私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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今回は前回の続きです!

後半は、圭と優美のイチャイチャもありますよ(*^_^*)


「ねね!もしかして美結ちゃんと何かあったりしたのー?」

「じゃあこの間やった優美が演出の場面、改めてやるわ」

 

週明けの月曜日、さっそくその場面の練習に。ちょっと緊張するかな・・・。

 

美結ちゃんに本を借りた私は、土曜日の夜から日曜日にかけてその本を参考に自分なりに色々勉強し、改めて自分が担当していた場面の演出を考えた。

 

もちろん、本に書いてあること全部が全部わからないので、美結ちゃんに聞いたり。

 

みんなが納得してくれるかはわからないけども、前よりは格段に良くなったし、自分としては今やれる範囲で精一杯やったと思う。

 

私はみんなに指示する。

 

「まずは上手の少し奥でメイドと医者。あ、もうちょっとこっちで・・・スポット照らすから当たる場所で」

 

「医者はこのセリフのここでこれくらい間をとって・・・」

 

緊張でちょっと早口になるよー!それでもしっかり説明しなきゃっ!

 

それから一通り動きやセリフ回しを説明し、立ち稽古を行った。

 

正直言って自分でもびっくりしちゃうくらい良くなった!それは私だけでなく、他の3人も思ってくれたみたいで。

 

「なんかイイ感じ~?やってる方もこっちのが楽しそう~!」

 

「だな。ちょっと大変かもだけど、なんか前より全然いいよな」

 

「ええ、私もこれがベースでいいと思うわ。優美、凄く勉強したのね、頑張ったわね」

 

麻由美ちゃんに林崎くんに続き、亜由美にも。亜由美は稽古中には私にはあまり見せない、優しい笑顔で誉めてくれて・・・。

 

「うん、まだまだかもだけど、私なりには頑張った!」

 

やっぱり目標としている人から誉められると嬉しい!

 

「ふふふ。でもあんまり誉められてまた気が抜けたらダメよ?」

 

「あ、確かに優美ならありそう~!」

 

「えっ!も、もうっ!大丈夫だよっ!」

 

とにもかくにも良かった。小さなことかも知れないけども、私にとってはまた1つ、大きな目標に近づいた気がした。

 

 

× × ×

 

 

帰り道、いつものように林崎くんと一緒に帰る。当然、今日のことを聞かれた。

 

「凄いね。いや、こういうこと言うのはあんまりだけどもあそこまで形にしてくるとは思わなかったから」

 

やっぱりそう思われてたよね。そりゃあ最初の出来があれじゃあね・・・。

 

「あはは、言われると思った!」

 

「ごめんごめん!小松さんに聞いたわけでもないような感じだったし、やっぱり独学?」

 

「うーんとね・・・」

 

私はカバンに入れて学校にも持ってきたあの本を取り出し、本屋さんに行ったことから美結ちゃんに本を借りたことまで林崎くんに話す。

 

特にそこまで難しい話でもないのに、何やら彼は考えているように見える。私はそれが少し気になったので聞いてみた。

 

「えと・・・今の話で何かわからないようなことあったかな?」

 

私に話しかけられた彼はハッと反応した。

 

「あ、うん、そかそか。うん、大丈夫大丈夫」

 

さすがに私でも何か隠してる、怪しいと思った。美結ちゃんの名前を出したから・・・?美結ちゃんともしかして何かあった・・・?

 

・・・気になる。あんまり詮索するのは良くないとわかってても、正直気になる。

 

深刻な感じで聞くのもなんか良くないなあと思った私は、ダメ元でもいいやというのもあって笑顔かつかるーい感じで聞いてみた。

 

「ねね!もしかして美結ちゃんと何かあったりしたのー?」

 

彼は黙っている。でも無視しているわけじゃなく、どうしようかと考えている様子に見えた。

 

少し静寂の時間が続いた後、彼の口が開く。

 

「ごめん、勝手に黙って。キミが知らない何かがあるのは確かに本当なんだ。いや、もしかしならキミはそれを知っている上で高森さんと友達を続けているんだったら・・・」

 

何かあったのは本当みたい。でも実は彼が思っているほど大きなことでもなく、実は私たちから見たら大した問題にはなっておらず、いつの間にか解決したことなのかも知れない。

 

彼の言葉を聞き、今度は私の方が黙って考えてしまう。すると彼は話を続ける。

 

