今まで以上に、圭と優美のイチャイチャかなあって作者は思います(*ノωノ)
圭目線でどうぞ!!
どうしよう、誘いたいんだけどなんか緊張する・・・。そんなことを考えていたらいつの間にか駅の近くまで来てしまっていた。
と、ビルとビルの隙間ということもあり、びゅうっ!と一瞬北風が強くなった。
「きゃっ!」
声の主の方を見ると今の風に煽られてバランスを崩し、今にも体が倒れそうになっていた。
「あっ!」
俺は咄嗟に優美を後ろから抱き抱えた。
あっという間の事ではあったが、一応、胸を触らないようにお腹の部分を抱えた。
優美はそのまま自分の方へと、もたれ掛かるような形に・・・。
体と体が自然と密着し、なんとなく今までとは違う雰囲気になる。
ずっと誘いたい、誘いたいと思ってここまで来てしまった。一週間・・・いや、もっと前から本当は誘いたかった。
でも練習のこと、舞台装置の準備のこともあり、ずっと誘えずにいた。ぶっちゃけ今日の練習を終えた時点では、もう99%諦めてしまっていた。ああ、俺は情けないないなあ、と。
でも神様は俺にチャンスをくれた。なんと優美が手伝うと言ってくれた。帰りまでには絶対に誘おう!そう決めていたが、結局は誘えなかった。
もし断れたら・・・?そんなわけあるはずないのにそんなことばかりが頭をぐるぐる周り・・・。
・・・きっとこれが最後のチャンス!!
こちらへと振り向き、うつむいている優美に圭は覚悟を決めて言う。
「もう少し・・・一緒にいたい」
圭のその言葉を聞いた優美は俯いた顔を上げた。
「あ・・・うん、私も・・・ずっと、言いたかった・・・ありがとう!」
その言葉を聞いた俺は自然と笑顔になってしまった。・・・なんかお互いそう思ってたのなら、なんて思ったけど、そう思ってるからこそ、なかなか言いにくくなってしまったのかも知れない。
というわけで、俺たちは少しの時間であるが、今日は一緒にいられることになった。電車で移動し、俺の最寄り駅のすぐ近くになる、大型複合施設へと行く。
そこでは毎年この時期になるとイルミネーションや、ツリーなどでクリスマスを演出するため、今回のデー・・・遊びにぴったりかなと思った。
「私もね、ずっと言おう言おうって思ってたんだけどねっ!」
今となっては笑い話みたいな感じで優美は笑顔でそう話す。
「俺も俺も。なんかお互いそういう雰囲気出してて逆に変な感じになって言いにくかったのかな」
「あ~、そうかも!ちょっと言いにくいけどね、その、残ったのはやっぱり一緒にいたいって気持ちもあったよ」
「・・・なんかめちゃくちゃ嬉しいかも。ちょっと恥ずかしいけど」
「あ!も、もちろん、忙しいそうだからとか、そういうのもホントに思ってたからね!?勘違いしないでよね!?」
優美はわたわたしながらそう言い訳(?)をした。なんかツンデレ優美ちゃんも新鮮でいいなと思いました。
「うんうん、ありがとう。手伝ってくれたのはホントに助かったよ」
本当に、普通に嬉しかったのでそう答えた。手伝ってくれて、それにこうして一緒にいてくれるなんて、圭は改めて彼女が優しくていい人だと思った。
予定していた通り、俺たちは例の大型複合施設へと到着。
「へえ~!ここってこの時期はこういう感じになるんだ!凄くキレイッ!」
「喜んでくれて良かった。意外って言っちゃ失礼だけど、思ったよりも凄いでしょ?」
「うん!なんかクリスマス、って感じだね~!」
周りにはカップルが結構いる。去年までなら「リア充爆発しろ!」って言う立場であったが、今年は言われる側になってなんとなく優越感がある。まあ、まだ付き合ってるわけじゃないが・・・。
「俺たちってさ、周りからみたらやっぱりその、カップルに見えるのかな・・・?」
そんなことを思っていたら、ついついこんなことを言ってしまった。
「え!?」
優美は突然そんなことを聞かれたので、びっくりした。俺でもそんなこと聞かれたらびっくりするよ。
「あ、ごめんごめん。今のなかったことにして」
圭はそう言ったが、優美はうーんと真面目に考え始めてしまった。
「確かにその、高校生が男女でこういうところに2人でいたらそう思うかなあ~!・・・ふふふ!」
なんか優美は嬉しそう。そりゃあ俺だってそう見られるなら普通に嬉しい。
「あ、でも!」
「え?」
「いや、その・・・な、なんでもないよっ!」
なんでもないとは言ってるものの、どう考えても何かあるような言い方。途中まで何か言われるとやっぱり気になる。
「え、気になるなあ」
言わないだろうとはわかっていても反応が面白いので突ついてみる。
「い、言わないからねっ!いくら林崎くんだからって言わないからねっ!」
グーにした両手を胸の前で構えて少し顔を赤くしながら焦りぎみに優美はそう言う。
