タイトルから察している方もいらっしゃると思いますが、圭と健太の回となっております。
今気が付きましたが、圭も健太も「け」から始まっていますね!だからなんだって話ですが(笑)
学期末テストも終了し、いよいよ大会本番まで1ヶ月ほどとなった。始業式までの1週間は、午後から放課後となるため、稽古にもより一層専念出来るように。
また、生徒会もこの時期は放課後、特に大きな仕事もなく、基本的には圭も稽古へと参加出来る。
冬休みに入っても練習は出来るが、年末年始は学校自体に入れなくなるため、この期間をどう過ごすかが割りと勝負になる。
圭は再開した稽古をするため、B高校へと向かうが、今日は1人。なにやら優美と亜由美は用事があるみたいで、後で行くとのこと。
B高校演劇部の部室に入ると健太だけがいた。
「どうも」
「あ、お疲れ様です!」
いつもの明るい挨拶で返される。と、2人がいないことに気がつく。
「あれ?今日は1人なんですか?」
「なんか用事があるみたいで。30分くらい遅れるらしい」
「そうなんですか!実は美結センパイも今日先生に呼ばれてて遅れるんです」
と、いうことは2人か・・・。練習するのもアレだし、ここで待つか。
「とりあえず誰か来るの待つか。勝手に練習するのもアレだし、そんなに待つ訳でもないし」
俺の意見に健太も頷く。
せっかくだし色々聞いてみよう・・・と思っていたら先に聞かれた。
「センパイ!せっかくなので聞きたいんですけど、竹下センパイのことってやっぱり好きなんですよね!?」
「ぶっ!」
いきなりそれ来るか!まあ気になるよなそうだよな!
「その反応・・・好きなんですね・・・?」
「・・・まあ、そうだよ」
あんな反応した後に、今更違うとも言えないし、まあ、片思いってことにしとけばややこしくはならんだろう。
が、健太は俺の考えに逆らうように爆弾を投げてくる。
「僕的には竹下センパイもセンパイのこと好きに見えますけど、付き合ってるんですよね?」
めちゃくちゃわくわくしてるぞ!どうしよう!
「・・・ごめん、こっから先はちょっとうまく説明出来ないんだ」
前からそうだが、これは俺と優美の気持ちの問題で、言葉ではうまく説明出来ない部分もあるし、変に捉えられてしまったら嫌なので言えない。
圭がかなり真剣な雰囲気になってるのを見て、さすがの健太も引き下がる。
「・・・わかり、ました。あまり入り込まないようにします」
「悪い・・・」
「でも、竹下センパイのこと、好きなことは間違いないんですよね?」
「それは間違いない」
「じゃあ、どうして好きになったとか、どういうところが好きなのかとかは聞いても大丈夫ですか?」
なんとなく、あくまで想像でしかないが、彼も特別な気持ちになるような人が出来、自分の気持ちと照らし合わせたくなったのでは、と。
・・・ぶっちゃけそういうことを人に言うのは初めてで、正直恥ずかしい。でもまあ、後輩にそう頼まれるのはなんとなく弱い圭である。それに健太に知り合ったのはつい最近であるが、部活ある日は毎日帰ったりしてるため、それなりに気は知れた仲にもなっている。
「・・・そうだなあ、どうして、か」
「はい!」
「いざ言われると・・・なかなか言いにくいが・・・やっぱりどんな時でも何事も一生懸命に取り組むこと、どんな人にも分け隔てなく優しいところ、あとは笑顔が好きかなあ」
自分でもよくわからないが、長々と語ってしまった。それを聞いた健太はおおー・・・!っという声をあげる。
「なんか、その・・・いいですね、本当に好きってことが伝わってきました!」
そう言われた圭はなんか恥ずかしくなった。優美相手にそうなることはよくあるが、優美のことを話してもそうなるんだなあ、と思った。そして彼女のことが改めて好きなんだと、そう思う。
「いつくらいから好きなんですか?」
そう考えていたら、健太は別の質問をしてきた。
「うーん、なかなか難しい質問を続けてくるね」
「気が付いたら好きだった、ってパターンですかね?」
「言われて見ればそれは確かにあるかもな。このとき、こういうことがあって好きなんだと思った、みたいな感じではないなあ」
水族館行ったときに好きだと彼女に言う前からそういう感情はあった。まあ、依頼人と請負人という関係もあったため、そうは思わないようにしていた部分はあるけど。
「なるほどなるほど!あ、これは聞いてもいいのかわからないですけど・・・」
「え?」
健太は先ほどとは違い、なんか様子を覗うように小声で話している。
「告白、とかは・・・しないんですか?」
・・・まあ、そうだよな、片思いってことになってるんだもんな、それは気になるよな!
