とか思っているそこのあなた!!間違っていません!!
それでは本編をどうぞ(^ω^)
「おはよ~!わざわざごめんね~!」
梅田家インターホンを鳴らし、マイク越しに会話した後、麻由美が家から出てきた。
「おはよ」
短い挨拶で返す。ちなみにだが、いきなり呼ばれて別に怒っているわけではない。電話口で説明され、ノリノリってわけでもないが優美のためと思って来ている。
何がなんだかわからない読者の皆様のために、先に説明しますね。
× × ×
時間は少し戻り、自宅にて麻由美と電話で。
「・・・・・・はっ?」
『あ~!ごめんごめん!先走って理由を言うの忘れちゃった~!』
なんかわざとっぽいような気がしたけど、まあそれはどうでもいい。簡潔に説明してもらうか。
「で?」
『あ~うん。実は今日ね、私の家で私と優美がね、亜由美に、その~、バレンタインのさ~、チョコ作りを教えてもらうはずだったの!』
うんうん、なるほど、麻由美と優美がバレンタインの・・・うん・・・?
・・・つまり、優美がチョコを俺に!?
いや、焦るな!もしかしたら友チョコとかそういう類いのかも知れない!
『もしも~し?は~や~し~ざ~きく~ん?』
「お、おう!聞いてる聞いてる!」
ついついそんなことを考えてしまい麻由美の存在を忘れてしまった!
「・・・で?」
『でね、今日の朝に、ってかさっきなんだけど優美から連絡があって、熱出しちゃってこれなくなったみたいで・・・』
・・・!!そっか・・・ちょっと残念だけど、体が大事だよな。
あれ・・・?
「・・・で、なんで竹下さんが来れないと俺が呼ばれちゃうわけ?」
俺は素直な疑問を麻由美にぶつける。うん、意味がわからん!
『いやね~、別に強制はしないんだけさ~!』
「はあ」
よくわからないのも相まって、少し適当な相づちになる。
『優美がさ、バレンタインにキミに手作りをあげるって言ってたんだけどさ、それが無理になっちゃうでしょ?』
やっぱり俺に・・・嬉しさがこみ上げてくるが、それは押さえなくてはな。
ちなみにバレンタインは明後日。学校もあるし、優美の体調だってそういう回復するものでもないだろう。
「そうだな」
『そこでさ、私思い付いたの~!』
『代わりに林崎くんが手作りチョコ作って、バレンタインの日に優美に渡しちゃえば~!って!日本では女の子が男の子に渡すのが一般的だけど、本来は別にどっちが、とかないらしいし~!』
聞いてすぐは麻由美の案に俺は驚いたが、確かによくよく考えればありっちゃありかもと思えてもくる。
・・・が、少し不安も。
「なるほど、確かにいいかも、とは思ったけどさ」
『う~ん?』
「竹下さんはさ、そういうことしちゃったらすねちゃったりしないかな?」
一応まあ、女の子のプライドみたいなものもあるかなって。
『え?そっち?』
そっちって?
「そっちって何考えたん?」
『あ、いやね~、俺にも作れるのかなー、みたいなことかと思って~!』
あ、なんだ、そういうのか。
「さすがにそこまで不器用ってわけじゃないしそれは大丈夫だと思うが」
『そかそか~!ならオーケーだね~!あ、キミの心配なら大丈夫じゃない?受けとる時は色々言うかも知れないけどさ、優美がキミからのプレゼントを受け取らないはずないって~!』
言われて想像する。確かになんだかんだ大丈夫そうな気がする。
休日は潰れてしまうが、優美もなんとなくだが、そっちのが喜んでくれる気がする。
「行くよ。準備とかしなきゃだし、ちょっと時間かかるけど」
『うん、りょーかい!ありがとー!』
「ありがとー!・・・って何が?」
『あ~、亜由美と2人じゃちょっと寂しいから来てくれてありがとーってこと~!優美がいるといないじゃ活気が違い過ぎるからね~!あ、ウチの地図は後で送るね~!じゃあよろしく~!』
そっちが本来の目的か!まあ、確かにわからんでもないがね。
「オーケー、また」
電話を切った後思ったが、休みの日だし麻由美の親とかいて、色々聞かれたらどうしよう、と。
× × ×
「入って入って~!」
麻由美に手招きされ、家の中へと入る。麻由美は家の中ということもあり、セーターにチノパンという普通の格好。それでもスタイルも割りといいし可愛く見える。
「お邪魔します・・・あ、親とかに挨拶は・・・」
そこまで言うが麻由美に遮られる。
「今日はね、親と妹は出掛けてるんだ~!だからとりあえずは大丈夫~!」
なんとなくホッとする俺。他人の家ということもあり緊張はするが、麻由美と亜由美だけなら少しは緊張もマシになるか。
台所まで案内されると亜由美がすでにいた。軽く挨拶を済ませ、さっそく本題、とばかりに進める。
