今回が優美目線、次回が圭目線となります!
後半はさらーにイチャイチャさせようと思ってます(願望)
2学期も終業式を迎え、冬休みへと入っていく。
冬休みも年末年始で学校に入れないとき以外は、基本的に私たちは練習をする。
ただダラダラと1日中使って練習をするわけではなく、基本的には朝集まり、基礎練から始まり、立ち稽古はお昼までという感じ。
亜由美曰く、「量より質」な稽古を目指しており、やるときはやる!休むときは休む!をモットーに練習している。
ただし、個人的にどうしても練習したい場合や、裏方の仕事は午後にやってもオーケー。でもそれで稽古のときに質が落ちるようであれば怒る。
・・・ぶっちゃけ凄いよね!
そして今日、12月24日も普通に朝からお昼まで稽古。意識しないようにしようとしても逆に意識しちゃってる私。やっぱり特別な日、って感じだよね。
そう、今日はクリスマス・イヴ。恋する乙女なら誰でも特別と思っちゃう。
「じゃあ今日も時間になりましたので終わりにします。練習期間も残り僅かだけど、ある程度は形になってるわ。明日は今日の通し稽古で出来てなかった部分の練習をするわ。それから残って作業する方もほどほどにね。それじゃあお疲れ様でした」
「お疲れ様でした!」
亜由美のハキハキとした終礼が終わり、各々解散となる。
村崎くんは、裏方の仕事も特にないため、「お疲れ様でした!」と声をかけ、体育館から出ていく。大道具の2人、林崎くんと美結ちゃんはというと今日もこの後舞台装置の製作がまだまだ終わってないので、残る。
私は・・・と、思っていたら亜由美に声をかけられた。
「優美。今日は何の日かわかっているわよね?」
「え!?うん、まあ、一応・・・」
「林崎くんのことは誘ったのかしら?」
「え!?いや、まだ、だけど・・・っていうか今日もこれからやるみたいだし、その、迷惑かなって」
実際は誘いたい。それに美結ちゃんと一緒にいるのもやっぱりちょっと嫉妬はしちゃう。別に何も起こらないのはわかっているけども。
「ふーん。そんなこと言ってるけど誘いたいのは見え見えよ?」
う・・・!なんでわかるのさっ!
「私が優美の立場だったら意地でも残って一緒に仕事して、最後に誘うわ。これは私の勘でしかないけども、彼も優美と一緒の時間過ごしたいと思ってるし、彼からも誘いたいと思ってると思うわ」
亜由美にそう言われた私は、迷う気持ちを排除して、決めた。
「よし!私やってみるっ!ありがとう亜由美!」
「ふふふ、やっぱり優美はそうじゃなくちゃね。頑張ってね」
それだけ言い残し、亜由美は体育館から出ていった。
私はさっそく2人を捕まえ、話をすることに。
「美結ちゃん、林崎くん!」
私の声に気がついた2人は振り向く。
「私も、その、手伝いたいなあって。毎日大変そうだし、協力出来たらって思って・・・」
最初は言い訳っぽいなあって思ったけど、本音でもあったりする。実際、本当に忙しそうにしてるの見てたから。
それを聞いた林崎くんは笑顔で答える。
「ありがとう。助かる。力仕事はちょっと出来ないと思うけど、やって貰えることは色々あるし」
そう彼に言われた私はついつい頬が緩んでしまう。
それを美結ちゃんにチラリと見られた。うん、これは後で何か聞かれそう(笑)
「私からもありがとう。お昼ご飯とか持って来てないでしょ?手伝ってくれるの遅くなっても全然大丈夫だから」
「うん、わかった!」
と、いうわけでまずは第一段階突破だね!
× × ×
遅れてお昼を食べ、作業場である多目的室に来たときにはもう2人は作業に取りかかっていた。
「遅れてゴメン!
「あ、優美ちゃん。大丈夫だよ」
美結ちゃんは何やら図面みたいなのとにらめっこ、林崎くんは切断した木を組み立てていた。
「私は何すればいいかな?」
「とりあえずそこにあるパネルをこのペンキで塗ってくれるかな?」
「りょうかいっ!」
パネルとは簡単に言うと舞台の後ろや横に立てて、舞台の背景にするもの。舞台がステージ上だったりする場合はなくても問題はないけど、あればその話の内容に合わせた色の舞台にすることが出来、よりいいものなるよね。
私は用意してあった少し濃いめなグレーのペンキでパネルを塗り始めた。
初めてからどれくらい時間ががたっただろうか?私たち3人は時間も忘れて、私語もせず、黙々と作業に取り組む。
確認とかで時々話すがそれ以外はとにかく無言。私的にはこう、話ながら作業をしてるのかなあって思っていたのでちょっと予想外というか。私自身も楽しく作業するものだと思っていたしね。
やっぱりというか、2人は本当に真面目なんだなあと改めて思う。
でも静かなこともあって、なんか色々余計なことを考えてしまう。どうやって誘えば・・・とか、美結ちゃんのこととか・・・。
そんな感じで1時間くらいたっただろう。美結ちゃんに声をかけられた。
「お疲れ。ちょっと休憩しよ」
振り向くとお菓子を持って笑顔の美結ちゃんがいた。
私がうん、と頷くと今度は林崎くんに声をかける。
「林崎くんも休憩しよ?」
「いや、でも今いいところで・・・」
林崎くんは振り向かず適当に答えた。
そんな林崎くんに美結ちゃんはちょっと叱るような口調になる。
「もう、前も言ったけど、そんなに続けてやってもいいもの出来ないよ?」
そう言われると「わかったわかった」と渋々作業を止めた。
林崎くんって一つのことにのめり込むと凄く集中して凄いなあって思った反面、何か2人の会話に嫌な気分を少し感じていた。
軽く手を洗い、美結ちゃんが持ってきたお菓子を3人で食べながら雑談。休憩中も2人とも普通に話をするみたいでちょっとホッとした(笑)まあ、話は舞台装置のことだったので私は頷いたり、相槌を打ったりしてるだけだけど。
と、林崎くんが立ち上がって私たちから抜けた。無言だったからわからないけど、多分お手洗いかな?
