世間では7月ですが、物語の中は一応9月下旬になっています。2学期はイベントが多いので色々消化出来たらと思っているかもにゃんこです(*^_^*)
昼休みに放課後、優美たちと約束をした俺はホームルームが終わったあと演劇部の部室へと来た。
ドアを叩くも返事はなく、2人はまだ来ていない。まあカギはさすがにかかってるだろうがダメ元でドアに手をかけたら空いていた。廊下で待つのもなんだし、中で待つことに。
と、ドアを開けるとなんと人がいた。あれ?さっき叩いたとき返事なかったですよね・・・?
「「・・・。」」
お互い顔を見合せ固まる。が、俺はそこである事実に気がついた。
「演劇部の部長さん・・・?」
正しくは「元」部長か。
それを聞いた部長さんは「なんで知ってるの?」って顔をしていたので事実を告げた。
「自分、生徒会の役員なんで。以前、部費関係のことでお会いいたしました。あ、林崎と申します」
部長さんはあ、なるほど、という顔をする。納得してくれたよう。
「・・・生徒会役員がどうしてここへ?」
まあ、最もらしい質問だろう。
正直、圭は事実を告げるか迷った。実際にはわからないが、部長さんと彼女らはいい関係ではない可能性が高い。
ただ、あちらとしては元部長とはいえ、卒業するまでは演劇部なのは間違いない。部外者はどちらかというとこっち。言いにくいが圭は話すことにした。
「竹下さんたちと話をするために来ました」
若干簿かしたが嘘ではない。
「・・・」
彼女からの返事はない。何か今の言葉を意味を考えているようにも見える。
と、数十秒の間が空いたあと、口を開く。
「・・・そう。それじゃ私は出るわ。用事は済みましたし」
「あ、はい」
「じゃあ、頑張って下さいね」
頑張れ・・・?今の会話で何を頑張れっていうのか。
「それじゃあ、さようなら。『王子様』」
ガララとドアが締まり、部室に静寂が訪れた。
「・・・やっぱりバレたか」
苦笑いでそう呟いた。
演劇部、元部長。事務的な会話以外では初めて話した。優美たちにとっては敵と言っても過言はない存在。俺が動いたのも彼女が元凶とも言えるだろう。
だが、そういう印象は全くなかった。それどころか応援された。
少しではあるが、彼女の言動には何か裏があるのではと俺は感じた。
そんなことを考えていたら、優美たちが来た。
「あれ?空いてる?って林崎くんじゃん!」
「ども」
「鍵はあなたが開けたのかしら?」
俺はどうにも部長さんがいたとは言えず嘘をついた。
「もともと開いてたんだよ。俺もびっくりしたわ」
「優美、確か昨日戸締まりしたのあなたよね?」
「え~!?私のせいっ!?た、確かにカギかけたのは私だけど・・・」
「ちゃんとかかってなかったみたいね。はあ、今度からは毎日私がかけるわ」
「ううう・・・ごめんなさい」
ごめんね竹下さん。でも仕方なかった、よね・・・?
