私たちの「舞台」は始まったばかり。   作:かもにゃんこ

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今回は演劇についてのことが多めになっております。そういうことに興味がない方は前半を飛ばしてしまっても大丈夫です(*'▽')

また、後書きにて挿絵を2つ投稿します。

1つは美結。イメージしやすかったので彼女が先に書きあがったので(笑)

2つ目はA高校B高校の女子の制服図鑑(?)優美がB高校の制服は可愛いと言っている場面があったので、B高校の方が可愛いイメージになりました(笑)

どちらも物語のイメージの参考にしていただけたら幸いです!




「そういう話私も気になるなあ!」

台本が完成し、オーディションも終わり次の日からは舞台本番に向けた稽古が始まった。

 

稽古のやり方は美結と健太の意向もあり、前みたいに全部触ってからやるやり方ではなく、最初からじっくり1場面ずつ進めていくことになった。

 

それと後は俺がいたりいなかったりするため、俺がいる日は極力俺が出るシーンをやってくれるので本当に助かる。ただまあ、ずっと立ち稽古するのは疲れるけどね。

 

「あんまりオススメはしませんが・・・聞きます?」

 

「え?聞きます聞きます!」

 

「では・・・」

 

「はい!なんだろう?」

 

「実はですね、相手の了解され得らればなんですが・・・完全に心を乗っ取ることも出来ます」

 

パン!と亜由美(演出)が手を叩く。

 

「はい、終了!」

 

何のセリフかと思いました?はい、稽古中で台本のセリフでした!

 

今やっていたのは最初の方、サトコが初めて案内人と会うシーン。前半ではあるが、演出的には結構重要なシーンとのこと。

 

「案内人!まだ固いわ!もうちょっとリラックスしてそれと・・・」

 

こんな感じでまずは演出がダメ出し&指導。言われた方は台本にメモをしていく。

 

「ほかに何かある人はいるかしら?」

 

演出が発言した後、他に見ている人がいる場合は他の人にも意見を求める。意見がある人は手を上げ、発言する。今回はいなかった。

 

それが終わり、言われたことを役者が確認した後、再度同じシーンをやる。基本はこの繰り返し。演出や演じている人が納得したら次のシーンへ、という感じ。

 

「じゃあまた同じシーンを・・・と思ったけどもうこんな時間ね」

 

「立ち稽古、今日はここまでね」

 

あれ?まだ下校時間まで1時間弱あるんだけど・・・。

 

「まだ時間あるよ?どうしたの?」

 

優美は圭が思ってたことを代弁するかのようにそう亜由美に聞いた。それに対し亜由美が答える。

 

「あら、そう言えば言ってなかったわね。実は美結と相談して舞台装置や衣装とかの裏方の役回りを今日決めようと思ったのよ」

 

なるほど。それなら早く終わりにするのも納得ですね。

 

「というわけなんで、今日は動いたりしないからいつでも帰れるように着替えてきて。詳しい話はそれからするわ」

 

「は~い!」「うん」「わかりました!」「了解」

 

亜由美の言葉におのおのが答え着替えに入った。

 

 

× × ×

 

 

各自着替え終わり、部室へと集まると、亜由美ではなく美結が中心となり話が始まる。

 

「それじゃさっそく裏方について話合いましょう」

 

「まず、今回必要は裏方ですが衣装を担当するもの、舞台装置を担当するもの、広報を担当するものがあります」

 

俺を含め、わからないものもいるため、丁寧に説明をしてくれる。

 

「もちろん担当を分けないでやるやり方もあるんだけど、前からこのやり方でうまくやってきたので、今回もこういう形にします。優美ちゃんと林崎くんもいいかな?」

 

「うん!」

 

「大丈夫だよ」

 

俺と優美だけに確認を取る。健太は半年くらい同じような感じでやってたのだろう。

 

「じゃあ続けるね」

 

「衣装は小道具も含めた衣装全般、舞台装置はステージに設置する大道具の作成、広報は結構幅広いけどチラシとか宣伝に使うものを作成、って感じ。ざっくりだけどなんとなくわかるかな?」