ただまあ、一応気持ちは伝え、両想いであることはわかっているが、告白については時が来たら改めてしようと圭は考えていたため、それを健太へと伝えることに。
「告白は今はまだしないかな。俺もあの子も、色々忙しいし」
理由も聞かれるかと思ったが、
「そうですよね」
と言っただけだった。さっきのこともあるからという感じか。
「なんか色々ありがとうございました!楽しかったです!」
どうやら俺への聞きたいことは終わったらしい。じゃあ、せっかくだし俺からも聞いてみるかな!
「なあ、俺からも聞いていいか?」
「はい、なんでしょうか?」
「小松さんとは何か進展はあったのか?」
それを聞いた健太は「びくっ!」っと体を震わせる。これは何かあった感じか・・・?
「反応的に何かあったんか?」
俺はニヤニヤしながらそう聞く。が、健太はというと、静かに答え始める。
「何かあったように見えますかね・・・?実は特に何もないんですよ。むしろ何かありましたら、喜んで話しているところでした。いや、まあ、そもそもまだ本当にセンパイのことが好きなのかどうかわからないですけど・・・」
なるほど・・・。なんかそう言われるとこれ以上追及するのもなんかアレだなあ。
「そっか・・・。ちなみに、2人で出かけたいなあ、とかは思わないん?」
「そう、ですねえ・・・そういうのはちょっとまだわからないですかね」
まあ、そうだよな。とりあえず今あんまり色々他人が言うのも良くないよな。
そんなことを考えていると、そこで部室のドアが開かれ、遅れていた美結が入ってきた。
「・・・あれ?」
入るなり美結はちょっと驚いている。察するに、部室には誰もいないと思ったのに俺たちがいたからびっくりした感じか。
そんな美結に対して俺は説明をする。
「実はあの2人が30分くらい遅れて来るんだよ。で、高森さんも遅れるって言われたから2人で始めるのもと思って待機してた感じ」
「・・・なるほど。じゃあ私も来たから始めようか」
美結はそう言いながら荷物と制服を部室へと置く。あ、ちなみに先にジャージに着替えてますんで脱衣してるわけではありません!
俺たち2人も立ち上がり、体育館へと向かう。
「ねぇねぇ、2人きりのとき何話してたの?」
移動中、ニコニコしながら美結はそんなことを聞く。
俺は健太と目が合い、無言でアイコンタクトをする。
「・・・まあ、裏方の話とかかな」
突っ込まれると面倒だと2人とも察したので、嘘をつくぜ!・・・当然怪しまれたけどね。
「・・・ふーん。そかそか」
俺はもう1回健太の方を見て、よし、という感じでアイコンタクトを送った。
それを見た美結はニヤっとして何ならとんでもないことを言い放つ。
「あ、もしかして2人ってそういうカンケイ?男同士でデキてる、みたいな?」
あー・・・。まあ、アレか、今のはそう見えてもおかしくないかー。って、違うだろ!
「そんなわけあるかっ!ってか、キミはそういうのは興味ないんじゃなかったっけ?」
そう、美結はオタクではあるが、腐女子ではないと言ってた。
「うん、私は違うよ?でもそういう友達と仲いいから私もそういう感じに見えるときあるかな?」
というわけらしい。今後、彼女の前ではこういう態度はとらないように気をつけよう。
ちなみに健太はよくわかってないようで、頭に「?」を浮かべていた。キミはわからんでいいよ(笑)
「・・・で、2人は何を話してたの?」
いきなり本題に戻った・・・!俺も健太も固まる。
「・・・」
俺は再度健太へ「逃げよう」とアイコンタクトをする。健太もわかったらしく、頷く。
と同時に2人は走る!後ろから「あ、待って!」と美結の声が聞こえたが、構わず2人で走る。
走りながら健太が俺に話しかける。
「でもこれってまた体育館着いたら一緒ですよね!?」
「いや、気が変わるかもしれんだろ!」
「そうですね!」
そんな話をしながら一緒に走る。なんとなく、健太とは距離が近づいたような、そんな日になった気がしたと圭は思った。
・・・美結とは離れたが(物理的に)
いよいよ大会も近づいてきました。大会編の終わりが近いのですが、イコール美結と健太の出番も大会編以降はかなり少なくなる予定です(´・ω・`)
美結に関しては、個人的には彼女の話は色々書きたいと思ってますので、メインヒロインの優美以上に出番は多くなるかもしれませんが許してください(笑)
それから前書きでも書きましたが、なんともう50話!まさか書き始めたときはこんなに書けるとは思いませんでした('◇')ゞ次に目指すは100話ですね!
では、51話で(^o^)/