まるで最終回みたいな感じですが最終回ではありません( ̄ー+ ̄)
後書きに色々書きますので良かったら読んでいって下さい!
文化祭が終わってから一週間が経った。私と亜由美は予定通り、新しい演劇部として活動を始めていた。
練習自体は基礎練が中心、というか2人じゃ台本一本やるなんて出来ないし、それに新入部員が入るのを待ってから本格的に活動を始めたいし。
が、この一週間で新入部員が入ることはなかった。
正直、私だけでなく亜由美も落胆を表情を隠せずにはいられなかった。
「おはよう亜由美、麻由美ちゃん」
「おはよう」
「おはよ~!・・・アレ、朝から元気ないね」
麻由美ちゃんがいう通り私はそんな感じだった。取り繕う必要もないかなって思ったけど、いざそう言われるとやっぱり悪い気持ちになるね・・・。
「なんか・・・ごめん」
「え!なんで謝るの~?優美が悪いわけじゃないじゃん!」
「ううん、そうじゃなくて、落ち込んでるのを見せるのはダメだなって」
そう麻由美ちゃんに言ったら、えっ!って顔をされて、
「そんなの気にしなくていいんだよ~!友達の前なんだから、素直な表情になってもいいじゃん!」
そ、そういうものかなあ・・・?でもそう言ってくれた方が確かに楽かもね。
「優美って本当にいい子だね~!」
そういうながら麻由美ちゃんはニヤニヤしてた。な、何を考えてるんだろう・・・?
「とりあえず今は待つしかないよね。あゆちゃんもそう思ってるんでしょ?」
「ええ。やれることはやったし今はそれしかないわね。とりあえずもう一週間はそうするわ」
「・・・一週間経ったら?」
私は素直な疑問をぶちまけた。先のことは考えないとはあのとき言ったけど、やっぱり不安なものは不安。
「そうね・・・正直、私自身も誰も来ないなんて考えていなかったわ・・・。だからそこからは・・・」
そう、だよね。私だってそうだから。
「林崎くんにはいい報告に出来ないなんて・・・」
そう私が言うと麻由美ちゃんがそれだ~!とばかりに顔を乗り出す。
「林崎くんよ!また彼に頼むしかないよ!優美の頼みなら絶対受けてくれるはず!」
その、私の頼みなら絶対受けてくれるっていう自信はどこから(笑)
そんな話をしていたら先生が入って来てホームルームが始まった。
林崎くんにこの話すれば「依頼の延長だから」みたいな感じにでまた色々考えてくれそうだけど・・・。でもそうなると私と彼の関係は変わらないよね・・・ってそんなこと考えちゃダメだよね、余計なことは考えないで今は待つしかないし。
それからさらに1週間が経過したが、結局新入部員は誰も入らなかった。部活終わり、私と亜由美はそのことについて話していた。
「今日もダメだったね・・・」
「そう、ね・・・」
亜由美もガッカリした表情を隠しきれてない。普段そこまで感情を表に出さない亜由美がそこまでの顔をするというのは、かなり落ち込んでいることが私にはわかる。
そんな姿を見てというわけじゃないけど、私はこんなことを言う。
「もうさ、入らないんじゃないかな・・・」
力なく、そう言った。
「実はね、私も1週間が経過したあたりから少しそう思っていたのよ。優美も期待していたし、言わないようにはしていたけども・・・」
「そっか・・・思っているのと、口に出すのじゃやっぱりなんか違うもんね・・・」
だけど亜由美は落ち込んでる暇はないとばかりに、
「とにかくこうなってしまった現状は仕方ないわ。次にどうするか考えなくてはいけないわ」
亜由美のいう通りだ。落ち込んでいる暇があったらこれからどうすればいいか考えないと。そうは思いつつもどうするかは既に決めていた。
「明日・・・現状の報告もかねて林崎くんに言ってみる・・・」
彼に頼り切りというのはよくないのはわかっているものの、2人で考えるよりも彼に聞いた方が絶対いい案が出るに決まっているから。
だが、そう言われた亜由美は驚きの表情になった。え・・・なんで・・・?