 

まあ今の段階ではなんとなくわかればいいよね、ということでお互い顔を見合わせた後、2人で頷く。

 

「5人しかいないから兼任もしてもらう感じかな?」

 

美結は亜由美へと確認する。

 

「そうね。2人ずつくらいでいいと思うわ」

 

「じゃあ私が今回は兼任すればちょうどいいかな?林崎くんはあまり参加出来ないし、あゆちゃんは演出で忙しい。ムラくんと優美ちゃんはまだ慣れてないしね」

 

いい案。俺と一緒になる人はちょっと負担掛けそうではあるが。

 

「あ、ちなみに音響とか証明はうちの学校でいつもやってくれるトコがあるから大丈夫だよ」

 

というわけでさっそく5人の希望とバランスを確認しながら役回りを決めていく。

 

頑固な人はいなかったので、結構あっさりと決まった。

 

衣装担当が優美と美結、舞台装置は圭と美結、広報は亜由美と健太で決まった。

 

決まってからまだ時間もあったため、それぞれに別れ基本的なことから時間まで話合うことに。まあ美結が兼任する関係で、衣装と舞台装置は今回は一緒に話すが。

 

というわけで、2組に別れて話し合いを始めた。

 

「「よろしくお願いします」」

 

こういうのはほぼ初心者な俺と優美は美結に頼ることに。

 

「じゃあまず衣装なんだけど」

 

「うん」

 

「今回は現代劇だからそこまで難しくないよね。案内人の衣装がちょっとどうしようかな?って言うくらい」

 

「確かに!ふむふむ」

 

優美はメモと取りながら真剣に聞いている。

 

「だからまずは優美ちゃんでこういう感じでっていうのを決めて、演出へ提案することから始めてみよう」

 

どうやらいきなり大役(?)が優美に回ってきた。

 

「え!?私!?」

 

優美は驚くが美結は相変わらず冷静に対応。

 

「うん。仮だからそんなに悩まないで自分の好きな感じでいいよ。あ、私は小道具の方をやるからね」

 

「う、うん!頑張ってみる!」

 

「出来たら教えてね。来週いっぱいくらいまでにはよろしく」

 

というような感じで衣装の打ち合わせは終了。なるほど、こういう感じかと圭も納得する。

 

「じゃあ次は舞台装置ね」

 

「うん」

 

「まず小道具で賄えないようなものが必要かを台本から探す感じかな。例えば椅子とか棚とかも必要なら木から作ったりもするしね」

 

へぇ!そんなことまでするのか!と圭は驚く。

 

「後は場面場面に合わせた設置型の大道具かな。例えば森の場面なら木とか草とかあったり、ステージの後ろが緑だったら雰囲気出るしね」

 

なるほどなるほど。確かにその通り。圭は感心をしながら首をうんうんと縦に振る。

 

「でも今回はそこまで拘るのはちょっと大変かも。大道具から始まって時間があれば、って感じかな」

 

「了解。じゃあまずは必要な大道具を台本からは探す作業をすればいいね」

 

「そうそう。じゃあ頼んでもいいかな。色々大変だと思うからあんまり無理しないでね」

 

そんな感じで裏方の打ち合わせは進んでいった。そうこうしているうちに下校時間になったため、部活は終了。いつも通り圭は優美と健太と一緒に駅へと向かう。

 

「村崎くんはどうだった?」

 

優美がそう聞く。察するに広報のことだろう。

 

「はい、広報は初めてやる裏方の仕事なので、亜由美センパイから色々聞いてって感じでした」

 

「そっか~!衣装を任されるのは初めてで大変そうだなって思ったよ。お互い頑張ろうね!」

 

「はい!頑張りましょう!」

 

優美は健太へとそう答えていたが、俺はというと別のことを考えていた。

 

健太の亜由美への呼び方が「亜由美センパイ」になっていたことに。これはちょっとからかってみようかね!

