる理由が・・・」
「ここは・・・こうで・・・こうなって・・・」
「あ~、なるほど!わかったっ!」
こっちも割りと順調。柳さんに見せていた笑顔を俺にも見せてくれてちょっと嬉しい。
正直楽しい。勉強だから楽しいなんてあるもんかと言うところだが、好きな人に自分が教えることによってわかってくれることは本当に嬉しい。
そんなこんなで地理も順調。いつの間にか時計の針は7時を過ぎており、優美がそれに気がつく。
「あ、もうこんな時間っ!もう帰らないと!」
「ホントだ。いつの間にかって感じ」
優美は荷物をささっと片付ける。優美が帰るなら俺もここにいる理由はないか。
「竹下さんが帰るなら俺も帰るよ」
理由を言わないで言ったのがマズかったか、麻由美に突っ込まれた。
「ふ~ん、相変わらず仲いいね~!」
面倒くさいなあ・・・適当に流すか。
「あ、うん、そう」
「ちょっと~!なんでいつも適当過ぎなの~!」
もう無視だ無視!
俺は無言で荷物を整理し始める。麻由美はぶーぶーしてた(笑)
「麻由美ちゃんも柳さんも今日は私のためにありがとうございましたっ!」
準備が出来た優美はぺこりと2人に挨拶した。
「いえいえ。困ったからいつでも大丈夫」
と柳さん。麻由美はというと、優美の耳元で何か囁く。
それを聞いた優美は「頑張る」と小声で返事した。何を頑張るとか、まあ、あれしかないと思うと変に緊張するから、考えないことにした。
「じゃあまた明日。柳さんもさようなら」
俺も簡単に挨拶し、麻由美の家を2人で後に。
外はもう3月も中旬ということもあり、寒さはなかった。
駅までそこそこと距離もあるからと思い、
「教科書とか重くない?持つよ?」
と優美に声をかけるが・・・。
「平気平気!それに荷物持ちなんて私させたくないからっ!なんかそういうの嫌っていうかね」
彼女の気持ちはなんとなく俺にもわかるため、ここは彼女の意見を尊重することに。
その話題が終わるとちょっと静寂、と優美はいきなり何かを取り出す。
「はい!お返しだよっ!」
満面の笑顔で紙袋を俺に渡してきた。ちょっといきなり過ぎて驚く俺。
「お、おう。あ、ありがとう」
ゆっくりと手を出しそれを軽く掴む。
・・・なんだ、普通に今日用意をしてくれてたんだ。
ちょっと考え過ぎていていたのでホットもした。
「え、もしかして私が忘れてると思った・・・?」
心配そうな表情だったので、心が見透かせられているわけではなかったが、逆に気を使わせてしまったことに。
「ううん!違う違う。このタイミングだったからちょっと驚いただけ」
「あー、なるほどねっ!あ、うん、いやね、渡すまで多分ずっとそわそわしちゃうと思うから、思いきって先に渡す作戦っていうかね」
なるほど。確かに一理あるな、うん。後で怒られるくらいなら先に言ってしまおうみたいな感じか。違うか。
「そかそか。あ、改めてありがとう。中見てもいい?」
普通に了解すると思って聞いたが、何やらちょっと恥ずかしそうな優美。
「あー、いやー、出来たら、出来たらでいいんだけどね、お家で見て欲しいかな・・・」
そんな彼女の気持ちをこの時点で俺はわからなかったが、別にいつ見ても変わらないしと思うし。
「あ、オーケー。後で見るよ」
「うん、ごめんね、あはは」
少し気になりつつも、俺はそれを大事にカバンへとしまう。
それからは中身が気になる俺をよそに優美の方はというといつも感じで、最寄り駅で別れた。
× × ×
テストは誰も補修を受けるようなこともなく終了し、それもあって春休みは4人ともとにかく演劇に集中出来た。
春休みは稽古の他にも衣装や小道具・大道具、照明や音響関係の打ち合わせ、また俺と麻由美は生徒会の活動である、新入生部活紹介の打ち合わせ、優美と亜由美は部活紹介で行う台本作成及び稽古・・・などなどあり、あっという間に過ぎ、新学年がスタートした。
× × ×
ちなみに、「その場で見てほしくない」と言われた、優美からもらったホワイトデーのお返しはどんなのだったかと言うと。
お返し自体は普通のチョコレート(ハート型)であったけど、一緒に入っていたメッセージカードの最後に『私と思って食べてね!愛しの優美』と、書かれていた(明らかに麻由美の字で)。
まず、タイトルにもなっている「独占欲」の件ですが、これだけで圭が独占欲あるって言っていいのかどうかって感じですよね。ぶっちゃけ、好きな人に対して、あれくらいは誰しもあるのが普通かなって自分は思います(^^)/
さて、今話の終盤でかなり時間をすっ飛ばしでて新学年、新学期のところまできてしまいました。
「飛ばしすぎ」って思う方もいらっしゃるかなー、とも思いますが、正直、話が長くなってるというのもあり、恋愛面でも演劇面でもやりたいネタもだいたいやったのでやることがないって感じです(*_*;
圭と優美は相変わらずいつくっついてもOKなくらい仲いいし、この章の中心でもある麻由美の恋愛話もやり切ったですしね!
話を作ろうと思えば作れたかもしれませんが、グダグダになってしまうのも・・・。
ってな感じですかね?まあ、本当にこのまま本番って言うのも書いてる作者的にもつまらないんで、一応本番前にちょっと一騒動入れる予定ですがね(笑)
長くなりなりましたが、では、また(*^▽^*)