今回は途中から2人ずつのシーンとなります!うまく書けてるかな~?
みなとみらい方面へと向かうと先程の大桟橋から見えていた、某遊園地の観覧車の近くに来る。
俺自身が観覧車が好きなこともあり、また俺としては今回のダブルデートで唯一麻由美と柳さんが2人きりになれる機会でもあるので、このイベントはどうしても消化したかった。
それと優美の方を見ると「私も観覧車乗りたい!」っていうような表情をしてた。
もちろん、麻由美の予定の中に観覧車に乗る、があるかも知れないし、それに乗ろうと言ったところでみんなでと言うかも知れない。
まあ、麻由美がどのような考えをしてるかはわからないのて、とりあえず2人に提案してみる。
「・・・観覧車、乗りません?」
先を歩いていた2人は一旦止まり振り向く。
「あ~、うん、まあいいかな~」
と不意を付かれたような反応の麻由美。これは予定には入ってなかったみたいだ。
「俺も別にいいよ。高いところが苦手ってわけじゃないし。優美ちゃんは?」
とまあ優美に関してはたぶんオーケーするだろうと予想していたが、柳さんに振られたのが予想外だったのか、びっくりする。
「へっ!?あっ!はいっ!私も好きです観覧車っ!」
まあ何はともあれ観覧車に乗ることは決定した。
チケットを人数分買い、観覧車の乗車位置があるところまでエレベーターで上がる。さあ、ここからが再び勝負だ。どう2人・2人にするか、だ。
もちろん、彼女らを2人きりにさせることは麻由美が今日このデートで望んでいることではない。あくまで今日は「柳さんと楽しくお出かけがしたい」が為の俺たちを巻き込んだダブルデートなわけで。
でも俺は、もちろん優美も、このまま4人だけのままで終わってはいけないと思う。今日の今までがそれなりにうまくいったし楽しかったからこそ、2人きりの時に彼女の言ってた「違和感」がなくなってくるかも知れない。
ただ、言えることは俺たちが出来るのはその場面を作ることだけ。後は彼女ら次第。
さて2人きりになって欲しい理由を説明したところで、改めてどうするか。
俺はあらかじめ考えていたことを言った。
「梅田さん柳さん」
「ん~?」
「なに?」
「この観覧車なんですけどね、男女2人きりで乗るとですね、終わった後に無期限の割引券貰えるんですよ」
まあ、嘘です、はい。
「ふむふむ」
「2人もまた、ここに来ることもあるだろうし、どうかなって思って」
そう俺が告げると、彼女らが反応する前に優美が察してくれたのか、迫真の演技をする(演技じゃなくて本音かもだが)。
「ええ~!そうなんだっ!私的には4人で乗った方がすっごく楽しいと思ったけど・・・うーん、無期限なら、たぶんいつかはまた来るだろうし、それ欲しいなあって」
えへへ、といつもの恥ずかしげな苦笑いも付け加える。マジでいつもの優美っぽくって完璧な演技。
まずそれを聞いた柳さんから答える。
「優美ちゃんの頼みならなんか断りにくいよなあ。まあ観覧車乗るには変わらないし。麻由美は?」
柳さんに振られた麻由美は少しうつむき、少し、ほんの少し考えた後笑顔になり、
「そだね~!来るかどうかはまあわからないけど、貰って損するものじゃないし~!」
と、賛成してくれた。
俺は結構ドキドキしてたので、心のなかでフーッと一息ついた。助け船を出してくれた優美には後でお礼を言っておこう。
15分程度順番を待ち、まずは言い出しっぺだからということもあり、俺と優美から先にゴンドラへと乗り込む。
「うまくいったな」
「うん!」
「さっきはありがとう。俺の案に助け船出してくれて」
とりあえずお礼は言わないと。
「私の演技どうだったかなっ!結構頑張った!」
素じゃなくて演技である意味ホッとする。
「うん、めちゃくちゃうまかったと思うよ。演技っぽくなくて普段の竹下さんみたいだったし」
「えへへっ、ありがとう!まさか演劇がこんなところで役に立つなんてねー!」
優美は今日はあまり見せなかった満面の笑顔になる。
観覧車の高度が上がり、話も一息ついたところで外を見る。
そう言えば、というか麻由美たちのことを考えていたので今更になってしまったが、優美と初めて2人で出掛けたのを思い出す。
「なんか・・・懐かしいな」
「そう、だね。って!そんな懐かしむほど前でもないけどね」
「まあ確かに」
せっかく観覧車に乗っているし、外を見ながらの会話になるが俺たちは会話だけでもなんとなく心が繋がっている気がしたのが嬉しい。
「今思えばさ、私あのとき林崎くんに告白されちゃったんだよね!」
突然、そんなことを告げられた俺は思わず彼女の方を振り向く。
優美はと言えば外を見たまま、いたって普通の表情。
「そう、だなあ。今思い出すとなんか恥ずかしいな・・・」
俺はそう言ったが、彼女は真面目な表情のまま、話を続ける。
「あれからさ、色々なことあったけどさ」
「・・・ああ」
「私のこと、その、ずっと・・・」
そこまで優美は言ったが恥ずかしそうな表情になり、言葉につまる。なんとなく彼女の言いたいことがわかった俺は、そんな彼女に対して言葉を返す。
「俺だってさ、待っててくれて嬉しいよ」
「あ・・・うん」
「正直毎日毎日キミの気持ちが変わるんじゃないかって、今でも思っているくらい。だからさ、キミが同じことを思ってくれてて俺だって嬉しいさ」
「普段はなんか恥ずかしさとかあって、あんまりこういうこと言えないけど」
恥ずかしいとか言っただけあって、こういう雰囲気でも恥ずかしいものは恥ずかしいと言った後思った。
