まあ実際は同じ日の話なんで続いてるような気がしますが(笑)
圭と優美のイチャイチャもあります(*^m^*)
「うーん・・・」
1時間目の授業が終わるや否や、俺はそうつぶやいた。
依頼を引き続き受けることが嫌というわけではない。2週間ほど前からそれは決めていたから。
もちろん悩みはした。依頼を引き続き受けるというのは、優美への告白は出来ない。彼女に気持ちを伝えてる以上、早い方がいい、そう考えていたが、自分の気持ちを優先して依頼を破棄することなんて出来ない。
じゃあなんで唸った?おそらく、優美の手を握ったから。
自分の中では優美への気持ちはまだ押さえよう、そう考えていてもやっぱり行動として現れてしまったから。
と、後ろから肩を叩かれる。振り向くと例の友人Aがいた。
「どうした~?朝から」
「いや、別に・・・」
「そんな態度で何もないわけないよなあ?あ!さてはカノジョにでもフラれた、か?」
別にその質問をするのはかまわないけど、なんでちょっと嬉しそうなの・・・。
「違うわ。ってかカノジョじゃないし。そもそも告白すらしてないから」
「え!?それマジか!てっきり文化祭の舞台でうまくいってそれから告白して付き合い始めたんじゃないんか!?」
「いや、マジでそれはないんだ」
「そうなんか・・・うちのクラスの半数以上の人は君ら2人が付き合ってると思ってるぞ?俺もそう思ってたし」
それこそ俺からマジかと聞きたくなるんだか・・・。
「とにかくそれはただの噂だよ。まあ舞台が成功したのは確かだが依頼は達成出来なかったんだよ」
「依頼って舞台を成功させることじゃないのか・ ・・?」
そう言えば依頼のことはクラスの誰にも言ってなかったか。端からみれば確かにそう捉えるかも知れないな。
「ちょっと違う感じなんだよ。なんていうか・・・」
今は依頼の内容は言いたくなかった。言われるかはわからないが、そんなの無理とか言われるかも知れない。それにあんまり友人を巻き込みたくなかったから。
「まあ、無理にとはいわんよ。誰だって言いたくないことはあるからな」
どうやら察してくれたらしい。色々聞いてはくるものの、その辺は考えてくれていた。
「何かどうしようもないことがあったら頼ることはあるかも知れない」
「そんときはなんでも聞くぜ!」
その一言だけでも今の俺にはなんとなく気持ちが楽になった気がした。
× × ×
一時間目の休み時間が終わるやいなや、私のところへ亜由美がやってきた。
「優美、息を切らして教室に入ってきたけど朝何かあったの?」
「何かあったの?」と聞く時点で察しはついてるから、と言った感じかな。特に言えない訳もないし、素直に今朝あった出来事を伝えよう。
「林崎くんに会って、依頼続けて欲しいって頼んできたよ。遅れそうになったのはちょっと話が長くなっちゃっただけだから」
「そう。その全然焦ってない口振りだと断られたわけじゃないのね」
一言多いよっ!と思いつつ首を縦に降る。
「うん、OKしてくれた。というか、もともと引き続き受けてくれるって言ってくれて」
それを聞いた亜由美は頭に「?」を浮かべた。私ほどの驚きっぷりじゃないのはさすが亜由美だね。
「あのね・・・」
それから私は林崎くんから聞いたことを簡潔に話した。
「なるほど・・・確かに冷静になって考えてみればそういう結論に至るわね」
亜由美も納得してくれた。
「と、いうことは次の手も彼は言ってたのかしら?」
「ううん。そこまで話して時間がなくなっちゃって。また後でとだけ言われただけかな」
「そう。じゃあ近いうちにまた彼と3人で話さなきゃね」
「ねぇねぇ、亜由美」
「何かしら?」
「あのさ、昨日までは林崎くんに頼っていいの?って言ってた割りになんか今日あっさりだね?」
もうちょっとこう、「頼り切りはよくないわ」みたいな感じかと思ったから。
だが当の本人はいつも見せないようなけろりという感じの表情をしてた。なんか可愛いと思ったのは秘密だよ!
