待っていた方なんていないと思いますが(笑)、お待たせしました!
それでは7話をどうぞ!
「話し合い第二幕」として始まった話し合いであったが、割とあっさりと今後の方針は決まった。
新しい演劇部を作り、魅力的な公演をし、部員を増やすというもの。
これだけ見るとあっさりしているがおのおの問題点もいくつかある。
「部員を増やすって簡単にいうけど、そもそも『部』じゃないのに部員なんて増やせないんじゃない?」
彼女の言うことはごもっともである。大学なら同じような活動をするサークルはいくつもあっても問題ないが、さすがに高校だと話は別になるだろう。まあこれについては問題になるだろうと思い策は考えて来ているが。
「とりあえず学校には非公式で活動して、文化祭に公演をする。確か演劇部っていつも文化祭で最上級者が引退だったよね?」
「そうだね。それで?」
「そのまま公式の演劇部になるって感じかな」
優美は「?」って顔をしてたのでもうちょっと詳しく説明するか。
「文化祭まではさっきも言ったように『本当の演劇部』が存在してしまうため、演劇部として文化祭には参加出来ない。」
「うん」
「だから形としては有志で参加することになるね。」
「ふむふむ」
「で、文化祭でいい演技をする。ここからが大事なんだけど大丈夫?」
「大丈夫だぜ!」
ホントに大丈夫かどうかわからないけどとりあえず信じて話を続ける。
「ただいい演技をしただけじゃ『有志なのに演劇部より凄いね』で終わり。だから…説明しにくいけど公演をした時点で『私たちは演劇部です』としなきゃダメなわけなんだよね」
「例えば公演が終わったら『演劇部は3年生しかいないのでこっちが演劇部になります』みたいな感じで発表するとかかな?…なんとなくわかったかな?」
一通り説明し終わり優美に確認を求めてみた。
すると優美はめちゃくちゃ笑顔になりながらこっちに乗り出して来た。やめて下さい!いい匂いが色々良くないから!
「凄い!凄いよ!そこまで考えてあれば大丈夫でしょ!さすがだね!」
「ど、どうも。まあうまく進むかは別になるけど…」
勢いに押されそうになるが続けて他の問題点も話す。
「実際かなり本気でやることになると時間はかなり割かないとダメだから、キミたちは演劇部に参加は出来なくなると思う。だから演劇部を裏切ることになるんだけど。ってもうさっきの話を納得してる時点で覚悟は決まってるかな」
「そう、だね…。そのあたりは亜由美と相談してうまく部を抜けられるようにするよ。ここまできたらもう裏切っちゃってるようなものだしね」
「じゃあこれについてはおまかせするね」
正直、これは簡単そうで簡単ではないことになるかなと圭は考えていたが、優美はある程度覚悟を決めていたのだろう。
「それともう一つ。他にも問題はあるかもだけどとりあえず現時点でわかってるものなんだけどね」
「な、なんか真剣だね。よっぽどヤバい問題なのかな…?」
ヤバいと言えばヤバいかも知れない。だから自分ではわからないがかなり真剣になっていたのだろう。
「演劇の、演技の指導は誰がするのか…。」
これが実はかなり問題である。この学校には演劇に詳しく人が教師生徒含めいないのである。教師については確認してわけではないが、演劇部の顧問が素人顧問というからにはおそらくいないはず。
「なるほど…」
やっぱりこれはヤバい問題か…。と圭が思ったときだった。
「それは大丈夫じゃない?」
「え…?」
ナ、ナンダッテー!?聞き間違いじゃなければ今大丈夫と言っていたよね!?
「いやぁ、言ってなかったけど亜由美ってかなり凄いよ?中学の頃あの子の脚本演出で県大会優勝とかしてたらしいからね!」
どやぁっ!とまるで自分のことのように話す優美。でもそれが本当だったら…。
「一番の問題解決しちゃったじゃないか…。」
ホッとしたのはいいがホッとし過ぎて力まで抜けてしまったよ(笑)
「早めに言えば良かったね~。ごめんごめん!」
「オレだってそういうこと聞かなかったし。気にしないで」
「ううん、こっちこそ。それにね、そもそも最初に部活を変えたいって言ったのは亜由美の方なんだよ?さっきも言った通り中学の頃はかなり本気でやってから高校でもさらに技術を高めたかったらしいの」
「でも実際は中学以下はもちろん、演劇?って疑うようなものだったわけ。ずっと本気の演劇がしたいはずなの。だから、そういうことは頼めば絶対引き受けてくれるよ!」
「じゃあさっそく明日お願いしてもいいかな?ってかこういう話が出た時点でやる気まんまんだったんじゃないかな?」
「確かにそうかも~!私とキミが中心で動いてたから自分から言いにくいだけだったかも知れないしね!」
とにもかくにも問題は一通り解決出来そうだ。第一歩が進めた、という感じだろうか。
一通り決まったし、今日はそこまでで学校を後にすることにした。
× × ×
「あ~、なんかかなり時間かかるんじゃないかって思ったけど、あっさりで俺はほっとしたよ。本当に帰れなくなるんやじゃないかって最初は思ってたし」
「私は帰れなくてもよかったけどー?学校に泊まるとか楽しそうだし♬」
確かに楽しそうと言えばそうかも知れないがいろんな意味で楽しくなっちゃうからダメだと思います。
そんなことを考えていると優美が「あ…」とか言って固まっていた。これは何かに気がついたみたいですね!
「いやいやいや!私はそういう意味で…って!そうじゃなくて!別に林崎くんととかとなんて思ってないから!って違~う!」
かなりテンパってしまっていた。こういうときはなんて声をかければ…。
「お、俺だって一緒に泊まれたら楽しそうだなあって思ったよ!」
…盛大に問題発言をしてしまった!
それからの帰り道は二人の間になんとも言えない空気が漂ってました。翌日に仲直り(?)はしたけどね。