私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

55 / 100
いきなり変なタイトルでびっくりしてるかもしれません!

まあつまり、大会前日に何かあったという感じです(´・ω・`)

今回は久々にあの子も登場します!


「よし、みんな大会出よう~!」

充実した冬休みも終了、最終学期である3学期へと突入する。

 

そして冬休み明けの次の日曜日が、俺たちにとっての大事な日。そう、大会である。

 

初めは色々あったが、軌道に乗ってからはトントン拍子で色々なことが進み、特に問題もなく本番を迎えられそうである。

 

ちなみに今日は本番の前日、リハーサルを行う。

 

・・・が、ここに来てまさかの問題が発生してしまった。

 

「みんなごめんなさい」

 

本番の会場に集まった俺たちに亜由美が声をかける。が、1人いないことに全員気がつく。

 

「みんな美結がいないことに気がついていると思うけれでも、昨日の夜から風邪を引いてしまったみたいで今朝連絡があったの」

 

全員、亜由美の話を真剣に聞く。

 

「病院も行って薬も飲んで熱は下がったし大丈夫だから出ると本人は言ってるけれども、無理矢理休ませたわ」

 

賢明な判断だと思う。いくら薬飲んで今は大丈夫とは言え、余計に悪化させてしまっては全く意味はない。

 

「ただね、やっぱり大会も大事だけれど、余計に体調崩してしまっても困るし、明日もどうするかはまだ私は決めていないわ。もちろん本人は出ると言うけれども・・・」

 

話を聞いている3人とも何も答えられない。今すぐ意見や結論が出るようなものでもない。

 

「・・・つまりとりあえず今日は高森さんが抜けた状態でもリハーサルはし、明日のことは終わってから決めようって感じか」

俺がそういうと亜由美は頷く。

 

「ええ、林崎くんの言う通りよ。それで問題ないかしら?」

 

優美も健太も無言で頷く。

 

「じゃあそれでいきましょう。あ、それから今日なのだけど、実は助っ人を呼んであるわ。うまく出来なくてもリサコがいるといないじゃ実際の動きもやりにくくなるでしょうし」

 

助っ人か・・・。中学の頃の演劇部の仲間とか・・・?

 

と、トントンと右肩を叩かれた。右にいるのは優美だから彼女か?と思ってみたら、ふるふると首を振る。で、彼女は指を差していたのでその方向を見たらまさかの人物がいた。

 

「やっほ~!困ったときの助っ人登場~!」

「梅田さん!?」

 

「ちょっと驚きすぎ~!私じゃ嫌だった~?」

 

いや、嫌じゃあないが、マジで驚いたんですよ!

 

「まあ、なんでもいいんだけどね~!あ、えっと村崎、くんだよね?」

 

「あ、はい!そうです!」

 

「初めまして~!梅田麻由美です~!麻由美センパイでも麻由美さんでも麻由美お姉ちゃんでも好きなように呼んでくれたまへ!」

 

麻由美は初対面の健太に挨拶をする。ホントこの子、コミュ力高いよなあ。

 

「あ、じゃあ、麻由美さんでいいですか!あ、自己紹介遅れました!僕はB校演劇部1年の村崎健太です!今日はよろしくお願いします!」

 

「よろしく健太くん!あ、優美も今日はよろしくね~!」

 

「うん、よろしく!また助っ人来てくれて私は嬉しいよー!」

 

「もうっ!優美ったら相変わらずイイコね~!」

 

何やら3人でじゃれあっているのを見てたら冷たい視線を感じた。

 

「麻由美、優美、それと村崎くん。お楽しみのところ悪いのだけれど、B校の電気放送部(いつも演劇の照明と音響を手伝ってくれるB校の部活)の方々が来てるわ」

 

「え!?」

 

「あ・・・」

 

「あらら・・・」

 

「あはは・・・仲がいいみたいで。僕らは別に構いませんよ」

 

構わないと言うのはそのまま話していて、リハーサルをやらなくても構わないという意味に聞こえた圭だった(違う)

 

 

× × ×

 

 

リハーサルは多少の確認作業はあったものの、規定時間内に確認したいことは出来た。

 

初めてのステージでの練習も、しっかり舞台サイズとか合わせて練習したおかげもあり、全く混乱することもなく。

 

また、俺の提案で突貫で作った舞台装置も問題なく仕様出来、ある意味一番ホッとした。

 

協力してくれたB校の電気放送部に明日もお願いします、と全員で挨拶をし、ひとまずリハーサルは終了。

 

リハーサルはめちゃくちゃうまく行った。が、俺たちはこれから明日に向けてどうするか、判断を下さなければならない。

「一応、最初に聞くけれど、今の段階で何かいい案が浮かんだ人はいるかしら?」

 

全員黙る。当たり前か。仮に浮かんでたとしても、ここで言ってしまったことがすぐに採用されてしまったらなんとなくその人が責任を追わなければいけない雰囲気になりかねない。

