それ以外は前書きでは特に言うとこありません(笑)
「優美、あゆちゃん~!一緒に飲み物買いに行かない~?」
修学旅行2日目の夜、就寝時間も近くなってきた頃、麻由美ちゃんにそう誘われ部屋を出る。
ちなみに私と亜由美、麻由美ちゃんは一緒の部屋。
部屋出てすぐのところで、クラスのとある男の子に話しかけられる。
「あ、竹下さん!丁度よかった!ちょっと用事があるんだけどいいかな?」
そのクラスメイト、そうだね呼びにくいから仮にCくんとしよう(名前はちゃんと知ってるよ)。
Cくんは少し緊張した雰囲気が出ているのが多少伝えわってくる。
場所や時間、彼の雰囲気から、私はそういう経験がなくてもこれから何が起こるかなんとなくわかってしまったけど、本当にそう言われてないし、断る理由も出てこなかったので、
「大丈夫だよ。どうしたの?」
と、私は普通に答えた。
それを聞いた彼は少しホッとした表情になり、
「ありがとう!ちょっと場所移動してもいいかな?」
と聞いてくる。私は軽く頷き、それを確認した彼はじゃあ着いてきてという感じで手招きをする。
彼に着いていく時、私は亜由美と麻由美の方を見て手だけでまた、と合図だけをした。2人は少し緊張と複雑な感情が入り交じった顔で頷いた。
移動しながら今日のこととか彼と雑談をする。
一応、彼とは結構仲はいいと思う。去年たまたま最初に席が隣になったことをきっかけに話始め、2年生になってからも挨拶したり他のクラスメイトとかと一緒になって話すくらいの仲。
でも2人きりで話す機会はなかったし、私にはそういう感情を読みとることは出来なかった(これについては私が鈍感なだけかも)。
・・・まあ、まだ告白されるって決まったわけじゃないけども。もし違ったら恥ずかしいね。
少し歩き、人気がかなり少ない場所へと到着した。
Cくんは到着するなり真剣かつ緊張した表情になり私へと話を始めた。
「・・・何から言えばいいかちょっとわからないけど」
「うん」
「俺、竹下さんのことが好きだ。友達としてじゃなくて・・・特別な感情で好きなんだ」
ある程度予想が出来た分、あまり驚きはしなかったけど、いざ言われると色々な感情が私の心を渦巻く。
私が黙っていると彼は話を続ける。
「会ったときからってわけじゃないけど・・・色々話をしてるうちに、惹かれていった」
「誰に対しても優しいし、どんなことにも真剣に取り組む真面目さ、それとやっぱりキミの笑顔は何よりも好きなんだ」
私はそれを聞いて素直に嬉しい気持ちになった。誰だって誉められて嬉しくならないわけがないよね。
「ありがとう」
私は一番短い言葉を選んだ。
少しの間が空いた後、彼の表情が少し変わり、けれど、と続ける。
「結構前からね、修学旅行で告白しようとは思ってたんだけど・・・正直、キミに告白するかはめちゃくちゃ迷ったんだ」
「・・・だってキミに他に好きな人がいることを知ってしまったから・・・」
「でも、それでも自分が決めたことだったし、やっぱり俺の気持ちは伝えておきたかった・・・」
そこまで話すと彼は言葉に詰まり、何も言えなくなってしまう。
私は告白されたことすら初めてでどんな反応をしていいかわからないのに、彼の続いた言葉に更に頭が混乱してしまう。
私には好きな人がいる。それは自分でも痛いくらいわかっている。だから断らないといけない。そう心では思っていても口に出せない。
彼に対する罪悪感なのか、はたまた自分がいい子でいたいからなのか・・・。
そんな私の態度に見かねた彼は深呼吸をした後、私へ声をかける。
「なんか困らせちゃったみたいでごめん。聞いてくれただけでも嬉しかったよ」
「答えは聞かなくてもさ、俺はわかってるから。ハハハ・・・それじゃあ、俺は行くね。時間作ってくれてありがとう」
そう私に言ったあと、彼は振り返りこの場から立ち去ろうとする。
・・・ダメだ!このまま何も言わないのだけは絶対にダメだ!私の自己満足かもしれないけど私が私に嫌だ!
「・・・嬉しかった!」
私は自分の感情に任せ、話を始める。私の声に気がつくと彼はこちらへ振り向く。
「告白とか初めてで何がなんだかわからなかったけど、それでもやっぱり私のことを誉めてくれたのは嬉しかったよ!」
「・・・でもキミの言う通り私には好きな人がいるの・・・!」
「私はその人が好き!自分でもわからなくなりそうなほど好き!だから、だから・・・」
そこまで話すと私は泣いていることに気がついた。
なんで泣いているのかなんて私はわからない。それでも私は・・・。
「だから・・・キミの気持ちは受け取れないんだ!ごめんなさい・・・!」
・・・伝えられた。自分が今思っていたことが。ただの自己満足でもいい。素直に、自分の思っていることを伝えることが、彼への答えなんじゃないかと。
「・・・なんでさ、私が泣いてるんだろうね?フッたのは私なのにね・・。おかしいよね・・・?」
泣きながら笑顔で私はそう独り言のように言った。
「ありがとう・・・」
「え・・・?」
「竹下さんの素直な気持ち、聞けて良かったよ。これで俺も決心がついたよ」
笑顔で、でもどこか寂しい笑顔で彼はそう答えた。
と、彼はちょっと待ってて、と泣いてしまって動けない私へそう声をかけその場を後にした。
少し時間が経ち、だんだん冷静になった私の元へ私の大事な人が来た。
「・・・優美」
「亜由美・・・どうして?」
「Cくんにね、ここに来るように言われたのよ」
あ・・・さっきああ言ってたのってこういうことだったんだ・・・。
「だいたいの話は彼から聞いているわ」
「そっか・・・」
「・・・頑張ったわね」
「え・・・?」
「どんなことがあったか、詳しくは全然わからないけれども優美の表情を見ればどれだけ頑張ったか、私にはわかるもの」
私は・・・私は頑張ってなんかいない。自分の感情に任せてただただ話しただけ。
「頑張ってなんか・・・いない」
「私が頑張ったって言ったんだから頑張ったのよ」
「なに、それ!あははっ」
亜由美にそう言われた優美には笑顔が戻ったが、それと同時に緊張の糸が切れてしまい、また目に涙が浮かんでくる。
「あれ・・・?また涙が・・・」
そんな優美に亜由美はそっと近より、頭をポンポンと撫で、軽く左手で背中へと回す。
「私の前でなら・・・いくらでも泣いていいわよ。全部出しちゃいなさい」
そう言われて堪えきれなくなった優美は、亜由美の元で静かに泣き始めた。
初めてされた告白。わがままな感情なのかも知れないけど、相手の好意を断ることってこんなに辛いものなんだと私は亜由美の胸の中で思い続けた。
いかがでしたでしょうか?
正直今回の話は「優美ならこういう反応するだろうなあ」という自分の勝手な思いで勢いで書いた感じですので(-o-;)
男なので、女性が告白されたら、なんて想像することしか出来ないのであんまり面白くなかったらすいませんでした・・・(ノ_<。)