優美も、俺の恥ずかしいセリフを聞いて恥ずかしそう顔ではあるが、凄くホッとしている。
人ってなんとなくは理解していても、相手の本当の気持ちがわかるまでって本当に不安になる。だから俺は、そんな優美に重ねるように言い、小指を出す。
「待ってる。ほら、約束だよ」
彼女も小指を出すように促すと、俺のよりも一回り小さい小指を俺のに絡める。
お決まりのあの言葉は言わなかったけども、言わないからこそ、お互い約束したと強く思えることだってあるだろう。
今くらい、2人きりの今くらいは、ダブルデートという「舞台」の脇役じゃなくてもいいと、そんなことも思った。
× × ×
私たち2人を乗せたゴンドラは徐々に高度が上がっていく。外の景色を見ると、さっきまであった少しの緊張感が抜け、自然とテンションは上がっていく。
「おお~!どうかな?って思ったけどなかなかいい景色だね~!」
外を見ながらになるけど、私はたかくんに声をかける。
「だな」
彼はそれだけの返事。私としてはもうちょっと色々返して欲しかったなあ、と。
たぶん、というか絶対だけど、今思うと2人は私たちを2人きりにするためにあんなこと言ったんだなあ~!どんな理由があるかはわからないけども、いきなり2人きりにされると変な気分になってしまう。イヤらしい気持ちじゃなく、ね。
景色を見ながら私は考える。なんでこう、うまくいかなくなっちゃったんだろうな・・・。
踏む込もうとすればするほど、何か壁を作ってくるような気がするし、それをされちゃうと私も次はどうしようと思って、それが悪循環になってしまう。
だから今日は優美たちと一緒に出掛けたら、何か私たちの関係が変わればって思ったんだけどね。
そこでふと思う。
なんで優美たちはあんなに仲がいいのかな、って・・・。
「なあ、麻由美」
「え!?」
そんな考えごとをしてたらいきなり話しかけられて驚く。
「あ、いや、ごめん」
私が驚いたので、たかくんは謝る。・・・これじゃまたうまくいかないままで終わっちゃう!
「ううん!大丈夫~!何か話?あったんでしょ~?」
作り笑顔でもいい。私はとにかく出来る限りの笑顔で答える。
「ああ、うん。いやね、圭くんと優美ちゃんを今日見てて思ったんだけどさ」
「うん」
「2人ってなんかめちゃくちゃ仲いいよな。何がってわけじゃなくて何かと。なんであんなに仲いいんかなって」
私はそのセリフを聞いて一瞬固まる。まさか自分が思っていたことと同じことをたかくんも思ってるなんて~!
「ふっ・・・」
「・・・?」
「ふっ・・・!あははは~!」
そんなんだったので、ついつい笑っちゃう!
「お、おい、なんで笑ってんの」
「いや~、ね、私もさっき同じこと考えていたから~!」
「え!マジか」
「うんうん、マジマジ!」
たかくんも笑い出す。
「あっはっはっ!確かにそりゃあ笑うな!」
「でしょ~!」
それから2人で十秒くらい笑い合った。
「・・・ふー、なんかアレだな」
「え~?」
「なんかこう、また2人で話すようになってさ、これだけ一緒に笑い合ったの初めてだよな」
言われて気がつく。確かにそうかも~!
「なあ、麻由美」
さっきも名前呼ばれたけども、そのときとは全然違う呼ばれ方。
「俺ちょっと考え過ぎてのかもな。昔みたいにさ、麻由美とうまくいかないなってずっと思ってたんだけどな、そりゃお互い色々変わってるんだしうまくいかなくなってるのは当たり前だよな」
たかくんは外を見ながらそう話す。私はそれを一句も聞き漏らさないように真剣に聞く。
「昔の、ちっちゃい頃の麻由美が自分の中に残ってて、それを今も追い続けてたんかなって。だからこれからはもっとシンプルに、前のことは忘れるってわけじゃないけど、麻由美といるときは考え過ぎないようにする」
それだけ言い終わった後、今度は私へと顔を向ける。
「圭くんと優美ちゃん見てそう思ったんだ。だからもしかしたら、彼らを参考にすれば、俺たちももっといい関係になれるヒントがあるかなって」
私はたかくんの言葉を聞き終わったあと、私の方も心のどこかで今彼から言われた全部のことを考えていたのかも、と思った。
「そう、だね。たかくんが今言ったこと、そのまま私も思っていたことかも。一緒にいるときはさ、あんまり冷静になれなくてそれを考える余裕もなかったけど」
「何かを特別に変えるとかそういうのは出来ないけども、もっといつもの私になる」
私はどんな表情でそう言ったかはわからなかったけど、今までの無理やり作った表情ではないことは確かだった。
「うん。俺ももっといつも通りでいくよ」
たかくんが返した言葉はそれだけだったけど、余計の色々言われるよりもシンプルで凄く嬉しかった。
「あっ!!」
いきなり何!?
「え!どしたの!?」
「話に夢中で全然外見ないうちにもう随分下に来ちゃってるよ・・・」
「あ~・・・まあ、いいんじゃない~?割引券貰えるしまた来ようよ~!」
「そうだな」
景色はあんまり、というかほとんど見れなかったけども、私たちの関係の視界は凄くはっきりと見えるようになった気がした。
・・・まあ、結局割引券なんて林崎くんのデマかせと気がついたときは、せっかくの観覧車を楽しめなかったことにちょっと後悔したけどね~!
今回でもダブルデートは終わらず・・・(´・ω・`)
なんでこう、毎回毎回思ったよりも長くなってしまうんだろうなあ・・・?修学旅行編とかと違って今回は予定通りの話の運び方だったのですがね(笑)
何はともあれ、麻由美と柳さん、いい感じになってよかったですね(*'▽')