 

「はいは~い!」

 

「麻由美?どうぞ」

 

麻由美もせっかく来たのだからということで残って一緒に考えてくれている。

 

「選択肢としては何通りあるのかだけまず確認した方がよくないかな~?」

 

確かにそうだ。さすが生徒会長って感じか。

 

「そうね、最終的な選択肢としては出る・出ないの2択になるのだけれども」亜由美は続ける。

 

「美結の意見を聞いて結論を出すかと美結の意見は聞かないで結論を出すかね」

 

亜由美の言うことは確かに正解であるが仮に美結の意見を聞いた場合は・・・。

 

「でも、美結ちゃんの意見を聞いたら絶対に出たいって言うよね?そしたら聞いた時点で選択肢はなくなっちゃうよね?」

 

圭の意見を代弁するかのようにそう優美は話す。

 

「そうなるわね・・・」

 

「始めから出るか出ないかを聞くのではなくて、色々話し合いながら決めるのはダメですかね?」

 

健太も自分の意見を言ってくれる。ただ、その意見に亜由美は変わらない表情。

「ダメよ。あの子が真面目なことは村崎くんもよく知っているでしょう?私たちが聞いた時点で彼女は出ると言うわ」

 

「でもそうすると、出ないっていう選択肢がいいってことになるのかな・・・?」

 

優美の言葉に他の皆は黙ってしまう。実際、彼女の体調のことを考えた場合はそれが正しい選択ではあるのだろう。

 

彼女の体調と相談しながら出る出ないを判断出来るなら話は別だが、彼女の体調は彼女しかわからない上、例え苦しくても出たいと言うはず。

 

全員、言葉は発しないものの、ある程度結論は出ているのではないだろうか。

 

ただ・・・出ないとなればここ数ヶ月の努力はなんだったのか・・・そうも思ってしまう。

 

長い沈黙の後だった。麻由美が少し言いにくそうに話し始めた。

 

「あの、さ・・・私はその、演劇には参加してないから言えるのかも知れないけど・・・みんな、本当は大会に出たいんだよね・・・?」

 

誰もが思っているが、誰も口に出来ないことを麻由美は話す。

 

「麻由美、でもそれは美・・・」

 

亜由美は反論しようとするが、麻由美によって遮られる。

 

「美結には悪いけど美結のことは今は考えないで。純粋に、出たいか出たくないか、それだけ聞きたい」

 

少し間が空いた後、優美が空気を切り裂くように感情的に話す。

 

「・・・出たいよ!出たいに決まってるじゃん・・・!いっぱい練習して、色々準備して、出たいに決まってるじゃん・・・」

 

「僕も、出たい出たくないなら、出たい・・・です」

 

優美に続き健太も。俺も・・・。

 

「俺も・・・出たくないわけない」

 

3人の意見を聞いた亜由美も肩を震わせ、口を開く。

 

「そんなの・・・そんなの言わなくてもわかるでしょ・・・!?」

 

全員の出たいと言う意思を確認した麻由美はうんうんと頷き、笑顔でみんなにいい放つ。

 

「よし、みんな大会出よう~!決まりっ!」

 

圭を含め、全員「えっ!」と言う顔になる。

 

「ちょっと麻由美!それじゃ美結が・・・」

 

「まあまあ!ちょっと私の話を聞いて聞いて!」

 

あくまで冷静に、感情的になっている亜由美をなだめるような感じで麻由美は対応する。

 

「さっきまではさ、美結を中心に話を進めていたじゃない?」

 

確かにそうだ。美結が出たいならとか、体調が、とか。

 

「それだとさ、出るにしても出ないにしても美結が責任感じちゃうでしょ?責任感がない人なら大丈夫かもだけどね~」

 

つまり、だ。

 

「つまり、まずは出ないと言う選択肢はなくなるわけだな」

 

「美結が体調崩したから」を理由に出ないとなるわけで、どうしても彼女の責任になってしまうから。

 

「そそ!さすが林崎くん!よくわかってるね~!」

 

麻由美は笑顔でうんうんと頷く。

 

「なんとなくですが僕もそれわかる気がします!けれど、出るとなった場合、どういう理由で美結センパイに話せばいいのですかね?」

 

確かに健太の言う通りだ。責任感の強い彼女なら少なからず「出たら迷惑をかけてしまう」と思うだろう。

 

「ふふ~ん!簡単よ!私たちからお願いすればいいのよ~!」

 

「・・・!?」

 

「え・・・?」

 

「えぇ・・・?」

 

「は・・・?」

 




はい、これにて本編は終了!!

正直、美結ちゃんが体調崩すを思いついたときは「これで行こう!」って思って張り切って書いたのですが、そこから先を考えるのが大変でした( ゚Д゚)

では気になる続きは次話で('ω')ノ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。