以前から少しお話した、麻由美の恋模様の件のお話もあります( *´艸`)
お互いの気持ちを確認し合った圭と優美はまたいつもの関係に戻った。まあ、お互いが色々気にしすぎたっていうのもあった。
それから2人は水族館を周り、時間も時間になったため、館内のレストランで食事を取ることにした。
レストランの中にはちらほら見たことある顔がいたり。ちなみに修学旅行は私服のため、制服で見分けられたりはしない。
どこの席に座ろうかと考えていると優美があっ!と声をあげる。
「亜由美~!麻由美ちゃん!」
優美の目線の先を見ると2人がいた。優美は手を振って彼女らの方へと近づいていったけど、でも2人は「あれえ・・・?」みたいな顔をしてた(笑)
と、いうわけで俺たち2人は今は亜由美と麻由美と一緒のテーブルにいる。
「優美優美~!林崎くんにうまく言えたみたいだね~!」
「うん!ちょっと緊張とかしたけど私頑張ったよ!」
さっき仲直り(?)してからの彼女はずっとこんな感じでテンションが高い。
麻由美は「えらいえらい!」って言いながら優美の頭を撫でてる。俺もそれやりたい!って思ったら亜由美と目が合ってニヤリと笑われた。
「それで優美、彼に話せていつもの仲になったのはわかったけれど、なんで私たちに合流したのかしら?」
まあ、亜由美からしたら2人きりで話をするために、っていうのもあるけど、それからも2人でっていうのをお膳立てした感じなのだろう。
ところが優美は天然なのかわざとなのかわからないけど、
「え?ほら!もともと一緒に回る予定だったし、林崎くんにも話せたし、みたいな?」
と、亜由美の気遣いを一刀両断してしまった!
さぞかし「何やってるのかしら」みたいな態度を取ると思っていたら、
「そう・・・それはありがとう」
と、なんか嬉しそうだった。ホントは一緒に回りたかったのかもね!
麻由美ははいうと「ふーん」という顔をしたあと、俺に話し始める。
「私も別にいいけど~?でも林崎くんはいいの~?」
俺に振るか・・・。そりゃあまあ、2人で回れたら楽しいけど・・・。
「竹下さんが3人で回りたいって言ってるなら俺も別にいいよ」
と、優美の意見を尊重した。
「そう~?遠慮しなくて いいのに~!まあ私も2人よりも優美がいた方が楽しいけどね~!」
どうやら麻由美も亜由美も少し「優美ロス」になってたっぽい(笑)
「じゃあお昼食べたら俺もクラスメイトに合流・・・」
と、携帯が鳴った。見てみるとそのクラスメイトからメールが来てた。なんだよと思い見てみると、「林崎は楽しんでるか~?」との本文とどこかで3人でポーズを取ってる写真が添付されてた。
あれ、ここって水族館じゃないよな・・・?と思っていたら横にいた麻由美に覗かれる。
「あれ~!?ここって水族館から結構な距離のところじゃない~?観光の本に載ってたから覚えてるけど~」
うん?じゃあ・・・。
「どうやら置いてかれたみたいね・・・」
マジか・・・。
「今から1人で移動するのってちょっと寂しいよね・・・?」
優美がやさしさでそう言ってくれてはいるが、今の俺にはちょっと痛い(笑)
「よ~し!じゃあ林崎くんもこれから私たちと一緒に行こう!」
そんな俺に見かねた(?)麻由美はそんな提案をしてくれた。
「私は別にいいわよ」
「私も!3人よりも4人のが楽しいしねっ!」
2人もOKしてくれた。
「じゃあお言葉に甘えます・・・」
そのときは気がつかなかったけど、後で4人でいるところを見たクラスメイトに、彼女がいるのに他の女の子と一緒とかどうなん?とか言われて、確かにそれはヤバいと思った俺であった(実際は彼女ではないけど)。
× × ×
結局あれから自由行動は最後まで一緒に回ってくれた。クラスの友人とは一緒でなかったのは少し残念だったが、優美も一緒だったし、個人的には置いてかれて良かったかも?
修学旅行最後の夜、ということもあり、同部屋の友人たちは告白するだしないだの話をしてたり、誰が誰に告ってどうなったとかそんな話をしてた。
話すのも楽しいが、やっぱり1人の時間も少し欲しかったので、昨日の夜にも行った自販機コーナーのところでゆっくり寛いでいた。
「やっほ!」
「おおう!」
「驚きすぎ~!」
いきなり話かけられて驚かない人なんていないだろう!
「こんばんは、梅田さん」
「こんばんはー!いやー、やっぱりここにいると思って来てみたらいた!」
その内容から察するにどうも俺に用がある感じか。
「何か話でも?」
「お~!察しがいいね!うん、まあ、ちょっとね~!」
麻由美はそういいながら俺の隣のイスへと座った。
「答えられる範囲でいいなら答えるけど」
「私が納得出来る範囲ならそれでいいよ~!」
いやそれおかしいでしょ!俺に選択権はないじゃん!
