私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

67 / 100
前回の続きです(=゚ω゚)ノ

今回は圭目線に代わりますのでご注意くださいませ。


「邪魔しちゃ悪いもんね!」

優美との買い出しが終わった後、とある喫茶店に寄ったら麻由美がいた。そして麻由美の隣には見たことのない男性の姿が。

 

「あれ?あの男の人って誰だろう?」

 

優美もそう答えたため、同じクラスの人とかでもない。少し俺たちよりは大人に見えるし、もしかしたら・・・。

 

「あ、あの人が例の好きな人か・・・」

 

優美に言ったわけでもなく、独り言のように言った。

 

当然、2人に興味津々の優美には俺の言葉は聞こえておらず、適当に想像をして興奮している。

 

「ねぇねぇ!あの男の人って麻由美ちゃんの彼氏さんなのかな!全然知らなかった、麻由美ちゃんに彼氏さんがいるなんて!ほらほら、雰囲気とか見ても絶対にそうだよねっ!」

 

まあ確かに麻由美はいつもみたいなふざけた雰囲気とは違うし、ただならぬ仲に見えるのはわかる。

 

俺は本当のことを優美に教えようと思ったが、少し迷う。

 

優美には言ってないのは何か理由があるのかも知れないし、勝手に言ってしまってもいいものなのかと。

 

そんなことを考えていると、自分の言葉に対し返答がなかったので、改めて声をかけられた。

 

「どしたの?」

 

「あ、いや・・・まさかと思ってちょっと驚いてただけだよ」

 

適当に答えた。まあ、こんなところで遭遇して驚いたのは間違いではない。

 

「ねね、どうしよう!声かけるわけにもいかないよね?邪魔しちゃ悪いもんね!」

 

そう彼女が言うように、決して悪気があったわけで言ったわけじゃないし、そういういじわるな性格でもない。

 

が、興奮している優美の声は自分たちではこそこそ話しているつもりでも、それなりの声量になってしまっている上に、彼女の声は非常に通りやすく、麻由美へと聞こえてしまったようで・・・。

 

たぶんだが聞いたことのある声に反応してしまった感じで、麻由美がこちらに振り向いた。

 

「あ・・・」

 

麻由美と目が合った優美は今さら、と言っていいだろう、両手で口を押さえた。

 

俺は条件反射的な感じで咄嗟に麻由美からは目を反らした。

 

麻由美は少しこっちを見たあと、またもとに戻る。

 

あれ?もしかして気がついてなかった・・・?そう思いながら相変わらず両手で口を押さえている優美と顔を見合わせる。

 

何を考えていたかはよくわからなかったが、とりあえず2人で頷く。

 

それから数秒後にまた麻由美の方を見ると・・・あれ?いないぞ・・・?

 

「わっ~!!」

 

「うわっ!」

 

「きゃあ!」

 

麻由美の不意討ち攻撃!効果はバツグンだ!

 

「って驚き過ぎ~!ごめんごめん!」

 

「び、びっくりしたぁ・・・」

 

「ホント・・・」

 

ってびっくりしてて気がつかなかったが、麻由美がここにいるってことはやっぱりバレてた。

 

「なんでいるの~?って思ったけど、そう言えば2人でデー・・・買い出しだったんだね~!」

 

おい今デートって言いかけただろ!

 

「う、うん。買い出しの後、私たちもたまたまここに寄ったら、そしたら・・・って感じ・・・」

 

「そかそか~!なんかちょっと悪いなあって思ってそうだけど、私は全然そんなこと思ってないから~!」

 

まあ、言われてみれば別に俺たちは悪いことは何もしてないよな。ちょっとこそこそしてただけで。

 

「なあ、俺らに構うのは別に構わんけど、お相手さんは暇してるんじゃないのか」

 

「声はかけてるし大丈夫~!あ、せっかくだし2人とも挨拶しよっか!」

 

「え!」

 

「大丈夫大丈夫!悪い人じゃないから~!」

 

麻由美はそう言いながら優美の手を取り、自分の席の方へと移動する。

 

どうやら拒否権はないらしい。俺も荷物を持ち、遅れて彼女らの後を追う。

 

今さらだが、麻由美は本当におしゃれをしている。私服は見たことないんでわからないが、リボン付きのブラウスに赤いカーディガン、グレーを基調としたチェックのミニスカートを履いている。それに、本当にわかるかわからないか程度の化粧をしているようにも見えた。

 

本当に、彼女にとっては大切な人なんだろうとそれだけで俺は認識した。

 

麻由美と例の男性を向かい合わせになる形で、2人で並んで座らせられた。

 

俺たちは少し緊張していたが、男性はというと軽く笑みを浮かべている。

 

「たかくん、こちら私のお友達の竹下優美ちゃんと林崎圭くん!」

 

俺たちは軽く会釈だけをした。

 

「で、彼は私の幼なじみの柳孝之(やなぎたかゆき)くん!」

 

麻由美から紹介されると柳さんは会釈をしながら挨拶をする。

 

「柳です。ちょっといきなりで俺も驚いたけどまあよろしく」

 

多少苦笑いをしてるのを見てなんかホッとした。

 

「あはは、なんかこちらこそ色々すいません」

 

「いいよいいよ」

 

初対面だし、あっちは年上だしで聞きにくいが・・・ぶっちゃけ色々聞きたい!だってこの間の麻由美の話だと「そこまで仲は良くない」って話だったし、いったい何がどうなってるのか、とか。

 

優美だってさっきまでは彼氏が彼氏が言ってたし、聞きたいことはあるはずたが・・・。

 

そんなことを考えていたら逆に質問された。

 

「なあなあ、お2人はカップル?」

 

いきなりズバッと来た!

