色々書いたらちょっと長くなっちゃいました(笑)
あ、タイトルですが変な意味ではありません!ゆりゆりな展開とかありませんので期待せずに!
私たち、というか私と麻由美ちゃんは美結ちゃんのお家へと向かっている。
彼女に対して明日のことを話すだけなので全員行ってもどうしようもない感じ。
麻由美ちゃんは発案者ということで確定。それと、舞台に出る人もいた方がいいという彼女の意見もあり、私が行くことに。
私的には演出で中学時代からの親友ということもあり、亜由美が行った方がいいかなって思ったけれど、亜由美曰く「私が行ったら感情的になってしまう」ということで、私になった。
「ホントに大丈夫かなあ・・・」
一度は納得したものの、やっぱり麻由美ちゃんの意見に不安も感じる。
「大丈夫大丈夫~!任せなさいっ!」
相変わらずの自信満々の笑みを浮かべる麻由美ちゃん。
あ、ちなみに結局どうなったかというと、私たちは美結ちゃんには大会に出て欲しいと頼む感じ。
麻由美ちゃん曰く「人から頼まれると頼んだ人に責任を押し付けられるし、選択肢を選ばせるよりも責任を感じにくいと思うよ」とのこと。
まあ、それはわからなくもないかな。ただ、人それぞれ受け止め方に誤差はあると思うし、後はやっぱり言い方にもよるよね。
私も含め、みんな大丈夫かなと麻由美ちゃんへ言ったけど、結局それ以外にいい案はなかったし、麻由美ちゃんにお願いすることになった、という感じ。
一応、作戦みたいなのはある。まず、麻由美ちゃんだけ美結ちゃんに会う。そのときには私たちには会ってないと言うことにし、ただのお見舞いで来たということにするらしい。で、私は待機。頃合いを見て私も出てくるって感じ。
そうこうしているうちに美結ちゃんの家についた。
「ついたよ~!多分だけど美結のお母さんもいると思うよ。専業主婦の人だからね~!」
つまり私は待っている間は美結ちゃんのお母様と一緒にいてってことかな。
麻由美ちゃんは躊躇いもなくインターホンを押す。
少しの間があったあと、美結ちゃんのお母様と思われる人が出てきた。
「あら?麻由美ちゃんじゃない。久しぶり」
「こんにちは~!美結が体調崩したって聞いてお見舞いに来ました~!」
「ありがとう。美結も薬飲んで結構元気になったから上がって大丈夫よ。あら、もう1人は見慣れないお顔ね」
「あ、初めまして、竹下優美と言います。学校違うんですけど、お友達になりました!」
私は簡単に挨拶を済ませる。美結ちゃんのお母様は、美結ちゃんをそのまま大きくした感じ。
「優美ちゃんもありがとう」
そう言うとお母様は手招きをする。
「あ、おばさん、ちょっとお願いがありまして・・・」
麻由美ちゃんは簡潔に、要点をしぼって説明をした。
お母様も納得してくれたようで、作戦通り麻由美ちゃんだけが、美結ちゃんの部屋へと行く。
× × ×
「入るよ~?」
コンコンと軽くノックしたのち、私は美結の部屋へと入る。
美結は布団に上半身だけ起こして本を読んでいたみたいで、本当に結構良くなっていたみたい。
「あ、まゆちゃん。誰か来たと思ったら。文化祭以来かな」
「そうだね~!体調崩したっておばさんから聞いたから帰りにお見舞いに来たよ~!」
「帰りって、学校?休みなのに制服着てるし」
あ、しまった!言い訳しないと(笑)
「あ~、うんそう!生徒会の仕事があってね~!ほら私、会長だから~!」
うふふと美結は笑う。うん、OK、感づかれてないね!
私は美結と適当に雑談し、うまく話題を大会へと持っていった。
「見た感じだいぶ体調も良くなってるみたいだし、明日って大会の本番だったよね?大丈夫そうで良かったね~!」
それを聞いた美結は少し暗い表情になってしまう。
「・・・大丈夫なのかなあ。あゆちゃんにはどうするかは今日の夜までに体調と相談して決めようって言われたけど、出るにしても出れないにしてもさ、みんなに迷惑かけちゃうって思って・・・」
美結は予想通りのことを考えていた。よし、ここは一気にいくよ~!