「・・・まあ、とりあえず話は聞くよ」
「うん!」
「お昼に合流してからさ、優美の機嫌がスゴく良くなってたじゃん?」
「優美に聞いても『なんでもないよー!』とか言われて誤魔化されちゃうんだけど、何言ったのか気になるなーって思って」
麻由美はスッゴくニコニコした表情で聞いてきた。こりゃあ話すまで諦めないだろうなあ・・・。
適当に嘘を話そうかとも思ったけれども、この子も亜由美並みに鋭いことを思い出し、まあバレるだろうなあと思ったので、別に話せないわけではないから本当のことを話すことにした。
「まあ話すよ」
「おっ!ありがと~!」
というわけで簡潔に説明。麻由美は「きゃ~!そんなこと言えちゃうなんて、さっすが~!カッコいい~!」とかなんとか騒いだ。一通り騒いだあと「ふ~」っと一息ついた後、話を始める。
「前にも言ったかもだけど優美が羨ましいよ~!」
「そう思ってくれるなら嬉しいわ」
それから麻由美は唐突に意外な話を始める。
「私もね~、好きな人いるんだよね~!」
「そう、なんだ・・・」
なんとなく、彼女の言い方や雰囲気からそこまでいい話でもないなと思い、静かにそれだけ答える。麻由美は話を続ける。
彼女の話を要約すると、好きな人は大学生。本当に小さいときから一緒に遊んでくれた、いわゆる幼なじみとのこと。
「中学生になったくらいかな~?なんとなくね、私も彼も、少し大きくなって、私もなんとなくこの人と一緒にいれたら嬉しいな~って思うようになって」
麻由美はそう切り出すと、それでね、と続ける。
「・・・私はね、やっぱり色々頑張ったんだよ?でも、彼は・・・なんていうか、私のことはあんまり、そう言う感じには見てくれなくて・・・」
よくあるパターンだ。幼なじみだからこそ起きてしまう感情の相違。
「だからね、優美が羨ましい・・・!林崎くんにあんなに好かれて、大切にされて・・・彼も、少しくらいは私に振り向いて欲しい、振り向いて欲しい・・・最近はそんなことばっかり思うようになって・・・」
麻由美は話を続ければ続けるほど、顔がうつむき、元気がなくなっていく。そんな彼女に対し圭はどうしていいかわからず、無言になってしまう。
「・・・ごめんね、なんか、話したくなっちゃって」
話したい、か・・・。人に話したいということは何か意見が欲しい、助けて欲しい、そう言う感じではないかと圭は思い、何か言わないと・・・。
「竹下さんからさ、依頼受けてからさ」
「え?う、うん」
いきなり話始めた圭に麻由美は少し驚く。
「ぶっちゃけよくここまで来れたと思うよ。今思えばとんでもない依頼ばっかりでまあよくここまで来れたなあって」
俺は笑いながらそう話す。麻由美にも少し笑顔が戻る。
「・・・そうだね」
「でもさ、なんでここまで来れたっていうとさ、可能性がある限り、諦めずに頑張って来たからだと思う。もちろん頑張っても頑張ってもまだまだ依頼は達成出来ないけどさ」
俺はそこまで話すと麻由美の目をまっすぐ見て頷く。
それから少し間があったが、彼女も俺の言いたいことを理解したみたいで、「あっ・・・」と言った後、笑顔で頷いた。
「という感じかな?俺から言えるのはこれくらいだよ」
俺がそう言うと麻由美は充実した呆れた表情になる。
「いや~、キミは本当にスゴいよ~!なんか私もっと頑張らなきゃなあって思えた!」
「そ・れ・と」
ニヤリ、と麻由美。
「うん?」
「やっぱり優美は羨ましい~~!!」
お決まりのセリフを言われ俺も充実した呆れた表情になる。
「あ、そろそろ就寝時間だね~!戻ろっか!」
「あ、本当だ」
「じゃあ女子部屋はこっちだから~!今日は本当にありがと~!」
「どういたしまして。おやすみ」
そう彼女へあいさつし、立ち去ろうとしたとき、「あっ!」っと麻由美。なんだろうと思い、振り向くと今日一番の笑顔(悪い笑顔)で言い放つ。
「ぶっちゃけさ~、彼がいなくて、私に好きな人がいなかったらさ~!」
「え?」
「キミのこと、本気で好きになってたかもね~!それで優美と奪い合ったり~!なんて~!じゃあね~!おやすみ~!」
そう台風のように雨や風を残して彼女は足早に立ち去って行った。俺は驚き、彼女の背中を見るしかなかった。
麻由美の、たまに見せるそういう素振りにはいつものごとく参ってしまう圭であった。
こうして、波乱に波乱を重ねた修学旅行は終了した。
結局4話になってしまった修学旅行編はこれにて終了!
最初はもうちょっとあっさり、というか優美は告白される予定なかったんですけどね(笑)話を書いていたら、あれ?こういうのもいいかなって思いつきまして(^^ゞ
では、また次のお話で・・・!