「ごめんごめん!教えてくれないとは思ったけどついついからかいたくなって」
「・・・も~!からかわないでよっ!」
優美はそう言ったあと、ぷくーっと頬を膨らませる。それを見た俺はついつい、本当についつい、右手人差し指でその膨らんだ頬をぷにっと弄ってしまった。
「「あ・・・」」
やってしまった・・・。そのまあ、優美は別に嫌がってないし、そこまで気にすることでもないかと思ったけど、やっぱりなんとなく微妙な空気になってしまった。
「ご、ごめん!」
「ううん!大丈夫!」
「あ、そうそう!あっちにツリーがあるんだよ!見に行こう」
「あ、うん!」
圭はうまく話題を変えてその場を乗り切った。その後の優美はさっきのことを気にすることもなく、普通に話してはいたが、圭は優美の頬に触れた感触をなんとなく忘れずにいた。
「わあ!凄いっ!!」
ツリーが見えたとたん、優美はとてとてとツリーの方へと走っていく。そしてちょっとした人だかりをかき分けてツリーが一番よく見える場所へと移動する。小学生みたいだなあと思った(笑)
俺も彼女に遅れ、ツリーの前、そして彼女の隣へと行く。
「イルミネーションもだけどツリーも思ってたのより全然凄いね!」
「喜んでくれて何よりかな」
「来年も、また2人で来れたらいいなあ、なんてっ!」
優美は半分くらい冗談みたいな感じで言ったのだと思うが、俺はその言葉を多少考えてしまう。
来年か・・・。この時期だと受験勉強だろうなあ。時間あるのかなあ。・・・いや、そもそも俺たちの関係はどうなるんだろう。もうこの時期なら部活も生徒会も引退してるし、依頼なんてもう終わってる。告白も終わってて俺たちは・・・。でも正直想像できない。たった1年後なのに・・・。
「林崎くん?」
「え!?」
「なんか珍しくぼーっとしてどうしたの?」
あ、しまった。ついつい一人で考え事をしてしまった。
「ごめん、自分の世界に入ってたよ」
「もしかして、私の言ったこと考えてたの?」
優美なのに亜由美とか美結並に鋭い・・・!
「うん、まあ」
「言った本人がこういうこと言うのも変かもだけど、正直1年後なんて全然想像できないかなあ。今はその、目の前のことで精いっぱいというか・・・」
俺と同じことを考えてなんかホッとした。
「そっか。まあ、俺もそんなもんだよ」
「良かった~!林崎くんだけ、将来設計しっかり考えてたらどうしよう!って思ったよ~!」
たはは、と笑う優美。
「でもさ」
「うん」
「来年も、一緒にまた来れたら・・・」
「俺も・・・一緒にまた、来たいね」
自然と彼女との距離が近くなる。恋人同士なら当たり前に出来ることが今は出来ないのが少しもどかしい。それでも俺は・・・。
「え・・・」
「イヤなら、離しても、全然、いいから・・・」
恥ずかしさのあまり、俺は彼女を見れず、正面を見て言う。
「・・・ううん。全然、イヤじゃないよ。むしろね、嬉しいよ」
相変わらず、恥ずかしさで優美の顔は見れなかったが、彼女の声色からそれは本当に思ってることだと思った。
「あのさ・・・」
少し間が空いた後、優美から話しかけられた。少し時間も空いたこともあり、自然と彼女の方へ顔を向けられた。
「うん?」
「さっきさ、言いかけたことなんだけどね」
「うん」
「その、手繋いでたら、カップルに見えたかも、って言いたかったんだよ?」
恥ずかしそうにそう言いながら、優美は手を握る力が少し強くなった。
「だからさ、今日は、今くらいはカップルに見えてるなら、カップルってことでもいいかなってちょっと思って」
「それって・・・」
そう優美から言われるのは嬉しい。でも、嬉しいけど・・・カップルだったらって・・・俺は何をすればいいのか・・・?
「あのさ!」
「え!?はい!!」
「・・・名前で呼んでほしい、かなあって」
優美は更に顔を赤くし、そう告げた。確かにカップルなら名前で呼び合うくらい普通か・・・。妄想でならいくらでも読んだことあるが・・・いざ面と向かって言うのは正直恥ずかしいが・・・。
でも、呼びたい・・・!それは間違いない。だから俺は、恥ずかしさを押し切りまっすぐに、彼女へと向かう。
「・・・優美」
「あ・・・ありがとう、圭・・・くん・・・!」
「優美」も恥ずかしそうに俺のことを名前で呼んでくれた。呼ばれるのも恥ずかしいが、やっぱり嬉しい。
結局、彼女と別れるまで、名前で呼び合ったのはそれだけであったが、圭は今まで以上に優美との距離が近くなった、そんなクリスマス・イヴになった。
クリスマス・イヴ編はこれにて終了!え?もっとイチャイチャが見たかったって??これからも~っと書きますよ!
ちなみですが、次回はもう年明けどころか大会前日となります('ω')ノ