私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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投稿するときに気が付いたのですが、圭と麻由美の2人だけの話になってました!別になんだってわけではありませんが(笑)

麻由美のお願いっていつもろくなことないですが、今回はどうでしょうか(*'ω'*)


「お願いがあるんだけどいいかな?」

時間は少し流れて2月に入った。練習を初めて2週間ほどが経過したがかなり順調だと思う。

 

セリフを暗記するのも各自に任せているが、みんなが競い合うような形でやっている雰囲気で、すでに立ち稽古では台本は持っていない。

 

不安だった殺陣も始めに比べればだが、悪くない感じにはなっている。

 

もちろん、俺と麻由美は時たまいない時間もあったりするが、極力2人いっぺんに抜けないように他の役員も協力してくれているので、それも順調な要因の1つだと思う。

 

ただ、今日に関しては「どうしても」と言うことで放課後に生徒会長である麻由美に呼ばれた。

 

ドアを開けると部屋にあるストーブの前で麻由美はお尻を浮かし両膝を立てるような体制でしゃがんで暖まっている。

 

「あ、林崎くんおつ~!」

 

俺に気がつくとその体制のまま正面に体を動かしたため、生足の先にあるスカートの中の秘密が見えそうになったため、焦って目を剃らす(ホントはちょっと見たいけど)。

 

「お、おい!それヤバいって」

 

気がついてないのかなんなのか知らんがどういうことだ!

 

「え?ヤバいって?あ~、大丈夫だよ~!ほらほら!」

 

そう言われたので、麻由美の方を見ると立ち上がってスカートを上に上げていた。

 

「さすがにコレ履いてなかったらあんなことしないから~!」

 

と笑いながら言う麻由美。まあ、要するに見えてもいいショートパンツみたいなものを履いていた。

 

「なんだよ、血迷ったのかと思った」

 

まあよくよく考えれば今の時代にそう言う子はいるわけないわな。

 

「あはは~!あ!もしかしてもしかすると~?」

 

麻由美はそこまで言うとニヤニヤしながら俺に近づく。

 

「な、なんだよ・・・」

 

まあ何を言いたいかはなんとなくわかるが・・・。

 

「むふふっ!な~んでもない~!」

 

麻由美はくるりと俺から離れ席へと着く。いったいなんなんだこの子は・・・。

 

というかよくよく考えたら本題を終わらせて早く2人のところへ行った方がいいよな・・・。

 

「・・・で、今日はなんだ?」

 

「あ、うん。実はね・・・」

 

麻由美が言ったことを要約すると、新入生の部活紹介の件なのだが、誰が何をやるかとか、台本はどんな感じにするかとかを早めに決めてくれと生徒会担当の先生に言われたらしい。

 

そんな早くなくても、と思ったが、これからは受験やら試験やらで忙しくなるから確認だけでもしたいとのこと。

 

「いつまでにやればいいんだ?」

 

「ん~、特に言われてないけど、早い方が~って言ってて」

 

ずいぶんざっくりだな・・・。

 

「そういうわけだから早速呼んだの!」

 

うーん、なるほど。練習のこともあるし、さくっと決めたいなあ。

 

「でね、一応私の中でどうするか決めてるんだけど~」

 

「え、マジか」

 

「うん。他のみんなも会長と副会長で決めていいよって言ってたから。たがら私の案に林崎くんがオーケーしてくれたら決まり、みたいな~?」

 

俺は一から決めるものだとてっきり思っていたので驚いた。今さらだが、麻由美って結構先を見ながら手際よく行動しているなあ、と。

 

「なるほど。どんな感じなの?」

 

「うん、まず司会は私と林崎くんでなら誰も文句は言わないでしょ~!」

 

俺が文句を・・・って突っ込みたかったけど、ぶっちゃけ司会はやりたかったんです(笑)

 

「うん、オーケー」

 

「で、後は・・・って感じ。それとね、台本とプログラムは去年のがパソコンの中に残ってたのでそれをちょっと改良したやつで、ね~!」

 

え!そんなのとっといてあったんかい!ってかそれを見つけた麻由美も凄い。

 

「んまあ問題ないんじゃない?ってかそんなのどうやって見つけたん?俺も知らなかったんだが」

 

それに対し麻由美はふふ~ん!とどや顔になる。

 