「大丈夫大丈夫!出よう出よう~!あ、むしろさ、私からのお願いかな~!」
「えっ、でも・・・」
「出て欲しいなあ、私は~!」
「けど、演技中なにかあったら・・・」
「大丈夫だって!そしたら私が観客席から助けに行っちゃうから~!あはは~!」
とにかく明るく、前向きに!それしかないね!
そんなことを言ってると美結にも笑顔が戻ってきた。よし、ここは畳み掛けよう!
「だからお願い~!だってこのお願いは、美結にしか出来ないんだから!」
私は最高の笑顔でそう美結へとお願いした。
「・・・わかったよ」
美結も笑顔で答えてくれた。
「あ・・・!」
「体調も多分大丈夫だし、出るよ。もし本当に何かあったら、あゆちゃんの責任だからね」
「ありがとう~!」
私はそう言いながらついついテンションが上がってしまい、美結へ抱きついてしまいそうになったが、美結に止められた。
「ちょっとまゆちゃん!移っちゃうからダメ!」
「むしろ私に移ればそれはそれでいいんじゃない~?」
「もうっ!」
とにかくこれで美結は大会に出てくれそう。後は最後の仕上げをしないとね!
「ねね、ちょっとお手洗い借りるね~!」
「うん」
私はそう言いながら部屋を出て、優美を呼びに行った。
× × ×
「座って座って」
作戦通り、麻由美ちゃんと別れた私は美結ちゃんのお母様と一緒にいる。
「あ、すいません!」
私は椅子に腰を降ろす。ふーっと息をつくと、お母様から話しかけられた。
「美結ね、凄く落ち込んでて。『私のせいで台無しだ』とか『みんなに顔会わせられない』とか最初は言ってて」
「体調がだんだん回復してからも『出たいけど私が迷惑かけたらどうしよう』って言ったりしてて」
「そうなんですか・・・」
「私も色々言いたいことあったのだけれどね、美結たちのことは美結たちだけで決めた方がいいかなって思って」
「そりゃあもちろん、親としては美結が心配で心配で仕方ないけど、あの子の人生だもの。自分で決めて欲しいからね」
私はそれを聞いて、お母様のそういう人柄も含めて、麻由美ちゃんはあの案を出したのかなとも思った。
「なんか、その・・・ありがとうございます。私たちのワガママに付き合っていただいたみたいで・・・」
「うふふ、いいのよ。美結だって本当は出たいのだけれど、自分からは言えないでしょうから」
本当に、色々な意味で美結ちゃんのお母様はいい人。私の超適当なお母さんとは大違いだよ(笑)
そんなことを考えていたら自然と軽く笑ってしまいお母様に突っ込まれちゃった!
「どうしたの?」
「いえ!なんでめないです!あははっ!」
それからは美結ちゃんの話とか学校の話とかをして麻由美ちゃんを待ち、しばらくすると麻由美ちゃんが私たちのところへと来た。
「優美~!」
私は一瞬結果が気になり緊張したが、麻由美ちゃんの満面の笑みを見てすぐにそれはなくなった。
「もしかして・・・!」
「うん!美結は大会出たいって~!」
それを聞いた私とお母様は笑顔で顔を見合わせた。私は「凄い!」と言おうと思った瞬間、麻由美ちゃんに先に、
「優美、美結のところ行こう。優美の気持ちも伝えよう!このままでも美結は明日来てくれるけど、ちゃんと優美たちの気持ちを美結に伝えて、大会に出てくれる方がいいでしょ?」
それを聞いた私はハッとなった。そうだよね、麻由美ちゃんが出て欲しいって言っても、じゃあ一緒に出る人たちはどうなの?って美結ちゃん思っちゃうよね。よし!私の気持ちもしっかり伝えなきゃ!
「・・・うん!私、伝えてくる!」
麻由美ちゃんみたいにうまく伝えられるかはわからないけど・・・私なりに頑張らなきゃ!