 

「あ、いや、一応違います」

 

素直に答えた。

 

「へぇー、仲良さそうだけどそうなんだ」

 

「こらこらたかくん、あんまり追及しないであげて!」

 

なかなか年上相手にはうまく言葉に出来なかったこともあり、麻由美の言葉には正直救われた。

 

「そっかそっか。色々理由があるんだね。無理には聞かないよ」

 

「なんかすいません」

 

とりあえずホッと一息。

 

もちろん俺たちからも聞きたいことがあったが、なかなか言えるような感じでもなく、学校のこととかで話は進んで行った。

 

 

× × ×

 

 

「ちょっと私外すね~」

 

数十分の時間がたった後、麻由美はそう言いながら立ち上がる。 と、何やら優美にアイコンタクトを送ってるような仕草をする。それに気が付いた優美も立ち上がる。

 

「あ、私もっ!」

 

どんな理由があるかわからんが2人は席を外し、俺は柳さんと2人きりになった。

 

2人の姿が見えなくなった途端、柳さんは俺に話しかける。

 

「・・・なあ、さっきから何か俺に聞きたそうな感じだけど?」

 

笑いながらそう彼は話す。なんだ、見破られていたのか。俺としては聞ける機会を得られて逆に丁度いいと思った。

 

「そう見えました?まあそりゃありますね」

 

「ははは、答えられる範囲なら何でもいいよ」

 

じゃあさっそく、と切り出す。

 

「ぶっちゃけなんですけど、お付き合いされてるんですか?」

 

付き合っていないことなど俺は麻由美から聞いていたので知っていたが、あえてこの質問をした。逆に色々聞けるかなと。

 

「君たちと同じ。仲はよく見えるんだろうけど付き合ってはいないさ」

 

「そうなんですか」

 

俺は色々聞き出す方法を考えていたが、聞く前に柳さんは話を続ける。

 

話の内容は麻由美の言ってたこととあらかた一緒だった。

 

昔は仲良かったけど、高校生くらいになってからは徐々に疎遠に。理由は麻由美の態度が何故か変わり、うまく接することが出来なくなったらしい(多分麻由美が好きになったからか)。そして最近麻由美から色々話しかけれたりしてまた仲が回復して嬉しいとのこと。

 

ただ、麻由美との決定的な違いは「疎遠になる前は特に好きという感情はなかった」ということ。

 

だが今もそう言う感情はないとか言うと・・・。

 

「小さい頃は本当に可愛い妹くらいにしか思わなかったんだ。でも遠くなってからもしかしたら、ってよく考えるようになって」

 

「でも今さら、って感じだったしこのままそれぞれの道を歩んだ方がいいだろうとは考えるようになってね」

 

「だから最近麻由美がまた仲良くしてくれたのは正直驚いたし、嬉しかったかな。でも、ほら、あれだ。わかるだろ?男同士なら」

 

・・・まあ、なんとなくわかる。色々考えちゃうんだよな。向こうがどう思ってるか、とか。だからうまく立ち回れなくなってしまう。

 

「ええ、なんとなくわかりますね」

 

「それにな、やっぱりなんだかんだ言って麻由美は幼なじみ。昔からの好きが継続してるだけでかえって迷惑をかけちゃうんじゃないかって。だから今はとりあえず、何もしないようにしようと」

 

「そう、でしたか・・・」

 

一通り聞いてわかったことがあった。柳さんも柳さんなりに麻由美とのことは悩んでおり、誰かに話したかったのだろう。

 

そこで麻由美のことを知っている同姓が現れて好都合だった、そう俺は読んだ。

 

推測だがほぼ両思いなのは間違いなさそう。あとはどうやって歯車を噛み合わせれば、という感じか。

 

「お待たせ~」

 

とここで女子2人が戻って来た。聞きたいことは聞けたし、タイミングはある意味良かった。

 

と、戻ってきた優美はお店の時計を見て驚く。

 

「えぇ?もうこんな時間!」

 

「優美、どしたの?」

 

「麻由美ちゃん、明日学校なのに私宿題やってないんだ・・・」

 

優美はこの世の終わりのような感じになる。おいおい、そこまでかよ!

 

というわけで、割りとここに長居してしまったこともあり、これにてお開きとなった。

 

俺が柳さんと話しているときに、優美と麻由美が何を話していたのかとかは気にはなったが、柳さんから色々聞け、少なからず麻由美の手伝いに生かせそうになれたのは良かった。

 




新キャラ、柳孝之さんが登場しましたぜ!

一応、設定では、年齢は麻由美の3つ上の大学2年生となっております。これからもちょこちょこ出していく予定です!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。