「・・・優美はいいの?」
「え・・・?」
「また彼に頼んでいいの?・・・変わらない関係でいいの?」
亜由美は知っていたから。依頼が終わるまでは2人の関係が変われないことを。でも私は答えは決めていた。
「いいの」
そう短く亜由美へ告げた。優美としたらもちろん、彼とお付き合い出来たらどんなに嬉しいか、そんなの自分ではわかっていた。でも現状を報告したら彼は絶対に依頼は受け続けるっていうと思う。それにさ、私としたら仮に付き合えなくても彼と一緒にいられること、それだけでも幸せだと思う。
色々考えて、考えた結果の答え。だからいい。
「そう」
亜由美もそう短く答える。
「まあ、林崎くんに断れちゃったらオシマイだけどね!」
「確かにそうね。・・・優美、ごめんね。私の力不足のせいで」
「え、いいよ、そんなの!ってかそれ林崎くんに言った方がいいよ?」
2人で笑いあった。なんとなくだけど、彼なら、またなんとかしてくれる、私も亜由美もそう思ったから笑えたのかも。
× × ×
そして翌日、私はどうしても一番早く今の気持ちを彼に伝えたい、そう思いどうすればいいのか考えた結果、朝の電車の時間を合わせ、学校までの通学路で伝えようと思った。
「いつも、この時間に乗ってるって言ってたもんね」
ちょっとストーカーっぽいかな?なんちゃって!恋する乙女ならこういうことしてる人もいる・・・よね?
電車内では会えなかったものの、改札で出て辺りをきょろきょろしたらお目当ての彼を見つけた。
「林崎くん!」
「あ、おはよう」
「おはよう!」
そんなあいさつをし、彼と並びながら歩き出す。どう切り出そう、迷うけど今言うって決めたんだから・・・!
「あのさ・・・」
「うん」
「ダメ、だった。新入部員は入らなかった」
素直にそういう。今更ごまかしてもしょうがない。彼はというとそれほど驚いた表情は見せず、冷静を受け止めた。・・・もしかして、予想してた・・・?
「そっか」
私たちはついつい歩く足を止めてしまう。すると林崎くんも何かを覚悟した表情になる。
「・・・あのさ、俺からも実は話したいことあるんだ。自分から言えなくて、待ってたみたいでごめん」
「ううん、気にしないで」
「まだ始業まで時間あるし、ちょっと公園で話さない?」
私は断る理由もないのでOkし、公園へ移動しベンチへ座る。
「とりあえず、俺の話の前に竹下さんから話して。たぶん、同じような話だと思うし、流れ的にもその方が俺もうまく話せると思う。それにキミから言ってきてくれたし」
「うん、わかった」
私は両膝に置いた手をぐっと握り直し、再度覚悟を決めた。
「・・・依頼、続けたい」
彼を目を見て、真剣に伝えた。と、次の瞬間彼はフッと笑う。え?え?え?何!?何がおかしいの!?
「ごめんごめん、なんか予想通りだったから」
「え!?」
「いやね、俺もさ依頼は続けて受けるつもりだったからね」
え・・・?それって・・・・。
「それって・・・部員が入らなかったの知ってたってこと・・・?」
「いや、知ってたわけじゃないけど」
「え?え?え?」
何それ何それ!じゃあ未来人!?あ、なるほど、だから色々いい考えが思いつくわけだね!・・・って違うし!
