サブタイですが、1話と似たようなものにしようと思い、一番それっぽいセリフを抜きました(^^♪
あ、後書きに麻由美のイメージを投稿しましたのでよかったらどうぞ!
大会も終わり、演劇部はある意味本番である4月の新入生部活動歓迎に向けてすぐに活動をしはじめ・・・ると俺は思ったのだが、月曜日の夜に演劇部部長の亜由美から連絡が来て、『まだまだ4月までは期間もあるわけだし、それに優美も結構疲れてるみたいだったので本格的な活動は来週からにするわ』とのこと。
まあ確かにまだ3か月近くあるし、今まで結構ずっと活動しっぱなしだったので息抜きも必要だろう。いい考えだと思う。
今は週末、金曜日の放課後。俺は生徒会の仕事があるため、生徒会室へと向かった。
生徒会室に入り椅子に座りふーっと息を吐く。・・・もうあれから半年以上経つのか・・・いや、まだ半年しか経ってないっていうのが実感か。彼女が、優美がここへ訪れてからは本当に色々なことがあった。学校生活が180度変わったと言っても過言ではない。
まさか演劇をやることになるなんて思ってもみなかったし、何よりも優美と・・・。
「お疲れ~!」
「うわっ!」
突然、ドアがガラガラと開き、妄想をしていた俺はついつい驚いてしまった!
「ちょっと!驚きすぎ~!前もだったけどなんでそんな驚くの~!?」
そこには笑顔の麻由美がいた。
「いや、キミが突然入ってくるから!」
うん、そうだ、この前は不意打ちだったし、今日も結構勢いよくガラガラ!っとドアを開けたのがいけない!
しかし、麻由美は俺の言葉を聞いた瞬間首をかしげる。
「え?ノックしたけど~?返事なかったよ~!」
あれ・・・?マジか・・・?優美のことを考えていて全然気が付かなかったのか・・・。
「あ~、もしかして~、なんかまた考えてたんじゃないの~?」
「また」ってなんだよ、「また」って!
麻由美はちょっと考えたあと、俺に近寄り耳元でささやく。ちょっと!そういうのよくない!(理性的に)
「優美のこと、考えてたんでしょ~?」
「うっ・・・!」
不意打ちだったし、図星だったので嘘をつく暇もなく・・・。
「やっぱり~!当たった~!」
「わ、悪いかよ・・・」
「悪くない悪くない~!むしろね~!むっふっふ~!」
相変わらずこの子は・・・。
麻由美は適当な椅子へと座ると何やら書類を出し、さっきとは打って変わって静かにそれを書き始めた。最初はぎこちなかった生徒会長も、今では立派になったと思う。彼女のあの言葉は本当だったと。そんな彼女に少し目を奪われそうになりながらも、俺も自分の仕事を始める。
しばらく、30分ほどだろうか?お互い静かに仕事をしていたが、麻由美が声を発する。
「ねね、林崎くん!」
「うん?いきなりどうした?」
「あのさ、私も今はもうだいぶ生徒会長ちゃんとやれてるじゃん?」
「ああ、うん」
自分でもある程度の手応えはあるみたいだ。
「生徒会長なりかけの頃はさ~、右も左も全然わからないし、余計な仕事はしちゃマズイって思ってたんだけどね~!」
麻由美は続ける。
「でさ、学期も変わって、仕事も慣れたからさ、私も林崎くんの、優美とあゆちゃんのお手伝い出来たらなあって思って」
なるほど・・・。そういう話だったか。
俺は発言をせずに少し考えた。正直、俺が決めていい問題かと言われればそれもなんか違う気はしないでもない。俺自身、最初引き受けたときもある意味、他の役員は無視して単独でやったことだったし。今もそうだけど。
依頼事態はぶっちゃけ俺が受けたものではあるけど、「生徒会の仕事の一環」と言えば実はそうなのである。だから、別に麻由美でなくても他の役員が今から手伝っても特に問題ないというか、ある意味本当の姿かも知れない。
俺自身は助かるし、後は本人に任せても問題ないと言う結論に至った。
「いいんじゃないか?自分がやりたければやる。それでいいと思う」
散々時間を取って考えた答えがそれだったので、麻由美は少し不満そう。
「え~、なんか適当だなあ~!色々考えたみたいだけど~?」
「色々考えた結果がこれだよ」
「ふ~ん、そかそか!」
それだけ言って麻由美は黙る。あれ?自分の結論は言わないの?