彼がいなくなると、美結ちゃんはニヤリとした表情で私に話かけてきた。
「ねえ、優美ちゃん。今日何の日か知ってるかな?」
「え、うん、まあ、クリスマス・イヴだよね」
絶対に亜由美と同じようなこと聞いてくるだろうとは思ったけど、そんなの知らないフリして普通に答える。
「もう、そんなの誰でもわかるでしょ?それで、林崎くんと終わった後に2人でお出かけとかするんでしょ?そのために残ったんでしょ?」
私は予想外のことを聞かれたため、無言になってしまった。と、その態度に不思議に思った美結ちゃんが察してくれた。
「あれ・・・?もしかして誘えてなかったの?ごめん、てっきりそうだと思って」
「ううん、こっちこそ。でもその、誘えてはいないけど・・・誘おうと思ってるのは事実で・・・」
別に隠してどうにかなることでもないし、事実を告げた。
「そかそか。うーん、私が協力できることはあんまりないけど・・・終わる時間早くしたり、すぐ2人にしてあげたりくらいかなあ」
美結ちゃんはうーんと考えながらそう言ってくれる。言ってくれるだけでも私は嬉しい。
「ありがとう!でもこれは自分の問題だし、自分でなんとかしなきゃって思ってるの!時間とかそういうの大丈夫だからっ!」
とは強気に言ったものの、実際はちょっと不安と言えば不安。
「ふふふ、頑張ってね。というかね、多分なんだけど、林崎くんも誘いたいって思ってると思うよ。なんかいつもよりそわそわしてるし」
「そうだったらちょっと嬉しいかも・・・とにかくありがとう!」
「うん。リア充爆発しろ~って言いたいけど、優美ちゃん達はなんか応援したくなるね」
「なにそれ~!」
× × ×
「そろそろ終わりにするか・・・」
時間は17時をちょっと過ぎたところを指していた。キリがいいのか林崎くんはそういう。まあ、3時間以上やったし、疲れるよね。私もずっとパネル塗る作業やってて正直疲れました!
「うん、じゃあ終わりにしようか」
3人で道具やらを片付け、手を洗い着替える。林崎くんは廊下で着替えてもらうのでまた美結ちゃんと2人になる。
「・・・結局誘えなかったよお!なんか2人にしてもらったりしたのにごめん!」
「そか、やっぱり緊張しちゃったかな?」
「うん・・・」
「でも林崎くんも林崎くんだよね。男の子から普通誘うものじゃない?」
「うーん・・・過ぎたものはしょうがないよ!私頑張る!!」
そう、過去になってしまったものはもうどうにもならない。これからどうするかが大事!
「じゃあまた明日。優美ちゃん、今日はホントにありがとう」
「いえいえ!いつでも協力するよっ!またね」
「お疲れー」
美結ちゃんとは校門のところでいつものように別れ、私と林崎くんの2人きりになる。
いつも通り並んで歩き始めるんだけど、何かいつもと違う雰囲気・・・林崎くんもいつもみたいに話かけてこないしもしかして・・・。いや、私が意識し過ぎているだけかも知れないけど・・・。
どうしよう・・・どうしよう・・・。時間だけがどんどん過ぎていく。冷たい北風が余計に私の心を締め付けていくように感じてしまう。
と、駅前のビルを間を抜けていく道に差し掛かったとき、急に風を強くなった。
「きゃっ!」
突然の風に私はちょっとバランスを崩してしまった。
「あ!」
倒れそうな私を林崎くんは後ろから抱きかかえるような形で支えてくれる。あれ・・・?前にもこんなことがあったような・・・?
彼の腕にお腹あたりを抱かれたまま私は動かない。嫌がらない私に気が付いた彼も私から腕を放さない。体と体が触れ、何かさっきまでとは違う雰囲気になっている。
私は彼の方へ首だけ振り向き、ありがとうと言おうと思ったけど、振り向いた先にあったのは彼の顔。近い。本当に近い。少し動かせば唇と唇が触れてしまいそうなくらい。私はすぐに顔が赤くなり、俯いてしまった。
助けられてなんとなくそういう雰囲気になったときに、感謝の言葉と一緒に「今言わなきゃ」と思ったけども、「ありがとう」も口に出来ない私には、とてもじゃないけどハードルが高すぎる問題だった。
いいところで終わっちゃいましたね(´・ω・`)
まあ、作者的にはこういう感じで終わらせて、次を読んでもらおう!という作戦です(笑)ではまた!