「じゃあここからは俺の話したかった話になるけど、いい?」
「え!?うん、いいけど・・・」
まだ混乱してる頭を戻し、話に集中する。
「あんまり驚かないで聞いて欲しいんだ」
「うん」
「実はさ、文化祭が終わって何日か経ったにさ、ぶっちゃけ新入部員は入らないと思ったんだ」
「え!?あ・・・ご、ごめん!」
驚かないでって言われたのに!ここは冷静に、冷静に・・・。
「いや、驚かないって方が無理だったよね。続けても大丈夫?」
「う、うん」
「文化祭まではさ、とにかく舞台を成功させることに熱中し過ぎて気がつかなかったんだけど」
「文化祭が終わったあと冷静になって、ふと考えてみたらさ、そう思ったんだ」
「うちの学校って強制ではないけど部活入ってる人ってかなり多いじゃん?」
「う、うん」
「生徒会だから知ってるってのもあるけど、およそ8割強、1年生に至っては9割くらいになるんだよね」
そこまで聞いた優美はあっ、とあることに気がつく。
「もともと入ってくれる可能性がある人がとても少なかったってこと・・・?」
「そういうこと。それに他の部活でも途中入部なんて少ないじゃん?ましてや無名の演劇部、どんなにいい舞台をしたとしても難しかったということ」
「なる、ほど・・・」
冷静になって考えてみれば私もそう思う。でもそれだと・・・。
「じゃあ私たちが頑張ってやってきたことは無駄だった・・・?」
この数ヶ月、舞台を成功させるためにやってきた。もともとほぼ無理だったということになるなら・・・。
「これに気がついたとき、俺も最初はそう思った。なにやってたんだ、って」
「だけどさ、あくまで通過点、これからに向けての始まりと考えたらどう?」
「新入部員獲得は確かに失敗したけど、部活としての活動とみるなら凄く良かったと思う」
優美はそう言われハッと気がつく。演劇の楽しさ、苦しさ、そういうのを知り舞台だって大成功した。部活動として最初の一歩を刻んだことは新入部員が入ることよりも意味があるのではと。
「・・・そう、だね!」
なんとなく、うまく言葉には出来なかったけど、精一杯の笑顔で頷いた。
「俺が話したかったことはとりあえずこれくらい。竹下さんは?」
「私は・・・」
なんかもっと次はどうすれば、これからどうすればいいのかとかそういうのも聞くつもりだったけど、今の話聞いたら・・・!
「私も大丈夫かなっ!」
そもそもさ、林崎くんがこれからも一緒ってだけでそれで満足かな~!
「じゃあ依頼とかこれからのことはまた後ででいい?時間もあんまりないだろうし」
と2人で公園にある時計を見る。時間は始業5分前だった・・・。
「「あ・・・」」
2人で少しの間顔を見合わせる。
「ヤバい!話に熱中し過ぎて時間気にしてなかった!行こう!」
そういうと彼は私の手を取り学校へ向けて走り出す。私も彼に放されないように一緒に走り出した。
文化祭が終わっても依頼人と請負人という関係は変わらず、彼とは新しい関係にはなれなかった。彼だってきっとどうすればいいのか凄く悩んだ上での結論だと思う。
そんなことを考えていたら彼が口を開く。
「あのさ、『そのときが来たら』って前に言ったじゃん?」
「え?う、うん」
「少し、いや、かなり遅くっちゃうなあって思って・・・」
「・・・待ってるよ!」
だってさ、こーんなに頑張って色々してくれる人、嫌いになるわけないし、むしろもっと好きになっちゃうじゃん!私が待てなくなっちゃいそうだよっ!
「そっか・・・頑張らなきゃな」
「私も、嫌われないように頑張らなきゃなっ!」
「それはないかなー!だって・・・って恥ずかしいわ!」
「え~?何々~?気になる~?」
「忘れてくれー!」
そういうと彼は私の手を離し先に行ってしまった。ちょっと残念っ!
「あ、待ってよ~!」
何はともあれ不安は全て期待へと変わっていった 。
「始まったばかりなんだよね~!?」
走りながら私は彼に向けてそう叫ぶ。
「えー?何がー!?」
私が彼に依頼をしたのが「舞台」の始まりで本番が終わり、そうじゃなくてその期間が始まりだったってことだよね。私の恋も、かな~!なんてっ!
「私の、私たちの「舞台」は始まったばかり、だよね!」
前書きで書いた通り、今回のサブタイは最終回みたいにタイトルにしました。
理由はですが、この物語の一つの区切りという意味にしたかったのです。
この話までは章付けするなら「文化祭編」という感じでしょうか?
まだ正式に章をつけるかどうかは悩んでおりますが、もし意見等ありましたら、気軽にコメント下さい(^O^)
あと、完全な余談ですが、もともとこの話を書き始めた当初は文化祭で終わりにしようと考えてました。もちろん、今とは違うちゃんとした終わり方で。
でも、個人的にまだまだ圭や優美たちを書いていきたいのと、予想以上にこの話を読んで下さる方がいるということ、読者の皆様のおかげで自分としてもまだまだ続けていきたいと思うようになりました。
長くなりましたが、自分の下手な文章をいつも読んで下さってありがとうございます。物語はまだまだ続きますのでこれからもよろしくお願いします(*^_^*)