「実はね~、生徒会長になってすぐに前の会長に色々聞いてね~!その中にこれもあったって感じ~!」

 

それを聞いた俺は素直に麻由美のことを凄いと思った。彼女のやる気は言葉だけでなく、行動も伴っていたと言うことに。

 

「・・・マジでキミは凄いな」

 

そう俺は言ったが彼女はさも当たり前のように振る舞う。

 

「これくらい普通普通~!だって私がみんなより頑張らなきゃいけないのは当然だから~!」

 

さらりとそう彼女は言葉にするが、そう思っていても誰もが出来ることじゃないし、簡単に言えることでもない。

 

本気も本気だった。

 

そんな彼女に伝える言葉は1つしかない。

 

「・・・ありがとう」

 

「え!」

 

もちろん、突然過ぎて麻由美は驚く。

 

「色々だよ。それへのありがとうって感じな」

 

「ふむふむ!そかそか!うん、感謝されるのは悪い気分じゃないしね!どういたしまして~!」

 

笑顔で言った俺に、彼女も笑顔で返してくれた。こういうことを柳さんに言ったら麻由美株が急上昇するなあ、とちょっと思った。

 

結局、台本やらプログラムやらも麻由美案でオーケー。部活の紹介順については後日各部長が集まりくじ引きで決めるということなのでこれにて今日は終了。麻由美の手際の良さもあり、30分もかからず。

 

「じゃあこれでとりあえず先生に見せるね~!」

 

「オーケー」

 

「じゃあやらなきゃいけないこともやったし部活行こう~!」

 

というわけで生徒会室を後にし、彼女らが活動している多目的室へと向かう。

 

麻由美は通学カバンとは別に手提げを1つ持っていた。おそらく着替えが入っているんだろう。

 

俺は彼女に向けて手を伸ばす。

 

「ほれ、持つよ」

 

「いいの?悪いね~!」

 

麻由美はサッと荷物を渡してきた。これが優美だったら2、3度は必ず拒むだろうなあと思った。まあそういうところが俺は好きなんだけどね。

 

そして麻由美は俺がいつ聞かれるだろう、いつ聞かれるだろうと思っていたことをついに聞いてきた。

 

「あのさ、前にたかくんと会ったときあるっしょ?」

 

「・・・ああ」

 

「途中さ、私と優美が抜けて2人きりになったときあったじゃん?あのときたかくんと何話したのかなあ~って」

 

あくまで自然に、彼女はそう話しているつもりではあると思うが、あきらかに様子を伺っている感じ。

 

彼女が納得するかはわからんが、俺はそれに対しての答えはもう決めていた。

 

「大した話はしてないよ。キミのことどう思ってるんですか?って聞いたら、最近また仲良くなれて嬉しい、って言ってた」

 

「ふ~ん、なるほど~!後は~?」

 

「キミの話はそんなもんかな。後は竹下さんとの関係を聞かれてどう答えるか迷ってたらキミらが戻ってきた感じ」

 

こっちの話は完全なでっち上げ。さっきのだけで終わっただと色々怪しまれそうだと思ったので、それっぽいことで埋めた。

 

正直だが、本当のことを告げるかは迷った。恋愛の対象の意味で好きっぽい、とか言えば彼女は喜ぶとも思ったし、2人の中も彼女から更に進展していくかな、とも。

 

だがそんなのあくまで想像だ。実際に違ったらどうするか。そんなの責任なんてとれない。

 

それにお互いの気持ちはやっぱりお互いが直接言うべきだと思う。もちろん、俺から間接的に伝えることが「手伝い」と言えばそうとも言えるが、俺はこういうことで手伝うのは違うと思ったから。

 

結局麻由美は「まあそんなもんだよね~」と独り言の様に呟いただけでその話は終了した。

 

麻由美はフーッと一息ついた後、話始める。

 

「ねね、お願いがあるんだけどいいかな?」

 

「うん?お願い?何?言ってみて」

 

そこまで悪い笑顔でなく、言い方や雰囲気からそこまで変なお願いでもないかと思ったので素直に聞く。

 

だが俺の予想に反して麻由美はとんでもないことを要求してきたのであった。

 

「あのね・・・一緒に、デート、して欲しいの」

 

「・・・はっ?」




麻由美からのデートのおさそいとはいったい・・・?まあ、普通のお誘いなわけないんですがね(笑)

では、また次話で会いましょう!

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