「ここまで言って言わないのはキミも俺もあんまりいい気分ではないし、言ってしまってもキミたち2人の関係が今さらどうなるものじゃないとは思うけど・・・」

 

『けど』、なんだね・・・。『けど』に続く言葉は私にはわからないし推測すらも出来ない。それでも、これだけはわかった。

 

今はこれ以上詮索しない方がいい。

 

言いたくないことを無理に言わせようなんて全然思わないもの。

 

いやまあ、そもそも私が軽い気持ちで詮索したのがダメだったけどね。

 

私は難しい顔をしている林崎くんに笑顔で声をかけた。

 

「ホワイトデーのお返しって何か希望とかあるかなっ?」

 

いきなり話が変わり驚く。そりゃあ、ね(笑)

 

「え、いや、特にない・・・ってか・・・」

 

彼が言う前に私から言ってしまおう!

 

「さっきのはもう大丈夫っ!気にならないって言ったら嘘になるけど、暗い雰囲気なんてなんか嫌いだし、それに前に言ってくれたよね?」

 

「『本音を言い合えることも大事だけど、言っちゃいけないこともあるかな』って」

 

せっかく(?)だし私は林崎くんの言いマネをしてみた。

 

「あ・・・!」

 

と、何やらいい反応。私に言ってくれたことちゃんと覚えててくれたみたい。

 

と、次の瞬間、笑い出す。

 

「いや、似てないから!ぷっ!あははっ!」

 

「え~!似てると思ったのにっ!」

 

私的には似てるかと思ったんだけどなあ~!

 

「ふー・・・!正直ここまで言っちゃったら・・・気になって仕方ないと思うけど、俺自身も今思えばぶっちゃけ俺からは言う必要ってないかなって。まあそもそも最初は高森さんから聞いてるものだと思ってたから」

 

林崎くんは明るい雰囲気に戻り、そう説明してくれた。そう言われると次に美結ちゃんに会ったときに気になっちゃうかもね。

 

「そうなんだっ!まあ、とにかくこの話はここで終わりにしようっ!」

 

もう聞かないって決めたのに長引かせるのもね。

 

それを聞いた林崎くんは「あ、ちょっと」と何か言いたそう?

 

「どうしたの?」

 

「あ、いやね、さっきの話の説明はしなくても、『これ』だけは言えば自分が納得出来るかなって」

 

『これ』を強調して話す林崎くん。なんのことか何やら私にはよくわからないけど、彼は真剣な表情になり私の方を見た。

 

「・・・何があってもさ、俺が、俺が好きなのはキミなんだから」

 

え、え、え!?いきなり何でそんなことを!?・・・いや、凄く嬉しいんだけど突然過ぎるよっ!

 

「あ、う、うん。あり、がとう・・・」

 

かあっと顔が赤くなってくのが自分でもわかり、反射的に顔を伏せてしまう。

 

「ま、まあ、とにかくそんな感じなの!はい、これで本当に終わり!」

 

林崎くんもやっぱり恥ずかしかったのか、顔を反らして焦ってる!そんな彼を見てたら逆に私は笑顔になった。

 

「あははっ!なんかそういう感じも新鮮で可愛いかなっ!というか林崎くんって意外と可愛いとこあるよね、バレンタインにチョコくれたりっ!」

 

「可愛い可愛い言うなよ~!ってかバレンタインはマジで恥ずかしかったんだから思い出さないでくれ~!」

 

そんなことを言う彼に私はまた可愛いなあって思う。

 

そんな新たな彼の一面も、私にとってはまた余計に好きになっちゃいそうな材料だなって思った。

 

結局、あれだけ気になってた美結ちゃんとのことは、そんなことがあってその日は全然忘れちゃいました!




圭が「何があっても優美が好き」と改めてあそこで言った理由なんですが・・・読者の皆様は説明しなくてもなんとなくわかりますよね?

まあざっくり言いますと、要は「優美に好きだと言うことで、美結に告白されても気持ちが変わったことなんて全然ない」ことを優美に伝えたかった。

それと「好きだと伝えることで自分自身も優美が好きだと自覚することでモヤモヤから解放されたかった」って感じです(^_^)v

え?余計にわからなくなったって?それはすいませんでした(°д°;;)

さあ、次回ですが「あの人」の「ああなった理由」がいよいよ明かされます!


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