亜由美は長い髪を束ね、持ってきたエプロンと三角巾をつける。おお、似合う。めちゃくちゃ料理出来そう。
「2人も準備して」
「は~い!と、これ林崎くんのね!」
麻由美は俺に手渡す。普段さすがに料理とかはしないし、そういうのが必要なことはすっかり忘れていた。まあ、麻由美もそれを見越して用意してくれたのだと思うけどね。
「ありがとう。すっかり忘れてたわ」
「いえいえ~!」
さっそく俺も麻由美もエプロンと三角巾をつける。
普段の家事と言ったら洗い物くらいだし、こんなのつけないのでやや苦戦してると亜由美が手伝ってくれる。
「ふふふ、林崎くんにも苦手なことがあるのね」
手伝ってくれるのは嬉しいが、何か弱みを握らされた気分。
「まあ、ありがとう」
「ねね!どう!?似合う~?」
髪を束ね、2点セットをつけた麻由美が俺に感想を求めてきた。
「あー、柳さんにでも聞いて」
まあ、この返しが1番だよね(笑)
も~!とかいいながら麻由美は少し頬を染める。
そんなこんなでチョコレート作りは始まった。
× × ×
「ふー・・・」
「出来たね~・・・」
「頑張ったわね・・・」
それなりの時間が経ち、一応チョコレートは完成した。
最初は慣れなかったこともあり、亜由美に色々言われながら、慣れてからも亜由美に色々言われながら、最後まで亜由美に色々言われながら・・・って言われっぱなしじゃないか!
俺だけでもめちゃくちゃ大変だったし、それに麻由美もいたしで、亜由美が1番疲れきった表情になっていた。
「出来て良かったね~」
麻由美に肩をたたかれ、本当に出来て良かった、という感じで言われる。
「いや、マジでなんとかなって良かった・・・途中どうなるかと・・・」
麻由美と2人でぐたっていると、亜由美は身支度をする。
「じゃあ私はこれで失礼するわ。ゆっくりしたいところだけど色々やることあるし」
「あ、う~ん。今日はありがとう。バイバ~イ」
「俺からも色々、本当にありがとう。じゃあまた学校で」
「ええ、学校でね」
彼女はそれだけ返事をし、そそくさと帰っていく。
残った俺たちだが、まだやることがあった。
「・・・ラッピングとか、どうすりゃいいの?」
そう、まだチョコレートは裸なんです。
「う~ん、私は準備してたこれでいいけど・・・一応多めに買ったから余るっちゃ余るんだけど・・・」
麻由美はそういいながら包装紙やら小箱やら何種類か見せるが、確かにめちゃくちゃ可愛い感じなので、俺もそれを使うにはって感じだが・・・。
少しばかり考えた後、俺は決める。
「せっかくだしそれ使ってみるよ。バレンタインのってことだし、そういうときはいいかなって」
からかわれるかもとは思ったけども、麻由美は普通にオーケー、と返事をし、1番可愛いやつを俺に渡してきた。
「おい、なんでこれにした」
「ん~?別に適当に渡しただけだけど~?」
口調は真面目でも表情はにやけていたため、やっぱりからかわれてた。
「あー、はいはい、そうですか」
余計に反応すると更に絡まれるから適当に。
「むふふっ!ねぇねぇ、バレンタインの日のいつ渡すの~?」
言われて思う。作ったはいいが、いつ渡せばいいんだ・・・。さすがに男が友チョコとか言って教室で渡すわけにもいかんし。と、ここで気がつく。
「部活のときに渡せばいいんじゃね?小松さんもキミもこれ知ってるから、問題ないだろ」
少しだけ、帰りの2人きりのときで・・・とも思ったが、何か変に意識とかしてしまって、よからぬ方向に進んだらまずいと。麻由美はそんな俺の考えを知らないのか、あるいは知ってて言ってるのかわからんが・・・。
「帰り2人きりでしょ~?そのと・・・」
「それは無理だ。キミが何を言おうがな!」
ズバっと否定してやったぜ!
「どうしても?」
「そうだ」
「ええ~!いいじゃん!」
「いや、無理無理」
「つまんないの~!」
キミがつまらなくても俺には関係ないからな!
「梅田さんも頑張ってな」
「あ~、私はたかくん家のポストにいれるから~!」
「キミこそつまんないじゃんか。ってか、ダメだろそれは」
「あはは~!さすがに冗談よ~!」
チョコレート作りは終わり、いよいよ乙女たち(+α)のバレンタインという舞台は本番を迎える。
さあ、次回はいよいよ、バレンタイン当日のお話となります(^◇^)
え?演劇要素全然ないって?一応、バレンタイン回終わったら、申し訳程度の演劇要素いれようとは思っています(笑)
実はなんですが、バレンタインをこういう方向の話にするのは話を書き始めた当初から考えて書きたかった話でして。ただのバレンタイン回じゃ他のいろいろな物語と一緒で面白くないと思いまして。
ではでは(^^)/