「え?だってあのときは優美のことを心配してたからよ?優美が今はまだ付き合わなくてもいいって言ってくれたから」
「え?そなの?」
「ええ。頼りになるし、助けてくれるっていうなら嬉しいわ」
そうは言ってるんだけど、『使えるものを使わない手はないわ』って心の中では言ってそうなんだよね・・・。私の深読みかな?(笑)
「あははっ・・・で、どうする?別に待つ意味もないし、今日のお昼休みにでも放課後時間あるか聞いてみよっか?」
「そうね。私たちとからすれば早いに越したことはないわね」
というけで私はお昼休みに久しぶりに彼の教室へ行くことになった。
× × ×
昼ご飯を食べた俺は友達と雑談をしながらも考えごとをしてた。朝、優美には「また後で」と言ってそのままだったからだ。自分から言ったことだし、優美の教室にでもちょっと行こうかと思った時、その張本人から呼ばれた。
「林崎くん」
優美は普通にうちのクラスの中に入り俺の近くまで来て声をかけてきた。
「え?あ、竹下さん」
いきなりだったのでちょっと驚いた。
「ごめんごめん!ついつい来ちゃった!」
てへっと舌だして笑う優美。うん、今日も俺の嫁・・・じゃなくて依頼人は可愛い。
そんなやりとりを見てた友達はササっと俺たちから離れていく。
「ごめんよ~!邪魔しちゃったぜ」
「2人の楽しい時間奪っちゃだめだもんなー!」
(「ば・く・は・つ・し・ろ!」)
何事・・・?と俺は思ったが、あることを思い出した。
そういやあうちのクラスでは俺らって付き合ってることになってるんだったわ・・・。ホントのこと知ってるのはあいつしかいないんだよな・・・。
俺は目の前で起きた出来事を冷静に対処出来たが、優美の方はというと。
「え!?え!?え!?」
めちゃくちゃ焦ってるというかどちらかというと今起きたことに対して戸惑っていた。
俺はこれ以上教室にいたらなにかといけない気がしたので優美の肩を叩き、教室の外へ出ようと合図し、廊下へと出た。
「大丈夫・・・?」
「え!?あ!う、うん!」
あ、これは大丈夫じゃないときの優美さんですね。
「ごめんね、わざわざ来てくれたのに」
「え!?いや、その、それは全然大丈夫だけど・・・」
アレはなんなの?とセリフが続きそうだったので俺はその疑問に答えた。
「驚かないで聞いて欲しいんだが」
「う、うん!」
「どこでそうなったのかよくわからないけどうちのクラスの半数以上が俺らは付き合ってるって思ってるらしい」
「ええ~!!・・・あっ!ご、ごめん!」
まあ驚かないって方が無理があったよね。
「誤解は解いた方がいい、よね?」
俺はそんな当たり前のことを彼女に聞いた。
と答えがない。まだ告げられた事実に驚いている感じだろう。
ただまあ、俺は多少なりとも嬉しい感情はある。そりゃあね、好きな人とならそういう勘違いされるのならね。
「・・・竹下さん?あの、もしかして怒ってる?」
いつまで経っても返事がないのでそう聞いてみた。
そんなことを考えながら改めて優美を見るとなにやら、う~んと考えている。
「ねぇねぇ」
シンキングタイムが終わったのか今度は俺に尋ねてきた。
「私は誤解されたままでもいいかな~!なんて!」
そう笑顔で言った。
まさかの答えに俺が何も答えられずにいると、
「だって、そう見られるくらい仲がいいって普通に嬉しいかなーって」
どうやら優美も俺と同じようなことを考えていた。そして優美は続けて、
「林崎くんはそう見られるのイヤなのかなの・・・?」
上目遣いで言う。ホント女の子の上目遣いには男って弱いですね・・・。
「いや、そんなことない、です、はい。俺も嬉しいです」
まあ自分も嬉しいって思ってたし言わされたわけではないが。
「あははっ!ありがとうっ!」
そういう優美はまたいつもの無邪気な笑顔に戻っていた。
「それにね?」
「え?」
「私は別に違うクラスだし勘違いされても困らないしね~!」
「え?」
なにやらとんでもないことを耳にした気がする。いつもは無邪気で素直だが、実は小悪魔属性もあるのか!?
「さてさて!本題に戻ろっか!」
「え?ちょっ!」
「今朝の続き聞きたいんだけど今日の放課後時間ある?」
「え?うん、まあ大丈夫だけど・・・」
「じゃあホームルーム終わったら演劇部の部室に来てね~!」
「別にいいけど・・・って!俺は困ってもいいのか~!?」
「え~?なんのことかな~?それじゃあ私は・・・」
「た・け・し・た・さ・ん!」
とぼけて立ち去ろうとしている優美の肩を圭はつかむ。
「さっきの仕返しだー!」
圭はそのまま優美の脇の下をくすぐり始めた。
「え!ちょっ!やめっ!アハハハハハハハハ!」
圭は特に女の子の体に触れてるとかそういうのは思っておらず、仲良しの友人と同じような感じになっていた。
2人でそんな感じでじゃれあっていたらたまたま、本当にたまたまと信じたい。麻由美が来て目があった。
「「「あ・・・」」」
3人同時に固まる。
「優美~、いくら仲いいっていってもここでそういうのはどうかとお姉さん思うなあ~!」
周りを見たら昼休みということもあり、そこそこの人に見られてたらしい。
「「・・・・・・」」
冷静になった圭と優美は顔を見合わせると、何か確認しあったように頷く。
「さて、話も終わったし俺は戻るね」
「うん、じゃあまた」
何事もなかったかのように立ち去ろうする。・・・まあ、それを許してくれない人がいなければこの作戦は大成功だったんだけどね。
歩き出そうとしたら肩を捕まれてた。
振り向くとめちゃくちゃニヤニヤ顔の麻由美がそこにいた。
「さてさて~!どうしてああなっちゃったのかお姉さんに聞かせて~!」
それから、圭と優美を見たものはいないという(嘘)。