私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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今話終盤ではついに、4人でのダブルデートへと突入します(^^♪
前半は珍しい亜由美と麻由美のやり取りもあったりしますよ~!

え?タイトルが意味深だって?ぜひ本文を読んでくださいませ!(笑)


「優美と同じように好きになってしまっていたかもね」

麻由美、柳さん、優美そして俺の4人によるいわゆるダブルデートをすることが決まった。

 

日時と場所であるが、今週末の日曜日。俺も優美も予定はなく、麻由美曰く「たかくんには予定聞いてないけど、どうせ日曜日いつも暇してるから大丈夫~!」という感じなので柳さんもオーケー。

 

場所は麻由美からの希望があり、ハマの○○がいたり、中華街とかある海沿いの有名なところ。

 

小学生くらいの時に一度行ったことはあったが、何があったとかは正直覚えてない。でも色々な情報を見るにデートにはぴったりっぽい。なるほど、麻由美が(たぶん)初デートで選ぶわけだ。

 

「私は何個か行きたいとこあるからそこへは行くけどキミらも行きたいトコあったら決めといて~!」ということらしい。

 

今はこの話をした昼休みの日の放課後、稽古の時間である。

 

「じゃあ今日は12ページの2行目からいくわよ」

 

ちなみにこのシーンは亜由美だけ出ない場面。

 

「オーケー」

 

「うん!」

 

準備をする俺と優美。と麻由美の声がしないので彼女の方を見ると、ボーッと何かを考えている仕草をしている。

 

「麻由美ちゃん!」

 

優美が小声で声をかけると、ハッとする麻由美。

 

「ごめん!ちょっとボーッとしてた!たはは~!」

 

麻由美は苦笑いをしながら準備に取り掛かる。

 

「昨日の林崎くんといい、麻由美といい、大丈夫かしら・・・何か練習で気になることでもある?」

 

そんなことを聞かれたので俺は咄嗟に対応。

 

「いや、大丈夫。昨日の俺は自分で考えなきゃいけない演出のところを考えてただけだから」

 

「そう」

 

うん、まあ、大丈夫そう。

 

「私もね、昨日やったシーン、どうしようどうしようって考えただけだから~!

 

「そう」

 

こっちも大丈夫そうだ!

 

結局それからは極力ダブルデートのことは考えないようにし、稽古には取り組んだ(たぶん麻由美も)。

 

 

× × ×

 

 

「麻由美ちゃん、大丈夫かなあ」

 

いつもの帰り道、稽古でのこともあり優美は麻由美を心配そう。

 

「まあさすがのあの子でもぶっちゃけ初デートって言っても過言じゃないだろ?いくら俺らがいると言ってもやっぱり色々考えてしまうことはあるだろうね」

 

「そうだよね。私たちに出来ることってなんだろう・・・?」

 

そう言われると正直困る。出来ることなんて彼女らが気まずい雰囲気にならないように空気を読んだり、あるいはいい雰囲気のときは2人きりに出来るように空気を読んだり・・・。あ、なるほど。

 

「とりあえず空気を読んで迷惑にならないように頑張ろう」

 

言ったはいいが、これって結構難しいんだよなあ。正解とか実際ないし。

 

優美はというと。

 

「あ~、なんかわかるかも。確かにそれ大事だよね」

 

と意外にも納得してくれた。

 

「主役はあくまで2人だもんね!」

 

「そうだな。何もない限りはあんまりでしゃばらないようにしなきゃな」

 

「うん!わかった!あのさ、麻由美ちゃんに行きたい場所あったらって言われたでしょ?あれって考えたりした?」

 

「あ、悪い、それ家に帰って軽ーく調べようかなってくらいだわ。結構前に行ったきりでどんなとこかとか全然覚えてないし」

 

「そかそか!私もね、中学生のときに言ったきりかなー」

 

中学生のときか・・・誰と行ったんだろうな。そう言えば俺って優美の中学生の頃って全然知らないよな・・・。

 

「どこか行きたいところある?」

 

「ん~、まあ、特にここがってわけじゃないけど、なんとなくあそこの雰囲気が好きって言うかなんていうか。色々歩いているだけでなんか楽しいんだよねっ!」

 

優美はいつもの100点満点の笑顔でそう言う。確かにこんな可愛い子と一緒ならどこでも楽しそうだ。ってそうじゃないわな!

 

「そうなんだ。まあ俺らは脇役だけど、せっかく行くなら楽しまなきゃ損だよね」

 

「うん!楽しもうね!」

 

俺たちがめちゃくちゃ楽しんじゃって、こっちが主役にならないように少し気を付けようとも思った。

 

 

× × ×

 

 

「ねぇ、麻由美」

 

稽古の帰り、私はいつものようにあゆちゃんと一緒に自転車を転がし、話しながら帰っていた。

 

「ん~?どしたん?」

 

「さっき、ボーッとしてた理由を言ってたけれど、あれ嘘でしょ?」

 

まあ、バレるよね~!バレてないはずはないと思っていたので、ある意味ホッとする。

 

「まあね~!」

 

肯定はするけど、そこから先は言わない。でも、あゆちゃんにはバレてたみたい。

 

「麻由美が悩むことって、柳さんのことくらいでしょう?」

 

「あ~、うん!さっすがあゆちゃんだね!よくご存じで~!」

 

何を言われるかな~って思っていたら・・・。

 

「大丈夫?1人で悩んだりしていない?」

 

と、心配されてしまった!