 

「小松さんと仲良くなれたみたいだね」

 

そんなことを圭が言うなんて思ってもいなかった健太はびっくりする。

 

「え!?いや、そんなことないですよ!」

 

焦っている。この反応は優美が焦ってるときと一緒だね。

 

「へえ~!亜由美と仲良くなったんだ!そういう話私も気になるなあ!」

 

すかさず優美も健太へ攻撃を仕掛ける。

 

「ち、違いますって!なんでそうなるんですか!」

 

「「なんでって、ねぇ?」」

 

2人とも同じ反応。思わず顔を見合せニヤニヤしてしまう。

 

「だって『亜由美センパイ』って言ってたじゃん!呼んでもいいですか?って聞いたの~?」

 

優美がそう言うと、

 

「そ、それは、その、ほ、本人にはそう呼んではいないです!でもそう呼べたらいいって思ってるから今くらいは・・・って感じで・・・」

 

と言い訳をしていたが、どう足掻いてもボロが出てしまっていた。

「つまりアレか、名前で呼べるような関係になれたらなあってことか」

 

圭は冷静にそういい放った。はっきりと「付き合いたい」とは言ってないので返しがあっても言い訳出来ます(笑)

 

健太の顔が赤くなる。

 

「ち、違いますっ!付き合いたいとかそういうのはまだ全然考えてないと言うか・・・!」

 

「いやあ、付き合いたいの?とは聞いてないけど?」

 

「うんうん!友達だって名前で呼ぶような関係じゃん!」

 

優美もノリノリで俺にのってくる。

 

「・・・からかわないで下さいよ~~!!」

 

それを聞いた健太は更に顔を赤くしながらそう叫んだ。

 

 

「ごめんごめん!ちょっとからかい過ぎたよ」

 

「私も言い過ぎちゃった!」

 

少し時間が経った後、2人で一応まあ、謝った。

 

「もう、酷いですよ2人して。と言うか、そう言う2人はどうなんですか!この前の続き聞きたいです!」

 

仕返しと言うわけではないと思うが、聞かれたくないことを聞かれた。

 

どうしようと悩んでいると優美が、

 

「いやあね、私たちはね、ちょっと色々あって・・・」

 

THE・言い訳って感じで話した。うーん、これは・・・。

 

「色々・・・あっ!わかりました!アレなんですね!実は義理の兄妹だったりするんですね!」

 

・・・まさかの爆弾発言に固まってしまう。いや、いくらなんでもそれは否定しないと、なあ?

 

「そ、そうそう!そう言う感じっ!うんうん、凄いね、正解っ!」

 

何故そこで肯定!ってか怪しすぎて絶対バレそう・・・。

 

「怪しいですね・・・?嘘、っぽいですね・・・」

 

やっぱりバレそう。

 

「ううう・・・は、林崎くん!バトンタッチ!」

 

「はっ!?」

 

ちょっ!ここで渡されても・・・あ、そうだ!

 

「あ!よく見たら次の電車来そうだ!走らないと間に合わない!じゃあまた!」

 

逃げるが勝ちだ!

 

「あ、じゃあ私も走らないと!じゃあね~!」

 

優美も圭に続き逃げる!

 

「あ、ちょっと待って下さいよ!ズルいですよっ!」

 

後ろからそんなことが聞こえたが構わず逃げ・・・ ようとしたら。

 

「げふっ!」

 

優美が途中で転んでしまった!

 

さずかに彼女だけを置いていくわけにはいかず、俺たち2人は健太に捕まり、本当に電車が来て別れるまで問い詰められまくりました・・・。

 

結局、俺も優美もホントのことは言わず、最終的には健太が折れて話は流れ、なんとかなった。

言えないような話でもないけど、なんとなく今は秘密にしたい関係と圭は思った。優美もそう思っている、そんな感じもしたから。

 

 




裏方についてのことを今回は書きましたが、あくまで自分が所属していた演劇部のことをそのまま書いた感じですので、読者の方との感覚のズレはあるかもしれませんが、ご了承ください。

次回は修学旅行回の予定です!


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