「頑張ってね~!」
私は1人、美結ちゃんのもとへと行った。
美結ちゃんの部屋の前に着いた私はふーっと落ち着いたあと、扉をコンコンと叩いた。
「美結ちゃん、優美です」
「え!?優美ちゃん!?」
美結ちゃんは驚く。そりゃあ私は来てないことになってるからね。
「ごめん、その、色々言いたいことがあるかもだけど、美結ちゃんと話がしたい」
少し間が空いた後、美結ちゃんは自分からドアを開けてくれた。
「うん・・・大丈夫、いいよ」
「ありがとう」
部屋に入り、私は美結ちゃんに手招きされて座った。冷静を取り戻している美結ちゃんへ私は話始める。
「あの・・・聞きたいこと、いっぱいあるよね?でも何も言わないで聞いて欲しいの・・・!」
理不尽だと自分でも思ったけど、美結ちゃんは笑顔で頷いてくれた。
「私もね、私たちもね、みんな大会出たいって意見になったの」
「うん」
「だからね、私はね、美結ちゃんに大会に一緒に出て欲しいってお願いに来たんだ・・・!」
「でもでも!このお願いはね、選択肢はなくて!美結ちゃんは私たちと一緒に明日大会に出なきゃダメなの!」
私は自分の思っていることを思ったままに言ってしまっていることもあり、自分でももう何を言ってるかわからないけど・・・それでも・・・!
「だから美結ちゃんは明日大会に出るのが決まっていますっ!拒否権はありませんっ!だから、だから・・・」
そこまで言うと私は言葉に詰まってしまった。もう何がなんだか自分でもわからなくなって。私は身振り手振りを続けながら「だから、だから」と繰り返すだけだった。
「・・・もう、いいよ」
「え・・・?」
「もう、いいの・・・」
「あ・・・」
失敗した。私が変なことばかり言うから、美結ちゃんはもう大会へ出るのはもういいよ、と言っているんだ・・・。
私のせいでこれじゃあ大会に出れない・・・と思ったその時だった。
「もう十分優美ちゃんの気持ちは伝わったよ。ありがとう、私、大会絶対出るから」
「え・・・?」
顔を上げ、美結ちゃんを見ると満面の笑みに少しの涙を浮かべていた。
「ありがとう。頑張ろうね」
「あ・・・」
それから私は感情を押さえきれず泣いてしまった。美結ちゃんに慰められ、数分後に私は元に戻れた。
「もう、なんで優美ちゃんが泣くの」
「ごめん、その、嬉しくて・・・」
「あはは。あのね、まゆちゃんからもね、大会に出て欲しいってお願いされて、出たいって思ったの」
「うん」
「でもね、まゆちゃんが部屋から出ていった後、よく考えたら優美ちゃんたちはどう思ってるのかなって思って」
「私は出たいって気持ちになったけど、みんながそう思ってなかったから・・・って心配になって」
「どうしようどうしようって考えてたら優美ちゃんが来てくれて。むしろね、丁度いい、私からどう思ってるか聞こうって思ったの」
「え!そうだったの?」
「だから優美ちゃんがああいうこと言ってくれて、私は出ても大丈夫なんだーって思って。すごく必死にそう言ってくれてホントに嬉しかった」
私が思ってる以上に、私の言葉は伝わっていて、私もすごく嬉しくなる。
「ありがとうっ・・・」
「優美ちゃんすごく必死に言ってくれたけどさ、正直『拒否権はありません』って言われたときは思わず笑いそうになっちゃった」
確かに今思うとわけがわからないって思ってしまい突然恥ずかしくなる。
「もう~!言わないでよ~!恥ずかしいっ!」
「あはは。とにかく私は大会出る。あ、これもみんなには拒否権ないって言っとくね」
美結ちゃんは笑いながらそう言う。
蒸し返さないで~!って思ったけど、とにかく私の、私たちの気持ちは伝わり、大会に出場することが決まり、自然とお互い微笑みあった。
「「ふふふ・・・」」
こういうこと思っちゃあまりいけないけども、今回のことでもっともっと美結ちゃんと仲良くなれた気はした。
ちょっと強引な感じではありましたが、うまく言葉を選んで美結ちゃんを大会に出たいと言わせた、という感じでしたが・・・うん、実際書いてみると結構難しかったです(笑)
では、また次話で!