「なあ、それで結局どうするんだ?」
「え!?そんなの手伝うに決まってるじゃん!」
どうやらそういうことらしい。
「あ~、なんかさ、今までは指をくわえて見てるだけだったからさ、スッゴく気合い入るよ~!」
「俺もそうだけど本業には支障出ない程度にな」
「うん、りょうかい~!」
俺は口ではそうは言ったものの、実際はめちゃくちゃ嬉しかった。
× × ×
「ん~!終わった~!」
時間にして更に30分くらいたった頃、麻由美は仕事が終わったらしく伸びをしながらそう言った。
「私はもう帰るけど、林崎くんは~?」
俺もまあ、今日中にってわけじゃないし帰るか。
「俺も帰るわ」
「オーケー!」
生徒会室を出、鍵を閉め職員室へと返す。
何か最初に優美に会った日を少し思い出した。
知り合ったばかりなのに、その日も一緒に帰り、いや、あの時一緒に帰ってなかったら、俺は別れ際にああいうこともなかったし、今とは違う形で今に至っていたかも知れない。そう思うと運命だったのかも知れないな。
「なあ」
「うん?どうしたん?」
「ありがとう」
「え!?どしたん!?」
「いや、色々だよ」
「ふ~ん、なんかよくわからないけど、どういたしまして!」
俺が優美を助けたみたいに、麻由美は俺を何度も助けてくれている気がした。本番前日も、生徒会選挙の件も、そして今回も。それを全部ひっくるめた「ありがとう」をなんとなく言いたかった。
「林崎くんさ、ちょっと聞いても言いかわからないけど・・・」
何やらさっきとは違う雰囲気で改まって聞く。
俺は無言で頷く。
「美結、なんか変わったなあって思った」
俺は少しだけ肩を動かしたが、その言葉に対して何も答えなかった。
「電話でね、この間話したんだけどさ、なんか凄く前向きになってびっくりした!」
「そうか・・・」
あの日のあの後も、明るかった美結。麻由美と話したときもそうだったみたいでまたホッとする。
「林崎くんのおかげじゃないのかな?」
「俺は・・・何も・・・」
何もしてない、そう言おうと思ったが、そんなことは言えない。いや、そもそも彼女は美結からどこまで聞いているのか。
「まあ、とにかく!私も頑張らなきゃ、変わらなきゃって思ったの~!」
「というと・・・」
学校生活のことなのか、それとも・・・。
「うん、好きな人のこと、だよ~!」
「それって前に言ってた大学生・・・?」
「うん、そうそう!あの日からね、私になりにだけどちょっとアピールするようになってね、最近は話す機会も増えてね~!」
以前と違い、明るく話す麻由美にそれは本当に少しのことであったとしても、彼女にとっては凄く大きなことなんだと思った。
「優美もあゆちゃんも林崎くんも頑張ってるし、私もって!優美の依頼は予定では4月くらいに完了しそうなんでしょ~?」
「ああ、多少のズレはあるかもだけど」
「だから私もそれくらいまでに勝負かけるの!」
「でもそれなら俺の手伝いは・・・」
そこまで言うと俺が最後まで話す前に麻由美は答える。
「だからこそだよ~!私も手伝って、私のことも手伝ってもらうからね~!」
「え・・・!」
そういうことか・・・。うまくやられた、と思ったけど、お互いに成功するってことが第一だしね。
「まあ、ボチボチやるわ」
「ふふ~ん!林崎くんはボチボチでもいつもきっちりやってくれるから期待してるよ~!」
指をぐっとたててウィンクで返された。まあ、うん、可愛いと思った(笑)
「じゃいつも通りここで!」
話が盛り上がってて、もう駐輪場近くまで来ていた。うーん、もう少し話したかったような。
「あれ~?もしかして、まだ話したかった~?」
ほんっと、この子「も」鋭すぎるわ!
「まあ、少しな」
「あ、なんなら私の家まで送ってくれてもいいよ~?私後ろで林崎くんが運転ね!」
いや、それ道交法アウトだからダメでしょ!青春的にはセーフだけど(笑)
「遠慮するわ。疲れそうだしな!」
「ちょっ、酷くない~?私そんなに重くないから~!」
わーわーわめいていたけど、スルーして校門の方へと歩き出した。
「んじゃまた」
歩きながら後ろから「ちょっと~!」とか聞こえたけど、聞こえてないフリでいいでしょう!
優美の依頼に協力してくれる人が増えたのは嬉しかったけど、自分への依頼がまた1つ増えたある冬の放課後。