 

「わっ!あゆちゃんが心配なんかしてきた!こりゃ明日猛吹雪だ~!」

 

と調子に乗った瞬間、めちゃくちゃにらまれた!

 

「わわわ、ごめんごめん~!心配してくれてるのは凄く嬉しいけどね、今回は林崎くんと優美に助けてもらってるから大丈夫だよ~!」

 

「そう。彼がいるなら心配無用だわ」

 

「あゆちゃんも、随分林崎くんのこと買ってるよね~!」

 

まあ私もだし、優美もそうだけどね。

 

「そう、ね。なんでかしらね」

 

あゆちゃんはそう呟きながら、真っ暗な空を見上げる。

 

「ねね、優美みたいに好きになったりはしないの~?」

 

我ながら爆弾を投下しちゃったなあ~、とは思ったけど、ついつい聞いちゃいました!

 

怒られる!って思ってたんだけど、なにやらうーんと考えている。

 

「そうね・・・私が私じゃなかったら、優美と同じように好きになってしまっていたかもね」

 

「私は彼と優美のことを応援してるもの。それは私だから」

 

彼女はあまり見せない笑顔でそう嬉しそうに答えた。私にはちょっとわからなかったけども(笑)

 

「じゃあまた明日ね」

 

「うん、お休み~!」

 

交差点を曲がり遠ざかっていく彼女を私はいつもより長く見送った。

 

 

× × ×

 

 

「あ、おはよ~!」

 

「おはよー」

 

「おはよ」

 

「ども、おはよう、ございます」

 

ついにダブルデート当日になった。自分の最寄り駅は目的地に一番近いため、3人が乗っている電車に乗り込んだ。

 

優美と麻由美だけでなく、年上なうえ、まだ会うのは2回目の柳さんがいるため少し緊張もする。

 

麻由美は柳さんがいることもあり、今日もバッチリなコーディネート。腰の部分がキュッと絞まっているコートにワインレッドのミニスカートが少し見えている。タイツは穿いてはいるが生地は薄く肌色が浮き上がる。

 

さぞ柳さんもドキドキしている、はず。

 

一方の優美も可愛い。ショートコートに赤いマフラーをし、下はラップキュロット(前から見るとミニスカート、後ろから見るとショートパンツになってるもの)。黒い厚手のタイツもより一層彼女を美しく見せている。

 

という感じなので優美をちょっとじっと見てたら、感想を聞かれてしまった。

 

「ど、どうかな?テキトーに合わせて来たから・・・」

 

これでテキトーなのか。十分似合ってるし、可愛いので素直にそう伝えると。

 

「ほんとっ!?あー、良かった!時間なくてどうしようかと思って」

 

てへへ、と笑う優美。

 

「林崎くんも、いいと思うかなっ!」

 

と俺も誉められた。まあ一応「デート」ってことだしちょっと頑張ったので嬉しかった。

 

「ありがとう」

 

そのまま笑顔でお互い向かい合っていたら。そりゃまあ突っ込まれますね!

 

「もう~!イチャイチャしちゃって~!」

 

「2人とも早く付き合えば?」

 

「いやいや~!もう結婚しちゃえ~!」

 

などと、柳さんもいるせいなのかわからんが、麻由美の突っ込みもいつもよりもズバズバくる。

 

「けっ・・・!もう~!さすがに早いよ~!」

 

優美もからかいに対してしっかり反応するもんだから更に盛り上がる。

 

「大丈夫!法律上では結婚出来るから」

 

柳さんもノリノリ。・・・って!

 

「いや俺はまだ17なんで無理なんですけど!」

 

「あ、そうか。じゃあ俺となら出来るよ、優美ちゃん」

 

柳さん!冗談ですよね!?まあ冗談だろうが、優美は相変わらず。

 

「む、無理です!」

 

と、真面目に答えた。一瞬の静寂。が、ついに笑いを堪えきれなくなった麻由美が爆発した!

 

「くっ・・・うふっ・・・あははは!たかくんフラれた~!あははは!」

 

「フラレちゃったかー!あっはっはっ!」

 

「え!え!え!・・・もう~!2人してからかわないで下さいよ~!!」

 

真っ赤になっている優美を見て、悪いとは思いつつも俺も内心大爆笑でした。

 

優美のおかげ(?)で始まりは凄くいい感じ。今日はこのままうまくいきそう、と思った圭であった。




タイトルにもなった亜由美の「私が私じゃなかったら~・・・」のセリフですが、書いてる自分も一度書き終わって読み返しているときに「なんだこれは!」って思いました(笑)

要はまあ、立場的に自分と同じであったら圭を好きになってしまうだろう。でも私自身はそうはならない。私は優美の親友として彼女を応援してるから、ってことですね。

でもそれって裏を返せば・・・おっと、ここから先はみなさんで想像してみてください!あんまり言ってしまうのもアレですしね(^^)/

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