「じゃあさっそくいいかしら?」
部室に入り荷物を置きながら亜由美は俺に尋ねる。
「うん、大丈夫だよ」
部室の中にあるパイプイスをおのおの広げ座る。
「改まって聞かれると何から話せばいいのかわからなくなるね・・・何から聞きたい?」
「そうね、じゃあこれからはどう新入部員を勧誘するか、聞きたいわ」
さっそくそれから来たか。まあ、それが依頼内容ではあるが。
「あくまで俺の考えになるけど、次のチャンスは4月、新入生が入ってくるタイミングかな」
「竹下さんから今朝俺が言った話は聞いてるかな?」
「ええ、聞いているわ」
「うん、そういうわけなんで、現状うちの生徒で演劇部に入ろうという意思があるものはいないからね」
「そうね、全くその通りだわ」
「うん、私も林崎くんの説明聞いてからだとそれまで難しいのはわかるかな」
亜由美に続き、優美も納得してくれる。
「そこでとにかくアピールする感じ。アピールの場所としては体育館でやる部活紹介と春の公演がメインとなるはず」
他にもビラ配りとかはあるが、おおよそはそんな感じだろう。
「そうね。そこでいかにして興味がある人を部活にいれらるか、という感じね」
亜由美も多少自分の中でイメージを考えていたのかも。
と優美がここで疑問を口にする。
「もともと興味がある人を引き込んだり、入るつもりの人を逃がさないのはもちろんなんだけど、全然知らない人でも興味もってもらって勧誘することは出来ないかな・・・?」
優美らしい質問だなあと圭は思う。それについての答えも用意はしてあった。
「部活紹介なら新入生全員に見てもらえるから、そのときに興味ない人も興味を持って貰えるような紹介をすればいいかなって感じ?」
それを聞いた優美は「おお~!なるほど!」って顔になる。好感度上がったかな?(笑)
「そうなると公演の方は興味あるものに逃げられなくなるような内容にすればいいのね」
その通りなんだが・・・キミがそんな発言すると物理的に逃げられなくしそうなんだよなあ・・・。
なるほどなるほどと納得していた優美だが、アレ?っという顔に変わる。
「ねぇねぇ?」
「うん?」
「ふと思ったんだけど」
「何かしら?」
「それの準備って今からやるほどかかるもんじゃないよね?」
「そうね。やる内容にも左右されるとは思うけど、早くても準備に取りかかるのは年明けかしら?」
「だよね!じゃあさ、それまではどうするのかなって思って~!」
どやぁ!まではいかないが、私いいこといった!って感じの顔で優美は聞いてくる。
それを聞いた圭と亜由美は顔を見合せお互いにニヤリと笑う。それを見た優美は、どや顔から一転して、焦る。
「え!?私変なこと言った!?」
戸惑ってる優美に圭と亜由美はさらりと言う。
「まあ、普通に練習だよね?」
「そうよ。部員を集めるのが部活の活動じゃないわ」
なんか2人でいじっちゃったけども許してね!
「あ・・・って!そそそれくらいわかっていたよっ!ホ、ホントだよ!?」
必死に言い訳していたけど、まあバレバレだよね。顔赤くなってバタバタしてるし(笑)
可哀想なことをしたとは思うけど、話も進めなくてはだしとりあえず続ける。
「ま、まあ、それはどっちでもいいとして、どんな練習していけばいいとかは俺は素人だし、小松さんに任せようかなって思ってたけど」
優美は「どっちでもいいんだー・・・」とか呟きながら冷静を取り戻していた。
「そうね、そこまでも任せるわけにはいかないわ。私たちで考えましょう」
「私も!?う、うん、頑張る・・・!」
優美だって演劇部の一員。頑張って貰わなきゃね。
「それと、聞いてもいいかしら?」
「どうぞ?」
「林崎くんはこれからどうするのかしら?」
その質問はされると思ってはいた。ってかむしろ俺から言わなきゃいけないことだった。色々悩みはしたが、俺の答えはこうなった。
「演劇には興味があるけど、やっぱり生徒会の仕事もあるし部員にはなれないかな」
それを聞いた2人は意外にも驚いた表情は見せなかった。それを優美が代弁してくれた。
「あくまでも依頼も生徒会の仕事の一貫だもんね。ぶっちゃけ部員になりたい!って言われたらどうしようとは思っていたよ~!なんちゃって!」
まあ、確かにその通りである。ちなみに今も生徒会で生徒からの相談は受けている。
「そう言ってくれるならこっちも気持ち的には楽かな。結構悩んだけど、10月になると生徒総会とか選挙もあるし。こっちばっかりで生徒会がおろそかになったらね」
「ただ・・・」
「うん!」
「何かしら?」
「2人じゃ何かと大変だし、極力協力はしたい。もちろんスケジュール次第にはなるけど」
「それに、単純に演劇は好きだし、また稽古とか舞台とか出来たらなあって」
最後は完全に俺のわがまま。
「うん!ありがとう!」
「部員じゃなくても稽古参加は大歓迎よ」
まだまだ決まってないことも多く、不安だらけではあるが、ひとまずある程度行く末は決まり、話合いは終了した。
その後はせっかく時間もあったので久しぶりに2人と一緒に練習をした。
演劇部元部長が再登場しました。せっかくだから圭にも会わせていた方がいいかなって。また登場予定です。
ちなみに物語には出てきてませんが、現部長は亜由美です('◇')ゞ